MASUTER CROSS ANOTHER
第六話『決戦!!インフィニティ』





目の前にあるのはひとつの扉、運命の扉……
俺が今まで苦労し技を身に付け奴の位まで上り詰めようと必死にしたその結果が見れる場所……
そして……この世界の命運が決まる場所……
知らず知らずのうちに手が汗ばみ冷や汗が流れる。
俺達は顔を見合わせた。
そして、全員が全員コクリと頷いた。
がちゃり……
俺はドアの取っ手を回した。
そして、静かに中に入る。
生半可なバリアでは速攻で破られてしまう、ならば警戒しても意味がない。
だから、俺はあえてシールドを張らなかった。
「ようこそ」
学園長の机に座っている男……そいつは。
「我が息子よ」
そいつはにこやかな顔でそう言った。
「ああ、来てやったぜ……『運命』の称号をもつ男……インフィニティ!!」
俺は叫びながらカオス・ブレードを抜き放つと即座に構えた。
だが、あくまでインフィニティはにこやかな表情を崩さなかった。
そして、その挑発的な口調でこう言った。
「ふふふ、ずいぶんと強くなったようだな。しかし、所詮はその域でしかあるまい」
「……御託はいい。確かに俺ではお前に勝てないかもしれない、が!!」
俺は、そう言うとカオス・ブレードをビシッとインフィニティに向けた。
「負けようとも俺は勝つ!!必ず!!」
「……ずいぶんと矛盾した言葉だな?」
≪グッ……!≫
その言葉を聞いた時俺とシンジとトキオは息が苦しくなるようなプレッシャーを受けた。
その瞬間、俺の実力は奴に届かない事はわかった。
だが……それでも、俺は勝たなければいけない。
大切な物を、守るため!!
「ああ、行くぜ!!」
「くくく……良かろう!!」
パチッ!
奴が指を鳴らすと、二つの影が現れた。
パチッ!
そして、更に指を鳴らすと場所が一瞬にして転換された。
あたり一面の海、それはここ最近新しくできた記憶であるフィセアとの別れの場所だった。
「味な真似するじゃないか……!」
俺は怒りをあらわにして言う。
だが、奴はどこ吹く風で答えた。
「ふふふ、では、始めようか」




「回りの二体は俺達に任せろ!!」
シンジがそう言いながら光神の剣と剣王の剣を取り出した。
「ああ、任せたぜ」
「ふっ、任せろよ」
俺の言葉にトキオがにやりと笑って答えた。




「はぁぁぁぁぁぁ!!」
シンジは回りの二体の内の左側にまわった。
二本の剣を上段に構え振り下ろす!
ガキィン!!
その攻撃を奴は空間を硬化することによって防いだ。
「我が名は"ブレイク"全てを破壊する者!!」
「なっ!?」
そう叫びながら、ブレイクは自分の張ったバリアごとシンジを吹き飛ばす。
「!!」
シンジはそれを受け吹き飛ばされる。
だが、落下直前で空中に浮かび上がり地面への衝突は防いだ。
その次の瞬間には背後に回りこまれていた。
それをいち早く察知したシンジは剣で即座にガードしようとする。
バガァァァァン!!
「ぐう!!」
全ての象徴となりし者の姿だがダメージを受けている。
普通、全ての攻撃は象徴となりし者の時には吸収されてしまう。
だが、奴らはそれに関係なくダメージを与えられる……それは、つまり。
「象徴となりし者の力が……通用しない、って訳か」
シンジはそう言うと、剣王の剣と光神の剣を一つにした。
「剣王光神剣!!」
そう叫ぶと同時に、剣王光神剣を真横に振る。
ズガガガガガ!!空間が割れ一瞬にしてブレイクにまで届く。
「ぐぅ!」
流石にこれはやばいと思ったのかブレイクはそれを避け、空中に舞う。
「そんな物、いくらでもかわせる」
「どうかな?!」
シンジはそう言うと、にやりと笑った。
つぅ……
ブレイクの頬から一筋の血が流れる。
奴はそれに気付き、驚愕の表情で顔に手を触れさせる。
そして……邪悪な笑みを浮かべながら言った。
「面白いぞ……男、名はなんと言うのだ?」
「アオイ シンジだ」
シンジはブレイクとは対照的なすがすがしい笑みを浮かべた。




「はぁ!!」
トキオが自らの剣スターブレードを構えてつっこんいく。
すでに、彼自身も全ての星々をすべる者となっている。
速攻で相手に近づき剣を横凪に払う。
ブンッ!
しかし、その一撃を奴は右に少しだけかわす事によってかわした。
「我が名はサイレント、静かなる者なり」
そうサイレントは言う、そして、そのまま槍を縦に振る。
「!!」
ガキィン!!
その攻撃をトキオ自身も剣を振り下ろす事によって防ぐ。
相手自身は静かだが、その一撃はかなり重い。
「ぐぅ!」
ガァン!!
トキオは迷うことな相手にぶちかましをかけ距離をとる事に専念する。
いったん体勢を治そうとしたのだ。
だが……
ぶわっ、びゅわ!!
「なっ!?」
距離をとったはずなのにすでにその距離はゼロ距離まで持ち返されていた。
慌てて回避行動を取る。
「くそっ!」
トキオはそのままかわした姿勢で剣を振るう。
だが、その攻撃は相手にあっさりとかわされてしまう。
しかし、ここでトキオは手を休めなかった。
「喰らえ!!」
そう言いながら、魔法弾を何発も放つ。
「………………」
しかし、その攻撃にも動じず冷静に一つ一つの攻撃を破壊していく。
だが、トキオが体勢を立て直すのにそれだけ時間があれば十分だった。
トキオは体勢を立て直し、突っ込んだ。
「………………!」
始めて奴は眉を潜めた。
トキオは剣をたてに払う。
ガアン!!
先ほどと同じように、つばぜり合いになる。
しかし、先ほどと違う事といえば……トキオが有利だという事だろう。
ガアアン!!
今度はサイレントがトキオの攻撃を弾く。
「「ふっ……」」
弾かれたトキオは笑みを浮かべた。
そして、サイレントも……
「面白いな……久しぶりに」




「どうやら、向こうは始まったようだな」
「ああ」
インフィニティの言葉に俺は静かにだが力強く答えた。
今、俺の中には紅い炎が葛藤し熱砂の渦となっている。
その証拠に、俺の周りの砂が渦巻き俺を中心に風が少しずつ起きはじめている。
そして、その風は今尚強くなり続けている。
「ふふふ、ずいぶんと熱くなっているようだな」
その様子を見たインフィニティが俺にそんな事を言う。
だが、俺は全く同時もせず言った。
「勿論だ、今こそ、俺の全てが試される時が来たのだから……」
俺はそう言いながらカオス・ブレードを静かに構えた。
携えた剣からは全く重みを感じなかったが何故だか分からないが俺は不思議な重みを感じた。
おそらく、それは俺が全てを救えるか救えないかの重みだと思う。
だが、ここで奴から意外な言葉が出てきた。
「まぁ、少し待て。昔話をしようではないか」
「あんたと話すことなんて……」
俺は、そう言いかけたが次のインフィニティの言葉を聞いた瞬間沈黙した。
「ユメ=フィセアのことでもか?」
「!!!!!」
驚愕の表情で俺は奴を見た。
そして、奴は静かに語りだす。




「はぁ!」
「くくく!」
シンジとブレイクは激しい剣戟のおうしゅうに見回っていた。
切り付け払い薙ぎ突く。
だが、お互いどの攻撃を放ってもヒットする事は無かった。
だが、余裕の笑みを浮かべるブレイクに対して、シンジには余裕が感じられなかった。
技量的には間違えなく互角である。
だが、どこかブレイクが有利にたっているように見える。
(くっ!)
シンジは内心舌打ちをした。
「どうした?攻撃がゆるくなってるぞ?」
「くっ!!」
シンジはその言葉に今度は本当にうめくと、体を反転させる。
そして、両腕を交差させた。
(こいつ相手に、今まで通りじゃあ通用しない!!)
そのまま、交差させた腕を解き、もう一度両手持ちにする。
(ならば……)
シンジはそう思うと、即座に自分の考えを実行に移す。
「はぁぁ、くらぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
両手持ちにした剣を大きく振り上げ、一直線に切り裂く。
そう、剣王光神剣の時にのみに出来る空間切断ごと。
「ちっ!」
ブレイクはそこで始めて焦った様子を見せた。
(やっぱりこいつは効くんだな!?)
そう判断すると、更に追い討ちをかけるように切り裂く。
だが、どの攻撃をギリギリのところで避けているせいか一向にダメージを与えられない。
しかし、ここで唐突に異変が起きた。
「やかましい!!」
ブレイクがそう叫ぶと同時にいままであった空間が音を立てて崩れた。
周りには無しかない。
だが、例えそんな状況になろうとも二人のにらみ合いは続いた。
(お互い、技は出し尽くしたみたいだな……)
((これが……))
「「最後の勝負!!」」
同時にシンジとブレイクは走り出した。
そして、二人が交差する。
ピキィーーーーーン!!
――――――――――――――――――!!!!!
一瞬すべての音が消えた。
そして、勝負の行方は……




「だぁ!」
「……!」
ガキィン!!
スターブレードと、サイレントの槍がぶつかり合う。
しかし、サイレントのほうは冷静に身を返すと、を横凪に払う。
「チッ!」
トキオは鋭く舌打ちすると、スターブレードを大きく振るった!
だが、その攻撃をわずかに体を動かしただけで奴は避ける。
そして、そこをすかさず槍の一撃で突いてくる。
「ぐっ!」
トキオはうめくと、先ほどと同じように体を返す。
「「!!!」」
二人の体に同時に傷がつく。
だが、両方とも浅い。
トキオがつけた傷は頬に薄く。
サイレントが傷つけたのはトキオの腕に浅く。
どちらとも、戦闘に支障が出るような傷ではない。
だが、トキオはここで一つ賭けに出た。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
長い雄たけびと共にトキオの周りに複数の星屑が現れる。
トキオの必殺技、スターダストクラッシャーだ。
「……………」
サイレントも、黙ったまま剣を構える、どうやら、サイレントも勝負を決める事にしたようだ。
「……黒竜清剣……」
静かにそう囁くようにサイレントはいった。
すると、黒い竜が剣に宿った。
「くらぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
「……はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ボガァァァァァァァァァァァァァン!!
二つの技が衝突しすさまじい爆発を起こした!!




「過去……私は、全ての……そう、私と同時期に存在した『ディスティニィ』以外の全ての存在の運命を決めてきた」
パッと浮かぶのはありとあらゆる『必然』とした光景。
そう、奴……運命と、必然は共にある。
ありとあらゆる物事は運命に殉じている。
「だが、無論、その運命を変えられる物もいる、私はその者達の事を『抗う物』と呼んでいる」
そこで一たん言葉を切り、奴は俺を見た。
「最初にあらわれたのがお前……」
そう言い、俺を指差す。
そして、次に指を下ろしシンジを見た。
「そして、そこにいる男」
視線だけでシンジを見る。
そう言えば、シンジが動かない……?
だが、悪いが今はほかを見ている余裕なんて無い。
「……そして、その抗う物によって変革する事柄……例えば」
そう言い、ふっと手をあげ一つの映像のような物を出す。
それに映っていたのは……
「夢 フィセアだ」
「!!」
俺は、驚きのあまり目を見開いた。
フィセアにも変革があっただと!?
「どう……いう、ことだ!?」
俺は声を荒げて聞いた。
そして、その言葉にはじめて笑みを浮かべて奴は言葉をつむいだ。
「なに、単純な事だよ。お前とフィセアが惹かれあう事も『運命』だったということさ」
「なっ……!?」
出かけた言葉があまりの事に言葉が出なくなった。
俺と……フィセアが惹かれあう事が貴様が決めた運命だというのか!?
「ククク……だが、やはり世界とは面白い。誤算が出たのだよ。そう……お前とフィセアがあまりにも惹かれあいすぎたのだ」
「……!?どういうことだ!!」
「……未だにカオス、お前があの少女の事をトラウマとして持っていた事……それが、唯一の誤算だったのだ。おかげで、貴様は絶望する事を克服し、闇を振り払い光にする属する事は無い。そして、私に抗う物として存在している」
「お前に従うなんざ、冗談じゃねぇ!!」
俺は、そう言うと剣を振り上げた。
そして、思いっきり振り下ろす!!
ビュッ!!
だが、俺が切ったのは何も無い空間だった。
「気の早い奴だ。最後くらいキチンと聞け、もう短いしな」
見てみれば、奴は俺の後ろにいた。驚くべき速さでの移動……俺にすらわからなかった。
光速とかそう言う桁じゃない。
すでに、例えるランクが無いくらいの速度だ。
「………………」
俺は無言で後ろを振り向く。
剣を握り常に気を張っている。
「ククク……そうだ、それでいい。さて、続きを始めようか」
そう言いながら、更に言葉をつむぐ。
「といっても後一言だがな。」
そう言いながら、剣を携える。
「貴様は運命を打ち壊せるかな!?」
ボガァ!!
その言葉と共に、俺の腹部を激痛が襲う。
ドガァ!!
そして、吹き飛ばされ地面に激突する。
奴は俺の方へ今指を折っただけだった。
俺は、それだけで吹き飛ばされてしまった。
「ぐっ!」
俺は、即座に立ち上がろうとするが目の前にあったのは奴の顔。
「はぁ!」
その位置から、拳を放つ俺。
だが、その攻撃はあっさりと受け止められる。
ビュッ!
2撃目も奴にかわされる。
「ぐぅ!だぁ!」
「遅い」
更に放ったその攻撃すらも当たるどころかかすりもしない。
「ふん」
そう、奴はうめくと俺にけりを入れる。
ズゴォ!
腹に入った一撃に一瞬意識をもっていかれそうになった。
ズガァ!!
地面に思いっきり俺は埋まった。
(くそっ、実力差がありすぎる……!)
俺は、埋まった状態の体を起こそうとした。
ズガァン!!
あ、あぶねえ……
もう一瞬タイミングが遅かったら奴の攻撃が俺の脳天に直撃していただろう。
俺は、即座に距離をとった。
即座に手を前に構えて、体にある魔力と気を最大限にまで高めて放つ!!
「くらえぇ!インフィニティ!!」
ズガァン!!
すさまじい魔力の本流が起きインフィニティを飲み込む。
「はぁ……はぁ……ど……どうだ!?」
俺は、肩で息をしながら奴のいた辺りを見回す。
だが、そこには傷一つ負っていないインフィニティが健在しているだけだ。
「!!!!」
「愚かな、その程度でこの私を倒せると思ったか?」
な……俺の全力の一撃を……平然と受けきった!?
俺は、改めて奴との実力差を思い知り唇をかんだ。
先ほどから、切れたのだろう血の味が口に広がっている。
ペッと唾を吐きながら俺は改めて剣を構えた。
カオス・ブレードが黄昏に紅く光る。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
ダッと俺は奴に一瞬で近寄る!!
そして、大きく剣を振りかぶり振るう!!
ガッ!!
だが、俺の剣は奴の腕に平然と止められていた。
くそっ!
即座に俺は距離をとろうとするがその前にインフィニティに、カオス・ブレードを捕まれた。
「ちぃ!」
俺は、カオス・ブレードの刃の部分を消す。
一瞬グラッと奴の体が揺れる。
そう、剣はフェイント……本物はこの最大級の魔闘気がこもった左手……
俺は、更に追い討ちをかけるように強く叫ぶ!!
「魔闘鬼神流ぅ!!奥義!!破砕獄天昇ぉぉぉぉぉぉ!!【まとうきしんりゅう おうぎ ばくさいごくてんしょう】」
ゴォォォォォォォォォォォ!!!ボォォォォォォォォン!!!
俺の叫びと共に、業火と竜巻が同時におきる!!
それによって、辺り一体が全て炎の渦に巻き込まれる。
天と地を裂き紅蓮の刃が全てを引き裂いた!!
だが、次のその瞬間、俺にとっては地獄へと叩き落されるような声を聞いた。
「その程度か?」
ズガァァァァァァァァァァァァァン!!
一瞬にして炎と竜巻が消し去られる。
そう、奴は俺の攻撃を気だけで弾いたのだ……
後に残ったのは無傷の奴と俺だけ……
俺に……やつを倒す方法はあるのか?





次回予告

ついに始まった俺と奴との最終決戦。
それは、原初の時より決められていた『定め』
俺は奴を打ち倒す事が出来るのだろうか?
そして……奴を倒した後に待っている物は一体……?
次回、マスタークロス最終話

『原初の時よりの定め』

これで……本当に最後ではない。



ろう・ふぁみりあの勝手な戯言〜


 運命・・・か。
 とかしみじみ呟いてしまうような言葉が置いておいて。

 さてっ、ついに決戦! インフィニティ!
 運命そのもの―――実力差がありすぎるインフィニティに、魔龍は勝てるのか? 
 そしてっ、シンジ・トキオの戦いはどのように決着を見せるのかっ!?
 次回、最終話―――

 ―――と、まあそんなコトも置いておいて(ヲイ)

 いやあ、しかしいつもながら物凄いバトルでしたねー。ジャンプ系(ドラ○ンボールとか幽○白書とか(古い))
 とはいえ、vsインフィニティ戦では一方的に、魔龍さんやられてましたが。
 まあ、窮地から大逆転するのがヒーローものの運命ッ! 次回、どのような“奇跡”が起きるのか、楽しみです!


INDEX

NEXT STORY