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以前の「ひとこと」 : 2006年4月前半



4月1日(土) 模様替え

 子供たちが春休みの間に、家の中の部屋の使い方を変えようという模様替えの計画があったのですが、今日ようやく実行にうつすことになりました。今日は子供の野球の練習があったり、先生とのお別れ会があったりと忙しかったのですが、荷物を部屋から部屋へ移動したり、家具を動かしたり、ベッドを分解して移動して組みなおしたり、大忙しでした。

<おまけのひとこと>
 すみません、メールのお返事が遅れています。






4月2日(日) 春の嵐

 春雷と大雨の一日でした。こんな日は家の中にずっといるのが嬉しいです。






4月3日(月) ppバンド多面体(その8)

 前回、3月17日のひとことからだいぶ間があいてしまいましたが、ようやく写真を撮ったので、ppバンド多面体をもう1つご紹介します。

図 1 図 2 図 3

 金平糖のような突起のあるかたちです。これは大菱形立方八面体(斜方切頂立方八面体)の構造です。

<おまけのひとこと>
 とかなんとかやっているとすぐに時間が経ってしまって、今朝ももう時間がありません。






4月4日(火) エイプリルフール

 エイプリルフールというと、思い出すのが Scientific Americanの1975年4月号に、マーティン・ガードナーが載せたという「6つのセンセーショナルな発見」という記事です。「4色問題の反例がみつかった!」というマクレガーの地図(もちろん冗談ですが、実際に塗り分けるのはけっこう大変です)が有名ですが、「eのπ√163乗は整数になる!」というのもすごいです。しかもこれを、かのラマヌジャンが予測していた、という解説だったのだそうです。

 Windows の「電卓」ソフトで計算してみましょう。関数電卓モードにしてください。まず、

[1][6][3][Inv][x^2][*][PI][=][M+]

 で、指数部分をメモリーに入れます。次に、

[1][Inv][ln]

 で、 e を作って、それを先ほどの数だけべき乗するために

[x^y][MR][=]

 とします。すると、答は

262537412640768743.99999999999925

 と表示されました。なるほど、生半可な数値計算では整数に丸められてしまいますね。それにしても、このとんでもない数が整数に極めて近いということは、恐るべきことだと思います。なお、これが極めて整数に近いということは、実際にラマヌジャンが述べているのだそうです。

 こんな桁数の計算が手軽に出来る環境が広く普及しているということもすごいことだと思いますが、そんな環境が全く存在しなかった時代にこんなものすごい数を考え出したラマヌジャンは、本当に人間離れした恐るべき天才だと思います。 また、1975年という当時、簡単に検証できない、生半可に検証能力がある人のほうがかえってだまされやすいこんな話をエイプリルフールに取り上げるガードナーのパズリストとしてのセンスもまたすばらしいです。

<おまけのひとこと>
 最近、仕事上で激しく感情を吐露されることがあって驚いています。計算され、コントロールされたものであればよいのですが、そうではないものなので、本人のためにも周りのためにもよくないなあと思うのですが・・・






4月5日(水) 踊る人形の秘密

 こちらの「踊る人形」エディタというページからダウンロードできるソフトで、シャーロック・ホームズの「踊る人形の秘密」に出てくる有名な文字置き換え暗号で「踊る人形文字」による文字列の画像を作れる、ということを知りました。

 面白いのでさっそく入手して、遊んでみました。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 すみません、メールのお返事がまた滞っております。






4月6日(木) ホームズの短編のタイトル

 昨日、「踊る人形」の暗号文を作れるソフトウェアをご紹介しましたが、消失点よりの STMile さんから解読しましたというメッセージをいただきました。ありがとうございます。

 家内にこの暗号文を見せて、「踊る人形の秘密」って知ってる? と尋ねると、知っているけれども話の筋はぜんぜん覚えていない、とのことでした。実は私もこの小説で覚えているのは「英語で最も使われる文字は'e'だ」ということ、手がかりとして、英語の中のアルファベットの使用頻度を元に解読していったこと、そのためホームズが新しい暗号文を熱望して、新たな暗号文を手に入れるとたいへん喜んでいた様子くらいで、これがどのようなストーリーのどのような小道具として使われていたのか、まるで記憶にないのです。

 そんな話から、いくつかのホームズの短編の話になったのですが、「赤毛同盟」とか「唇のねじれた男」とか「まだらの紐」とか、タイトルそのものとか、あるいは「踊る人形の秘密」における暗号のように物語の根幹を成す仕掛けについては強烈な印象があるのだけれども、全体の物語に関する記憶が全く欠落しているものが多い、というところが妻と私とでは共通していました。

 ホームズのシリーズはそれだけそういった「仕掛け」の印象が強いのですが、それに対してクリスティの短編は、その事件に直接かかわった人たちの心の中がよく描かれていて、「なぜそんなことが起きたのか」ということについて、とても納得させられる話が多い気がします。

 しばらく前にはやった「ウミガメのスープの話」も、ホームズ的だなあと思います。こういう「パズルっぽさ」はあんまり得意ではありません。

<おまけのひとこと>
 今日から子供たちは学校です。新しい環境がよい環境でありますようにと願っています。






4月7日(金) エイプリルフール

 先日、職場で、「USBに電源供給専用のクラスが定義されるんですってね」という情報をもらいました。いまやUSBのインタフェースはパソコンではおそらく最も標準的なものですし、そこにつないで電源だけをもらう機器もいろいろあります。あれっでもホスト側(パソコンの側)は、電源供給ラインだけしか接続されないなら、相手がUSBにつながっていることをどうやって知るんだ? と思ったら、情報源はスラッシュドット ジャパンで、記事は4月1日のものだったようです。

 エイプリルフールといえば、先日もご紹介した、exp(π√163) の話ですが(ろくはロッパの・・・で、この記事が載っている雑誌をお持ちだと伺って羨ましくなっています)、これを関数電卓で計算してみてね、というのは、ある人が関数電卓を使い慣れているかどうかを知るのによいかも、と思いました。

<おまけのひとこと>
 忙しくてメールはかけないわ、更新の内容が貧弱になってくるわで、不本意です。明日が週末でよかったと思っています。






4月8日(土) 鏡

 昔からある問題で、「鏡に映った像は、なぜ左右が反対になるのに上下は反対にならないのでしょうか?」というのがあります。 この「あそびをせんとや」のページでも、この話題は何度か出しているのですが、これは問い自体が間違っている、というのが答なのですが、それでは不親切なので、反例を示すことにしましょう。

 「あ」という文字を鏡に映すと、普通は下の図のように左右が逆になって、いわゆる「鏡文字」になります。

 ところが、普通の鏡でもちょっと工夫するとこんな風に上下を逆さにすることだってできるのです。

 ですから、「鏡に映った像は左右が反対になるのに上下は反対にならない」というのはウソなのです。さて、どうしたら左右でなく上下を逆さにできるでしょうか? また、世の中には「ナントカ鏡」という、上下を逆さにすることしかできない鏡があります。これはなんでしょう?

<おまけのひとこと>
 答、書く必要はないですよねきっと。
 今日は子供と一緒に床屋に行きました。






4月9日(日) 忙しい

 毎年4月の第2日曜日は、地域の共同作業がある日です。朝は未舗装の道に砂利を入れて平らにならす「道作り」、午後は用水路の藪切りといって、水路をふさぐ可能性のある木の枝などを取り払う作業をしました。 さらに、金曜日の夕方の段階で今日は仕事に出なければいけなくなって、午後の作業が2時過ぎに終わったあと、すぐに職場に行きました。結局帰ったのは夜8時で、それから持ち帰りの仕事をして、などとやっていたらあっというまに夜遅くになってしまいました。

 やっている仕事が楽しくないわけではないのですが、ほかのこと(たとえば、いただいたメールにお返事を書くとか、このページに載せたいと思っていることの図などを用意するとか)をする時間が最近はぜんぜんとれないのが痛いです。 うーむ早く5月の連休にならないかなあ。

<おまけのひとこと>
 すみません、大事なメールにお返事が出せないでいたら、お電話をいただいてしまいました。お手数をおかけして申し訳ありませんでした。






4月10日(月) コンパスのみの作図

 H.E.デュードニーの「パズルの王様」という本をめくっていたら、コンパスのみを用いて与えられた線分ABの中点を作図せよという問題が出ていました。

 確かああやるはず、と思って答を見てみると、普通知られている方法とは別の、ちょっと手数のかかる方法が示されていました。ただ、普通に知られている方法よりも実用上の精度は高いかも、という気がしました。(本来、手数が余計にかかるほうが、誤差が蓄積されて精度が下がるのが普通です。)



 ろくはロッパの・・・で紹介されていた、http://www.turkzeka.com/zeka/sudoku/という数独のサイトで、難易度を最大に上げると数字が8個しかない問題が出現するということなのですが、これはユニークな解にはならないと思います。仮に8個の数字が全て異なっていたとしたら、これは複数の解があるはずですし、逆に、8個の中に少なくとも2回現れる数字があるとすれば、登場しない数字が少なくとも2種類はあるはずで、その登場しない数字が入れ替わったものも解になるはずです。

 (8個全部が違う数字のときはユニークな解にならない、というのは自明だと思うのですが、「どうして?」と言われるとどうやって示したらいいのか、ちょっとよい案が浮かびません。)

<おまけのひとこと>
 ユニークな解になる、登場する数字が最も少ない数独は、確か最初に出現する数字が17個くらいだったような気がするのですが、記憶が怪しいです。調べている時間がとれません。






4月11日(火) 平方数

 4月8日の鏡の話のCGか、昨日のコンパスのみの作図の図を作りたかったのですが、今朝は時間がないのでまた別の簡単に書ける話にしてしまいます。(こうやって続きを書きたい話が増えてしまう・・・)

 さて、奇数を順番に足してゆくことを考えます。それぞれの和はいくつになるでしょう?

1
1+3
1+3+5
1+3+5+7
1+3+5+7+9
  ・
  ・
  ・

 よく知られているように、この和は平方数になります。これは、Σ(2k+1) なんていう計算をすれば求まりますが、たとえば次のように碁石を並べるといった説明の仕方をすると、直観的によくわかります。

 ちなみに、こうやって並べることで得られる 1,4,9,16,25,36,... という数を四角数と呼びます。(もちろん、三角数、五角数、六角数、七角数、八角数、・・・というものもあります。)

 さて、このように「奇数を1から順番に足したものは必ず平方数になる」ということを利用すると、ピタゴラスの数と呼ばれる、

を満たす a,b,c の組が無数にあることがわかるのです。

 あ、もちろん、たとえば 3,4,5 というのはピタゴラスの数ですが、これをそれぞれ2倍した 6,8,10 や、3倍した 9,12,15 というのがピタゴラスの数になっているのは当たり前です。これはピタゴラスの数が直角三角形を現していて、各辺の長さを同じ比率で大きくすれば、相似な三角形が得られるので、当たり前なのです。そうではなくて、各辺が整数であって互いに相似ではない直角三角形が無数に作れる、というのがこの話の面白いところです。

<おまけのひとこと>
 今日の話はとても有名な話なので、ご存知の方が多いかもしれません。






4月12日(水) ピタゴラスの数

 昨日、「奇数を1から順番に足したものは必ず平方数になる」ということを利用すると、ピタゴラスの数と呼ばれる、

を満たす a,b,c の組が無数にあるということがわかるという話を書き始めました。本日はその説明です。

 1から始まる奇数の和が平方数になるわけですから、たとえば1+3+5+7は平方数ですし、さらにそれに9を足すと、次の平方数になります。

 つまり、それ自身が平方数になっている奇数、つまり9とか25とか49という数に注目して、そこまでの奇数の和を考えると、「ピタゴラスの数」の組をつくることが出来るのです。

 同じように、1から23までの和と、それに25を加えたものについて考えて見ます。

 1から23までの和は12×12になります。これに25を加えると13×13になります。25は5×5ですから、これで(5,12,13)という新しい「ピタゴラスの数」がみつかりました。

 同じように、次の奇数の平方数である49に注目すると、1から47までの奇数の和は24×24、これに49を加えると25×25になります。ですから 24*24+7*7=25*25 で、(7,24,25) というのもピタゴラスの数になります。

 同じように (11,60,61)、(13,84,85)、(15,112,113)、... と、奇数の平方数から次々と新しいピタゴラスの数を作ることができます。

 さて、ところでこうしてみつけたこの2つ、

 ちょっと面白いと思いませんか? ちなみに、(215,23112,23113) なんていうのもピタゴラスの数ですが、これは残念ながら上の例ほどのインパクトはありませんね。

<おまけのひとこと>
 このところ毎日天気がすぐれないですね。






4月13日(木) ピタゴラスの数(その2)

 「奇数を1から順番に足したものは必ず平方数になる」ということから、ピタゴラスの数(a^2+b^2=c^2を満たす a,b,c の組)が無数にあるという話をしました。今日はこれを別な視点から見てみます。

 奇数を1つ考えます。たとえば7だとしましょう。これを自乗します。49ですね。これを2で割ります。奇数の自乗は必ず奇数になりますから、整数の範囲では2では割り切れなくて、24.5 になります。この、24.5をはさんだ2つの連続する整数が 24と25です。こうして、7から24と25が得られたのですが、この3つの数(7,24,25)が、実はピタゴラスの数になっているのです。

 同じように、13から始めれば 13×13=169 だから、169を2で割って84.5、なのでその前後の整数は84と85になって、(13,84,85)がピタゴラスの数になっている。25から始めれば、25×25=625だから、2で割って312.5、なので(25,312,313)がピタゴラスの数、という具合です。

 一般式で説明すると、次のようになっています。今はこういった文字式の変形はいつ習うのかよく知らないのですが、こういう計算が苦にならない方はちょっと計算してみると納得できると思います。

 たとえば、Excel のような表計算ソフトを使うと、例えばA1のセルに奇数を入れるとすると、=INT(A1*A1/2) などとすると、自乗して2で割った整数部分を簡単に求めることができますから、いろいろな奇数からみつかる「ピタゴラスの数」をどんどん表示してみることができます。

 というところでちょっと今日は時間切れです。昨日までは、いつ話題が途切れるかわからなかったので、(つづく)という表示は避けてきましたが、明日はこの続きを書きます。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 最近、PCの画面などの左右反転した鏡像画面を見る機会がなぜかあるのですが、日本語はともかく、英語が左右反転するととても読みにくいです。日本語でも、「さ」と「ち」などは一瞬混乱します。(これを利用した「ひっかけ」を、以前MISDIRECTIONさんのページで紹介されていた記憶があります。)

 漢字は左右反転しても比較的わかりやすいな、と思っていたのですが、先日、パッと見て何の文字だかわからなかった鏡像文字がありました。こちらです。


 これ、何の文字だかすぐにわかりましたか? (普通わかるのかな?) 恥ずかしながら私は瞬間的にはわかりませんでした。






4月14日(金) ピタゴラスの数(その3) : 5-12-13

 ピタゴラスの数の話の続きです。一昨日、(5,12,13) というピタゴラスの数の数字の組のそれぞれ最上位の桁に1を書き加えた(15,112,113) というのも、やっぱりピタゴラスの数になっているのが面白い、という話を書きました。その続きです。

 昨日、「奇数を二乗して2で割った数の前後の整数」という方法でピタゴラスの数を見つける話を書きましたが、5から始めると12と13が、15から始めると112と113がみつかります。では、25,35,45,... と、始める数を10ずつ増やしてゆくとどうなるでしょう?

abc
51213
15112113
25312313
35612613
4510121013
5515121513
6521122113
7528122813
8536123613
9545124513
10555125513
11566126613

 まず、この横方向の3つの数字の組は全てピタゴラスの数ですから、 a2+b2=c2 を満たしています。 また、a の1の位は常に5で、bc の下二桁は常に12と13になります。

 さらに、この 5, 12, 13 という数字を取り除いた部分の数字に注目してください。

abc
111
233
366
41010
51515
62121
72828
83636
94545
105555
116666

 a は 1,2,3,4,... と1つずつ増えていて、bc は、1,3,6,10,... と増えています。この数字の並びがどんな規則なのかわかりますか? 実はこれは、1+2+3+4+... という計算をやってみると次々と現れる数なのです。これを「三角数」といいます。なぜ三角数と呼ばれるかというと、次の図のように、碁石などを三角に並べてゆくときに現れる数だからです。

 (5,12,13) というピタゴラスの数の数字の上の桁に、規則的に数字を書き加えてできる数がやっぱりピタゴラスの数になっている、というところがおもしろいと思うのですが、いかがでしょうか。 (これも一般式で示せます。)

 このことと、n 番目の三角数は n(n+1)/2 になる、ということを知っていると、末尾が5になっている適当な数から、ピタゴラスの数を簡単に作れます。 たとえば 1285 だとしましょう。128番目の三角数は、128×129÷2 = 64×129 = 8256 となります。ここから、(1285, 825612, 825613) というのがピタゴラスの数になることがわかります。この方法だと、昨日の「奇数を二乗して2で割る」というものよりも、計算の桁数がさらに少なくてすみます。

 電卓を使えば手間は一緒、と思われるかもしれませんが、末尾の5を取り除いた数の計算で一桁少ないですし、さらに先に2で割っておけるので、使える電卓の有効桁数の上限を考えると、桁数が少なくてすむ、というのは有効なのです。

<おまけのひとこと>
 この「ピタゴラスの数」に関してメールをいただきました。ありがとうございます。






4月15日(土) バッハのインベンション

 職場にある飲み物の自動販売機にはセンサがついていて、人が前を通るとメッセージが流れるのですが、そこで鳴るのがバッハの二声のインベンションなのです。これを聴いたら久しぶりに弾いてみたくなって、チェンバロで弾いてみています。

 いつも思うのですが、バロックの曲はピアノで弾くと音が足りないような感じがするのに、チェンバロで弾くとそういう物足りなさが全くないのです。長いトリルが続くところなども、ピアノだと唐突な感じがするのですが(単に私が下手だということもありますが)、チェンバロの音だととてもきれいだと感じます。

<おまけのひとこと>
 週末は寝てばかりいます。






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