ルーヴル博物館 (1)

                2014/05/14

説明
  教皇パウロ4世よりアンリ2世に贈られたこの作品は、フランスに渡った初の古代彫像のうちの一つである。ローマ人にディアナとよばれたこの女神は、ここでは雌鹿に伴われている。ギリシア語ではアルテミスで知られるこの人物は、アポロンの双子の兄弟、気の強い処女、疲れを知らない狩人であり、その特徴は、男性の陵辱を罰する事にある。この彫像はレオカレスに帰属する紀元前4世紀のギリシアブロンズ像に着想を得ている。

画像:フォンテーヌブローのアルテミスと雌鹿
2014/5/22撮影)

画像:ミロのヴィーナス

解説

手足を失った傑作品の発見

ミロのヴィーナスは1820年、キクラデス諸島の南西の島、メロス島(現代ギリシア語でミロ)で発見された。リヴィエール侯爵はこの作品をルイ18 世に献呈し、後者は翌年ルーヴル美術館にそれを寄贈した。この作品はその当時より名声を得ていた。主に2つの大理石のブロックで構成されたこの彫像は、別 に加工された複数の部分によりできており、はめ込み部品の技術を使い、上半身、両脚、左腕、左足はなどは、縦はめ込みにより結合されている。この加工方法 は、ギリシア世界のなか、とくに前100年頃にこの作品が制作されたキクラデス諸島にてとても普及していた。この彫刻の両腕は発見される事はなかった。女 神は腕輪、イヤリング、髪をまとめる帯などの鉄製の装飾品により飾られていたが、現在ではそのための固定の穴のみが残っている。今日失われた多彩装飾は、 この大理石像を引き立たせていたと思われる。

説明
川の神
  ローマを流れるテーヴェレ川は、川の神の典型的な肖像の慣わしに従い、髭を生やした壮年の男の姿で、下半身を横たえた姿で表されている。テーヴェレ川の神は彼がローマに惜しげなく与える恩恵を表す象徴を手にしている。彼は左手には航海を想起させるオール、右手には川の恵みを表す豊饒の角を持ってい る。彼の傍らにはローマの伝説的建国の立役者、双子のレムスとロムルスに授乳する雌狼がいる。彫刻の基盤は牧場、川船、そして最後にアイネイアスの伝説に まつわる風景が表された浮彫装飾が施されている。そのことから作品全体の図像は、ローマとテーヴェレ川がローマにもたらす豊かさに奉げられている。

画像:
テーヴェレ川

画像

画像:
ナポリ、15世紀第三四半期
アラゴンのフェルディナンド、ナポリ王(1423-1494)
大理石

史実:フィレンツェでのパッツィ家によるメディチ家暗殺事件(1478/4/26)ののち、生き残ったメディチ家のロレンツォがナポリに乗り込んで彼と直談判して和平を保った、という故事がある。

画像
The Descent from the Cross
c. 1250
Painted wood
Cathedral, Tivoli

1:ティヴォリ大聖堂の十字架降下像

画像

画像:
ウンブリア(現在のウンブリア州)あるいはラティウム(ローマ周辺地域)
13世紀第二四半期
十字架降下
木(ポプラ、柳、並びにクルミ)ポリクローム
ラルーシテのVan StolkBrimoによる古代蒐集品
R.F.2966 ~ 2969

いくつかの証拠があって、完全なものもあれば断片的なものもあるが、13世紀の間、中央イタリアで「十字架降下」を創造した作家グループの存在をおおよそだが証言している。(参考
聖母マリアが欠けているルーヴルの群像は、とくに複数のキリストの単独像(1236年日付のペルージャ;ミラノ)に類似しているようだ。とりわけローマのティヴォリ大聖堂のなかに完全に保存された群像に似ている。

2Dead Christ in the Galleria Nazionale dell’Umbria in Perugia

 とりわけ素晴らしいと思ったのはこの十字架降下です。13世紀に作られたこのようなキリスト像を「ロマネスク」と呼んでいるのでしょう。修道院芸術というのでしょうか。圧倒的な迫力があります。

 ルーヴルの説明によれば、類似作品でマリアを加えたオリジナル作例がティヴォリ大聖堂にあるというではありませんか。ティヴォリにも是非行ってみたいものです。また、どこかにチラと書いてありましたが、ティッセン・ボルネミッサマラガ分館が出来たようですね。ここもついでに出かけることにしましょう。ルーヴルという大博物館に来ると教えられることが多々あり、嬉しいです。

 さて念願のルーヴルにやって来ました。まずは古典の集積を鑑賞させていただくことにします。

 このほか数え切れないほどの作品がおさめられており、いちいち調べていると時間を忘れる。

 では皆様ご機嫌よう。

 ご覧のとおり、観光客で満員の盛況。中国人が多かった。

画像:
ミケランジェロ
(左)抵抗する奴隷
(右)瀕死の奴隷
説明
相反する感情
  鎖に繋がれた2体の捕虜像が表わす感情は相反する。1体は非常に若く美しく、眠りに身を任せているように見える。多分永遠の眠りであろう。この像は《瀕死の奴隷》と名付けられた。もう1体は、より荒々しく、身を捩り震えた体で抵抗する。《抵抗する奴隷》と呼ばれている。この2体は、教皇ユリウス2世 が夢見た自分自身の豪奢な霊廟の為にミケランジェロによって構想された。この霊廟は40年間の間数々の計画と共に移り変わった。
 この図像のテーマ を知る手がかりは殆どなく、《瀕死の奴隷》の横に僅かに削られた猿の姿のみである。これらの像は征服された諸地方を表すものか。教皇の死により奴隷に成り下がる諸芸術なのか。これらは教皇の永遠の勝利に参加するものなのか。隷属する情熱を表すのか、又はミケランジェロが心酔したプラトン主義論に従い、体の重みという鎖に繋がれた人間の魂を表すのか。この苦しむ体から表出される言葉に絶する力は中心から四方へと広がる。未完成が故にこの印象は更に強くなって いる。

どうでもよいことだが、雰囲気はバナナマンの日村勇紀にそっくり。