MASUTERCROSS 第三章 『始まり……』
闇の静寂が広がる空間……俺はそんな場所にいた。
ここは絶対封鎖空間……俺がここにとある奴を封印したのだ。
「……はぁ……くそっ、まさか…まさか、また俺がここに来ることになるとはな……」
俺は、壊れ掛けている門を見ながら言った。
俺の表情は、嫌悪感で一杯だった。
当たり前だ……ここは――
いや……なんでもない。
それとここは、孤立空間……て、言うふうにカズマが呼んでいる場所。
説明すると、全ての空間から離脱された、俺達プレイヤ−のみ知っている場所……
まぁ、それは、カズマから言わせると、ということなんだが……
ちなみに、俺はここを『全ての王なる者の封印されし場所』と呼んでいる。
だが…そんなことは今では問題じゃあない。
「インフィニティの野郎……復活しやがったか」
俺はつぶやくように言った。
元の世界に俺は戻った。
時刻は、朝の7:30。
その時間帯は、ちょうど学校へと行く時間帯だった。
「胸騒ぎがするな……」
俺はそう囁くと、メンバ−全員に電話した。
直感だが、今日奴との最終決戦になる用な気がしたのだ。
そして、電話をし終えた所で剣を抜く……
光王の剣……光の力を増大する光の剣。俺が、二つにした分けた剣のひとつ。
そして、続いて黒神の剣を呼び出す。
黒神の剣……闇の力を秘めた、光王の剣の片割れ……
俺は、二つの剣をしまうと今度は学校の方へと視線を向ける。
(頼むぜ……なるべく早くこっちに着いてくれよな――!みんな――!)
俺は、胸中でそう囁くと一抹の不安を残しながら大急ぎで学校へと向かった。
……学校に戻った時。
俺は、信じられない光景を目にした。
学校の生徒はいる……いるが……!
間に合わなかった……!
なんてことだ……!俺の胸騒ぎが当たっちまった……!
「くそぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっっ!!!!」
その光景を目にし、俺は想わず叫んでしまった。
学校に戻った時あった光景とは……
人が……こと切れたように倒れている姿だった。
最も、死んではいない。
魂だけを抜かれてしまったのだ。
だが……それは、最も最悪な状態と言っても良い。
そして……更に言うなれば、これは俺へのあてつけなのだ。
ただ……ただ、それだけのために、全く何の関係もない人たちが巻き込まれてしまったのだ。
「ふざけるな……ふざけるなよ……てめぇら……もう、許さねぇ……」
俺は、そう何度も繰り返し言いながらきっと目の前の光景を睨んだ。
「でてきやがれぇぇぇぇぇぇっ!シテンっ!インフィニティ!」
俺は無駄だと分かりながらもそう叫んでいた。
いや、叫ばずにはいれなかった。
そうしないと、心が張り裂けてしまいそうだったから……!
「でできやがれっ!!!この世界にいることは分かってるんだっ!出て来いっ!!!」
「そう騒ぐなよ?」
笑いをこらえるような、そんな声が聞こえた。
「!?」
俺はそこに立ち止まり辺りを見回す。
辺りには何もない……そう、今までは。
俺は、とある一点をきっと睨んでいる。
次の瞬間俺の前に、ふっと男の姿が現れる。
光を思わせる、輝く黄金の髪、まるで、漆黒のような闇を思わせる髪とは対照的な暗黒の瞳、俺と似たような、この世界の白っぽい服を着て、黄昏のような真っ赤なバンダナをつけた男……
俺の前には、奴が立ちはだかった。
「くくく……いいだろう、貴様の相手はこのシテンがさせてもらおう」
まさに、でて来るはずもない奴が…シテンがこの場に出てきた。
「シテンか……てめぇら。以前よりもはるかに……腐ったな」
「くくく……最高の誉め言葉として受け取っておくよカオス」
奴は笑みを含みながらいった。
それは、旧友にあったというよりも人をおちょくる悪質な、陰険な笑みだった。
だが、俺の反応は違う。
「その名で呼ぶんじゃねぇ!汚らわしいぜ!」
俺は、吐き捨てるようにいうと、即座に戦えるように間合いをとる。
ざっ……と、お互い構えに入る。
この学校に残っているのは、おそらく俺とシテンそして奴と……浩之だろう。
そう言えば目の前のシテンも、誰かに似ているような……
!?
まさか――!?
俺は想わず構えを説き奴に向かって叫んだ。
「その体は……まさか、雅史!?雅史か!?」
「そう言えば、この体の持ち主の名はそんな名前だったなぁ?たしかねぇ……」
奴は、そう言いながらくくく……と、含み笑いをする。
てめぇ……
「マジで腐ったな……てめぇみたいな奴に遠慮する必要もねぇ!」
「くくく……来いよ、カオスティック・シルバ−!いや、魔龍 銀!!!」
俺は、その言葉を聞いた瞬間、一気に貯めていた力を解放するっ!
「魔闘鬼神流 煉獄拳!」
ぐぉぉぉぉぉぉぉっ!
俺の拳がうなりをあげて赤く光り輝く。
だんっ!
そして、一気に間合いを狭める。
「はぁっ!」
「赤帝!」
奴も、手に赤い何かを生み俺に応戦して来るっ!
俺は、左手の拳をだっ!と軽く入れる!
だが、それは軽く弾かれる。
それに続けて、奴の赤帝拳がぼぉっ!と炎を纏い俺にワンツ−を入れてくる!
ばしゅっ!
俺は、それを弾き……
がぁっ!だぁん!どがぁ!
三連発のラッシュを入れる。
ぱぁん!
三発目がちょうどは行った時、お互い間合いを取る。
「ふぅ……」
「はぁ……」
お互いに一息つきその後、即座に構える。
だっ!
次の瞬間俺は一気に間合いを狭める。
手に光王の剣と、黒神の剣を生み……
「かくごしやがれっ!魔闘鬼神流 北神展開 神到!」
俺は、剣に精神のみを斬る力をつけ放つ。
肉体に外傷もなく、精神のみ倒す技である。
だが、奴も俺のそんなものをまともに受ける気があるわけがない。
「黒帝!」
がぁん!
今までとは違う一撃が軽々と防がれる。
そういえば……こいつの防御力は波じゃねぇんだったな……
そんなことを思い出しながら、更に俺は二三発攻撃を入れる。
がぁん!ギン!
……俺の剣は、奴の生み出した黒い何かによって弾かれてしまう。
俺は、即座に反す刀で切りつけようとするが……
「白帝!」
今度は奴が、俺より少し早く白い何かを生み出して放つ。
「はぁっ!」
その攻撃を、光王の剣と黒神の剣で叩きのめし……
その次の瞬間、今回三度目の間合いを取る。
出来るだけ大きく間合いを取った後俺は、両手を広げ……剣を空中に浮かせる。
「させんっ!魔龍王の槍よ!(カオスドラゴン・ランス)」
その間に、奴も槍を生み出す!
それを片手にもち、地面に思いっきり突き立てる。
やべぇ!あの技は……
「竜界大破斬!」
大地に槍を突き立てたまま空中に思いっきりそれ振り上げ、貯めていたエネルギ−を放つ!
ズガガガガガガガガガガガッガァァン!!!
すさまじい攻撃が襲い掛かってくる。
……ここが閉鎖空間だからできた芸当だ。
つまりここは結界内なのだ。
しかし、俺はぴくりとも動かない。
それには訳があった。
――今こそ!今こそ解くぜ全ての力の源の封印よ!!!
「光王よ、黒神よ!」
そして、唱えられるワ−ズ(言語)。
俺は、二つの剣をもう一度手にとる!
「今こそ一つとなれ!」
簡略した言葉。
だが、今の俺にはそれで十分だった。
二つの剣はくっつき融合しあい、一つとなる。
これが……俺の剣、その名も――
「混沌の剣!!!(カオスブレ−ド)」
「なにっ!?」
奴が驚きの声を漏らす。
剣の大きさこそ小さくなったものの力は……
「メテオスラッシュ!(流星斬)」
百倍以上だぜ!!!
がががががががががががががががっ!!!
俺の放った攻撃は、気の雨となり敵を襲う!
それは、先程の竜界大破斬すらも軽々と飲み込んだ。
「ぐぅ……黒帝!」
奴が力を使いバリアを貼る。
だが、今の俺にはそんなもの通用しねぇ!!!
奴が、バリアを張ることで作った一瞬に俺は奴の懐へと入り込む!
フィニッシュッ!!
「破邪龍聖流 竜魔光天破!」
ズザァッ!
音もなく……シテンの精神体は、崩れ落ちた。
「なぜ、だぁ……な、ぜ貴…様に私が切、切れるの、だぁ……!」
ほとんどかすれたような声で言う。
「あんたはな、俺にとって大切なものを……友を、奪い去り汚そうとした……そして、あんたは……あんたは黒く、闇に染まりすぎた……それだけだ」
ちゃき……
俺は、剣を奴に向ける。
カオスブレ−ドが青く光りだす。
「この世界から消えろっ!シテン!」
「ぐおおおおおおおおおおおおおっ!!!」
奴は最後の抵抗のごとく、俺に襲いかかろうとする。
だが、今の俺には遠慮なんてものはない。
そして……今の俺にあるのは……ただ、純粋な友を利用されたことに対しての怒りだけだ。
そして、その怒りは光の力となり剣を強く輝かせる!
「破邪龍聖流 奥義 青心黒殺断!」
カオスブレ−ドが、聖なる強き青い炎を纏った剣へと変わって行く。
そして完全な青き炎の剣に変わった……
その聖なる炎を纏った剣がシテンめがけて振り下ろされた。
「くおおおおおおおおっ!インフィニティ様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
断末魔の叫びとともに……奴はこの世界から消えた。
「おいっ、雅史、大丈夫か?」
「うっ……くっ…」
俺の呼びかけに、ようやく起きる。
よし、これで雅史は一安心だな。
俺はそう思いながら、立ち上がる。
「あれ?ここは……」
「よっ、気が付いたな?」
俺は勤めて明るい声を出して言う。
雅史に、そのことを気取られないためにも……
「ん……あれ……魔龍?」
いぶかしげな顔をして、雅史は俺を見る。
そして、気が付いたように……
「そうだっ!魔龍さん、あかりちゃんが学校にいるんだよ!」
「…………………」
俺はふうっとため息をはく。
そんなことは、半ば予測していたことだった。
おそらく、今の雅史のことからして、色々な奴がプレイヤ−の依りしろとなっているのだろう。
しかも、俺の知り合いを集めて。
今度は、俺が雅史の顔をじっと見つめると言った。
「……雅史、この学校から離れろ」
「えっ?」
俺はかなりきつい声音で言った。
――どんなことをしても、この学校からなるべく遠ざけなきゃな。
「な、なんだかよく分からないけど、わかったよ」
……戦いの幕開けは、シテンと言う名のデスティニ−の道具だった。
「使えぬな……だが…くくく……楽しい余興にはなったよ」
奴は一人ごとのように言った。
ようにと言うのは、奴のそばにはもう一人誰かがいるからだ。
「あの、甘いカオスが、本当にここまでこれるかな?」
黒く闇にわだ固まった空間にいる奴は、俺の映っている画面を見ながら微笑んだ。
その微笑みは、人の不幸を喜ぶ闇の笑みだった。
そして、さも楽しげに奴は微笑んでいた……
インフィニティ(運命)!てめぇは俺が絶対倒すっ!
魔龍 銀による設定座談会
ようっ!魔龍 銀だ。
上には設定座談会なんて書いてあるが、今までの設定を整理しただけだぜ。
今回は敵編。
シテン・クリスタ−
ディスティニィの6プレイヤ−。
とは言え、そんなに強くはない。
魔龍にはあっさり負けてしまうと言う三流悪役。
技には、必ず『〜帝』と付く癖がある。
武器は、槍。
魔闘鬼神流
魔龍とニュ−が好んで使う流派、接近戦重視の格闘タイプの技と、遠距離タイプの技、両方がある。
その数も半端じゃない、それと、剣と格闘タイプの二種類がある。
そして、これに応用を加えたのが破邪龍聖流である。
こ、これだけか(汗)マジで?
さ、さらばだ!
ろう・ふぁみりあの勝手な戯言〜
ちなみに。
「ザレゴト」ではなくて「タワゴト」と読みます。戯言。まあ、それはさておきまくり。
むう。“人が……こと切れたように倒れている姿だった。”ってぇ、かなり怖い想像させられてどうしてくれるんだ慰謝料払えとか思ったりもしましたがまあ良し。
さて、シテン君。ダーディに登場の割にはとことんあっさり昇天されましたが、なんか哀れ。
うーむ、あーゆ捨て駒系のキャラってどーも同情してしまうところが云々。んでわっ。
追伸・登場人物の設定資料集、作れるなら全員分作ってくださいー(オイオイ)。