紀行見聞録 旅行記 滞在記 各国の文化紹介 

■「ブンガワン・ソロ」の国   インドネシアありのまま
       高梨幸男氏著      学生社  1986年 初版発行

  1970年代後半、日本企業のインドネシア駐在員として赴任された著者が、現地で見聞きした事 感じた事をエッセイにしている。
今から30年以上の前のインドネシア・・・ ジャカルタを中心に 各地の楽しいお話が綴られている。 第一章は生活を中心にした話題 第二章はプランバナンやボロブドール等の遺跡・観光関連の話題。 タイではマイペンライ  インドネシアでは ティダ アパアパ おおらかで ルーズで 許しあってしまう文化がある。 インドネシアへ赴任した筆者は、それらに理解を示しつつも驚きを隠せない。 ゴトンロヨン や トゥアンブッサール等の現地文化から物語は展開する。
古都ジョクジャカルタで経験した不思議な霊体験の物語は、読む人を惹き付ける事だろう。 このほか プリブミ ノンプリブミのお話や ジャピンドのコラムなど 興味と関心の尽きない本である。



■黄昏のロンドンから  
       木村治美氏著     PHP  1976年 初版発行

  ロンドンで暮らした八ヶ月の生活エッセイ。 繊細な視線 個性的な捉え方 そこから展開される著者の文章は新鮮である。 文章は淡々と書かれ さらさらと流れて行く。 人は考えたつもりでいて なんと底浅いものなのだろう・・・気づき 感じ 展開する・・・考えるとは かくあるべき・・・と教えられる。 海外旅行など夢のまた夢・・・と思っていた当時の私に イギリス・ロンドンを通して 海外の世界・異文化を教えてくれた最初の本かもしれない。 ご存知の通り イギリスではどこへ行ってもパプがある。 労働者階級のパブ エリート階級のパブ・・・と分かれている。 東洋人の著者が労働者のパブに入った時 「あんたの場所はここじゃなくて あっちだよ・・・。」 人種も違うのに 当時 大学の助教授であった著者の顔に ホワイトカラーというラベルが貼られていたかのように・・・どうしてそのような事が判るのか? 今でも興味が尽きない事がたくさん記されている。



■晴れときどき サバンナ
       滝田明日香氏著   二見書房   初版発行年不明 多分2000年頃と思われる。

  ニューヨーク州の大学で動物学を学んでいた著者に届いた電話は、「一年休学して ケニアのホテルで働きなさい。」 という父親の指令だった。 そこから始まる アフリカでの生活エッセイ。 時期は1990年代の後半と思われる。 本の冒頭に書かれている著者の言葉・・・は本書の魅力を充分に表現しているので、部分的に引用させていただく。
きれいだけど汚い。 美しいけど醜い。 親切だけど騙される。 約束してくれるけど時間厳守ではない。  ・・・中略・・・鼻をかんだ手で握手を求めるマサイ人。 走った方がはるかに速い汽車。 私はそんな土地が大好きになった。
学生時代にこんな経験ができる著者をうらやましく思うのは 私だけではないだろう。  本書の前半部分 にこやかな父上様や親戚の子供と一緒に、ニシキヘビと戯れ、嬉しそうな幼少時代の著者の写真がある。 子供は親を選べない。 この世に誕生させ、育ててくれた親 様々なチャンスを与えてくれた親の影響力は、計り知れないのである。



■イスタンブール 時はゆるやかに
       澁澤幸子氏著    新潮文庫   1995年初版発行

  どうも 私は 歯切れの良い女流紀行エッセイが好きなようだ。 澁澤幸子氏の本を読んでいてそう感じた。 著者はトルコ関連の紀行著作が多く、どれを読んでも楽しめるが、私が一番はじめに読んだ この本を代表として ご紹介したい。 どこへ行って誰と会って何をした。 そういう文章は苦手であるが、どうしたことか 渋沢さんのように上手に文章にされると 魅力的なものに変わってしまう。



■イラワジの赤い花
       中上 紀氏著     集英社    1999年初版発行

  著者がハワイ大学在学中に体験したアジア紀行プログラム。 その教育プログラムの一貫としてのツアーで訪れたミャンマーを題材にしている。 初々しくも 抑制の効いた 歯切れの良い文章。 ミャンマーを知らない人にも かの国の人々の魅力が伝わるのではないだろうか。 著者は著名な作家さんのお嬢さんでもある。



■深夜特急
       沢木耕太郎氏著
  言わずと知れた・・・。 


■アジアに未来はあるのか
       中嶋嶺雄氏 深田雄介氏 共著 PHP研究所 1999年初版発行

■教科書が教えない東南アジア
       藤岡信勝氏著      扶桑社   1999年初版発行

   この二冊は 東南アジアと日本の関わりを視点にして、通常取り上げられにくい話題、情報、観方を説いている。 旅行も 楽しかった 美味しかった 嬉しかった だけでなく もう一歩踏み込んだ何かが欲しい・・・知見の幅を広げるには、こういう本や歴史・文化書籍などが良いかも知れない。 

   

■アジアの純愛 それ行けバックパッカーズ
       遊人舎編         小学館文庫  2000年初版発行

   出張の電車の中用に買った本であるが、一回の出張の移動時間で全編読み抜けてしまうほど 予想以上に引き込まれてしまった。 数年前、日本人の男性との結婚を望むタイの女性の話を聞いたことがある。 妻と二人で旅していた私に彼女が語った事・・・、「タイの男は働かない、家庭にお金を入れてくれない。 タイの男はお酒と博打が大好きで、家庭を大事にしない 頼りにならない。 日本の男の人は、きちんと働いてお金を持ってくる、真面目、奥さんと子供を大切にする・・・だから 日本の男性と結婚したい。」 大真面目な顔で しゃべっていた。 本当かどうか 詮索する気も無いので聞き流していたが、この本を読みながら そのことを思い出していた。 


■兼高かおる世界の旅

   本ではないけれど・・・ちょっと失礼して並べました。 この名前にピンと来る方は、それなりのお年を召した世代ですね。 まだ貧しかった日本、毎週日曜日の朝 放映していた憧れの海外旅行プログラム。 お上品で お嬢様風で 少々甘えたような話方が とても魅力的な兼高かおるさんと 芥川隆之さんのナレーションで進行する海外ロケフィルム。 スポンサーはPANAMでしたね。  80日間世界一周などの映画や 兼高かおるさんを通じてしか 知りえなかった世界の事。 毎週 ワクワクして見ていた・・・子供の頃のわたし。 それが今では 行く気になれば 誰でも海外へ行けるようになったんだから・・・日本も進歩したものです。 この現実に感謝。 日本の成長を支えた先達に感謝。 ありがとうございます・・・と言わせて頂こうではありませんか ご同輩諸氏。 

追伸・・・ちょっと調べてみたら・・・兼高かおる世界の旅は 毎週日曜日 午前中 1959年〜1990年の約30年 放映されていたのだそうです。
 長寿番組だったんですね。 私は 初期の1960年台を放送を見た世代で 1970年以降は記憶がありません。 あの頃の映像がdvd化されたら・・・見てみたいものです。

■■■■■ 2008年1月 追加 ■■■■■

■ビルマ商人の日本訪問記
       ウ・フラ著 土橋泰子訳  連合出版   2007年10月 初版発行

  著者が日本を訪れたのは、昭和11年。 
ビルマ人の目から見た 当時の日本の姿が見えてくる。 日本式の宿屋に宿泊された時の記述や 街中の様子等が楽しい。  驚いたのは 訳者の土橋泰子さんの努力である。 戦前の日本を旅するビルマ人の記述だから 人の名前など固有名詞は 正確とはいえない部分があるが 根気よく 丁寧に調べておられ 注釈をつけておられる。 脱帽。 
  



■■■■■ 2008年3月 追記 ■■■■■

■たっぷりチェンマイ! タイの古都をまるごと楽しむ町歩きガイド
       岡本麻里&古川節子著  情報センター出版局  2007年7月 出版
  チェンマイの魅力が 写真と短い紹介文を中心に展開されている。 写真を拝見すると 2005年〜2006年ころ チェンマイのローカル情報誌に採用されていた写真を見かけました。 著者は かなり長くチェンマイで写真を撮影されているようです。 市場の事 食べ物の事 民芸品の事 お寺の事 記事は盛りだくさんです。   
1940〜1950年代の古いチェンマイの写真も掲載されていて 楽しめます。  チェンマイの町歩きはもちろんの事・・・行きたくても行けない時に眺めたい一冊です。

表紙の写真はターペー通りをパレードする チェンマイのお嬢さんたち。 
多分花祭りか何かのパレードでしょう。 撮影場所は チャンクラン通りの交差点から ターペーゲート方面に数百メートル 古い建物が並ぶあたり。 背景の大きな木造の建物の左手・・・ 写真では見難いですが ギャラリー ブティックルームだと思います。 二階はコロニアルなホテルで 一階はアンティークショップとカフェです。 ここのカフェでお茶飲みながら 通りを行き交う人を眺めるのが好きです。 




■■■■■ 2008年4月 追記 ■■■■■

■チェンマイ! 満腹食堂
       永田 玄著  ネコパブリッシング  2006年5月 初版出版

  表紙には・・・新鮮で細胞から美しくなる お肌がきれい 便秘解消 驚愕のメニュー 奇跡のレシピにチェンマイで出会った。 本にイントロには・・・・自信を持って断言してします チェンマイは アジアで最も美味しい街です。 間違いありません。  この街の野菜料理と カレーと麺を食べないで死ぬのは残念なほどです。 少しもったいない気がしますが・・・という書き出しではじまる チェンマイのレストランガイド・・・ ガイドブックという言葉では語りつくせない本である。 21軒のお薦めのレストラン と 店ごとのお薦めメニュー 63種類。  絶対おススメ印のついた トォー トード (スズメバチの幼虫のから揚げ) 80B は是非食べてみたい。 紹介されたレストランは 知らない店が多く 今度チェンマイに行くときは この本を持って 食べ歩いてみたい。



■チェンマイに溺れる
       永田 玄著  ダイヤモンド社   2007年6月 初版出版

  表紙には・・・チェンマイを知らずしてタイを語ることなかれ。 上級リピーターが密かに通うつめる古都 織物 銀細工 陶器 骨董 仏教建築 民族雑貨 蘭 按摩 象 市場 泣けるほど旨いメシ 麺 鍋 野菜 果物  水着を捨てて北へ行け・・・。  チェンマイをかなりご存知の方が書かれています。 マッサージの記述は感覚的に理解しやすく 参考になるでしょう。 街中で半分オープンなお店は 高い割りに下手だったり 安いだけだったりします。  サワッディーチャーオ チェンマイ参照

野犬が多く あちこちで昼寝しています。 うっかり踏んで かまれないように・・・。 




■■■■■ 2008年5月 追記 ■■■■■

■タイ散歩  歩いて楽しむ異国の街並
       藤井伸二著  イカロス出版   2008年3月 初版出版

  異国の旅の楽しみは 街歩きも視点の一つ。 普通の観光コースと違うバンコクの街並・庶民の暮らし・市場・食堂。 チャオプラヤの対岸のトンブリー地区には 運河と寺院と市場と住民・・一体感あふれる生活空間があるし ホアラポーン駅〜ワットトライミット〜チャイナタウン に抜けるエリアも一風変わったバンコクの表情と香りを感じさせてくれた事を記憶している。  築100年前後という意外に古い木造の建物があちらこちらにあるチェンマイ。 ピン川沿いの異国情緒漂う街並。  私が歩いたタイの街 お薦めしたい タイの街並散歩を この本は網羅している。 もちろん 私の知らない街並もたくさん・・・ いつかまた タイの街並に行きたくなる本である。



■物語 タイの歴史  微笑の国の真実
       柿崎一郎著    中公新書   2007年9月 初版

  東南アジアで唯一独立を保った国・・・世渡り上手な東南アジアの優等生。
タイ族は何処から来たのか スコータイ朝 アユタヤ朝 トンブリー朝 現代チャクリー朝 歴代王朝の歴史。 タイの王朝と 西の タトーン朝 パガン朝 トングー朝 や 東のクメール帝国 真臘 扶南 など時間経過と 周辺国とのかかわり ぐらい知っておきたい。    

■謎の仏教王国 バガン

  合わせて読みたい 謎の仏教王国バガン。 
バガン王朝の歴代の王の名前と建立したパゴダの一覧表など・・・三大仏教遺跡 バガン を巡るときの必読書。

   



■■■■■ 2008年6月 追記 ■■■■■

■夫婦で暮らしたラオス スローライフの二年間  
    菊地良一氏 菊地晶子氏 著  めこん  2004年2月初版  1500円

JICAの技術指導で二年間滞在したビエンチャンのチョンペット村。 ご夫婦それぞれ綴られた 短い日記風のオムニバスエッセイ滞在記。  初めてラオスにやってきて チョンペット村のレンタルハウスを見つけ契約。 現地の人たちに囲まれた生活を始めるお二人。  村での毎日が めこんの流れのように とうとうと続いていく。 現地で車を購入するにあたっての顛末や 月に一度のタイへの買出し紀行。  めこんの水位は 雨季と乾季で20メートルも変わる話など 興味の尽きない話題が続いていく。  ある日 じゃが芋を買いに市場に出かけるけれども どこにも売っていない。 じゃが芋が無いなんて考えられないけれど 彼らは あるもので生活していく。  スイカをトラックに満載して売りに来る農家。 スイカが売切れるまで トラック下で何日も寝起きし食べて生活するラオスの家族の姿・・・。  なにもしゃべらず・・・ただ ぼ〜としている時間。 最初は間が持たず居心地がよろしくなかったけれども だんだんその心地良さを実感していく。 ラオスの良さ 人の良さ。  日本では考えられないけれど 彼らは あるがままを受け入れ 淡々と生活し 生きることに迷っていない。  

勝ち組 負け組み 良い悪い 白と黒 世の中それほど単純な話ではないし 色々な事柄や利害関係が関わってくる複雑系なんだけど なにか 妙に単純すぎる程シンプルな 白と黒 損と得 勝と負なんかで 生き方とか価値観とか判断を 揺さぶられる事が多いのは 情け無い事。  やはり 迷いの無い生き方を取り戻してみたくなるのである。

短辺急に 白黒 はっきりさせようとしすぎるのは如何なものか・・・ 
単純な白黒二項対立議論のドサクサにまぎれて 一緒に書かれた約束文言の中に 実はもっと議論が必要な 大事な事がたくさん散在していることもあるはずでは・・・。 


一つ一つの章が三ページから四ページで とても読みやすい。 




■駐在員の奥様が選んだ タイ バンコク アパートメント ベスト100
          株式会社 キョーハンブックス  2007年初版  1200円

  月三万バーツのStudioタイプの部屋から 月20万バーツぐらいの メイドサービス付き 3ベッドルーム レジデンス。 ハッピーリタイヤ後は南国の都 クルンテープで・・・





■■■■■ 2008年7月 追記 ■■■■■


■旅名人 ミャンマー 仏教遺跡の宝庫を歩く
                       日経BP社   1800円   2003年12月 初版

  たくさんのカラー写真で構成された ミャンマー旅行のガイド書。
各観光地の美しい写真とともに 短い文章で観光ガイドしている。 言葉で説明し難いミャンマー料理も 写真を見ると判りやすい。 ミャンマーを旅した人が眺めても楽しめる ビジュアルブック。

 


■ミャンマー百楽旅荘 パラダイスホテル
    寺井 融 著            三一書房   1600円   1996年9月 初版

  百楽旅荘と書いて パラダイスホテルと読ませる。 それが気に入り買った本である。 1996年の出版だから かなり前のミャンマー旅行記である。 著者は サイトラベルの稲葉社長の友人だそうで そういう縁でミャンマーを訪れたようだ。 以来 外から見聞きするミャンマーと 優しくシャイな人柄の良さの落差に驚き かつ ははまりこんだようで 1980年代から ミャンマー旅行を楽しんでおられる。   今と違う 昔のミャンマーを読んでご覧あれ。 




■秘密のミャンマー
    椎名 誠 著          小学館   1470円   2003年10月 初版

  ミャンマーという名のついた本は 手当たり次第に買って読んでいた頃の一冊。  私がミャンマーを頻繁に訪れたのは1998年から2004年なので よく知るミャンマーがたくさん書かれている。 椎名さんは初めてのミャンマーで 取材が浅く 少々不正確な部分があります。 旅行の参考にする・・・というよりは・・・単純に 椎名さんの文章を楽しんでください。 私の友人 チョウさんが 椎名さん達一行のガイドをしています。 
  本編 再会4 を参照してください。




■アジアを生きる          実業之日本社   2200円   2001年7月 初版
    文 灰谷健次郎   写真 石川文洋 

  表紙の タナカをつけて微笑むミャンマーの女性の表情を見て 衝動買いした。  作家 灰谷健次郎 と 写真家 石川文洋 二人で タイ ベトナム フィリピン ラオス ミャンマー ネパール 中国 を行く。 石川氏の写真が 私は好きだ。 光と影 人の表情 色彩の濃淡 を印象的に捉える 彼の写真と 太陽の子 灰谷さんの文章をお楽しみください。









遠くへ行きたい・旅物語
Travel to Myanmar
Mr. Yang. All right resreved .