MASUTER CROSS 第二話 『動き出す魔王』
異変は一瞬だった。
その場の空気が凍りつき、フィセアにそっくりな少女を包む。
外回りが凍ってきているのだ。
「くっ……!」
俺は、慌てて表に出て即座に黒神の剣を抜く!
「刃よ!」
俺の言葉と同時に、柄の部分から剣が伸びる。
これが俺の剣の一つ。
いや……片割れ、黒神の剣だ。
ぶぅん……
一瞬にして現れる謎の女!
俺はそいつがふっ……と笑うのが見えた、いや……
見た、間違いなく。
「魔龍 銀よ、この少女を助けたくば、我を殺してみよ!」
「なら……やぁってやるぜっ!」
某キャラの台詞を言ったあと、俺は黒神の剣を天に掲げる。
だが一つ疑問がある、奴が何故俺の名前を知っているのか?
………………
聞き出す。
「破邪龍聖流 雷帝斬……」
稲妻が、天地を駆ける!
黒神の剣がひときわ輝いたとおもうと、その全てが黒神の剣へと集まる。
そして、黒神は雷帝黒神剣と化す!
そう、破邪龍聖流 雷帝斬とは、魔法剣なのだ。
それは……持ち主の意思なしでは消える事のない無限の力と化す。
行くぜっ!
「覇王雷天斬!」
雷帝黒神剣を俺は縦に振るう。
稲妻の波動が、的へと押しこまれるっ!
大地がえぐれ、稲妻が更に奴に迫る。
ズゴッ!ズゴオオオォォォオォォオオッ!
雷が爆発し、すさまじい爆発が起きる!
「………やべぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
俺は頭を抱えてしまう。
ここは、屋外だぁぁぁぁぁ!!?
つまり人もいるしいい迷惑にもなる。
結界も張り忘れてたし……
「ふふふ……安心しな、ここは結界内だよ」
「しつけぇな……てめぇ……」
「ありがと」
さも楽しげに言う。
だが、俺の雷帝斬を食らって平然とした表情でいるのだ。
油断は出来ない。
「流れる力よ!我が周りに新たなる障壁を築け!」
とりあえず結界を張る。
「ふふふ……この娘を助けたくないの?」
「そこまで言うのなら……本気でやるぞ」
「勝手にどうぞ?」
その言葉を聞いた瞬間……
カッ!
俺の体が輝いたかとおもうと、その女の体はその光に巻き込まれ……結果。
ズゴォォォォォ!
俺を中心に全てが破壊された。
……と、言っても正直な所、ここは結界内だった。
それにまぁ……そこまで大げさじゃないし。
奴が張ったのだ。
見ると、全ての光景はもとどうりになっている。
そして、少女も……
「ふう……」
一息きついて、俺は少女のもとに駆け寄る。
……寝ていても、彼女からかもし出されるやんわりした感覚が伝わってきそうだ。
青い髪と金色の人身の性もあって、まるで本当にフィセアみたいだ……
しばし、ボ−と見入る。
「はっ!?」
……俺はなにしてるんだ?
「あらかたかたずきましたね、フィセアさん」
「はい……」
そう言うフィセアの言葉は、上の空だった。
心ここにあらず……て、感じかな?
「心配なんですね……魔龍さんの事」
ニュ−がそう言う。
フィセアは一瞬と惑ったが……
「はい……」
と、頷いた。
「……おいっ、大丈夫か?」
俺は彼女の頬を叩いた。
と、言っても軽くで、ぺちぺちとおとがするくらいだ。
しばらくして、要約反応が返ってくる。
「うにゅぅ……寝させてくださぁい……」
……本当に、夢 フィセアにそっくりだな……
よ〜し、以前フィセアにした起こし方で起こすぞっ!
俺は、すうぅぅぅぅぅぅ……と息を吸い……
「起きろぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!フィセア!」
「ふわぁ!?はいぃ!?」
彼女が、ガバリと起きると驚いたように……いや……驚きながら起きる。
以前、これは夢フィセアにした起こし方である……
と、言うか日常……
「……………?」
そして・気付いたように首をかしげる。
「よっ、おはようさん」
俺は、彼女に声をかける。
そして、はっとしたように彼女は俺の方を見る。
「ま……」
「?……」
「魔龍さぁん!」
がばり!
「ぬあっ!?」
俺は驚きの余り声を出す。
そりゃそうだ、見ずしらずの少女(もしかしたら何処かであったかも……?)にいきなり抱きつかれたら、普通は驚くだろう。
「?どうかしましたか?私ですよ、フィセアですぅ」
彼女は首をかしげる……だが、今のではっきりした。
一番待ち望んでいた瞬間……それが現れたのだ。
「フィセア……?本当に…君は…あの時の夢 フィセアなの……か」
「はいっ!」
元気よく答える。
俺は、目に熱いものがこみ上げてくるのを感じた。
それをじっと抑える。
「戻って……来たんだな……本当に……」
「はい……戻ってきましたよ……魔龍さん……ううん…」
彼女は改めて言い直す。
「銀……さん」
彼女は、本心から嬉しそうに微笑んだ。
「どう言うことでしょうね……?」
ニュ−はそう言いながら深い溜息を付いた。
それに続きフィセアも溜息を付く。
「はい。あの方たちはニュ−さんのことや魔龍様の事を明らかに狙ってましたね」
「それは違いますよ……狙っていたのは、私じゃなくて魔龍さんみたいです」
「えっ!?」
フィセアが露骨に驚きの声をあげる。
しかし……どう言うことだ?
「それってどう言う……」
フィセアも同じ疑問をもったらしい。
「奴等がはっきり言ったんですよ。『今回の狙いはてめぇらじゃねぇ』……てね」
「そうなんですかぁ……」
「着いたな……」
「ここが……銀………さんの家」
俺は、それを聞き頷きながらも不服そうに言う。
「そうだが……まだ、俺の事をしたの名前で呼べねぇのか?フィセア」
「ううっ……だって恥ずかしいんだもん……」
そう言い泣きまねをする。
だが、そんな調子でも嬉しかった……彼女が戻ってきてくれたのだから……
登場人物たちによる勝手な座談会。
魔龍:どぉも!魔龍です!
フィセア:うう……魔龍さまぁ……
魔龍:はいっ!?フィセアさん、どうしました?(汗)
ユメ:二股は駄目よ、銀………………さん。
ニュ−:いやぁ……にぎやかですねぇ…(にやり)
魔龍:てめぇら!人をなん……(ユメとフィセアの非難の目)はい……(泣+汗)だが……俺はいつ、フィセアの恋人になった…?
フィセア:うっ……
ユメ:違うの?
ニュ−:そ〜言えばそうですね。
魔龍:と、とりあえず……二股疑惑は消えたな……
ニュ−:残念ですね〜
魔龍:なにがだっ!
フィセア:うう……ぶつぶつぶつ……
ニュ−:いや、私に文句を言われても……
ユメ:ま、それならこれから……
魔龍:サイレス!
ユメ:……………(じ〜)
魔龍:し、視線で言わないでくれ……
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第三話 『夢、虚ろぐ者』