Rainbow Bird

第9章 〜戦場〜4〜


 

ロイの囁きにラレアは焦った。

「え!!?なんですって?!!」

 ・・・血まみれのハンスの体に紫の灰が集う。

灰を集めるハンスの体は、まわりの兵士さえも巻き込む。

崖の上の兵士たちは 我先にと、その場を離れ始めたが・・・。

「だめだ。こんままじゃ、まきこまれちまうだ!!ここにいる人みんなみんな・・ あの兵士たちだって!!」

「冗談じゃないわ。みんな『力』で逃げましょ!!今なら灰もないし!!大丈夫!!」

ラレアは叫ぶ。

「政府軍の人たちはどうするの!?」

「大丈夫だ」

ハッと、レッジは振りかえる。フォーマーとアリスが並んで立っていた。

「自衛団、反乱軍ともに、自分の「力」を出しきってでもこの場から逃げるんだ!!

・・・これがリーダーとしての最後の命令だ!!!!」

フォーマーは大声でしかし、冷静に命令を出した。

「フォーマー。アリス、二人はどうするの!!?」

「レッジ。君たちは生きるんだ。どんなことがあっても」

フォーマーはレッジの肩に手をおいた。

 

水蒸気になって飛んでいく者、地かに消えていくものなど、それぞれの『力』にしたがって消えていく。

戦場の混乱の中、レッジのまわりには、混乱とは違う空気が流れていた。

 

「フォーマー・・・アリス・・・」

レッジは泣かないように泣かないようにと、うつむく。

フォーマーとアリスは顔を見合わせてうなずいく。

「あいつを・・・ハンスを何とかしてくる・・・政府軍の兵も助けなくては・・・な」

想像はついていた。キッと、顔を上げてレッジは叫ぶ。

「あたしも行きたい!!」

「俺も!!」

「オレだって!!」

レッジの後に、ロイ、ジィンクの二人は同時に叫んだ。

ラレアはその様子を悲しげに見ている。

「いや、君たちは逃げてくれ。絶対に」

まだなにか言おうとしていたジィンクに、フォーマーは真剣な目を向ける。

「ジィンク、ルーシーをつれていけるか?」

「あたりまえだ!!」

「・・・頼む」

「・・・頼まれてやるけどな、帰ってこいよ」

「当然だ」

そうこうしているうちに、ハンスは、いや、ハンスだったものはどんどん紫色のモヤに巻きこまれて、膨張している。

「急ぐんだ!!」

今はもう、妖精たいはちりじりにそれぞれの「力」を駆使して避難していた。

 

ジィンクはルーシーを抱える。そして、炎の「力」で空に浮かび上がった。

「わたしたちも行くわよ!」

ラレアはロイとレッジを両脇に抱えた。馬鹿力である。

「ちょ、ちょっと!?ラレア〜」

「うわッ、なにすっべ?!」

二人の抗議もなんのその。ラレアは風を巻き起こし、、二人を抱えて空高く舞いあがった。

 

「・・・行った、な」

「そうね、兄さん」

「ああ」

ファーマーとアリスは互いにみつめあい、そして両腕を広げた。

土がまるで波のように二人をハンスの元に押しやる。

モヤの中に到達した。

――――― 妖精め・・・妖・・・・―――――

ハンスの憎しみが二人に伝わる。

「なぜ、なぜお前は憎むのか・・・?我々を・・・同じ「生きている者」であるのに」

――――― 娘を・・・・返せ・・・・・――――

「娘?」

「兄さん、時間がない!!」

「そうだな」

二人はそれぞれに「力」を放出させた。

限界まで。

いや、限界を超えて。

 

 

「あ、あれは!?」

レッジとロイはラレアに抱えられたまま、上空にいる。

「なんだベ?!」

基地のあったところから、空高く、今レッジたちがいるところよりもっともっと高く。

土の山がのびていく。空の上までつきぬけて。

その高い塔のような山は、青い青い空に突き刺さるようにのびていく。

やがて・・・・遠い空の上で、一瞬紫色の光が見えた気がした。そして、そのまま。

土の山は幻のように消えていった。

――― フォーマー・・・アリス・・・。

レッジは溢れてくる涙を押さえることなく、流しつづけた。

 

 

 

 

―― この花も その花も

          ありのままに 色美しく ――

あの歌がきこえる。

「ルーシー!!」

「レッジ!!みんな!!!」

戻ってきた。避難所だった所に。政府の兵士も、妖精の兵士も、集まってきている。

「大丈夫なんかい?」

ロイがおっかなびっくりたずねた。

「ええ。私はもう、大丈夫。自分でも知らなかったわ。私が・・・実験体だったなんて」

「記憶・・・ないんだあな」

「まあ、そうみたいね」

ルーシーは今日の青空のように、爽やかに笑った。

 

あれから、半日が過ぎようとしていた。

 

俺といっしょなんだあなあ。んだけんど、気にするこっちゃない。

記憶があろうとなかろうと・・・・

ルーシーの笑顔を見て、ロイは思った。

「でもね。いつか、必ず見つけるわ。なくした記憶」

「そ、そうなんかい?」

ロイの思いとは裏腹な決意をルーシーはしていた。

「だって、私は女医よ?記憶をなくして苦しんでいる人を助ける方法がわかるかもしれないじゃない」

「はあ」

「実験体にされるぐらいなら、自分で自分を実験体にしてやるわッ!!!」

本当に妙な燃えかたである。

「ねえ、ところでフォーマーは?」

「・・・・。」

ルーシーの言葉にレッジはうつむいた。

「たぶん・・・・・・・・」

「そう・・・。さあ!!これから、たいへんね。この国は!!私たちが頑張らなきゃね」

「あのね、ルーシー」

「ん?なあに?」

「泣きたい時は泣いた方がいいと思うよ?元気になるのはそれからに・・・」

「ううん。いいのよ。私は。強がるのが趣味だから」

ルーシーはそういいながら、少し泣いていた。

 

長かった一日が暮れていこうとしている・・・。


挨拶

こんなんなりました☆

ああ〜〜〜フォーマー殺しちゃうのはいやだーーーー。殺したくないのに〜!!!

・・・と、叫んでみました☆

生きかえっちゃうかもね♪

しっかし、書きながら思ってたんですけど、ジィンク、どうやって逃げたのでしょうな〜。

ラレアは風をおこして逃げるわけですが、ジィンクは炎の妖精ですから・・・

足から火〜?ロケットみたいに〜?イヤ〜〜(爆)

さてと。

書きながら色々、考え事(?)していたわけなのです。わからないことだらけです〜。

で。次はかなり平和です〜。

『Rainbow Bird』における謎が、ほんのちょっとずつ解けていきます〜。おり返し地点、近し〜♪


ろう・ふぁみりあの勝手な戯言〜


ルーシーさぁぁぁぁぁぁんっ!

ごめんなさい、フォーマーさんアリスさん。でも、白衣の彼女が素敵すぎます(笑ひ)。

 

「実験体にされるぐらいなら、自分で自分を実験体にしてやるわッ!!!」
・・・って、名台詞だよなー。とか思い。

いやもちろん、「自爆」のシーンも感動しました。
・・・だから弱いんだってばさ、あーゆーの。はふぅ・・・

さて、これで長かった戦争も終わり・・・かな?



とゆーことは次回から、再び旅の始まりですねっ。さてさて、次はどこにいくんかなー。

むー、こーゆー旅の物語で、楽しいのは新しい土地との出会い。
・・・加えて、新しい他人との出会い、ですよね。とか。

 

追伸。

「泣きたい時は泣いた方がいいと思うよ?元気になるのはそれからに・・・」

「ううん。いいのよ。私は。強がるのが趣味だから」

・・・このセリフのやりとり、ぐっはぁ。ってほどよすぎでせう♪

01/09/10


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