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みつならべ

 私の記憶にあるはじめてのアブストラクトゲーム(抽象ゲーム)が、ここでご紹介します「みつならべ」です。(ちなみに2番目は「はさみ将棋」です。)“アブストラクトゲーム”という言い方は、一般にはあまり耳にしないかと思いますが、囲碁や将棋、オセロゲームのように、抽象度の高いゲームという意味だと理解して使っています。正確な定義を見たことがないのですが、個人的には

  • 運の要素がない
  • 情報が完全公開
  • といったイメージも持っています。(そういうのはアブストラクトゲームとは呼ばない、本当はこう呼ぶんだ、ということをご存知の方がいらしたら教えてください。)

     「みつならべ」は二人で対戦するゲームです。それぞれのプレーヤーは自分の色の駒を3個ずつ持ちます。自分の駒3個を直線に並べたら勝ちです。

     ゲーム盤としては、次のようなものを使います。駒が置ける場所は正方形の盤の頂点と各辺の中点、および正方形の中心の9箇所です(下図の“・”であらわしたところ)。

     最初はお互いに1つずつ駒を置いてゆきます。3個ずつ置き終わったら、図の線に沿って駒を1つずつ動かせます。「パス」は禁止です。

     3×3のマス目に○×(マルバツ)を交互に書いていって、自分のマークが3つ並べば勝ち、という“Tic Tac Toe”というゲームがありますが、あれよりはほんの少しだけゲームとして成立しやすいです。例えば次のような「勝ちパターン」があります。

     このように、相手の駒2つの動きを封じて邪魔な駒を強制的に移動させるという手段です。しばらくやっているとこのパターンはすぐ理解できるため、勝負がつかなくなります。

     このような単純なゲームなので、小学校に上がるころにはすっかりやらなくなっていたのですが、先日子供にこのゲームを教えて遊んでいるとき、当時は気が付かなかった序盤の変化を発見してちょっとびっくりしました。

     黒の第1手は最も有利な中央。これに対して白が辺の中点に置きます。黒の第2手は、敢えて白が塞いでいる筋上に置きます。この手がポイントです。白は「あたり」をかけます。実はこの段階で勝負がついてしまっています。以下、自動的に以下のように進みます。

     序盤の白(後手)の第2手目は、何も考えずにこのように打ってしまうことが多いように思います。これが敗着となることは、ちゃんと先読みしないとわからないのですが、このゲームがそんなに先読みが必要だとはとても思えないので、「はまる」ことが多いように思います。

     このゲームのルールを説明し、しばらくプレイして「よほどひどいミスをしない限り勝負はつかないゲームである」ことをよく理解してもらってから上記の手筋を試みると、罠にかかりやすいようです。

     ちなみに後手の第1手が角だった場合でも同様な手筋は存在するのですが、その場合は後手の第2手はすぐ隣ではなく、1目空けた隣の角に打たれることが多いように思います。

     機会があったらぜひお試しください。

    付記(2003.12.20)
     あそびのコラム第34回「みつならべ必勝法」もあわせてご覧下さい。


    付記

     同じ形状の盤を使った3目並べで、自分の駒に1,2,3と番号が振られており、動かせる駒が決まっているというルールの3目並べがあります。このルールでは、駒は線に沿って動く必要はなく、空いている3箇所のうち好きな場所に移動できます。

  • 先手の駒1が動く→後手の駒1が動く
  • 先手の駒2が動く→後手の駒2が動く
  • 先手の駒3が動く→後手の駒3が動く
  • というサイクルを繰り返すのです。ちょっと考えると盤面の任意の場所に移動できるのだから、「あたり」がかかっても必ず守れるため勝負がつかないような気がします。ところがやってみるとわかるのですが、現在守っている駒が次の手番で動かなければならないと負けてしまいます。


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    2001.03.02 hhase