極上音楽
1980年代の名盤

Steely Dan / Gaucho
1980年作品
一曲目のバーナード・パディの刻むシャッフルにチャック・レーニーのベース、そして ドン・グロニックのエレピが漂う中ブラスが入り、レゲイのリズムを乾いた音のギターが刻み フェイゲンがメロディーを歌い上げる。そして極上のバッキング・ヴォーカルが「Shake It」と囁きかける。 そのサウンドの深み、色彩、質感、研ぎ澄まされた響きに引き込まれます。 誰にもまねできないSteely Dan の究極作品です。
それにしても、レコード会社との契約のトラブルも原因のようですが「Aja」から3年のインターバルは長かった。
ウォルターは、この時期深刻なドラッグ問題を抱えたいたようですが、 これが百万ドルの制作費とフェイゲンとウォルターを燃え尽きさせた作品です。 CD・プレィヤーを購入した際、初めに聴いたCDは、この名盤でした。

1. Babylon Sisters  2. Hey Nineteen
3. Glamour Profession  4. Gaucho
5. Time Out Of Mind  6. My Rival
7. Third World Man

Larsen Feiten Band / Larsen | Feiten Band
1980年作品
72年のフルムーンのファーストは、よく「早すぎたバンド」と評価されている。
このアルバムは、フュージョン・ブームの中、8年後にギターのバジー・フェートンとキーボードの二ール・ ラーセンが、トミー・リピューマのプロデューサーの下、再結成した。他のメンバーは、ベース:ウイリー・ウイークス、 ドラムス:アート・ロドリゲス、パーカッション:レニー・カストロ。
インストの曲は、ラーセンの「ジャングル・フィーバー」に収録されていても違和感の無い良い曲です。 ホーン・アレンジはラリー・ウィルアムスです。
今聴いても古さを感じない名盤です。
Southern All Stars / STEREO TAIYO-ZOKU
1980年作品
78年にデビューした、サザン・オールスターズの4枚目「タイニイ・バブルス」の次のアルバムです。
相変わらずテレビの仕事も忙しかった時期でしょうが、曲作りもアレンジも絶好です。
名曲揃いで捨て曲なしですがヒット曲が収録されていないせいか、いつ聴いてもどの曲も違和感なく聴けます。また、 スタジオのエコー感が気持ちいい録音がいいですね〜。
7曲目に名前が登場するのMr.八木と桑田さんの接点は知りませんが、ジャズ・ピアニストの彼のアレンジが4曲で楽しめる。
シングルカットされた「栞のテーマ」は、名バラード。

1. Hello My Love  2. My Foreplay Music 3. 素顔で踊らせて
4. 夜風のオン・ザ・ビーチ 5. 恋の女のストーリー
6. 我らパープー仲間 7. ラッパとおじさん (Dear M.Y’s Boogie)
8. Let’s Take a Chance 9. ステレオ太陽族 10. ムクが泣く
11. 朝方ムーンライト 12. Big Star Blues (ビッグスターの悲劇)
13. 栞のテーマ
Ivan Lins / Nova Tempo
1980年作品
1980年リリースのクインシー・ジョーンズ「The Dude」の収録曲トゥーツ・シールマンスが 美しいメロディーをハーモニカで歌い上げる「Velas」を聴いて多くの人がその曲を作った イヴァン・リンスに興味を持ったことでしょう。この曲は、イヴァンの1979年の「A Noite」に 収録されています。曲名はクインシーは変更してありオリジナルの曲名は「Velas Icadas」 です。インストでなくリンスが歌っています。
さてこの9枚目の彼のこのアルバムですが、「Somos Todos Iguais Nesta Noite (77)」「 Nos Dias de Hoje (78) 」 「A Noite (79) 」「Novo Tempo (80)」「 Daquilo Que Eu Sei (1981) 」とこの時35歳。アーティストとしてピークを作った次期の一枚です。メロディーの美しさ、テンションの効いたコード、コーラス、ブラジルの風、包み込むような穏やかで優しいヴォーカル。いい〜気持ちにさせてくれます。
Gino Vannelli / Night Walker
1981年作品
78年の「Brother to Brother」から3年、A&Mからアリスタに移籍して、素晴らしい作品を残しました。
基本的には、前作と変わりませんが、ヴィ二ー・カリウタ(Dr)、二ール・スチューベンハウス(b)の 2人が新たに強力なリズムを作り出し、ギターがカリオス・リオスからマイク・ミラーに変わっています。
カリウタは、ザッパ、スティング、チック・コリアなどのミュージシャンとプレーして、多くのドラマーに影響を 与えたミュージシャンです。 そして、今回も、ジョー・ヴァネリ、ロス・ヴァネリの兄弟が、仕掛け、長いユニゾンと完全無欠のアレンジをしています。 ジョー・ヴァネリのエレピもテンション・コードの嵐でかっこいいです。1曲、1曲あまりに凄いので、唸るしかない名盤です。
EIICHI OHTAKI(大滝詠一) / A LONG VACATION
1981年作品
2001年3月、大滝先生自らリマスターした「20th Anniversary Edition」がリリースされた。
オリジナルの10曲にインストナンバー9曲(「さらばシベリア鉄道」を除く)が追加されて20年振りに蘇った。友人が 当時アナログ盤のこのアルバムを小脇に抱えて私の部屋にやって来て興奮して聴かせてくれた事を今も覚えているが、 初めて聴いた時は、アメリカン・ロックではなく、アメリカン・ポップスをこんなにポップにやっている事にびっくりしたのを 記憶している。音頭もなかったしね!このウォール・サウンドにもびっくりしましたね!
全曲松本隆さんの作詞、後に微熱少年という小説のベースになった曲が収録された。ミュージシャンは、「はっぴいえんど」の メンバーに大滝さんの交流関係の最強ミュージシャンが集められている。
3年後に「イ―チ・タイム」というアルバムがリリースされチャート1位になり大滝さんは大メジャ−になるが、その後隠遁生活に入ってしまう。
ジャケットに使われたは、永井博さんのイラストはその後多くのメディアで使われていましたね。甘く・切ない青春が蘇ってくる名盤です。

1. 君は天然色 2. Velvet Motel 3. カナリア諸島にて
4. Pap-Pi-Doo-Bi-Doo-Ba物語 5. 我が心のピンボール 6. 雨のウェンズデイ
7. スピーチ・バルーン 8. 恋するカレン 9. FUN×4 10. さらばシベリア鉄道
11. 〜19.は、Instrumental
Rickie Lee Jones / PIRATES
1981年作品
リッキー・リー・ジョーンズのセカンド・アルバム。
プロデュースは、ファーストと同じく、Russ Titelmanとワーナー・ブラザースの役員LennyWaronker。
ファーストより、自由に組曲の様なダイナミックレンジが広いアレンジが普通だと疲れるのだろうけど 聴いていてリラックスできる。
透明感とクールな空気感がアルバム全体に漂う、これが彼女のマジックで 魅力。全曲オリジナル、彼女のグルーヴのあるヴォーカルとその曲は、本当に魅力的で誰にも真似できない。
聴くたびに「あ〜いいな〜 素晴らしい!」と呟く名盤。

1. We Belong Together 2. Living It Up 3. Skeletons
4. Woody and Dutch on the Slow Train to Peking
5. Pirates (So Long Lonely Avenue) 6. Lucky Guy
7. Traces of the Western Slopes 8. Returns
Roxy Music / Avalon
1982年作品
ヴォーカルのブライアン・フェリーの声は70年代は好きになれずに聴くことも無かったのですが。このアルバムには 奇跡が起きました。それは、透明感のある音空間を作ったミックスのボブ・クリアーマウンテン、イギリスのソウル/ファンクのトップ・ミュージシャンであるアンディー・ニューマーク(ドラムス)、アラン・スペンナー、二ール・ジェーソン(ベース)らにより洗練されたソウルを聴かせてくれたからだ。それにしても私は、アンディー・ニューマークがイギリス人だという事を彼が引退してイギリスに戻っているという雑誌のインタビューを読むまで知らずにアメリカ人だと思っていました。
ミックスのボブ・クリアーマウンテンは、このアルバムで仕事が殺到するようになりこの後、様々なアーティストのサウンドに磨きを掛けています。
「海の潮の流れはなぜ戻ってこないんだろう」と歌った1曲目から収録曲10曲を残しこのアルバムでロキシー・ミュージックは解散してしまう。3年後フェリーは、ソロ・アルバム「BoysAndGirls」をリリース、この「Avalon」の延長上のサウンドで嬉しかった記憶があります。
Donald Fagen / Nightfly
1982年作品
1950年代 ドナルド・フェイゲンが青年期だった頃をコンセプトに作られた始めてのソロ・アルバム。 プロデューサー:ゲイリー・カッツ、エンジニア:ロジャー・ニコルとスティーリー・ダンと 同じメンバーで製作された「GAUCHO」から2年後の作品。
路線は、スティーリー・ダンと変わらないが ガウチョの緊張感、透明感は薄れ、なにか開放された伸びやかさが感じられる。
相変わらず、バックのミュージシャンは豪華です。ドラムスは、ジェフ・ポカーロ、エド・グリーンが、 ベースは、アンソニー・ジャクソン、マーカス・ミラー、アブラハム・ラボリエルがキーボードは、グレック・ フィルゲンス、マイケル・オマーティン、ギターは、ラリー・カールトン、ヒュー・マクラッケンらが 職人技を聴かせてくれる。「IGY」「MAXINE」「NEW FRONTIER」「THE NIGHTFLY」など曲も充実の忘れられない名盤です。
この後、フェイゲンは、極度のスランプになり曲がまったく作れなくなったとか・・・
Paul McCartney / Tug of War
1982年作品
5人目のビートルズと言われたジョージ・マーティンにポールがビートルズ解散後、初めて (007のサントラ「死ぬのは奴らだ」を除く)プロデュースを依頼した作品。解散から13年後の再会が再び奇跡をおこした名盤。
アルバムからスティービィー・ワンダーとのデュエットの「エボニー・アンド・アイボリー」 が全米1位になり、ポールは再び才能を遺憾なく発揮している。
80年に亡くなったジョン・レノン の事を歌った「ヒア・トゥディ」は、ポールからのジョンへのレクイエム。泣けます。
Bill Labounty / BILL LaBOUNTY
1982年作品
ビル・ラバウンティのこのアルバムは、全曲バラードの素晴らしいメロディーを持った曲が 録音されています。
3曲で、バリー・マン夫婦(奥さんは、シンシア・ワイル)と曲を共作しています。バリー・マンと言えば、 「ふられた気持ち」「ジャスト・ワン」など、キャロル・キング&ジェリー・ゴフィンと共に職業作曲家として全盛期だった60年代 を代表する職業作曲家で奥さんが作詞をされる、おしどり夫婦ですね。
他の曲の作詞がロイ・フリーランド、この人は ジノ・バネリの「Inconsolable Man」の作詞でクレジットがありましたので職業作詞家なのかな?
そして、アルバムのプロデュースが大有名な、ラス・タイトルマン。ドゥビー・ブラザース、クラプトン、 ライ・クーダ―、リッキー・リー・ジョーンズ等のプロデューサーですね。
それに、ストリング・アレンジメントがニック・デカロ、ホーンがジェリー・ヘイ、参加ミュージシャンは、 スティーブ・ガット、アンディー・ニューマーク、ジェフ・ポカ―ロ、チャック・レーニー、ウィリー・ウィークス、 ディーン・パークス、グレック・フィリンゲインズ、デヴィッド・サンボーン、など有名なスタジオ・ミュージシャンの 方々がビルの作ったメロディーを大事に抑えたプレーを聴かせます。
井上 陽水 / LION & PELICAN

1982年作品
今年2009年は、陽水さんのデビュー40周年記念という事で、私もいそいそとライブに出かけました。
会場に入ると、観客の年齢層の高さに少し驚きましたがライブは、山木秀夫〈ドラム〉/美久月千晴(ベース)/今 剛(ギター)/ 今堀恒雄(ギター)/小島良喜(キーボード)と2002年リリースの「BlueSelection」の頃からの素晴らしいメンバーで息もピッタリ で大いに楽しい時間を過ごさせて頂きました。
デビューは、アンドレカンドレの名前で69年に、そしてファースト・アルバムの「断絶」が、72年5月リリース。「傘がない」のアレンジは、 当時のフォークというジャンルのアレンジではないもので初めて聴いた時の衝撃を今でも思い出せます。ピアノを弾いているのが深町純さんでした。
73年12月リリースの「氷の世界」で初めて日本でのミリオンセラーを記録したアルバムを作り、その10年後の82年12月リリース のこの「ライオンとペリカン」は、陽水さんの魅力いっぱいの名盤です。

「氷の世界」の頃からそのシュールな歌詞には、頭を抱えながら楽しませて頂いていましたが、80年に入ると更に磨きがかかり素晴らしい 世界を聴かせてくれます。81年の「あやしい夜をまって」では珍しく、阿木耀子、松本隆などの作詞家の詩に曲をつけている曲も収録されていますが、 陽水さんの「My House」の詩には、生みの苦しみと、デモ過程の驚きと遊び、その完成形にぶっ飛びます。
この「ライオンとペリカン」では、全て陽水の作詞作曲でアレンジには、星勝2曲、川島(BANANA)裕二4曲、後藤次利2曲、伊藤銀次1曲、中西康晴1曲と 兵が名前を連ねています。1曲1曲が宝石のようで本当に美しい曲が収録されてます。
翌年にリリースされた「バレリーナ」は、川島(BANANA)裕二さんとコラボレーション的作品で大傑作です。

1.とまどうペリカン 2.チャイニーズ フード 3.約束は0時 4.愛されてばかりいると 5.カナリア  6.ラヴ ショック ナイト 7.リバーサイド ホテル 8.お願いはひとつ 9.ワカンナイ 10.背中まで45分
Michael McDonald / If That's What It Takes
1982年作品
ドービー・ブラザースの「ワン・ステップ・クローサー」を最後にソロになったマイケルのファーストです。
プロデュースはワーナーのテッド・テンプルマンとレニー・ワロンカー。
全10曲捨て曲なし。リズム隊が2ユニット、スティーヴ・ガッド(ds)とドービー・ブラザース時代からマイケルの お気に入りのウィリー・ウィークス(b)が6曲とジェフ・ポカーロ(ds)とクインシーで有名なルイス・ジョンソン(b)が 3曲プレーしている。このリズム隊を聴くだけでも心が踊ります。
グレッグ・フィリンゲインズ(p,key)、ディーン・パークス(g)、スティーブ・ルーカス(g)、エドガー・ウインター(sax)等の ダブル・スケールのミュージシャンの皆様とホーン・アレンジがジェリー・ヘイ、ストリングスがマーティン・ペイチとこれでもか といった贅沢なメンバーがマイケルの作り出す曲をカッコよく聴かせる名盤です。
70年代スティーリー・ダンのメンバーだったマイケル・マクドナルドだが、その頃からの旧友のドナルド・フェイゲンも 同年にファースト・ソロアルバムをリリースしている。
Friedrich Gulda(piano) Nikolaus Harnoncourt(conductor) / Mozart Piano Concertos No.23 & No26

1983年作品
1985年にモーツアルトは、3曲のピアノ協奏曲を1月〜3月の間に作曲している。哀愁の20番、エレガントな21番、 そしてこの最も有名である23番である。
これらは、ピアノ協奏曲の最高峰でありスタンダードであるが、その 芸術的ゆえにウィーンの一般大衆には受け入れ難くなっていたようです。しかし、これらの曲は洗練された中にも 円熟期の気品と風格、深みがある美しい曲である。26番は「戴冠式」の名で呼ばれている協奏曲です。これは、 レオポルト2世が即位した時、フランクフルトで戴冠式が行われ、その時演奏されたことからそう呼ばれている そうです。モーツアルトの最後のピアノ協奏曲27番はこの26番の3年後に作曲されたが、25番までの孤高さ芸術的 な高みを超越し解りやすい旋律と語り口が心地よい美しい曲です。

さてこのアルバムですが、フリードリッヒ・グルダのピアノ、ニコラウス・アーノンクールの指揮、オーケストラは ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 です。
フリードリッヒ・グルダは、ベートーベン弾きで有名で、早くから ベートーベンのソナタ全集、ピアノ協奏曲の名盤を残している。私も彼のレコードを初めて購入したのは、グルダ、 シュタインのベートーベンのピアノ協奏曲第五番変ホ長調「皇帝」でした。その歌心に溢れ即興性に富んだピアノに興奮 しました。第二楽章の幻想的な出だしのピアニシモは、少年の耳にも美しく響き虜にしました。
彼は、モーツアルト、ベートベン、バッハ、シューベルトらのクラッシックの名曲を 多く残しているが、ジャズ・ピアノのチック・コリアなどとの共演でも有名でジャズへの取り組みもしたウィーンの名 ピアニストです。
彼のピアノは澄みきっていてデリケートなタッチは叙情的 で限りなく伸びやかである。グルダはモーツアルトを後世に伝えるために特別に選ばれた人だと思えます。
鬼才アーノンクールは、モーツアルト、ベートーベンらの古典のレコーディングが多い指揮者だ。このアルバムでは、メロディー を口ずさみながらピアノを弾き、オーケストラだけのパートにもアドリブで入ってくるグルダをしっかりとバックアップし美しい モーツアルトを聴かせてくれる。いつまでの聴かれ続け、語り継いでほしい名盤です。

2枚目は、グルダが1970年代にアバド指揮、ウイーンフィルと共演した名盤です。20番、21番と25番、27番がカップリングされた CDがリリースされていたので紹介します。この2枚の名盤がセットになってこの値段で良いのでしょうか?
21番の2楽章の美しいカンタービレな旋律は、よく言われるが「まるで天使が舞い降りてくる」様な神々しい澄みきった雰囲気を作り出しています。
これを手に入れれば、モーツアルトのピアノ協奏曲の20番〜27番(悲愴感の中に感情の高まりに息詰まるハ短調の24番以外)の 名演が聴けます。
グルダの研ぎ澄まされた1音1音に耳を傾けているうちに天上の世界に導かれます。
山下達朗 / Melodies
1983年作品
80年「Ride On Time」がシングルブレイクし、1曲目のギターカッティングが印象的な「SPARKLE」で始まる アルバム「For You」がオリコン1位、ムーン・レコード移籍後の1枚目の通算10作目の名盤です。
このアルバムから全曲の作詞を達朗さん自身が書いています。ご本人が仰るように、リゾート・アウトドア ミュージックという評価から内省的な世界に移行しようと意図して作ったアルバム。

1. 悲しみのJODY(She Was Crying)  2. 高気圧ガール 3. 夜翔(Night-Fly)
4. GUESS I’M DUMB 5. ひととき 6. メリー・ゴー・ラウンド 7. BLUE MiDNiGHT
8. あしおと 9. 黙想 10. クリスマス・イブ

レイ・ブラッドベリの世界観が反映されたファンクナンバーの「メリー・ゴー・ラウンド」、88年JRの テレビCMでブレイクした、バロック・ミュージックをベースにした「クリスマス・イブ」ブラスが気持ちいい 「夜翔(Night-Fly) 」、スロー・バラッドの「BLUE MiDNiGHT」他名曲揃いの完璧なフォーマットです。
次のアルバム「ポケット・ミュージック」からデジタル・レコーディングに移行していきますので、 このアルバムがアナログ・レコーディングの最後の名盤ということですね。達朗さんありがとうございます。
Jaco Pastorius / Invitation
1983年作品
ウェザー・リポートを抜けたジャコ・パストリアスがビッグ・バンド(総勢21名)を組み来日した(Aurex Jazz Festival'82) の記録。1982年9月1日日本武道館、9月4日大阪フェスティバル・ホール、9月5日横浜スタジアム。
80年代多くのミュージシャンがコンピューターで音楽を組み立てていたが、この天才は ビッグ・バンドで圧倒的な音を聴かせてくれた。いつ聴いても3曲目の「The Chicken」には興奮させられる。 気心が知れた、ピーター・アースキンとのリズムセクションにブラス、スティール・ドラム、ハーモニカが見事なアンサンブル を作り出している。「生で見たかった!」と唸らせる今から思えば天才の「蝋燭の最後の火」の名盤です。
2000年にジャコの編集でない、この時のライブを全曲収録した「TWINS I&II~ライヴ・イン・ジャパン’82 」がリリースされた。
SADE / DIAMOND LIFE
1984年作品
コンガとハイ・ハットがリズムをキープしベースと共にティナー・サックスとエレピが そしてシャディー・アドゥのクールなヴォーカルが歌いだす「Smooth Operator」が 大ヒットした。
ナイジェリア人の父とイギリス人の母を持つ彼女のバンドのデビューは ジャジーな演奏にソウルフルなボーカルが気持ち良くデビューアルバムにして名盤。 時代を超えて愛され続ける。
The Style Council / Cafe Bleu
1984年作品
スタカンは1983年結成、4枚のアルバムを残し1990年解消。ポール・ウェラーがミック・タルボット、スティーブ・ホワイト、D.C.リーと組んだ グループ、実際は88年頃までしか活動していなかったことから約5年ソウル、ファンク、ボサノヴァ、ジャズ、ラップとあらゆる ジャンルの音楽を聴かせてくれた。インスト曲もおしゃれで洒脱されていた。
5曲目の「The Paris Match」には、エブルシング・バット・ ザ・ガールのギター:ベン・ワット、ヴォーカル:トレイシー・ソーンが参加、ウェラーの曲をいい雰囲気で決めている。 ポール・ウェラーのプロデューサーとしての仕事力が嬉しい名盤です。
The Style Council / Our Favourite shop
1985年作品
彼らのセカンド・アルバムにして最高傑作で名盤です。曲の良さ、アレンジの良さ、アルバムとしてのトータル感、 どれをとっても完成度が高い。
「Homebreakers」「All gone away」「TheLodgers」「WithEverything to lose」 「Shout to the top」などヒット曲満載。
それにしても電子音が反乱していた時代、オルガン、ドラムス、ブラス、ギター、 ストリングスがアコースティックに響きあいながらポールの熱いボーカルを支えます。ドラムスのスティーブ・ホワイト他の メンバーの皆さん楽器が上手いので演奏にものめり込めます。
Everthing But The Girl / EDEN
1985年作品
スタイル・カウンシルとデビューから1年後、エブリシング・バッド・ザ・ガールがこのアルバムでデビューする。
イギリスの音楽シーンは、パンクの嵐の後、良いバンドを沢山送り出した。このバンドは、シャーディーのデビュー・ アルバム「Diamond Life」のロビン・ミラーがプロデュースしています。
スタイル・カウンシルのポール・ウィラーも そうだけど、ジャムを解散して自分のやりたい音楽をやっている爽快さを感じたが、この二人のユニットにもそれを 感じる、シンプルなサウンドは時代に流されない音です。
Sting / The Dream of the Blue Turtles
1985年作品
ポリスを解散させたスティングは、アメリカのジャズ・フュージョン系のミュージシャン、 ブランフォード・マルサリス(SAX)、ダリル・ジョーンズ(BASS)、オマー・ハキム(DRUMS)、 マルサリスのクインテットのキーボードのケニー・カークランドとニュー・バンドを組みソロの キャリアを歩き始める。
テクニシャン揃いのミュージシャンとスティングが生み出した 素晴しい音楽がこのアルバムには詰っています。
XTC / Skylarking
1986年作品
XTCのメンバーのコリン・ムールディングが、トッド・ラングレンにこのアルバムのプロデュースと エンジニアを依頼したのは大正解で、信じられない名盤を作り出した。
レコーディングは、ニューヨークのウッドストックにあるトッドの所有のユートピア・スタジオで行われた。 アンディとトッドとのぶつかり合いは有名な話だけれど結果的にこの歴史的名盤を作り上げたのだから アンディの怒りは我慢していただきましょう。アルバムは真夏の草の中の虫の声、羽の音、鳥の声のSEから始まる1曲目から 2曲目の「GRASS」へのつながる展開は何度聴いても爽快で夢を見ているようです。トッド・ラングレンは ひとつひとつの音を大切にプロデュースして録音し処理している。このポップなサウンドを作ったのがこ の2曲だけでも感じます。アメリカ盤は、12曲目に「DearGod」が収録されている。
Peter Gabriel / So
1986年作品
ピーター・ガブリエルの在籍していたジェネシスには、フィル・コリンズというもう一人のスターが 存在していた。彼は、81年に「夜の囁き」というソロ・アルバムをリリース、85年のソロ・アルバム 「ノー・ジャケット・リクワイアド」ではグラミー賞最優秀レコード賞授賞アルバムを受賞する。 そんな時代的背景の中、ガブリエルがリリースしたこのアルバムは、特別な1枚の名盤となった。
プロデュースは、ダニエル・ラノアと彼自身、MTVでは、60年代のソウル・ミュージック を意識した「ストレンジハンマー」が連日流れ大ヒットした。「え〜、ピタガブがこんなにメジャーに なっていいの」と驚いたが、全曲本当に美しい曲が並んでいた。
このアルバムで有名になったドラムのManu katche、ヴォーカルのYoussou N'dour、他ベースのTony Levin、 ピアノのRichard Tee、お馴染みのギターのDavid Rhodes 。「Don't Give Up」では、Kate Bushとデュエツト と夢の競演までしている。そしてジャケットには、今までにない美しい彼の顔が写っていた。本当によく聴きました。 そして初来日の球場でのライヴ(思い出せないが客ががらがらだった○○Aid)にも出かけました。
Steve Winwood / Back In The High Life
1986年作品
スペンサー・ディヴィス・グループで64年にデビューしたのが、16歳その後67年から74年まで トラフィックで数々の名盤を残し、69年クラプトンらとブラインド・フェイスを結成。77年の 「スティーヴ・ウィンウッド」からソロ・アーティストの道を歩みだす。イギリスのロック・ シーンがパンク/ニューウェイブの真っ只中、本当に素晴しいアルバムなのに売れなかった。80年の 「アーク・オブ・ア・ダイヴァー」全世界で驚異的なセールスを記録した。そして「トーキング・ バック・トゥ・ザ・ナイト」をリリース。その次のアルバムがこの力強い名盤だ。前作2作の デジタル楽器を駆使したワンマン・アルバムだったがこのアルバムは、共同プロデューサーに ラス・タイトルマンを起用、ベーシック・トラックは、プログラムだが、前編に生の楽器が響きます。 ドラムスがスティーブ・フェローン、ジョン・ロビンソン他、ブラスもキーボードではなく、ニュー ヨークの最強メンバーが集められた。そしてこのアルバムは爆発的に売れました。
Prince / Sign of The Times

1987年作品
プリンス監督の「アンダー・ザ・チェリー・ムーン」のサウンド・トラックの「パレード」 は、映画、アルバム共にセールスには結びつかなかったようですが、良い曲も多く大好きな アルバムです。その後、レヴォリューションを解散して、プリンス1人でスタジオに入って録音 したのがこの名盤です。
1曲1曲が粒ぞろいの名曲でファンク、R&B、ロック、ポップス、ゴスペル とプリンスの才能が解き放たれ開放感と共に私たちをこの孤高プリンスの世界に連れて行ってくれる。 2枚組みだが「Sign Of The Time」からラストの「Adore」まで16曲一挙に聴かせます。

アルバムのリリースの後、ヨーロッパツアーが行われその時のステージが映画になっています。 チャーリー・パーカーの「Now's The Time」を楽しそうに演奏する素晴しいく上手いバンドと プリンスが広いステージの上をジャンプ、ターンと踊りまくる(ヒールが高いから捻挫しないか 見ているといつも心配)映画は、プリンスの完全主義を改めて感じて敬服です。
プリンスは、バンドに 完璧な演奏を求め、それが出来るとダンスをしながら演奏が出来るようになるまでリハーサルを 行うと言われている。素晴しいステージ映像です。是非ご覧下さい。
Sting / ...Nothing Like The Sun
1987年作品
順調なソロ活動をスタートさせたスティングのセカンド・アルバムは 前作の路線を変えず素晴しい音楽を届けてくれた。
ドラムスがピーター・ ガブリエルで有名になったマヌ・カシュ、ポリスのアンディー・サマーズ、 エリック・クラプトンも参加、そしてギル・エバンのオーケストラと ジミヘンの名曲「リトル・ウイングス」を聴かせてくれる。 溜息のでる感動的な名盤です。
Antnio Carlos "Tom" Jobim / inedito
1987年作品
アントニオ・カルロス・ジョビンの最高傑作で最後のレコーディングの 「イネーヂト / INEDITO」は、彼が60歳を向かえたのを記念してレコーディングされた。 息子のパウロ・ジョビンや娘のエリサベッチ・ジョビンほか、彼の家族を中心メンバーと するバンド「バンダ・ノヴァ」との円熟の演奏が聴ける。
ジョビンの代表的ナンバーを中心に、アコースティックなサウンドがゆるい雰囲気の中 演奏されます。
1. ウェイブ 2. 想いあふれて 3. サビアー 4. ジェット機のサンバ 5. イパネマの娘 6. 白と黒のポートレート 7. モヂーニャ(セレスタ第5番) 8. モヂーニャ 9. 歌をもっと 10. あなたなしではいられない 11. あなたのせいで 12. スセデウ・アッシン 13. 想像してごらん 14. あなたを愛してしまう 15. 愛しすぎた者の歌 16. ファンランド・ヂ・アモール 17. 無意味な風景 18. 最後の春 19. マイナー・モードの歌 20. 太陽の道 21. 三月の雨 22. ワン・ノート・サンバ 23. ヂザフィナード 24. フェリシダーヂ
  ジョビンの数多いアルバムの中でもこの選曲、収録曲の多さ、この演奏は奇跡の1枚です。
Brian Wilson / Brian Wilson
1988年作品
噂は随分前からあったが、アルバムを手にしないうちは信じられなかった。
この時点でも 精神面の治療が必要な状態ではあったようだが、ラス・タイトルマン、ジェフ・リン、などの プロデュースの協力があり、61年にビーチ・ボーイズのデビューから数えて27年目の始めての ソロ・アルバムが作られました。
1曲目の名曲「Love And Mercy」を聴いて泣いたのは 私だけではないと思います。
メロディー、ヴォーカル、アレンジ、コーラス全てにおいて ブライアンにしか作れない洗練されたサウンドでした。本当に聴いたとき嬉しかったのを思い出します。 そして、何度も何度も聴きました。
Fairground Attraction / The First Of A Million Kisses
1988年作品
アコーステック・ギターの音よりドラム・マシンの音が聴こえてくることが多かった時代、このバンドの 音とエディー・リーダーの声には癒されました。
「Perfect」が全英で大ヒット。その他「Clare」「A Smile In A Whisper」「Find My Love」など宝石の 様な曲が収録。
ギターのマーク・E・ネヴィンがアメリカ中を放浪していた時、エディーからの「私の ために曲を書いて」という手紙をニューオリンズで受け取り、バンドの結成になったという逸話もドラマ チックでO.K.しかし、その後アルバムの制作もないまま解散、エディーはソロになる。2度と起きない 奇跡の出会いの名盤です。
「Ay Fond Kiss」は、シングルのB面を収録したコンピレーション・アルバムです。
Chick Corea / Chick Corea Akoustic Band
1989年作品
チック・コリアは、ハンコックと同じく本当に精力的に活躍しているミュージシャンだ。
ジャズのみでなくその音楽は多くのエッセンスを含んでいて素晴しい。このアルバムは、 デイブ・ウェックル(ds)とジョン・パティトゥッチ(b)のトリオでチックのオリジナル他 コルトレーン、ポーターなどのジャズのスタンダードをエキサイティングな4ビートで聴かせてくれる。

1. Bessie's Blues  2. My One and Only Love
3. So in Love    4. Sophisticated Lady
5. Autumn Leaves   6. Someday My Prince Will Come
7. Morning Sprite 8. T.B.C.
9. Circles 10. Spain
Rickie Lee Jones / Flying Cowboys
1989年作品
80年代の終わりにリッキーが素晴らしいアルバムをプレゼントしてくれた。
スティーリー・ダンをお好きな方には、このアルバムは有名ですが、プロデュースをウォルター・ベッカー が、そしてエンジニア、ミックスをロジャー・ニコルス等が手がけている。
参加ミュージシャンは、ドラムスが、ジョン・ロビンソン、ピーター・アースキン、ベースをニール・スチューベンハウス、ウィルター、 ギターは、バジー・フェイトン、ディーン・パークス、キーボードをマイケル・オマーティアン、グレッグ・フィリンゲンス、など、この 時代のスタジオの強者の皆さんで、この頃の最高のスタジオの音を聴かせます。
ウォルターとリッキーが、「まだまだやりまっせ〜」とタックを組んで名盤を造り上げた。(もっとクールな二人かな?)
Dr.John / In a Sentimental Mood
1989年作品
久しぶりに大手のレコード会社からのリリースで、プロデュースは大御所トミー・リピューマ。
1曲目は、Donaldson(曲)Kahn(詩) のジャズのスタンダードをリッキー・リー・ジョーンズと デュエットで聴かせます。しかし、この2人はこの雰囲気に見事にはまってますね、素晴らしい歌いっぷりです。 (この曲でグラミーのBest Jazz Vocal Performanceを受賞している)
ホーンのアレンジは、ラルフ・バーンズとマーティ・パッチが、ドラム:ハービー・メイソン、ジェフ・ポカ―ロ、 ベース:アベ・ラボリエル、マーカス・ミラー、ギター:ヒュー・マッツクラケンなどが豪華なサウンドを聴かせてくれます。 エンジニアがアル・シュミットで音も最高です。

1. Makin' Whoopee! 2. Candy 3. Ac-Cent-Tchu-Ate the Positive
4. My Buddy 5. In a Sentimental Mood 6. Black Night
7. Don't Let the Sun Catch You Crying 8. Love for Sale
9. More Than You Know
Ryuichi Sakamoto / Beauty
1989年作品
ヴァージン・ジャパン第一弾としてリリースしたこのアルバムは多数多彩なゲスト・ミュージシャンを迎えて贅沢な音作りが されている。
ストーンズの「ウィー・ラヴ・ユー」をブライアン・ウィルソン、ロバート・ワイアットがコーラスしてます。はっきりブライアンとわかる声が 聞こえます。
沖縄民謡「安里屋ユンタ」は、以前細野先生も「はいそら」でカバーをして驚かせて下さいましたが。教授もいい感じで歌っています。
同じく沖縄民謡の「てぃんさぐの花」は三線の響きが印象的な心に染みる沖縄のわらべ歌です。歌詞がいいですよ。また、教授のキーボード でのストリングスがまた心に染みます。
スティーヴン・フォスターの「ロマンス」には沖縄方言の歌詞をのせてアレンジされていて、ギターはロビー・ロバートソン が弾いている。「DIABARAM 」はユッスー・ンドゥールが曲を提供、ユッスー本人が歌っています。サミュエル・バーバーの「アダージョ」は、美しい響きの二胡が メロディーをとります。時代を超えて聴かれ続ける名盤です。

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