MASUTER CROSS 第三話 『夢、虚ろぐ者』




「ただいまっ!」
「おじゃまします!」
俺とユメは、共に俺の家に入った。
そして、玄関でふうっ……と、息を吐く。
「ここが、俺の家さ」
「……広いねものすごく!」
彼女は感心した風に言う。
俺はそれに少し照れながらも答えた。
「ははは……でも、家には俺とニュ−と……」
思わず最後は言いよどんでしまう。
このユメの事だ……どんな事を言われるか……?
「と……?なに?」
ユメは不審に思ってか、俺を問い詰めるような目で見る。
うっ……こう言うことはものすごく敏感なのだ……呆れるほど。
普段は普通なのに……いや、ちょっとボケてるけど……
「どわぁ!?」
前から、声が聞こえる、ニュ−の声だ。
「あ、ニュ−さん。お久しぶり」
にこり、と笑って言うユメ。
そう言やぁ……ユメとニュ−って初対面じゃねぇな……
「え、ええ……本当にお久しぶり、ですね。夢フィセアさん」
だが、その言葉に、俺は驚きを隠せなかった。
「おいっ?ニュ−……反応、それだけかよ?」
俺は、そういいながらニュ−に近づく。
無論、ユメには聞こえない。
「ええ……あなた事ですからね、いちいち驚いてもいれませんし……それに……」
その言葉に、俺は溜息をつき。
「なんか……非常に酷い言われようだな……」
俺は、そういいユメの方に向き直る。
「ともかく、ニュ−に家を案内してもらってくれ。俺は、少し野暮用がある」
俺はそういい、玄関から出る。
その時俺は忘れなかった、ニュ−に目配せをするのを……
ニュ−はコクリと頷き、ユメを連れておくの方にいった。




どれくらい、歩いただろう?
おそらく、数分も立ってないよだが……
「でてこい、俺にようがあるんだろう?」
辺りを見回しいった。
そして、五つの影が現れる。
赤、青、茶、緑、黄。
その五色の色の入った服……と、言うかマントをそれぞれ着ている。
中の服は、ゆったりとした物を着ているためか、よく分からない。
暗闇のせいもあるが……
「よく、気付いたわね?」
その中の、赤……赤色の服の奴が俺に言う。
声と、体形からして女のようだ。
「へんっ……気配の消し方は及第点だが……俺には意味ねぇよ」
そういい、俺は念のためにと黒神を抜く。
柄の部分で、なおかつ暗闇のために非常に見えづらいからだ。
「そうか……ならば、最初から当たっていた方が良かったというわけだな」
青い色の服を来た奴が前に出ながら言う。
こちらは、男の用だ。
なるほど、リ−ダ−核はこいつのようだ。
「へへん……なら、とっととやっちまおうぜ」
そういい……黄色のマントをきた奴が言って手をバシィぶつける。
口調は男だが、声は……女だ。
「いきがるな、奴の実力はなかなかだぞ」
そう冷静に言い放ったのは緑色のマントを来た奴だ。
「一つ聞く、何故、俺を狙う?」
俺がそういうと、茶色の奴はふんッ意気込み。
「なにを言っているの?あなたが私達の……仲間を!」
そう言い、きっと俺をにらみつける茶色いマントの女。
「………………?」
「……名を問おう……」
俺はそういう、すぅ……と、赤マントの女は息を吸う。
「赤の……紅」
「青の……閃光」
「黄の……蓮」
「茶の……覇」
「緑の……龍」
「違う、本名の方だ」
≪………………!≫
奴等全員に、驚きが現れる。
茶色いマントの女が……覇だったかな?
「久美よ、佐藤久美【さとうくみ】」
次に出てきたのは、青マント。
「……アクア……だ、アクア・フル−ト」
その次は赤。
「竹下弥美【たけしたひさみ】よ」
次は緑だ。
「黄端龍【きつまりゅう】」
そして、最後に黄色。
「加賀慶嘉【かがけいか】だ!あんたの名も聞きたい!」
全員の自己紹介が終わった時、俺も名乗る。
「魔龍 銀、だ。俺には、本当にお前等にタ−ゲットにされる理由が分からん」
「あなた!まだそんな事を!?」
久美が意気込みながら言う。
とは言え……
「ちょ、ちょっとまてよ!本当だって!第一、俺はお前等に会ったこともみた事もねぇぞ!」
「あなた……よくも、あれだけ人を殺しといて……!」
その言葉を聞いた時、俺は彼女の怒りを感じた。
……違う……
「待てよ!第一なっ!俺の名を語る奴だっているんだぜ!それに、俺は人殺しはしてねぇ!俺は、魔族や降魔しか倒してねぇ!」
ちなみにこれは本当である。
それと、降魔とは要するに人の地を支配しようとしているもの達だ。
しかし、彼女たちはその言葉に……
「聞く耳持たないわ!死になさい!魔龍 銀!」
茶色マントの女が、マントを脱ぎ捨てながら言う。
そして、腰のサイ・ブレ−ド【精神剣】を抜きながら俺に向かってくる。
やれやれだぜ……
「はぁっ!烈空大地斬!!!【れっくうだいちざん】」
久美は、俺に剣の柄を向けながら気を一転に集中する。
そして、生まれたブレ−ドに大地の力を注ぎそれを俺に打ち放つ。
大地が崩れ俺に向かってくる。
「はぁ……」
俺は、溜息を付きながら腕を軽く振るう。
バシィ!
いつもながら、非常識にも敵の攻撃を消滅させる。
余りの事に、久美達は呆然としている。
「言っただろう?俺の相手はてめぇらじゃつとまらねぇって……な」
俺はそう言い、彼女等に近づく。
ざっ……
公園に、俺の足音が木霊する。
「くっ……」
彼女等はあせってか、一歩後ろに後退する。
しかし……理由を聞かせてもらわねぇとな。
「……グランド・ブレイズ!」
ぐぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!ごぉぉぉぉぉぉぉ!
久美達五人の周りを青き炎が覆う。
無論、直接当たっているわけじゃない、が。
退路は間違いなく絶たれた。
「私達を……どうするつもり?」
弥美が、俺に問いかけてくる。
俺は、ふっと笑い……
「別に……ただ、どうして俺があんたらの敵なのかを聞かせてもらおうと思ってね」
「まだ言うの……!『フォ−ド』を破壊した奴が……!」
『フォ−ド』?
て、あの、『軍事秘密基地 FOD特科』通称『フォ−ド』。
それなら……
「あ、なら違うぜ。俺は、極秘課の人間……つまり同じ場所で働いてる人間だ」
「……はい?」




「なぁんだ、そうだったの!それなら言ってくれれば良かったのに」
「久美……問答無用で攻撃してきた馬鹿はどいつだ……!」
「あははは、忘れなさいよ!」
ばしばし俺の背中を叩きながら言う。
ここは都内の飲み屋『おいっ!』
あの後、お互い事情を説明しあい、疑いは晴れたのだ。
そのとたん、180度こいつは視点を変えやがった……
たくっ……
「弥美……アクア……久美の教育がなってねぇぞ……」
「ごめんなさい……」
「面目ない……」
「それって、どう言う意味よ!」
俺が、アクアと弥美にそういってるといきなり久美が入ってきた。
それに俺は……
「そのままの意味だ!」
「むぅ……」
彼女はなにやら考え込むしぐさをしてぽりぽりと頭を掻く。
そして、しばらくして口を開けて。
「く〜……」
「寝るなぁ!」
飲み屋に俺の声が響いた。




「ただいま」
俺はそう言いながら家に戻った。
「お邪魔します!」
「くぅ……」
「お邪魔します」
「お邪魔させてもらうぜ!」
「お邪魔します」
つうわけで、他の奴等全員が俺についてきてしまった。
むぅ……だってなぁ……一夜の寝床すら危ないって言うんだもんな……
「今日はお客様が多いですね、魔龍様」
フィセアが俺にニコニコしながら言った。
「ほんとだよなぁ……でも、ま、フィセアは新たな住居人だしな……」
「……?何か言いましたか?」
「いぃや、一人事、さ」
「はぁ……」
彼女はあいまいに頷くと、他の人々を連れて行ってしまった。
さてと……
「ニュ−!いるか?」




「どうしたんです?魔龍さん」
ニュ−は、俺の前にすぐに来た。
俺は、ニュ−をじっと見。
「……そろそろ、話してもらおうか?」
「……なんのことです?」
一瞬間をおき、返事は帰ってきた。
「とぼけんな、何を隠してやがる。さっき、お前は言葉をひとつだけ濁しただろう?俺がきづかねぇとでも思ったか?」
「…………………」
しばしの間、沈黙が起きる。
だが……その沈黙を破ったのは俺だった。
「……もういい、いずれ話してもらえるか?」
「……すいません」
ニュ−は俺に頭を下げた。





魔龍達による勝手な座談会。


魔龍:よっ!魔龍だ。
久美:始めまして!佐藤久美ですっ!
魔龍:……なんで、お前が?
久美:いいじゃないの!ね?
魔龍:てめぇらのせいで、俺はユメとゆっくりと話が出来なかったんだぞっっ!
久美:あはは……いいじゃないのよ、別に。
魔龍:『ギラリと睨み』一回殺してやろうか?
久美:あ、あはは……
魔龍:………………
久美:……ごめんなさい。
魔龍:よろしい。
久美:でも……どうして私達がいるってわかったの?
魔龍:第六感。
久美:……はい?(−−;
魔龍:いや、だから第六感が俺は常人よりもはるかに優れてるから……(実は、第五感もだけど)
久美:あなた……人間?
魔龍:あのなぁ……常人よりも確かに強いけど、俺は人間だ。
久美:怪しい……
魔龍:うるせぇ。
久美:だってぇ……
魔龍:だっても、なにかでもねぇ!
久美:なにかって……なに?
魔龍:うるせぇなぁ……ともかく、俺は人間だ。
久美:う〜ん、お約束だけど、ま、これくらいにしといたあげるわ。
魔龍:……魔闘鬼神流。
久美:冗談だって……(^^;


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