Rainbow Bird
優
第10章 〜浜辺〜
朝が来た。
空はうす紫帯びてきている。
やがて淡い桃色と混じることだろう。
確かに、朝は来ていた。
避難所だったところにはられたテント。
その中の一つの入口がごそごそ動いている。
「ん〜いい天気!!」
テントからはい出てきたレッジは、精一杯のびをした。朝の香りがする。
「・・・・これから。どうなるのかな・・・」
レッジは一人呟いていた。
「・・・さてと」
朝日が避難所中のテントを照らし始めていた。
「さ、あなたたちは女神の塔、目指すんでしょ?」
ごたごたしたテントの一角でしゃがみこんで朝食をとる。
ラレアだけはどこからか木箱を持って来た。
そこに座って、ひざには花柄のハンカチをひいて。
カップに入ったコーンスープ。湯気が温かい。
「うん。そうなの」
レッジはルーシーの言葉に、顔を上げて、うなずいた。
ルーシーはレッジを見下ろしている。
「じゃあ、オレがおくっていってやるよ」
物資を運んでいたジィンクが元気に言った。
「そうね、ホワイトウィンドなら、近くの島までいけるものね」
ルーシーもうなずいている。
「ホワイトウィンド?」
レッジ、ロイ、ラレアは怪訝な顔をした。
「すごい、すごい、すご〜〜〜〜い!!!」
白い機体が青い空、緑の山々に映える。ジィンクの宝物。ホワイトウィンドだ。
機体を支える翼はフクロウレルのあの翼のように真っ白だ。
プロペラが前方と翼の両脇についている。今は回転していない。これももちろん真っ白。
小型だが、性能はすばらしい・・・とはジィンクの言葉。
しかし、実際整備の行き届いた、立派な飛行艇である。
「なんで、ジィンクはこんなもんもっとるんだ?」
「オレは冒険家なんでな」
「へえ〜すごいじゃないの」
「だろ?おっと。ちょっと準備がいるな。ちょっと待っててくれ」
「うん。」
避難所そばの漁村・・・ここも、再び人が戻っている。
レッジとロイは漁村近くの海岸・・・レッジが倒れていた、あの浜辺に座って、海を見ていた。
旅立ち前のほんのひととき。
「なあ、レッジ」
「ん?なに?」
「・・・なんで、俺、変な「力」使えるんかな?」
「え?「力」??」
レッジは驚いて聞き返した。
「ああ。あんとき・・ほら・・・」
少しつらそうな表情を浮かべてロイは言いよどむ。
砂浜に指で小さく円を描いている。
「・・・白い光」
「ああ、あれは「剣」だった・・・んでよ、レッジがハンスに撃たれそうになったときは・・・」
「「盾」でしょ?」
二人ははっと振りかえった。ラレアが立っている。
「ロイ、あなたたぶん、「ナイト」の妖精なんだわ・・・」
ラレアは悲しそうな、少し、哀れむようなそんな目でロイを見つめた。
「「ナイト」?ロイが??「ナイト」の・・・妖精?」
レッジは驚いてロイをまじまじと見る。
ロイはいつものロイだ。
「け、けんど俺の母さんは親戚に妖精がいたらしいけんども、人間だし・・・ジジだって・・・。
ってか、俺、「力」使えなかったし、今まで」
「う〜ん。「ナイト」は守るべき人のピンチのときだけ・・・「力」使えるらしいのよ」
ラレアは曖昧に答える。
「「ナイト」の妖精ってなんなの?結局」
ロイもレッジも、ラレアを真剣に見つめている。
「わからないけど・・・「ナイト」は妖精の中でも「特別」なものの一つらしいわ」
「虹の鳥の羽根・・・「ナイト」・・・妖精・・・「力」・・・それに女神・・・お兄ちゃんは何をするんだろう?」
レッジは考えている。
「あ、そだ。」
「なんだべ?」
「フォーマーさんとお兄ちゃん、知りあいだった。それにね、あの「白い衣の女の人」も。マリーさんっていうんだって。あの人」
「あの人って言っても俺はみてねぇけんども・・・わかんねぇことだらけだんな。
ま、なんとかなるべさ。ともかく、いくべ!レッジの兄ちゃんにあいに!!」
「そうだよね?ほんとにそれでいいんだよね」
レインボーバードの羽根の使い道に、不安を抱くレッジだった。
「準備、できたぜ?」
ジィンクが浜辺に呼びに来た。
「じゃ、ルーシーに挨拶して行くべや?」
「・・・ううん。このまま行こう」
レッジはキッと、空を見た。
「え?」
ルーシーのもとへ向かおうとしていた三人は振りかえった。
「ルーシーは、これからこの国のみんなのこと、引っ張っていかなきゃならないもん」
「だからって、挨拶もしないの?」
「お手紙、置いてきたし!大丈夫だよ」
「いつの間に・・・」
ただでさえ、心労の多いルーシーに、これ以上心配はかけられない。
レッジの心はすでに決まっていた。
「そうだべな、じゃあ、出発だべッ!!」
「うん!!!」
レッジ、ロイ、ラレア、ジィンクの四人は砂浜を後にした。
避難所だった場所に急遽つくられたテントの医務室。
ルーシーはほっと一息いれていた。
「あら?なにこれ?」
ふと、ルーシーは白衣のポケットに、メモを見つけた。
青い紙に書かれた小さなメモ。
あまり上手いとは言えない、黒い文字が書かれている。
とても、短いメッセージ。
―――― ルーシー、行って来ます。
また、会おうね!!
レッジ ―――――
ルーシーはくすりと笑った。
「レッジ・・・いってらっしゃい」
「先生〜!!ルーシー先生〜」
「さてと」
ルーシーは立ちあがり、颯爽と出ていった。
いつもの白衣をひるがえして。
挨拶
次なる大陸へ〜!!行く前に、ちょっとま・と・め。のお話でした。
ぴょんぴょん場所が変わって困った困った。なんて題名つけりゃいいのでしょ〜?
結局、最後にいた「浜辺」ってことで落ちつきました♪
場所を題名にするのも考え物です〜♪
で。
謎が謎を呼ぼうとして、やっぱりやめるふりをして、結局呼んじゃった☆
ってな話です〜。なんのこっちゃら。
ロイが「ナイト」の妖精〜。という新事実発覚〜♪可哀想に(謎)♪
さらにさらに。
ルーシーはこれから自分の道を歩いていくことになるのです〜。
と。それはまた、別の話。
さてと。これで、『鳥の頭の大陸』編はおしまい。
次こそ新たなる大陸です〜。目指している場所は『鳥の尾の島』なのであります〜。
地図がないとわからない〜。
ろう・ふぁみりあの勝手な戯言〜
はいどもっ、毎度毎度の戯言でっ!
ごめんなさい、とりあえずラレアさんです。
なんつーかもぉラレアさんです。はい。
・・・やばい、ウチにある登場人物で一番ラレアさんが好きかも。なんでだよ?(自分でも疑問)
―――いつもの白衣をひるがえして。
・・・・・このシメの言葉。思わず、「ぐわわぁっ!」って気分になりましたってぇっ!
レッジさんお手紙もよかったしなー。ほふぅ・・・
さてさて。
ロイさんの秘めたる驚愕の事実とかが発覚しちゃったりして、物語りもどんどんと加速っ。
・・・そーいや、ブラッドルビーやらレインボーバードやらの他に、ロイさん自身にも謎があったんですよね。
出生の秘密とゆーか、むしろ両親の秘密?
うーんむ、しかし「ナイト」の精霊ってのは初めてだにゅう(苦笑)。
さーてっ! 次回も楽しみだぞっと♪
(2001/09/18)