レヴォルトパーティー
12話 空飛ぶ猫
いやぁ、なかなかいいものだな。空の旅というのも。
私たちは今部屋っぽいところでモビルスーツのごとく直立不動の体勢でこの飛行機の振動に耐えている。
そんな事しているのは私だけのような気もしなくはないが。
「ところで権兵衛よ、この乗員10名の飛行機になぜお前ひとりしか乗っておらんのだ?」
「そりゃ、貴様の姓だということが自覚ねえのかよ!?」
大声でどなってくる権兵衛。まったく、うるさいったらありゃしない。
そりゃ、確かにあの時墜落させてしばらく私が魔法を見せびらかしていたことがあったり、手違いで黒こげにさせたりしたことはあるが、その程度ではないか。
「しかし、何とかならんのか、このトイレ」
九牙が言う。
「うるせえ! 俺だって金がたまれば買い替えるわ!」
スピーカーで言ってくる権兵衛。この大声は何とかしてほしいものだ。
「だが、和式はさすがに古過ぎるだろう?」
「いやいや九牙よ、その表現は間違っている。正しくは金隠しだ」
「あほかおまえらは・・・ってうわ!」
あほとはなんだ、けしからんやつだ。だが、なんか様子が・・・普通か。きっと空飛ぶ人、そう、遁世とかつぶしただけかもしれないし。
「おまえらすぐこい! 何か変なのがきやがったぞ!?」
「何?」
九牙がすぐに操縦室の扉を開けて入っていく。
だが私はきっとエアーポケットかなんかだと思い、何の疑問も持たずに碧雲に穴を開けて飛ばされてみる。
「ああ!?あいつ穴開けてなんかふっとびやがったぞ!?これじゃ俺たちもおちっちまうじゃねえか!?」
「それよりなんだ、この窓にへばりついている物体は?きっと猫なのだろうが、多分違うだろう」
「当然だ!こんな超高度に動物がいたら破裂してるわい!」
顔を真っ赤にしていっている権兵衛。
ん?なぜ私がこいつらの状況がわかるかって?
なぜならばそのふっとぶ方向を逆にして、ものすごいスピードで碧雲を追い抜いているからだ。
「だー!あいつ何やってやがんだ!」
「安心しろ。おまえの飛行機はすでに死んでいる」
「しゃれん何ねえだろうが!?」
「ところでどうする?この猫は?」
九牙はこの私にどうして声が届くのか突っ込むのを忘れてなんかの物体の対処に困っている。
まったく不愉快だ。
「くぉら!ギアロー!貴様直しやがれ!」
「なんだ。『あ』プラス『た』(×100)が欲しいのか?」
「誰がいるか!」
「ならばこの猫にくれてやろう。あたたたたたたたた・・・」
「ふぎゃ〜!な、何するんスか!?」
私が猫と断定したその生物は叫ぶが私は気にしない。
「お?人語を話しやがるぞ、この猫は」
「権兵衛、リアクションが淡泊になっているな」
「当然!ギアローの方が数百倍は突っ込みどころがあるからな!」
「そりゃそうだが・・・」
「とと、とりあえず中に入れて〜」
「どうやって?」
猫の哀願に無理といっているようなもんの九牙の台詞。
「なら俺が何とかしよう」
「おや?ギアローが親切にするなんて、空からコロニーでも降って来るんじゃないか?」
「この世界観だと本当にきかねんからそういう悪い冗談はやめてくれ・・・」
さすがにそのような事態になったらしゃれにならんからな。権兵衛も青ざめるものだな。
逆に宇宙に向かってコロニーを打ち上げている最中にこいつにぶつかればギャグなんだが・・・
「・・・何だか不吉な方へと想像がいっているぞ・・・ええい!どんな下心があるかわからんがさっさと俺の碧雲を直してその猫を連れてこい!」
「了解した。帰還する」
「・・・下手な落ちがつかないうちに何とかなりそうだな」
その後、私はおもしろいように九牙に見張られながら碧雲を直してやる。
ちなみに猫は逆さ吊りだ。
「な、何でこんな目に・・・」
「こんな高度で泳いでいるからだ」
「お、泳ぐ?」
「気にするな。三毛猫よ。こいつの言うことにいちいち反応していては命がいくらあってもたりんぞ?」
「い、命がっスか?」
「ああ、やつに冗談を言わせれば太陽が落ちて来かねない。良くてもコロニーだ」
「よくてっスか!?」
「誰がポク○だ!」
「誰もいってない。○クテなんてやばいものをわざわざなぜ引き出す・・・」
「やばいのか?」
「著作上、何かとな」
「伏せているではないか」
「まあな」
「と、とりあえず降ろしてくれないっスか?」
「何だ、こいつ遁世だったのか?」
「伏せなくてもいいが大きく違う。口癖が同じようなだけじゃないか・・・」
「・・・無視されてるんスね・・・」
『おい、てめーら猫の正体はわかったのかよ!』
「まだだ。そう慌てるな。時間ならいくらでもあるのだからな」
『まあ、確かにあるけどよ。拷問は程々にしときな』
「ごごご拷問!?拷問されるんスか!?おいら!?」
「するわけなかろう・・・別に敵でもあるまいし」
「ならこの逆さ吊りはいったいなんスか?」
「拷問の準備に決まってるだろう?」
「ひいいい!?」
「まあ、とりあえず三毛猫になりたくなければ名前を言うんだ」
「いや、もともと三毛っスけど・・・」
「それにこの状態ならば別に拷問をせずとも名前くらいいってくれるんじゃないか?ギアローよ」
「そんなものか?」
「多分な」
「多分じゃなくともそうっスよ・・・おいらの名前はろう・ふぁみりあっス」
「む?小御所か!?」
「小御所?なんだそりゃ」
「なに!?ちまたであの大御所の協力を得たという伝説の人物ではないか!?」
「そのちまたのうちに入っているおまえは何者なんだ・・・」
「それにいったいどういう関係で小御所なんていうんスか・・・」
「ああ、今やNP連盟はばらばらになっている・・・早く大御所の再興を!」
「いや、ここで言うものではないだろう・・・」
「・・・ところでおいらはどうなるんスか?」
「我々の力になれるような特技があればよし、そうでなければ自爆しろ!」
「・・・おいらは自爆しかできないんスけど・・・」
「なにぃ!上等だ!やってみろ!」
『こるぁー!碧雲壊したらただじゃおかねえぞ!』
「あうう・・・どっちに従えばいいんスか?」
「特技ができてもできなくても自爆しなくっちゃいけないんなら自爆すればいいではないか」
「いや、そりゃ正論スけど・・・」
「ええい!するのか!されるのか!はっきりしろ!」
「んじゃ・・・」
「ええい!手間かけさせよって!」
「・・・しろっていったのはあんたっスよ」
現在、爽快に自爆されて権兵衛に碧雲の修理を空中で強制されている最中だ。
ちなみに九牙とろう・ふぁみりあは室内でゆっくりしている。
自爆しても一応平気らしく、再び三毛猫になっている。
「まあ、そのうち核爆もすると思うんでよろしくっス」
「よくするのか?」
「ええ、多分ここならよくやるとおもうっス」
『ギアロー!乗せてやってんだからきりきり働け!』
「キサマー!上に反逆してくせに指図するな!」
「?神って自分の事いってるんスか?」
「いや、我々の戦っている敵」
「・・・へ?」
○カルの五
ギアロー:妙なものだな。
九牙:妙だ。
権兵衛:おもしろいといえばおもしろいが。
ろう:これからよろしくっス。
権兵衛:しかし・・・三パーティーの中でも最もたちの悪いところにきちまったな・・・
ろう:おいらもそうおもうっす。
九牙:というよりこいつひとりでこのパーティーの凶悪さをかもしだしているようなものだし。
ろう:・・・そう思えないのはおいらだけっスか?
ギアロー:まあ、何はともあれ、ともにがんばろうではないか?
ろう:・・・自信ないっス。
権兵衛:まあ、なんとかなるもんよ
ラグナロク:さあ、定石(?)通り、空から降って来ましたよ、猫が(おい)しかし、このパーティーは本当にバランス悪いような・・・まあ、それはともかく、次はクアムだ。ふーむ、このストーリー、終われるだろうか(おい)