フェイはスノウブリギットを操ってデンテイルを追っていた。

(待て〜、変なやつ〜)

フェイは魔笛を通してデンテイルに話しかけていた。

「こ、こいつ・・・化け物か!?」

と、いろんな方面で突っ込む。

それもそうだろう。

おそらく、このパーティーの中でギアローに継ぐ実力の持ち主であるだろうから。

実は、デンテイルは以前ギアローが相手にしていた醜悪な天使と同程度の実力しか持ち合わせていない。

フェイならばこの程度の敵ならばすぐに倒すことができるだろう。

だが、曲者はデンテイルの乗っているスノウブリギット。

明らかに特殊な力を持ち合わせているだろう。

そこのあたりはフェイも警戒していた。

「ちっ! 空中戦なら俺たちの方が上だ! 行くぞ!」

そう言うとスノウブリギット・・・すでにフェイは別にカイザーブリギットと名前をつけているが・・・はこちらに方向転換してくる。

(カモーン!)

そう言い(?)ながらもフェイは自分の行動範囲を確認する。

まず、タロットが使えない。

だが、これは特に戦力としては考えていないようだ。

次にシラー。

これも両手がふさがっているので使えないが、空中戦ならば使うことはないので問題はない。

つまり、自分の負ける確率はゼロ。

一体どこからそのような算出しているかは不明だが・・・

「風を巻け!」

そう言うとカイザーブリギットが羽ばたき始め、スノウブリギットがうまく飛べなくなってきた。

(『風翔』)

フェイはそうイメージすると、風は相殺された。

だが、いつの間にかにまぎれていたのか、鋭いとげ付きの小さな氷が風が止まったことによってフェイに襲いかかってきた。

(ちっ!)

これはさすがによけることもできずにダメージを負うが、それほど支障のあるものではない。

だが、それだけでなく、巨大な雪球が目の前に現れたのだ。

(『火城』)

急いでイメージし、雪球に炎をぶつけるが、中にあった氷が破片となった再びフェイを襲う。

これまたダメージを負ってしまった。

それだけでなく、今度は破片も大きかったため、バランスを崩して落ちてしまう。

(来い! わが下僕!)

そう魔笛で呼びかけると、急いでスノウブリギットはフェイを拾うが、カイザーブリギットの体当たりをもろに食らってしまう。

(くっ・・・馬の上の大将をねらいたければそこらへんの小石で遊んでいろ・・・いや、ちょっと違う気がするが、何かそんな言葉どおりあのカイザーブリギットを撃ち落とそう)

明らかに違うことわざを使うが、とりあえずデンテイルは大したことなさそうなのでカイザーブリギットを狙う。

だが、どうも隙はない。

それどころか、あちらこちらに飛び回っていて、たまに体当たりを食らい、落ちそうになったり、先程は氷の中に閉じ込められそうになった。

(・・・しかたない、めんどくさいから使いたくなかったけど・・・)

と、何かの準備を意識の中でし始めた。

「はっはー! やはり空中では俺が勝っていたようだなー!」

そう言ってもう一度フェイの乗るスノウブリギットに体当たりをしかける。

さすがのスノウブリギットも体力が尽きて、フェイを拾うこともできずに落ちていく。

「はっはっはぁ! あの世で神に逆らったことを後悔しな!」

そう言ってそのまま飛び去ろうとする。

(・・・残念、召還はもう終わった。おまえの命は終了〜)

そうフェイが思った瞬間、フェイの落下が止まる。

フェイは炎の魔人・・・イフリートの手の中にいた。

デンテイルは顔面蒼白となる。

「さあ、とっととやってしまえ!」

フェイはそう命令すると、イフリートは手をかざし、炎を集め始めた。

「なにぃ!? 回避に専念しろ!」

「無駄だ、私の魔法は百発百中・・・」

そうして、イフリートの炎がカイザーブリギットに向かっていくつも放たれた。

「ぎゅいいぃぃぃぃぃぃ・・・・!」

その炎は羽に当たったり、胴体に当たったりしていたが、頭に当たると、たまらずカイザーブリギットは断末魔の声を上げ、落ちていった。

「く、くそぉぉ!」

デンテイルはそう言っていったん撤退しようとするが、体が動かない。

「な・・・」

「デンテイル・・・おまえは私を傷つけた。その罪はその身をもって償ってもらうぞ」

いつの間にか目の前にいたフェイを見つめて絶望するデンテイル。

フェイの手にしているのは赤い光の剣。

シラー、炎の形態だ。

「フィニッシュ!」

「フィフレイド様ーーーー!」

デンテイルはそう叫ぶと、フェイの剣が真っ二つにする。

そして消滅していった。

「・・・さて、後は適当に落ちてみようか」

・・・結局意味があるのかないのかわからない行動に移るフェイ。

 

 

ギアローはどこまでふっとんだ?

 

他のものの様子を見る