「・・・どうやら神の争いは全面的になりそうもないな・・・だが、溝は埋まらないほど深まった。全能なる神も、もはやギアローたちにはかないはしないだろう・・・残るは仕上げだ」
暗い、物が散らばった部屋で一人の男が水晶から神々の姿を映し出し、その様子を見ていた。
男はその様子を見ても特に表情を見せるわけでもなく、水晶から目をそらす。
そして体に布を巻きつけると静かに消えた。
レヴォルトパーティー
14話
語られる計画
『九牙、ちょっと来てくれ』
「??」
貨物室で横になっているところ、突然放送で権兵衛に呼ばれる九牙。
目の前にはなにやらろう・ふぁみりあを追いかけて鼻をぶつけて逆切れを起こしているギアローがいたが、なだめるのもなんだと思ったので権兵衛の呼び出しに応じることにした。
「ぐぞーーー!!自爆猫め! 今に見てろ!」
「み、見たくないっスーーーー!!!」
(・・・かわいそうに)
そう思いつつもほうっておく九牙。
・・・なにやら楽しそうに見えるのは気のせいだろうか?
パイロット室。
狭くてスイッチやらボタンやら計測器やらがごちゃごちゃしていていつ来ても素人には何がなんだかわからない場所だが、九牙にはなんとなく落ち着ける場所でもあった。
権兵衛は操縦席に座っており、九牙の来訪を待っていた。
「何か用か?」
「お、きたか。まあ、俺には理解のできない怪現象だ。こういうのはギアローに聞くのが一番だろうが、あいつに聞くとまたなんか理由つけられて碧雲を壊されかねんからな」
九牙はそう聞いて肯定こそしないものの、笑みを浮かべる。
「で、その怪現象とはいったいなんだ?」
目の前には何もない。
この日は晴天らしく、地上のほうを見ても特に雲は見当たらないのだ。
しかし、どうも薄暗い気がしないこともなかったが・・・
「その怪現象だ」
そういうと計測器を指した後、さらに上空のほうへと指差した。
上空には雲がかかっているらしく、薄暗いのはこのせいだったようだ。
「なんだ? もうすぐ着陸するのか?」
「ああもう、計測器を見なかったのかお前は!」
そういわれて九牙派計測器を見るが、計測器の示している数字の意味はわからない。
「どういうことだ?」
「ああもう、お前ならわかると思ったんだがよ!」
頭をかきむしって、それから指でその計測器のガラス部分をたたくといらだったようにいう。
「これは高度計でな! 本来ならば雲はもっと下のほうにあるはずなのに今はかなり高いとこにありやがんだ!」
「? それはおかしいことなのか?」
「当然だ! これまでこんなことは一度もなかったんだからな。お前、なにかわかるか!?」
「?」
九牙はあごに手を当ててこの事態を考えてみる。
雲はせいぜい天気をみるときにしか見ないものだから、別に大して気にかけたことはなかった。
だが、空とともに生きてきた権兵衛がそういうのならば何かあるのだろう。
しかしいくら考えたところで何も答えが出るものではなかった。
「高度計の故障じゃないのか?」
「おいおい、この前チェックしたときは新品同様だったんだぜ? どういうわけか知らんけどな。それが突然故障なんていったら、部品作ったやつの工場ぶち壊すぞ!」
権兵衛には碧雲にはなみなみならぬ思い入れがある様子。
とりあえず九牙は地上のほうをみてみると、以前見たのと大体同じ高度にいることはわかった。
考古学のため多くの冒険を重ねた九牙はがけを上ったり降りたりすることが多いので、高さの目測にはそれなりに自身があった。
だが、それ以上を知るにはプラフィスの力を借りるしかない。
「プラフィス、代わってくれないか?」
そういうと、九牙は徐々にその姿を変えていく。
九牙だった人物は髪型や耳の形などを変え、プラフィスに変化した。
プラフィスは髪をかき上げると雲のほうをじっと見る。
「・・・どうやら強力な魔力がここの時空関係をずらしているようですね・・・」
「な、なんだぁ、曲者の姉ちゃん、そりゃどういう意味だ?」
「曲者は私じゃないですよ。・・・それはともかく、私では手に余る状況ですね。ギアローとこれからの対策を決めなくては・・・」
「そ、そんな緊迫してんのか!?」
プラフィスはしばらく何もいわずにじっと空を見ているが、後ろを向くとそのまま歩いていった。
「・・・この壁雲・・・失うことを覚悟することですね」
「な、なにおぅう〜?」
どういうことかわからない権兵衛は混乱しつつもプラフィスを見送った。
プラフィスは貨物室に戻ると、そこにはまだ鬼ごっこをしていたギアローとろう・ふぁみりあがいた。
「ずおおおお!! ええい、猫だからってすばやいとはわかっていたが、ここまでとはな!?」
「ひいいいい!」
猫のスピードと同等に動き回るギアロー。
かなり異様な光景ではあり、プラフィスはあまり近づきたくなかったが、一応事態は切迫し始めているので二人の首筋を一瞬で捕らえて引き上げた。
「ぎにゃああああああ!!!???」
「ふにゃ?」
(一応)猫であるろう・ふぁみりあにはまったくダメージはなさそうだったが、人間であるギアローは見てわかるほど皮が引っ張られていてかなり痛そうだ。
悲鳴からして断末魔っぽくもあるが、一応生きている。
「二人・・・いや・・・ええと・・・まあ、二人とも、鬼ごっこをしている場合じゃなくなりましたよ」
「おや、プラフィスか。ひさしぶりだな?」
ギアローが痛みを忘れて片手を挙げて軽く挨拶する。
しかし、ろう・ふぁみりあのほうはプラフィスのことを知らないのでただ相手の反応を見るだけだ。
それに気がついたプラフィスは自己紹介を始める。
「初めまして、私はプラフィスです。九牙の中で眠っていたので初めてですね」
「は、はぁ・・・」
いまいちどういうことかわからないが、ひとまずあいまいな返事をするろう・ふぁみりあ。
ここまで来ると首根っこつかむ必要もない。ひとまず二人を解放すると、話を進めることにした。
「詳しいことは後で話すとして、とりあえず先に報告しておきましょう。ギアロー、おそらく神が再び争いに来たと思われます」
「ほほう・・・性懲りもなく来るか?」
ギアローは頬杖をついてにやりと笑う。
「え、ええ? 神を倒すってやつのあれ、本当だったんっスか?」
「当然。貴様もすでに神に逆らう愚か者ということになったのだ!」
「・・・い、いやだ〜!!」
ろう・ふぁみりあは転がりまわる。
そんな情景を尻目にプラフィスは考える目つきになる。
「そういうことになるのですが・・・どうもおかしいのです」
「なにがだ?」
ギアローの質問にはすぐには答えないプラフィス。
じっと相手の顔を見ているが、ギアローは飄々としている。
「・・・いってしまえば、今夏は二人ほど神が同時にかかってきているんです。しかも一人はだいぶ弱りかけています」
「・・・? どういうことだ?」
「それは私が説明しよう」
ギアローとプラフィスは驚いてその声の主を見る。
明らかに見たことのある服装。
そう、ギアローをこの冒険にいざなった謎の男だ。
「ふにゃ? 誰っスか?」
もはやこれまで驚きすぎてしまったせいか、もはやこの程度ではまったく動じないろう・ふぁみりあ。
男は全身に布を巻いていて、体格どころか顔もよくわからない。
「・・・ようやく表舞台に出ることにしたのですか? 『神の世を終わらせるもの』よ」
「なに!?」
身を引き、手を広げて大げさに驚くギアロー。
その姿はかなりこっけいだ。
男はその様子を見て冷静に話を始めようとする。
「・・・驚くのも無理はないな・・・?」
前置きをおいて話を続けようとすると、なにやら怒った表情でつかつかと歩み寄るギアロー。
そして鼻先に指を突きつけると言い放った。
「神の世を終わらせるのはお前じゃない。この俺だ!」
唖然とするプラフィスとろう・ふぁみりあ。
相手は得体の知れない男だというのにもかかわらずこの自信に満ち溢れた言動。
誰であろうと唖然とするだろう。
しかし、男はそれを否定しなかった。
「・・・確かだ。君のいうことは確かなのだ。君が必ず神の世を終わらせだろう。私はただそのきっかけを作っただけ・・・」
「・・・?」
男の物言いにプラフィスとろう・ふぁみりあはまたもや唖然とするが、ギアローだけなぜか当然とばかりに胸を張っている。
「・・・私は力を求めることとはいかなるものかを思い、己を鍛え続けた。そのうち、魔法や占いにも通じるようになり、いまや神に混乱を招くことすらできるほどになった・・・」
「何が言いたい・・・?」
ギアローは不敵な笑みを浮かべつつ男に問いかけた。
「あせるな。まだ神が襲ってくることはない。これは私・・・いや、われら神を信仰せぬ人類の反逆の宴(レヴォルトパーティー)・・・君たちはその宴の招待客だ。しかし・・・ここまで早くも展開が進んでしまったのは予想外だな・・・だが、君なら楽しんでもらえるだろう」
「何が言いたいのかは知らんが、俺は俺の道を行く。道を譲るならばよし、もしも邪魔をするようであれば・・・」
ギアローは上目遣いにいう。
これは相手に脅威を感じてでの行動ではなく、明らかに挑発の行動だ。
男はこれを見て何を考えているかはわからないが、黙ってその布の中からひとつの珠を取り出した。
白く輝き、真珠のような模様が施されているが、それが一定の位置にあることのない、絶えず動き続ける手のひらに乗る程度の宝石だった。
「君たちの手で手にした神の力の素だ。本来ならば効して封印することはできないが、君たちが倒してくれたお影で簡単に手にすることができる」
「貴様、俺を利用していたというのか!?」
「違う。・・・これは君たちに使ってもらいたいと思っている」
「なに・・・?」
「どういうことか説明してもらえますね?」
プラフィスは相手に威圧するように言う。
男は神の力の素を床に転がすと、話し始めた。
「この戦い・・・まことに持って神の身勝手さによって引き起こされる、神災を事前に防ぐべく行われた私の計画だ」
このセリフに一同は言葉を失う。いや、むしろ・・・
「神災ってなんスか・・・?」
という状態だった。
それに答えたのはプラフィスだ。
「神によって引き起こされる災害です。大地震や雷などが代表ですね」
「ありがとう、プラフィス君。さて、この神災はいわゆる最後の審判とか呼ばれているものだった」
「待てください、なぜ私の名を知っているんですか?」
男の言葉を待たずにすぐさま鋭い目つきで男を射る。
だが男は平然としていた。
「・・・気になりますか?」
「そんなこと、どうでもいいではないか、プラフィスよ」
「ギアロー・・・?」
意外なギアローの言葉に、プラフィスは唖然となった。
人は自分の知らないところで自分のことを知られることを嫌う。ギアローは一見、そのようなことにもっとも敏感な男であるかのように思われていた。
だが、どういうわけかまったく気にしていないようだった。
「どうせこいつは俺たちの行動を盗み見していただけの弱虫だろう。それならばどうでもいい。それよりも神を倒すことが優先だろう?」
ギアローはそういうととっとと出口のほうへと歩いていく。
そしてその手にはなぜかろう・ふぁみりあ。
扉の前に立つとギアローはその姿を消した。
「待つんです、ギアロー!・・・!」
ギアローの後を追おうとするプラフィスだが、意外にも男にそれを止められた。
「まあ、待て。あいつはもうなぜ相手が弱っているなんざもう興味のないことになっているだろう。それに、あいつがいてはその奇妙な発言によってわかるものもわからなくなる。まずは君が真実を聞いて、彼に説明するのがいいんじゃないかな?」
プラフィスは歩みを止める。
確かに、ギアローが居ては真実がどういうものなのかわからなくなるだろう。
ひとまずギアローに力を貸したからにはある意味どうでもいいことではあるのだが、神がどういうことをしているのかを知りたいという好奇心もあった。
「いいでしょう。ですが、私の質問に答える形であなたの持つ情報を教えてください。出ないと、肝心なところをはぐらかされませんから・・・」
「・・・いいだろう。まず最初の質問は何だ?」
「・・・どうして私の名を知っていたのです?」
男はなにやらキョトン、とした感じに動きが止まる。
「・・・フフフ、ずいぶんと小心者なのだな・・・貴女の情報を私がいかほど持っているか、恐ろしいのか?」
「・・・あまり人に自分のことを知られるということはあまり気分のいいことではないですからね・・・」
「わかった。答えよう。単純なことだ。貴女が私の行動を察知したように、私も貴女の行動を察知していたから。もっとも、察知されたのはギアローを誘う前のことで、あなたはせいぜい私の目的を知っただけにとどまりましたねぇ・・・私としたことが、実に不覚でしたよ」
「なるほど・・・魔法によるサーチですか・・・私のは目的がわかるだけで精一杯でしたが、あなたは私の気づかないうちに相当な情報を得ていたことでしょうね・・・」
「いや、私の気にすることではなかったんでな。古代人であるということ以上は詮索していない。あ、後名前だな」
「・・・そうですか。それじゃ、次の質問をします。いったい何が神を最後に審判を下すような考えにいたらせたのですか?」
「・・・さあな。ひとまず一部の人間に対して言っている世界の浄化のために震災を起こす・・・というのが建前みたいだな。確かに、人間が地球に与えたダメージは大きなものだろうが、それを回復させるのも人間しかいない。自然ではもはやどうしようもない域に入っているのは確かであるし、神もそれを知らないとは思えない。ようは・・・己の威厳の回復のためだと私は見ている」
「そんな・・・身勝手な・・・」
「もっとも、これは憶測でしかないが、どちらにしろ多くの人類が殺される事態を知ったからにはさせるわけにはいかない。ありとあらゆる神をたぶらかし、勢力を分断することに成功した」
「・・・とてつもないことができるのですね・・・」
「神は大いなる力を持っているが、それが逆にあだとなった。膨大なる知識に信用できる誤った情報を流せばいい・・・最も、それを作り出すのは普通の人間では無理だがな」
「そんなことが可能なのですか?」
「神とて所詮、自分の意志で動くものたちだ。忠誠の対象として全能の神がいるものの、それでも動かすのは不可能ではない。だが、忠誠心の厚いやつはいるものだ。そこで私は・・・」
「待ってください。ひとまずは先ほどの質問の答えはいただきましたので、そこまでにしてください」
「・・・そうか」
男は残念そうにいう。
「さて、次の質問ですが、なぜ神々同士は争っているのです? 先ほどの神々も、なにやら争っているようでしたが・・・」
「・・・それを説明するには少し神の勢力を話す必要があるな・・・」
そういうと男はひとつの水晶だまを落とし、そこから画像が浮かび上がってきた。
「神は現在、三つの勢力に分かれてしまっている。ひとつは最後の審判を支持するアンキダクス派。こいつらは人間をただのおもちゃのように気まぐれに人を助け、そして殺してきた連中だ。次に最後の審判に反対するクロドリス派。こいつらはうわべこそこの地上の生物たちを助けようとしているが、それもあがめられたい一心の低級なる神の集まりだ。もっとも、その精神が、と付け加えるべきだがな。そして、最後にその中立のスフィラリウス派だ。こいつらは・・・まあ、私の中ではよい者たちが集まっている。決してひとつのものに力を貸さず、それぞれに可能性を秘めさせるものたちだ。これは最も生物にとってよい神だろう。ありがたくは思われないだろうがな」
「つまり、最後の審判についてそれを実際に起こすかどうかについて言い争っているわけなんですね。だとすると、今外で争っているのはそのアンキダクス派とクロドリス派と考えてよいのですね?」
「だな。一応言っておくが第三勢力のスフィラリウスは小さいが、争うことはない。争いの好まないものたちの集まりと考えてもいいだろう。だが・・・何を考えているかはわからん。じつは第三勢力は組織というよりもむしろ思想によって勝手に私が分類したものだからな」
「なるほど、勢力といっても統率の取れていない、ばらばらに行動しているものたちですね」
「そうだ。しかし、スフィラリウス派というからには根拠がある。第一にスフィラリウスはこの集まりに対する最終的な決定権を持っていること。それぞれの神はそうは公言していないが、最終的な決定となると確実にスフィラリウスにその決定をゆだねる事だろう。第二にスフィラリウスが呼べばその集まりの神はおそらくすべて集まる。どんな場所にいようとな。これまで実際に二度ほど集会を開いていた。一回はお前たちがスフィラリウスと対峙する前、もう一回はその後だ」
「私たちと会った後に・・・だとすると、何か神々は私たちを何かに利用しようとしていたのですか?」
「だな。残念ながらそれを聞くことはできなかったものの、おそらくわれわれがほかの二つの勢力と争っている間に何かしようとしているのだろう。もっとも、神の世を終わらせるにはそいつらもつぶさなくてはいけないんだかが・・・」
「・・・」
「さて、少し話を戻して・・・第三にその第三勢力に分類した多くの神がスフィラリウスに恭順していること。神に級域は10あり、その中で8つ目の階層にいるのだから当然かもしれん。これによって好評こそしていないがスフィラリウス派は実質的に組織としての機能を果たすことができる」
「・・・そうですか。まあ、これ以上聞いてもやっぱり私には興味がなさそうですからね・・・最後に聞きましょう・・・」
「どうぞ」
男はすましていう。
「・・・なぜこの戦いに私たちが選ばれたのですか? 強き力を持つものならばまだいるはず」
「それはすでにわかっているのではないですか? ・・・そう、あなたたちには神と因縁がある・・・」
男は間髪入れずずばりといった。
プラフィスもその答えをある程度予想していたのか、あまり動揺する気配は見えない。
「・・・つまり、あなたの選んだギアローにかかわったものたちは皆神に因縁があるということですか?」
「それは残念ながら違う。ここのパイロットの権兵衛にキイナは実は予想外の戦力だ。私の力もまだまだ人の流れを知るには足らないようだ・・・」
「何です? あなたの実力でもわからないことがあるんですか?」
「皮肉か? まあ、君らしくはあるがね。・・・最後の質問という割にはまだ続ける気のようだな。まあいいが。そう、運命は神が握ると思われがちだが、実際は神とて人の命運を分けるような力があるわけではない。人の中に眠る何かこそが人の命運を分けるものなのだ。神はそれを多少引き出しやすくさせているのに過ぎない。結局は、その人間の実力ということなのだ」
「・・・なるほど。いい話を聞かせてもらいました」
プラフィスはそういうとパイロット室へと歩き出す。
「・・・そのままで神に勝てると思っているのか?」
プラフィスはその歩みを止める。
男のいうことも一理あるが、自分としては戦うしか選択はない。
振り向かずに口を開いた。
「手伝ってくれるとでもいうのですか?」
「直接はしないが・・・せめてこの神の力の素を使いたまえ。君の力をはるかに引き上げてくれるはずだ」
神の力の素は別に傾いてもいないのにころころと転がり始め、プラフィスの足元までくると止まった。
「・・・礼はできませんが、よろしいですか?」
「かまわない。どうせくれてやるものだ。死にたくなければ使うといい。使い方は・・・貴女なら知っているはずだ」
そういうと男は振り返って歩き始めた。
「待ってください」
唐突にプラフィスは男を呼び止める。
男はそれを聞くとすぐさま立ち止まる。
「・・・最後に、あなたの名前を聞いておきましょうか。神の世を終わらせるものというのも呼びにくいですしね」
「・・・いいだろう。私の名は・・・まあラグナロクとでも呼んでくれ。神々に黄昏を導くものだ」
最後のセリフと共に男、ラグナロクは消えていった。
プラフィスもラグナロクが消えた気配を感じると神の力の素を手に取り、間近に迫る神との決戦のために歩みを進めた。
座談会ですよ〜
ラグナロク:今回は作者も交えての座談会となりました〜!
ギアロー:おのれこやつ・・・最初はフクロウに轢かれたくせに・・・
ろう:ふ、ふくろうに轢かれる・・・? いったい何が・・・
ラグナロク:まあいいとして。今回はようやくいろいろと秘密裏に運ばれていた事実を語らせることができました。自分も出れたし。
プラフィス:結局いいところ取りですね・・・しかも、いつものような仕様はどうしたのです?
ラグナロク:単純に書いているうちにこうしたほうが読者様がきっちり集中できるかなぁ〜、と思いまして。ひとまず事実の一部の公表ということに集中させました。
九牙:確かに、前のものを見てみると展開によっては一部しか設定が出てこない上に他のパーティーとの情報が錯乱してわけのわからんことになっているな・・・
ラグナロク:事実はこれだけでないので、これからまた混乱させてしまうかもしれませんが・・・何とかわかるようにしたいと思いたいですね〜。
ろう:なんスか、その表現・・・やる気が感じられないっスよ?
ラグナロク:・・・いや、そういうわけじゃないんですけど、やっぱり自分の知っていることと他の人が知っていることがあるものでして・・・
ギアロー:しかも権兵衛とキイナは関係なかったのになぜ参戦することになったんだ?
ラグナロク:ある意味お前が原因。
九牙:なるほど。不思議と納得できる理由だ。
ギアロー:確かにな・・・
ろう:り、理不尽なこといわれているのになぜか納得してしまってるっス・・・
ギアロー:どこが理不尽だというのだ!? この俺が理不尽といったら常識に従われることだけなのだぞ!?
ろう:な、なんか変なこと言い切ってるっス!?
ギアロー:俺の言うことが聞けないのならば・・・
ろう:誰も聞かないっていってないっすよ!?
九牙:だが聞くともいっていない。
ろう:ひ、ひいいい!!
ギアロー:俺に蹴られてふっとべぇ!
バキッ
キイイイィィィ・・・ン
ろう:え、ええっと、自分が吹き飛ばされてるっスね・・・
九牙:もはややつはいないんだ。突っ込むだけ無駄だろう。
ろう:いや、率直な感想いっただけっすけど・・・
ラグナロク:さて、きちんと布石もおいたことだし、次回からがんがん神と戦ってもらいますよ〜。パーティーもしょっちゅう入れ替わりますし。
九牙:パーティーの頻繁な入れ替わりは最近の作者のブームらしい。まあ、つきあってやってくれ。
ろう:わかったっス〜
プラフィス:まあ、仕方ないですね・・・
その頃の権兵衛
権兵衛:ん? なんだか貨物室のほうがにぎやかだな・・・まさかこの俺を除いて酒盛りでもしてんじゃないだろうなぁ!? くっそ〜、乱気流に飲まれてなければ俺も行ったのに・・・
つーか、乱気流に飲まれているのに酒盛りするような奇妙なやつらはいるのだろうか(いや、あのパーティーはやりかねないが・・・)