Birth0Death
第二十五話 ルドの伝説
「そうかッ、そうだったのかッ!!!」
久しぶりに、元気なサッサの叫びが響く。
「くそ〜ッ!!許せないぜッ!!“滅びの穴”つくった奴〜ッ!!」
サッサが吠える。
「・・・無の水ねぇ。ルドの伝説、か・・・」
サティは早速、考えを練っている。
やっと、五月蝿いのと、策士なの、が戻ってきた。
「無の水っていうのは確かさ、ルドの“奇跡”で浄化されたんじゃなかったかッ?」
「なにそれ?」
マルはキョトンとしている。
「お前なぁ、自分のご先祖様の話だろうがッ!!ルドの伝説。無の水で大魔王・・・っていってもロナ、あんたの父ちゃんじゃねぇぞッ!!」
慌てて弁明を入れる。
どうやら、サッサはサッサなりに気を使っているようだ。
「いいよ、父は実際に悪いことをした・・・。構わない悪の代名詞で」
そのくせ、彼女は父の名を継ぐんだからな・・・。マルは困ったようにロナを見つめた。
「で。話を続けろ」
「あいっかわらず、無愛想だよなお前ッ!!!」
嬉しそうに笑いながら、サッサはばんばんとクラウスの背を叩く。
いや、その癖はさすがにやめた方がいいと思うぞ。久々にマルは心のツッコミをいれたのだった。
「で?」
「あ?」
「ルドの伝説」
サティの額に青筋が浮かびあがった・・・ような気がした。
「ああ、ルドの伝説か。無の水でな、パワーアップをはかったはずの大魔王だったんだけどよ、結局ルドの“奇跡”の前に、無の水は打ち払われたらしいぜ?」
「で、その無の水っていうのはなんだ?」
クラウスは眉間にしわを寄せて尋ねる。
「無の水っていうのはな、はじまりと終わりの大地から生まれる水、らしいぜッ!!伝説によるとなッ!!」
「はじまりと終わりの大地、ね」
それは勇者ルドが最後に大魔王と戦ったとされる大地。
どこにあるのか、いや、本当に存在するのかもわからない。
「けどよ、だから無の水も“滅びの穴”も、“奇跡”でどうにかなるんじゃないかッ?!」
「・・・“奇跡”か。“奇跡”っつったってなぁ・・・」
マルは思わず、自分の掌を見つめた。この手で“奇跡”を起すのだろうか…。
・・・・・無理っぽい。
マルはこっそりため息をついた。
「そういう不確かなものは期待しない方がいいわよ。それより、アクトク、ね。怪しいのは」
“奇跡”のことをあっさりと斬り捨て、サティは話を進める。
「あいつの行動、おかしいのよ。私たちをマルと戦わせたり、暗殺しようとしたって、妙な毒薬使ったり」
「あの毒・・・私の翼を溶かした。・・・そんなに痛くはないけど」
心配そうなマルにロナは慌ててつけたした。ロナの翼はそれほどまでに、痛々しく削がれていた。
「もし、マルがあの薬を浴びていたら、体が無くなっていたかもしれない」
ぼそりと怖いことをいうのはもちろん、クラウス。
マルは背筋に寒いものを感じた。
「問題はね、アクトク、なんだってそんな厄介な薬を使ったのかってことなのよ」
「マルを体の芯まで無くしたかった?」
ロナがいうと少し恐ろしい。
「なんのために?」
・・・沈黙。
さすがにそこまでわからない。
「ともかく、アクトクだなッ、キーは」
「そうよね、アクトクの足取りをつかめばOKね」
話し合いは一応、そういうことで落ちついた。
「そういえば・・・」
ぼそりと呟いて、クラウスは袋からごそごそとララを取り出す。
「あ、ララ・・・!!」
サティは嬉しそうに声をあげた。途端、クラウスがしーっと、言う。
「悪いが、ベッドにいれてやっていいか?」
「ああ。僕はもう起きるから遠慮せずに・・・」
「いいえっ、今日は全員寝ましょうっ!!」
サティは企みを含んだ笑みをサッサに向ける。
「だなッ!!さくさく寝るぜッ!!」
サティはその場を取り仕切り、とっととロナとララを連れて、隣りの部屋へ行ってしまった。
サッサも宿屋のもとへ走り、部屋を広いものに変えてもらう。
あっという間に、一行は眠りについた。
タクスの部屋♪
ララ「ちゅうことで、今回はうちスペシャル☆や!!」
タクス「うわっ、勝手に決めないで下さいよぅ〜」
ララ「いいんや。うちが今、決定したんやから!」
タクス「今ですか?」
ララ「おう、今や♪」
マル「そういうときは“今かよ!”ってツッコんであげなきゃだめだよ、タクスさん」
ララ「さすが影のツッコミやな(笑)」
マル「そーそー。本編でもこっちでも、僕はツッコミを続けるんだ。・・・たまには、僕もぼけにまわってみたいもんだよ、まったく(ため息)」
タクス「な、なんですと!!マルくん、私もぼけだとでもいうのですかーっ!?」
マル「いや、タクスさんはぼけキングだろ(断言)」
ララ「せやせや。タクスなんざ、ぼけキング。うちとマルぐらいやな、ツッコミは」
マル「あ、あとアクトクさ・・・(悪役だし〜、さん付けはいいや)アクトク」
ララ「そうやね。サティ姐さんもツッコミかと思いきや、こっちじゃぼけやし」
マル「意外にサッサがツッコミ入れてるけど、根がぼけだしな〜」
ララ「ロナとクラウスに至っては、もう、あっちでもこっちでもぼけぼけしとるもんな〜」
ツッコミ二人、深々とうなずきあう。
タクス「私までぼけ系キャラに入れられるとはどういうことですか!!」
マル「いや、だってさ」
ララ「なんていうか、あんたの場合・・・」
マル&ララ「存在事態がぼけ」
タクス「声をそろえて言わないで下さい―っ!!」
タクス、爆音とともに叫ぶ。
ララ「おお、やればできるやん」
マル「いまのはツッコミにはいるのか?」
ララ「そういうことにしといたろうや」
マル「しょうがないな」
タクス「お二人とも…クールに話してますけど、爆発で髪アフロになってますよ〜」
ララ「・・・・・フッ。次回予告『宴会inセン』・・・ってまた宴会するんやね〜っ!!」
マル「ラインは宴会好きな土地柄なもんで(苦笑)」
タクス「・・・・・・・(この二人も、十分ぼけ、じゃないですか 汗)」