楽しそうにふっとばされているキイナ。
その上には遁世が飛んでいた。
「と、登場シーンでもないのに空を飛ぶとは、正義の味方の名に・・・」
「なにこだわってるの☆」
とりあえず、二人は飛んいって、落ちたのは森の中だ。
それも、雪が相当積もっている。
そのおかげで、二人は何とか生きていることができた。
「いたたたた・・・」
「そんな重いもの着ているから♪」
キイナが言う。
「うるさい!それにあの高さじゃ、誰だって無傷じゃすまないだろう!」
と、言うものの、キイナには傷ひとつない。
「残念でした♪私は(一応)レビデト使えるのよ♪」
「・・・」
「とりあえずその傷、治してあげようか☆」
「あ・・・あいつみたいなことはしないよな・・・?」
「大丈夫♪」
このまえのことを思い出して身震いする遁世だが、確かにキイナの方が安全な気がする・・・と思いきや。
「ぎゃっ!」
「・・・ごめんねぇ〜、ポイズンになっちゃった♪」
「・・・もういい」
とりあえず地面にへのへのもへじを描きながら倒れる遁世。
「じゃ、これでなおそっと☆」
と、取り出したのは毒消しとハイポーション。
「最近のハイポーションは回復率が高くなっているから便利ね♪はい☆」
そう言ってその二つを無理やり飲ませると、遁世は目覚めた。
「ん? ・・・一体何が・・・」
「気絶してたんでしょ☆」
「わ〜! 逝かされるのはちょっと待ってくれ〜!」
と、キイナがメイジマッシャーを振り下げようとした時、先程まで聞こえていた小鳥のさえずりが遠ざかっているのに気がついた。
そして空気の変化。
あの時と同じだ。
「遁世君♪ 戦闘準備☆」
「な、何だぁ・・・!」
遁世はそこからすぐに離れた。
そして、遁世のいた場所に、小さなまるまるとした青い服を着ている小人が鋭い剣を持って攻撃していた。
キイナもメイジマッシャーの標的を変え、左右にいた小人たちの攻撃を防ぎ、間合いを取ろうとしたが、木が邪魔でうまく動けない。
その隙を見てその小人たちはキイナに向かって攻撃する。
一匹は右によけて何とか避けるが、そこを狙っていた小人の攻撃は防げない。
それでも何とか避けようと体を動かすが、攻撃が当たるまえに遁世が上からやって来て、空中でその小人を蹴り飛ばした。
小人はそのまま木にぶつかると思ったが、くるっと回り、木を蹴ったと思うと、どこかに消えてしまった。
キイナに攻撃を仕掛けていた小人の方は、何とかキイナのメイジマッシャーの一撃を当てることができたが、それは決定打とならずに小人は消えてしまう。
もう一匹、遁世を狙った小人はもうすでに姿を消していた。
「ちっ、すばしっこ・・・」
遁世が言い終えるまえに三匹の小人たちは再び攻撃を開始してきた。
遁世は上の小人を殴り、下から攻撃してきた小人を踏むが、もう一匹の小人に太ももを貫かれ、それにひるんだ瞬間に踏んでいた小人にアキレス腱を切られる。
それを見て反応したキイナも、遁世が最初に攻撃した小人に肩を切られる。
そして三匹の小人は姿を消した。
「くっ・・・ここはやつらのテリトリーだ・・・もっと広い場所に移動しないと・・・」
「・・・任せて☆」
そう言って遁世のアキレス腱を回復魔法で直す。
今度は成功したようだ。
遁世はアキレス腱の調子を見てみるが、とりあえず何とかなりそうだ。
「こっち♪」
そう言ってキイナは走り出す。
遁世はそれについていくが、どうもキイナの様子が少しおかしい。
そんな風に思っていると、三匹の小人に阻まれた。
だが、キイナはそれに構わず走っていく。
「キイナ!? ちい!」
そう言ってキイナを狙おうとしていた小人たちを倒そうとする。
だが、すばしっこいうえに木が行動の邪魔になる。
結局、遁世は小人の短い足のキックのえじきになっただけだった。
「相手にしないでついてきて♪」
そう言って更にスピードを上げるキイナ。
遁世はどういうことかわからなかったが、とりあえず全力で追いつこうとする。
ひとまず、並ぶのに一分もかからなかったが、それから小人の攻撃を防ぎながら移動すること五分。
何と、大きな湖にたどり着いたではないか。
「・・・ここならやつらが来ても怖くないな」
「うん☆ でも足下に気をつけてね♪」
「大丈夫だ! 今度は一撃で決める!」
そう言うと遁世の拳に炎が出てくる。
小人たちはすぐに二人を追いかけてきた。
「こいつで終わりだ! 『魔法拳フレア』!」
そう言って小人に向かって突撃していった。
そして爆発音と共に小人たちの半身を吹き飛ばしていった。
「よっしゃー!」
「バカ☆」
「え?」
その言葉を聞いたかと思うと、遁世は足をすべらせた。
別に遁世は今、移動していたわけではない。
立っている状態からすべったのだ。
つまり・・・
「こ、氷が〜!?」
「きゃー☆」