chapiteauautun

(B)

　ユダの首つり。二人の悪魔がユダを絞め殺す綱を一思いに引いている。

ユダの首つり自殺

原典：マタイによる福音書(口語訳)#27:1-10

夜が明けると、祭司長たち、民の長老たち一同は、イエスを殺そうとして協議をこらした上、イエスを縛って引き出し、総督ピラトに渡した。そのとき、イエスを裏切ったユダは、イエスが罪に定められたのを見て後悔し、銀貨三十枚を祭司長、長老たちに返して言った、「わたしは罪のない人の血を売るようなことをして、罪を犯しました」。しかし彼らは言った、「それは、われわれの知ったことか。自分で始末するがよい」。そこで、彼は銀貨を聖所に投げ込んで出て行き、首をつって死んだ。祭司長たちは、その銀貨を拾いあげて言った、「これは血の代価だから、宮の金庫に入れるのはよくない」。そこで彼らは協議の上、外国人の墓地にするために、その金で陶器師の畑を買った。そのために、この畑は今日まで血の畑と呼ばれている。こうして預言者エレミヤによって言われた言葉が、成就したのである。すなわち、「彼らは、値をつけられたもの、すなわち、イスラエルの子らが値をつけたものの代価、銀貨三十を取って、主がお命じになったように、陶器師の畑の代価として、その金を与えた」。

　（キリスト教における最初の殉教者である）聖ステファノの石打刑。助祭ステファノはキリスト時代の最初の殉教者であり、石打により殺された。ここでは彼は中央に描かれ、跪き、頭に三つの石を載せている。一方彼の処刑者はもっと多くを投げようと準備している。ステファノは完全に落ち着いており、彼の両手を天国に運ぶために降りてきた天使の方に差しのばしている。

(D)

　エジプトへの脱出。これはオータンの柱頭のなかでもっとも有名なものである。小さな微笑むロバ、彼の責任を誇るヨーゼフ、高貴な聖母、幼児のイエス、だがイエスは子供の頭をしていない。彼はチビのイエスではない。神の子なのだ。だから、すでにタンパン上のキリストの態度を保持している。

引用画像1、表紙

（A）

カインの死

原典：創世記第4章1-15

人はその妻エバを知った。彼女はみごもり、カインを産んで言った、「わたしは主によって、ひとりの人を得た」。彼女はまた、その弟アベルを産んだ。アベルは羊を飼う者となり、カインは土を耕す者となった。日がたって、カインは地の産物を持ってきて、主に供え物とした。アベルもまた、その群れのういごと肥えたものとを持ってきた。主はアベルとその供え物とを顧みられた。しかしカインとその供え物とは顧みられなかったので、カインは大いに憤って、顔を伏せた。そこで主はカインに言われた、「なぜあなたは憤るのですか、なぜ顔を伏せるのですか。正しい事をしているのでしたら、顔をあげたらよいでしょう。もし正しい事をしていないのでしたら、罪が門口に待ち伏せています。それはあなたを慕い求めますが、あなたはそれを治めなければなりません」。カインは弟アベルに言った、「さあ、野原へ行こう」。彼らが野にいたとき、カインは弟アベルに立ちかかって、これを殺した。主はカインに言われた、「弟アベルは、どこにいますか」。カインは答えた、「知りません。わたしが弟の番人でしょうか」。主は言われた、「あなたは何をしたのです。あなたの弟の血の声が土の中からわたしに叫んでいます。今あなたはのろわれてこの土地を離れなければなりません。この土地が口をあけて、あなたの手から弟の血を受けたからです。あなたが土地を耕しても、土地は、もはやあなたのために実を結びません。あなたは地上の放浪者となるでしょう」。カインは主に言った、「わたしの罰は重くて負いきれません。あなたは、きょう、わたしを地のおもてから追放されました。わたしはあなたを離れて、地上の放浪者とならねばなりません。わたしを見付ける人はだれでもわたしを殺すでしょう」。主はカインに言われた、「いや、そうではない。だれでもカインを殺す者は七倍の復讐を受けるでしょう」。そして主はカインを見付ける者が、だれも彼を打ち殺すことのないように、彼に一つのしるしをつけられた。

22.

　ダニエルがライオンの洞穴の中にいる。穴の中に坐ったダニエルは、忍耐強く解放を待っている。；彼の両側にはちょっと小さい二匹のライオンがいるが、彼を食べようとしない。一方、左側には天使に髪で掴まえられて空中を運んでこられた預言者ハバククがダニエルに栄養物を運んできた。

オータン柱頭彫刻

(I)

教会の奉納

引用：

一つの（縮小模型の）教会が二人の人間によって奉納されている。右側の一は多分司教（バジェのエチエンヌか？　彼は壊されてしまった十字架を手に持つ）であろう。左側の人物はその縁なし帽子の所為で通称オータンのボンネット（縁なし帽）と呼ばれる土地の人であるように見える（動物とセイレンの柱頭彫刻にも見られるように）。；これは多分建築家かあるいは彫刻家である。

　天使がひとり天に現われ、神の名において奉納物を受け取っている。柱頭彫刻のほかの幾人かの人物は今はもうなくなっている。（右下に足が存在する）

(H)

　悪徳と美徳。聖餐杯を差し出す博愛は、二袋の金を持つ貪欲の悪魔を押し潰す。一方、希望は絶望の悪魔を剣の一突きで殺す。

(G)

　東方三博士の礼拝。ありふれているが心動かされる場面、マリアが幼児のイエスを抱えている。イエスは手を伸ばし東方三博士が提供した贈り物に触っている。一方に聖ヨーゼフが座っている。なにか思いに耽っている。

23.

　キリストの二回目の誘惑。悪魔がエルサレム神殿を意味する塔の上に立ち、キリストを納得させようと試みている。つまり、もし彼が塔の天辺から身を投げることさえ承諾すれば、悪魔が彼を支え保護する、と言っている。

　シモン・マグス。サマリア人の魔術師シモン。ペテロとパウロがお祈りをしたら、シモンは急に地面に崩れ落ちた。悪魔がこれを見て喜んで軽蔑笑いをした。この彫刻は大聖堂の彫刻のなかでもっとも素晴らしい作品の一つ。魔術師シモンは教会財産あるいは教会の名誉を買ったり盗んだりするシモニア（聖職売買）の後援者である。

　モーゼと金の子牛。モーゼは十戒を記した銘板を手に持って子牛を撃つ。すると子牛から巨大なぞっとするような悪魔が出てきて大いに愉快がる。

11.

　ノアの箱船。この喜ばしい彫刻は、驚くべき新航海に乗り出そうとしているノアの大冒険を牧歌的に示している。家族の一人は既に乗船していて、上の窓のところに見える。；二匹の動物が中央の窓から外を眺めている。；右方には食料が積み込まれ、左には一人の子供が乗船している。

　音楽の第四音。中世末から実行されるグレゴリオ聖歌は八つの音調から成り立っている。クリュニーでは、これらの八音調は、各音調の意義を定義するテキストによって伴われ、八人の音楽家によって演奏された。クリュニーでは、ハンドベルを持つ人は悲しみの音調である第四音調を奏でる。後に、この特別の人が、シャルトルで実見できるが、音楽を全体として表わすのに使われた。オータンでは二人の子供のための音楽レッスンを描写しているようだ。

(F)

　東方の三博士が眠っている。王達は星の航跡を失ってしまった。彼らは同じベッド、素敵な毛布を被って一緒に寝ている。彼らの頭にはまだ王冠がある。一人の天使がそっと王の一人を起し、星が戻ってきたことを示している；星は花のような形をしている。多色彩のペンキの痕跡が少しばかりこの特別な柱頭に残っている。

画像：2015/05/23撮影

21.

　キリストがマグダラのマリアのところに現われた。この非常に美しい柱頭は未完成である（キリストの光背と髪は大雑把に描かれているのみである）。マグダラのマリアはキリストの足下にいるが、聖女達は墓へ向かっている。

28.

　三人のヘブライ人が窯のなかにいる。バビロン補囚のヘブライ人三人は偶像崇拝を拒絶している。窯のなかに放り込まれた彼らは天使によって保護されている。静かに、炎の中で若いヘブライ人達は彼らの素晴らしい讃美歌を歌う：「おう、いえ－、雨と露よ、主を讃えよ」

30.

　幼児イエスの誕生。聖母は横になっている。その間、聖ヤコブ使徒書簡によれば、産婆が幼児イエスを小さな桶のなかで水浴させている。もの思わしげなヤコブのまどろみ。

31.

　イサクの生贄。アブラハムが彼自身の息子であるイサクを剣で殺そうとしている。天使が片手で雄羊の首をつかみ、もう一方の手でアブラハムの剣を掴む。この雄羊が代わりに犠牲になる。こうして人間の生贄は永遠に終了した。

画像の引用は次の二つ。

La Sculpture du Ⅻ^eSecle de la Cathedrale d’Autun
Denis Grivot
Conservateur des Antiquités et Objets d’Art de Saône-et-Loire
EDITIONS S.A.E.P. COLMAR-INGERSHEIM

Autun Cathedral
D. Grivot
Delta 2000

画像解説は”Autun Cathedral”からの引用である。

二羽の鷲によって守られた聖ヴィンセント。3世紀末スペインの助祭であった聖ヴィンセントは彼の殉教ののち、彼の肉体が野生動物によって貪り食われるようにと裸で投げ捨てられた。一羽の鷲が干渉して彼を保護した。しかし、対称形にするためにこの彫刻家は二羽にした。

画像：2015/05/23撮影

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