クライストチャーチの、ひいてはニュージーランドを代表するフォーマルな庭園、オヒネタヒのガーデン
をご紹介します。何年か前に雑誌「BISES」で紹介されたお庭です。クライストチャーチを訪れてから、
たまたま見つけた現地ツアーで訪れることができました。しかもこの日は Closed の札が掛けられて
おり、私たちの貸切状態で見学させて頂けました。何とラッキーなことでしょう。
1997年のBISES,31号の表紙を飾った写真と同じアングル。別に覚えていて同じ写真を撮ったわけではありませんが、誰が見ても美しい場所は同じなんだということでしょう。ただ、BISESの方が薔薇が多く咲いていましたが。

ここ、オヒネタヒは海が見渡せる丘、いやちょっと違う。緑の斜面を転がり降りていくと海に着く、という感じの所にありました。海を背景にこの庭ですよ、見たとたん、「なんてゴージャスな!」という言葉がでました。そしたら、それを聞いたツアーガイドのおじさん(実は Vin de Paysの社長さん)が、「その通りだ。この庭にはその言葉がぴったりだ。」と言っていました。家の壁の石の優しい色あいによくあった薔薇の色。後ろに見えているロビニアのライムグリーンの色も全部トータルで美しいハーモニーを奏でています。
上の写真の場所を反対の位置から撮った一枚です。ローズガーデンの手前にはきっちり四角に刈り込まれた、ツゲで囲まれた池があります。でも池の中には水生の植物が植えられていて、四角いフォルムを和らげています。

この日、この庭の入り口には<ガーデンクローズド>と書かれた札が架かっていましたが、なぜか庭を見ることができました。それも、私達だけだったんです。なんとこの美しい庭を一人占め(3人占め)だったのです。
ハーベイシャスボーダーです。ピンクと紫色の優しい色彩です。奥のガゼボまで真っ直ぐなレンガの道の直線と、柔らかい色彩と、ふわっとした形...なんとも見る目に心地よい景色です。薔薇もたくさん植わっていました。
ここは、庭の裏側です。1番上の写真の薔薇園を下りて行くと木々の生い茂る日陰のエリアにでます。そこには川も流れていてその川の上に架かっていたつり橋です。このつり橋といい、川を一部せき止めて、池なんかも作ってあるのですが、その周りの建造物といい、みんな形がきれいです。見えるでしょうか、つり橋を渡りきった所のアーチのようなもの。ロマンチックですね。そしてつり橋には片方しか手すりがついていないのです。こんな橋も初めてお目にかかりました。

しかし、川の向こうの山も全部オヒネタヒの土地? 行って見たい衝動に駆られましたが、時間も限られているのでがまん。しかし、外国の邸宅の敷地って広〜いですよね。
ここ!!! 感動のレッドガーデン! 1997年のBISESではなんとホワイトガーデンだったんです。でもはるかにこちらの方が素敵! 銅葉のダリアやメギ、黄色の斑入りの葉っぱもアクセントに使われていて、なんと美しかったことか。グラジオラス、クロコスミア、もちろん真っ赤な薔薇の花も咲いていましたが、なんといってもこの庭の圧巻な所は葉っぱです。ツゲの色も銅葉や黄色い葉っぱと溶け合って、立派なレッドガーデンの構成要素になっています。
ロング・へアー・ライオン。レッドガーデンを見下ろす一角に、さりげなく、ツタの髪の毛のライオンが笑っていました。目立たないところに、こういうユーモア、憎いですね。
プールもあるんですね〜。プールのための東屋もありました。その横にはベジタブル・ガーデンもありました。ここ、プールの上のデッキでコーヒーをごちそうになりましたが、興奮してゆっくりなんてしていられず、もう一度庭を廻りに行ってしまいました。右側奥がローズ・ガーデン。左側の塀の中が、レッド・ガーデン。その奥にある木(プラム)の左手がハーベイシャス・ボーダーです。
つり橋のあったエリアです。日陰を好む植物に混ざって大きなフクシアがたくさん植えられていました。その大きさといったら背丈以上でした。暖かいってほんといいですね。私もフクシアが大好きで一時期は相当数持っていましたが、やはり、冬の管理が面倒で、どんどんコレクションは減少する一方です。
道路脇に植えられた、ライム・ツリー(?)。きれいに刈り込まれています。イギリスなんかでも、大きい庭には必ずこういう景色がありますが、さすがに日本の個人の庭ではこれに手を出すスペースもないし、ガーデナーを雇ってというわけにはいかない、庶民の庭では、手に負えるものではないですよね〜。まさに、高嶺の花ならぬ、木の景色です。
これが”ゴージャスな”景色です。結構海から高い所にあるので、潮風の影響を受けないのかな?それにこの海が入り組んだ入り江のようになっていたので風も強くはないのかもしれません。

この写真は、レッドガーデンの横に建っていた塔の上から撮りました。ハーベイシャス・ボーダーの横にはちゃんと美しい木造の作業スペースもあり、堆肥なんかも作られていました。やっぱり綺麗な庭にはキチンと作業スペースや道具の収納スペースも確保してあるものなんですね。庭をつくるぞーと勢いでやってしまった私は庭に付随するそれらのスペースを考えなかったので、結局物が片付かず、いつ来ても綺麗な庭にはなっていません。今、とても後悔しています。
ライムツリーの生垣の上です。一番道路に近いエリアです。オベリスクみたいなシャープなフォルムが、ぎぼうしや、奔放に伸びるシルバーリーフたちを引き締めています。緩急、ルーズな形とシャープな形、対極にある物の組み合わせの重要さを、ここで教えてもらいました。イングリッシュ・ガーデンの写真を見ると、よくボーダーの中に水盤や彫刻を置いてありますが、全体を引き締める効果を狙ったものなんですね。ここオヒネタヒには、要所要所にオブジェが置いてあり、中には現代的なオブジェもあったんですが、趣味の相違ということで、私はやはり、クラシックなものの方がいいな。

建築家と美術家と園芸家のコラボレーションで、見事によみがえったオヒネタヒ。その素晴らしさを存分に満喫させてもらいました。
Garden Tour Report  No.5
New Zealand Christchurch
「ローズガーデン・むとう」