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【 薪ストーブ お役立ち情報 】


 最終回 M 薪ストーブと高密度・高断熱住宅の相性報告

 今回報告する内容は薪ストーブと高密度・高断熱住宅の相性について薪ストーブML(メーリングリスト)で何回かに分けて投稿したものを編集したものです。
薪ストーブオーナーや建築設計士・薪ストーブ業者さんの中にはまだまだ近年の住宅性能と薪ストーブとの関係についての理解が乏しく誤解に基づいて設計施工されてしまうケースが多々あるようです。

 高密度・高断熱住宅と言っても様々で、建築業者さんによっては名ばかりの性能しか得られない高密度・高断熱住宅の施工例も多く、何の工夫もせず薪ストーブを設置しても「正常」に焚けてしまう場合があるため間違った認識を生む原因の一つとなっています。

 しかし気密測定等をしっかり行い検査も行って施工された高密度・高断熱住宅は建築基準法の改正によって24時間換気が義務化されたことに伴い、その換気方法として室内負圧化現象を利用した24時間換気のもとに空調管理されている住宅が多いこともあり、薪ストーブとの相性が悪くある程度の工夫と焚き方を理解しておかないと、煙突からの煙の逆流現象が起こったり焚き付けが旨くできない等々が生じる結果となります。

 今回このテーマを報告するに当たり、いかに間違った認識がまかり通っているかの一例として本題に入る前に某ホームページにあった薪ストーブの外気導入についての是非を論じている内容の概略を紹介します。

 『 高気密・高断熱を売り物にしている住宅は外気導入方式を取り入れているが、木造住 宅で高密度・高断熱住宅が本当に可能なのか。
 薪ストーブは燃焼するために部屋の空気を引いて対流を起こし部屋全体を同じ温度に 保つ効果があるのにその効果が生かされない。
 また高断熱はある程度可能ではあるが、木造在来工法の住宅にでは高気密化は難しくすきま風は必ず起きる。
 従って、高気密住宅でも外気導入をしなくても薪ストーブはなんの問題もなく焚ける。』

というものです。

 この方の認識には大きな誤解がいくつかありますそれは・・・
 1. 外気導入についての基本的な認識が欠けていること。
 2. 近年の木造在来住宅工法についての理解がないこと。
 3. 薪ストーブのドラフト効果で起きる「室内対流」と隙間風とを混同していること。
 4. 薪ストーブは「室内対流」による暖房化より、輻射熱による暖房化効果が大きいことが理解されていないこと。
 5. 高密度・高断熱住宅の計画換気の「計画された隙間」風について理解していないこと。
 6. とりわけ一般的な高密度・高断熱住宅での第三種換気に伴う室内負圧現象についての理解がなく、ある程度工夫しないと高密度・高断熱住宅では薪ストーブは旨く焚けないことが理解できていないこと。

 以上の6点に問題点が集約されると思います。
 
             
   
 今シリーズでは薪ストーブの外気導入についてはすでにC「外気導入は必要か」で紹介していますので、外気導入に伴う問題点については省略しますが、高密度・高断熱住宅と薪ストーブとの関係については本項目の中心課題なので上記の6点の問題点の指摘等についても整理をしながら、本題の「薪ストーブと高密度・高断熱住宅の相性報告」についてご報告したいと思います。

 私が薪ストーブMLにて投稿した「薪ストーブと高密度・高断熱住宅の相性報告」は、住宅竣工時より問題が発生した薪ストーブ煙突からの煙の逆流現象報告から時系列的に5回のシリーズに分けて報告してきました。

 内容は多岐にわたるので投稿内容については編集しますが、上記の方のような高密度・高断熱住宅に関しての間違った認識は主に住宅建築に伴う木造在来工法についての理解不足が原因と考えられます。しかしここで住宅建築論を展開していると大変なことになってしまうので、我が家の「全天候型非氷点下住宅」のような外断熱の高密度・高断熱住宅工法における住宅性能と薪ストーブとの関係を明らかにしていくことで、薪ストーブと高密度・高断熱住宅との相性について述べていきたいと思います。

 では以下、薪ストーブと高密度・高断熱住宅との関係の薪ストーブML投稿内容です。



 @ 第1回 薪ストーブML 投稿内容 2002年1月17日 
     (薪ストーブと高気密・高断熱住宅の相性報告第1弾です。)

 私は2001年暮れに八ヶ岳西麓の富士見高原に山小屋を建築しましたが、その際の建築与件は標高1200mの高地に別荘を建てるため当然寒冷地仕様の住まいとすること、暖房は薪ストーブ1台で全館暖房出来るようにすること、そして冬季期間には付きものの水道管凍結防止の為の水抜き作業を行わなくてもすむような基礎も含めた高気密・高外断熱住宅にすること等を基本に建築設計を行いました。

                 略

 で、本題の気密と薪ストーブとの関係ですが、外気導入装置の設置の是非をめぐり、設計当初より工務店と薪ストーブ業者さんとの間で論議にはなったのですが、最終的には施主の判断と言うことになり外気導入装置の設置方式を採用しました。

 工務店としては、この住宅が気密住宅(気密測定結果値が=0.28cu/u)なので外気導入を設置した方が無難との判断でしたが、ストーブ業者さんは超気密住宅での薪ストーブの設置経験がなく、『今までは「高気密住宅」でも外気導入を取り入れなくても大丈夫だった』との経験から、『外気導入装置を設置することで無駄に費用が掛かるとお客さんに迷惑を掛けてしまう』という理由で外気導入の設置については消極的でした。

 で結果的には外気導入装置を設置して正解でしたが超高気密住宅故の問題点もありこれから検討しなければならないことが多々あることが分かってきました
それは住宅の換気についての理解とそのシステムがどのような問題を引き起こすのかということを理解する必要がありました。

 とりわけ我が家の換気方法のタイプは第3種換気といわれる方式を採用しています。
その内容はアルデという換気扇専門メーカーの機器を使用した24時間連続稼働させる換気方式なので室内は常に弱負圧(陰圧?)状態になります。その結果薪ストーブの着火時はアルデを止めておかないと煙が逆流してしまいます。7mストレート煙突ですが、着火後ある程度煙突が暖まり(煙突のドラフト効果)煙の引き具合が強まったからアルデ換気スイッチを入れるようにしてます。
 この換気システムはHi.N.Loの3段階ですが、Hiにすると天井の煙突取り付けの差込付近から煙が漏れてきます。
 
    
           
   

 ストーブ業者さんは、こんな高気密な住宅は初めてと驚き、天井差込部分を長くしたり、煙突の接合部分をより密閉化するなど、薪ストーブメーカーも含めて現在対策を練っている最中です。

 数ミリ窓を開けると何の問題もなく薪ストーブを焚くことが出来ますが、その数ミリ開けた窓に結露が発生するなど新たな問題も生じ、只今解決に向けて住宅工務店と薪ストーブ業者さんとのプライドをかけた攻防が続いています。

               以下  略

 A 第2回 薪ストーブML 投稿内容 2002年2月27日  
         (薪ストーブと高気密・高断熱住宅の相性報告第2弾です。)

 高気密・高断熱住宅に薪ストーブを設置するに際しては幾つか留意する点があるように感じています。

 あくまで、私個人の感想で、一般的に当てはまるものではありませんが・・・。
 T. 住宅性能との関係においては「薪ストーブについては大は小を兼ねない」こと、
 U. 密閉型薪ストーブであっても、隙間があること、
 V. 住宅室内が負圧の場合は、外気導入装置を取り入れた方が無難であること、
 W. シーリングファンと薪ストーブは一対と言っていいほど、取り付けた方が良いこと、
 X. キッチン換気扇は「同時給排気型」でも、あまり意味はない”かもしれない”こと、
 Y. 炉台は、薪を置くスペースを含めて大きめにした方がよいこと。

                略

 ところで、幸いにして我が家のVCアクレイムは今のところ、暴走の経験(空気の給気流入装置が働かず過給状態で焚け過ぎとなること。)は有りませんが、超気密住宅故の問題は未解決です。
薪ストーブ業者さん並びに建築工務店さんによると、室内負圧による煙の逆流はどうしようもないようです。
 昨日も、工務店さんは対策工事として、24時間計画換気装置のアルデ給気口を一つ増やす改善工事をしました。理由は、給気口一つあたりの負圧率?を減らすことで煙突からの引きとのバランスをとるとの試みです。

                 略

 B 第3回 薪ストーブML 投稿内容 2002年3月5日 
          (薪ストーブと高気密・高断熱住宅の相性報告第3弾です。


 24時間アルデ換気装置(Lo運転)稼動時、キッチン換気扇(同時給排気型)を回すと、煙が逆流する事を以前報告しましたが一応解決しました。それはアルデ換気の給気口をキッチンに一つ増やすことで、室内負圧による給気口一つあたりにかかる負圧が少なくなったことによる結果と思われますが、負圧の具合によっては未だに完全に解決したとはいえないのが現状です。
 つまり、高気密の場合、第3種計画換気ですと煙突の引きの力加減が室内負圧に負けてしまう場合があり、煙突の穴も24時間換気のための給気口と同質の役目を果たしてしまうわけですので、給気口一つ一つのにかかる負圧伴う吸引力を弱めるため、あらたに給気口を一つ増やすことによって、一つあたりの給気口にかかる負圧の吸引力を弱め、煙突口に掛かる負圧の負担力の軽減を図りました。要するに窓を少し開けたのと同じ効果を期待したということです。

                  以下 略

 C 第4回 薪ストーブML 投稿内容 2002年3月15日 
       (薪ストーブと高気密・高断熱住宅の相性報告第4弾です。)

 以前にも薪ストーブと高気密・高断熱住宅の相性について何度か報告しましたが、結論からいうと相性はあんまり「良く」ないです。
ただし、計画換気の方法にもよるかもしれません。

 繰り返しになりますが、我が家は第三種換気といって、強制排気により室内を負圧化させ、各室に開けた穴(給気口)から自然給気させる方法です。したがって、煙突も当然「各室に開けた穴」同様の効果が働いてしまい給気口の一つと化とます。

 ですから、薪ストーブを焚いていない時などストーブの扉を開けると凄い勢いで空気が流入することが確認できます。室内負圧による自然給気システムでは当然な現象といえます。
 
           
   
従って、当初よりある程度予想し薪ストーブへの外気導入装置を採用していますが、ストーブ着火時と消火時等、煙突の引きが弱いときには煙が逆流してしまう場合があります。そこで、対策として以前もUPしましたが、自然給気口の数を増やし、継ぎ目に特注パッキン入りの煙突に取り替えるなどを行いました。すると、いったん温度が上がり煙突ドラフト効果により引きが強くなると、台所の換気扇を回しても大丈夫までには改良できました。

 薪ストーブは空気を大量に吸い込んで、煙突から吐き出すものなので、密閉された空間での操作はとてもデリケートです。
 薪ストーブ本体・煙突の継ぎ目、そして外気導入口等が完全密閉なら高気密・高断熱住宅でも問題はないでしょうが、それはちょっと望み薄です。


 D 第5回 薪ストーブML 投稿内容 2002年5月16日 
       (薪ストーブと高気密・高断熱住宅の相性報告第5弾です。)

 過去、数回に渡って薪ストーブと高気密・高断熱住宅の相性についての報告をUPしてきましたが、今日まで設置業者さんの努力により幾つかの改善を行ってきたのでその結果報告と薪ストーブと高気密・高断熱住宅の相性についての総合的なまとめの報告です。
 薪ストーブを設置する場合住宅性能やその工法との関係についての検証が欠かせませんが施主さんの希望により住まいの建て方は様々になります。
 結果的に我が家は超「高気密・高断熱住宅」ですが住宅仕様の優劣に関しては諸説あり、施主さんの判断によって採用された建築仕様方式が、そのお宅に取って一番いい建築工法であるということがここでの報告の前提です。

 従って薪ストーブの設置を考える場合、住宅の建築設計に関して高密度・高断熱住宅・内断熱、外断熱等々の住宅建築工法に関しての賛成、反対の論議はあまり意味はないのではと考えています。
要するに個々の住宅に見合った仕様の薪ストーブをどのように選択するかによるものなので、先に住宅の仕様があってそれに見合った薪ストーブを選択するのが一番良いことになるわけです。
 若しくは理想的には、薪ストーブを設置することを前提にした建築与件をどれだけ設計図面に落とし込めることが事前に出来るかが求められるところです。

 ところで、薪ストーブと室内空気の流れについてはとてもデリケートで難しい問題です。
薪ストーブへの直接外気を流入させる外気導入装置は室内負圧による煙の逆流を防ぐこと、若しくは薪ストーブを焚くことで起こる隙間風を防ぐことにあります。

 当初、高気密・高断熱住宅以外には外気導入装置は設置の必要はないとの投稿に対して異議の申し立てがありました。それは低気密住宅の場合すきま風が管理できず薪ストーブを焚くことですきま風の流入が増大し寒く感じるということです。従って外気導入装置をつけることですきま風を防ぐことが大切との指摘を受けました。とても重要な指摘で外気導入装置の働きについて改めて認識させられました。

 一方、中断熱中気密住宅の場合でも、台所の換気扇を回している場合には、室内負圧になるようですから、ストーブ直結の外気導入方式の必要はなくても、住宅のどこかに給気口を開けてさえすれば、問題(煙の逆流)は起きないのではないのかと考えています。要するに少し窓を開けるのと同じ効果を期待すると言うことです。

 換気扇には同時給排気型があり、我が家も高い出費でしたが、設置していますが、これは、後で知ったのですが、動力による1:1の排気と給気を行う物ではなく、排気の負圧により生じた圧力で、電気的に開閉できる口から空気を流入させるだけのことで、設置金額に見合う代物かどうか疑っています。要するに台所の窓を数センチ開けるのを機械的に行うことと同じ事なのです。
 ただし、現在では機械的に給気し室内の圧力を負圧にすることなく換気できる装置もありますので薪ストーブとの関係の検証が必要と考えています。

                  以下 略

 以上、薪ストーブML(メーリングリスト)への「薪ストーブと高気密・高断熱住宅の相性」問題についての投稿を紹介しましたが、現代の住宅事情との関係で薪ストーブの設置が可能かどうかの事前与件を検討する必要があるということが大切と言うことになります。

 住まいに薪ストーブを設置できる住環境の地域の場合、薪ストーブの機種の選定は実に楽しく難しいものです。趣向品であるが故に薪ストーブのデザイン等への「一目惚れ」的傾向で機種が決められる傾向が拭えませんが、本来は住宅の仕様との関係を無視しては薪ストーブの機種選定は出来ません。
 その一つの例が、「薪ストーブと高気密・高断熱住宅の相性」問題だった訳ですが、いずれにしても住宅と薪ストーブとの関係は様々な問題を引き起こしますが、薪ストーブオーナーに取ってはそれは楽しい悩みなのかもしれません。
それほどに、薪ストーブは暖房機でありながら楽しめる・遊べる・悩める「暖房装置」といえ、旨く焚けたときの感激は炎を操る技術の習得と相まって、薪ストーブを本当の意味で扱いこなし、心優しい暖かさを提供してくれる「かわいい相棒 」となってくれること請け合いです。

 別荘建築に薪ストーブは付き物とのコラム「第22回 別荘と薪ストーブはセット品」も報告していますが、生活に潤いと楽しさと暖かさを与えてくれる薪ストーブは本当に良き相棒です。

 以上、「薪ストーブお役立ち情報シリーズ編 」として14回に渡って様々な薪ストーブの話題をお届けしてきましたが、薪ストーブはいろいろな問題も引き起こしますが、使いこなす苦労以上の魅力を与えてくれるものだと言うことがお伝えできれば幸いです。

 薪ストーブに関する問い合わせなどありましたら「週末族の日誌BBS」やメールにてのお問い合わせに私の経験で分かる範囲についてお答えしていきたいと思っておりますのでよろしくお願いします。

 14回シリーズを最後までお読み頂きありがとうございました。