MASUTER CROSS 第一話 『マスタ−・オブ・スタ−』
ちゅん…ちゅんちゅん、ちゅん……
優しい昼の光が差し込める中、黒髪黒目の男は目を覚ました。
顔立ちは……わからん、なんとも言えん。
「う……う〜ん……」
俺は、いつもの芝生でいつもの通り大きく息を吸う。
おっと、自己紹介がまだだったな。
俺は、魔龍 銀て言うんだ、よろしくな。
……作者も魔龍 銀だが余り気にするな、人格は別人(人格はね)だ、多分……
それはともかく、この世界はいわゆる一つの『一つの次元』と呼ばれる場所。
そう、勿論君のいるそこも『一つの次元』と、言うわけだ。
ま、いいか……説明してると終わらないし……
俺は大きく伸びをして芝生から立ち上がる。
あ、そうそう、ちなみにこの芝生の場所は俺のいつも寝ている芝生の場所なんだ。
「おやおや、『いつもの通りのお休み中』、ですか?」
そんな声が聞こえてきた時、俺は後ろを振り向く。
「おう、なんかいけねぇことでもあったか?ニュ−」
後ろに立っていたのは、俺の友達『倒魔 ニュ−』だ。
倒魔は……ちょっと普通じゃないんだ。
まぁ、それは後々紹介するとしよう。
それもともかく……
「めずらしいな、お前がここに来るなんて」
「ま、フィセアさんに頼まれましたからね。『魔龍様を探してきてください』……てね」
ああ……なるほどな。
あ、ちなみにフィセアというのは『フィセア・ディス・ライド』の事。
俺の名前に様をつけるのは……そりゃあ秘密のことっさ?
「ふ〜ん、で、俺にあいつがなにか用があるのか?」
「そこまでは……御自分で帰って聞いたほうがいいと思いますよ?」
ニュ−はおどけた調子で言う。
ま、それもそうか……
「あんがとな、ニュ−」
「どういたしまして」
「うぉ〜い、どうかしたのか?フィセア」
「あうっ!魔龍様ぁぁぁぁぁ!うりゅう……」
訳のわからん言葉を吐きながらこっちに向かってきたのは金色の瞳、そして金色の髪を持つ少女だった。
少女とは言え、18〜19位のちょうど微妙なくらいの年頃の女の子だ。
普通は……な。
だが……そんな事を抜かして、彼女はとても美人だった……とかしかいえないし……
しかし……こうしてると本当に、『大人の女で美女』には見えないな……まさに本格的プラス驚異的に。
「またやっちゃったんですぅ……」
申し訳なさそうに言う。
また……て、まさか……?
「また……て、もしかしてフライパンか?」
「はい……」
その言葉を聞いたとき、また、シュンとする。
また……か。
はぁ…たく……どうして、フライパンだけ……
このフィセアは、他の調理器具はともかく何故かフライパンだけは爆発させてしまうのだ。
その度に、こう言う風に謝られるのだ。
ふう……
「ま、いいよ。それより怪我はしなかったか?」
「え、あ。はい……私はなんとも……」
顔を上げて言う。
俺は、その言葉ににっこりと笑い。
「そうか?そいつは良かったな。」
「はい……でも、フライパンが――」
俺は、はぁ……と、溜息を付き彼女の方に向き直る。
「それはもういいから……ま、でも、今度からは注意してやってくれよ」
「は……はい。」
彼女は大きく頷くと、ようやくにっこり笑った。
うん、うん……やっぱりどんなやつでも心の底からの笑顔は良いもんだ。
「それじゃあ、今まで作った物を私はテ−ブルに運びますから」
「おう、手伝うぜ」
俺はそう言うと、フィセアの作った料理を手に持つのだった。
料理を運び終わった後。
俺たち三人……俺、ニュ−、フィセアは食卓についた。
「いただきます」
「いただきます」
「はいっ!たくさん食べてくださいね」
俺達の言った言葉に元気よく答えるフィセア。
ぱくり……もぐもぐもぐ……
おっ、なかなかうまい。
また上達したかな?
それに、よく見ると出来栄えもなかなかのものだ。
ん?そう言えばフィセアが俺の方を見てるな、なんかよく分からんが真剣な表情をしている。
う〜ん……
「食わないのか、フィセア?」
「え…あ……た、食べます」
「………………」
そう言い、慌ててお箸を掴み料理を口に入れる。
ニュ−、お前、ニコニコ顔で俺達のほうを見るなよ……
そ、それはいいとして先程からこちらをちらちらと忙しなく見ている。
どうやら、感想が欲しい見たいだな……
「うん。なかなか腕を上げた…かな?フィセア」
「え…あ……はいっ!」
俺の言葉を聞き、最初は戸惑ったものの元気よく答える。
本当に嬉しそうだ。
全く……
「さ、とっととくおうぜ」
「はいっ!」
「…………………」
元気よく答えると、彼女も俺も次の料理に手をつけた。
そして……その光景をニュ−はにこにこと黙ってみていた。
「ごちそうさん」
「は〜い、御粗末さまです」
俺は膨れた腹をぽんっと抑える。
八分目位かな……?
ちなみに、俺は普通なのでニュ−に比べては余り食わない方だ。
……あいつ以上だよ、飯はいつも俺の三倍は食うし……
それでも、まぁ、太りもしないし痩せもしないから良いけど……
おっ、そう言えば……
「わりぃ、フィセア。俺、少し用事があるから出かけてくる」
「あ、そうですか」
おれの問いにそう答えると、気を付けて……と、いい出て行ってしまった。
さて、それじゃあ俺も行きますか。
「んっ……?」
俺は今公園に来ていた、別に特にここには用はない、それにもうすでに用は済ませた。
そして、その公園内を見渡した時。
ふと……金色の髪の毛が目に入ったのだ。
「どうしたのかな?…こんなじか……!?」
慌てて後ろの茂みに隠れる。
おいおい、冗談だろう?
底にいたのフィセアだった。
ただし……
金色の髪の毛に薄いブル−の瞳……
そのフィセアは、あの、夢フィセアだ。
フィセア・ディス・ライドではない。
「ど、どう言うことだ……?確かにあいつは……」
脳裏に鮮明に思い出される忌わしき光景……
「ともかく……後をつけてみよう」
「魔龍様……遅いですね」
「そうですねぇ……確かに少しばかり遅いような気がしますねぇ……」
そう言うとニュ−はおもむろに立ち上がった。
「公園の辺りで、魔龍さんの気配も消えていますし……探しに行ってみます」
「あ、じゃあ私も……」
待ってましたといわんばかりに立ち上がるフィセア。
だが、それを慌ててニュ−が抑える。
「ニュ−さん?」
「あなたは家で待っててください」
「嫌です」
一瞬絶句するニュ−。
だが、改めて言い直す。
「ここで待っていてください」
「ですから、嫌です」
「…………………」
ニュ−は困った顔で言う。
「それは困りましたねぇ……私が出ないとなると非常時に魔龍さんの手助けができませんし……」
「手助けなら私ができます!」
少しすねたように言う、が。
本当は彼女にも分かっているのだ、ニュ−のほうが魔龍の手助けを出来るほどの力を持っていることを……
だからこんな言い方をしてしまう。
その時。
かちゃん
ドアが開く。
玄関からは音がしなかったのに、である。
「……どうやら、魔龍さんは何かに巻き込まれたようですね」
「はい……しかも、これで魔龍様のところに一時的にいけなくなりましたね」
二人は、手にそれぞれの武器を生み出した。
「………………」
俺は無言で後をつけていた。
気配など、一切完全に断ち切っている。
後は、これの状態で俺の事をわかるのは某スレイヤ−ズのくらげ男ぐらいである。
!
ヒタリとフィセアらしき人物が立ち止まる。
そして、こちらの方を見て……
「そろそろ出てきたらどうかしら?魔龍 銀」
凛とした声が響く。
まさか、気付かれた!?
俺は、出て行こうとする。
「とか言ったら驚くかなぁ……魔龍さん」
どたぁ!と、思わずこけそうになるが、ここは我慢我慢。
ただひとつ分かった事がある。
この娘は敵じゃあない。
……そして、夢フィセアでもない。
今度こそ、本当に彼女の前に出ようとした。
そして、異変が起きる。
「なに!?」
「だから、魔龍 銀を出せといっているんだ!!!」
ニュ−は敵の攻撃を受け流しながらも反撃を試みる!
「何故あなた方が魔龍さんを探すのですか!?」
ニュ−が聞き返す。
しかし、やつも冷静に受け流しながら……
「あんたらに言う必要は……少しあるな、良いだろう教えてやるよ」
そういうと、男はそう言うと剣を弾く。
ニュ−との距離をこれまた冷静に測りながら……
「簡単な事だよ、とあるお方にとって邪魔なんだよ……奴はな」
「そう言うことでしたら……私はあなたを倒す!」
ニュ−の、黒天の剣が輝きだす。
お、出るな?
「カオス・イレイズ!(混沌の消滅)」
ニュ−の剣に虚無をも消す大いなる力が現れる!
それを思いっきり敵にぶつけるのだ。
流石に武が悪いと悟ったのか、奴は一歩引くと……
「グラビティ・マスタ−!(重力を支配する存在)」
そのとたん、カオス・イレイズの波動の方向が180度転換する!
そして……カオス・イレイズは全く別の方向へといってしまった。
「なにっ!?」
「くくくっ……驚いたか?グラビティ・マスタ−(重力を支配する存在)の力を……倒魔ニュ−よ」
そのとたん、ニュ−の表情が変わる。
「何故……私の名を……!?」
「まぁ、俺の顔はいずれ思い出してもらおう、今回の狙いはてめぇじゃあねぇしな」
「あ、まて!」
そして、奴は去った。
「あなた方の狙いはなんなんですか!?」
「そんなもの、魔龍 銀の命に決まってるじゃない!」
フィセアは魔法弾を放ちながらも、距離が詰められていくのを感じていた。
しかも、フィセア自身はスピ−ドは多少はあるとは言え、目の前の女に対抗できるものでわなかった。
「こうなったら……あれを使うしか……」
そう言い、フィセアは杖を消し……
「馬鹿め!」
奴はそれを好期と悟ったか、一気に突っ込んで行く。
そして、フィセアの前に現れる一本の杖!
「カオス・ロッド!(混沌の杖)」
一瞬にして、彼女の空間が凍結する!
おいおい!絶対零度魔法『ブリィズィ』を使ったのか!?
「そんなもん!避けてしまえば意味がないわ!」
しかし、奴は直前にかわした……はずだった。
「……なに!?」
そう……奴の手だけが凍ってしまったのだ。
しかし、本当の運が悪いはこれからだった。
この『ブリィズィ』は、ブリザ−ド(吹雪)とフリ−ズ(凍結)の意味を持つ。
つまり、一箇所当たれば少しずつ侵食して行くのだ。
「くぅ……覚えていろよ!」
そう言い、女は少しずつ侵食されて行く腕を抱え逃げた。
登場人物たちによる、かってな座談会!
作者:どうもっ!新しく始まった魔龍 銀の完全オリジナル小説!『MASUTER CROSS!』感想などあったらください!お願いします!
ニュ−:ついにはじまりましたね。
作者:おうっ!
フィセア:でも、どうして『MASUTER CROSS』は『ANOTER』から始まったんですか?
ニュ−:あのですねぇ……以前説明したじゃないですか。
フィセア:ふにゅう……だって、その時の夜……お料理の本見てたからぁ……
作者:……こんな感じで大丈夫か?
ニュ−:少し心配です……
フィセア:うう……面目ないです。
作者:ま、まぁ……頑張れよ。
ニュ−:そうですね……やるしかありませんもんね。
作者:それじゃ、ここら辺で……
全員:さよなら!
↑INDEX
→NEXT STORY
第二話 『動き出す魔王』