Rainbow Bird
優
第9章 〜戦場〜3〜
「・・・もう、いい」
「レッジ?」
「こんなこと・・・こんなことは!!おわらさなきゃ!!!!!」
レッジは少し怒った風に言うと、気力で立ちあがった。
「ルーシー!!!!!」
レッジお得意の大声に辺りは静まった。
ドラゴン ――ルーシーも、熱風をとめた。
「ルーシー・・・ねぇ、思い出してよ!!」
レッジはゆっくりとルーシーに近づく。妖精も人間も惹きつける、声。
「歌ってたじゃない。・・・あんな、優しい子守唄を。」
レッジは一瞬息を吸いこみ、しかし静かに声高に歌い始めた。
―― この花も その花も
ありのままに 色美しく ――
全ての人の動きが止まる。
人間も妖精も。
―― あの人も この人も
ありのままに 心優しく ――
レッジは知る由もなかった。 その子守唄が、この国で、昔から歌い継がれた子守唄であることを。
この歌を聴いて、生まれ育った。妖精軍も自衛団も、そして 政府軍の兵士でさえも・・・。
―― あの町も この町も
ありのままに 誇り高く ――
――― 歌声が増える。
アリスだ。アリスだけではない。妖精軍、自衛団、そして・・・政府軍からも歌声がきこえる。
―― この月も どの月も
ありのままに めぐみ豊かに ――
・・・争いは、みんな いやなんだ・・・
歌いながらレッジは感じた。ゆっくりと、ルーシーのもとへ歩く。
―― ああ 光の空の下
わきたつ命は 神のみわざ
同じみわざ
みんなが一つ
一つがみんな ――
「ルーシー・・・」
ルーシーの目の前にレッジはいた。
レッジの声がやんでも、すでに歌は広がっていた。
―― ああ かがやく大地の上
ふきだす命は 神の血しお
同じ血しお
みんなが一つ
一つがみんな ――
爬虫類独特の硬く分厚い皮膚。毒々しい赤い皮。
「ルーシー・・・もとに・・・もとにもどって・・」
そっと、ルーシーの固い鱗に手を近づけ、優しく撫ぜる。
―― この花も その花も
ありのままに 色美しく ――
レッジの瞳に浮んだ涙に呼応して、黒い鞄の中で、レインボーバードの羽根が輝き始めた。
「あの小娘を撃ち殺せ!!あいつは、あいつは・・・レインボーバードの羽根を持っている!!」
一人、我にかえったハンスがガナリ声をたてて叫ぶ。
そんな声に兵士たちは全く、反応しない。
「ちっ!!小娘がっ!!」
ハンスの撃ったショットガンの弾はまっすぐレッジに向かう。
「ルーシー・・・」「レッジ!!危ない!!!」
・・・・・・
――― 何が起きたのか。
輝き。
虹色の輝きと、白い光。
レッジの前にはいつもの白衣のルーシーが、うつ伏せに倒れている。
その体からは幾筋も紫色の煙が上がっている。
そして、レッジの後ろには、荒い息のロイが、背中合わせに立っている。
ロイの手には今しがたまで、盾があった。その感覚は覚えている。が、幻の盾は、残像だけで、消えていった。
「レッジ!ロイ!大丈夫!!?」
慌てて、ラレアは二人の元に駆け寄る。
「うん、大丈夫・・・」
レッジも力を使い果たしたかのように、その場に倒れこんだ。
「レッジ!!」
ロイは慌てて、レッジを支えてやる。
「なんだか、わかんないけど、あたし、疲れたみたい」
「しばらく、座っときなさい〜!!」
レッジは素直に、その場にしゃがみこんだ。
「う〜疲れたよぅ〜」
「戻った、ルーシーが元に・・・」
ジィンクはその様子に呆然としている。
「兄さん、あの子は一体・・?」
「わからない。わからないが、やはり・・・」
フォーマーはそっと首を横に振った。
「まさかな。あの子は彼の妹、妹なのだから。」
「・・・兄さん?」
「なんでもない。ハンスに気をつけるんだ!」
ハンスはその様子を憎らしげに睨みつけている。
「・・・こうなったら!!!」
――― ねえ、やめてよ。もう・・・。―――
声が聞こえる。娘の声。今はもういない娘の。
「うるさい、うるさい!!クソッ、あの小娘めっ!!」
――― ねえ、お父さん。もう、いいってば。―――
「うるさいっ、うるさい!!」
ハンスには、わかっていた。
死んでしまった娘、妖精の『力』の犠牲となってしまった愛娘。
彼女も、今のハンスの姿を悲しんでいるだろうことを。
しかし・・・もう、止められない。止まるわけにはいかない。
ハンスは胸元から、虹色に輝くものを取り出した。それは・・・
「レインボーバードの羽根!!?ハンスが持っているなんて・・・!」
目ざとく見つけたラレアは、青ざめた。
「吹き飛ばしてやる。この国、すべてを!!」
ハンスは近くにいた人間の兵士を撃ち殺し、その血を全身に浴びた。
そして呟く。
――― この血に集え、『灰』と化した『鳥』の『力』よ!!―――
虹の鳥の羽根を掲げて叫ぶ。
「あ、あれが、化け物をつくる方法?」
レッジすら青ざめている。
「ちがう!!あれ、あれは。あの時の!!」
ロイの心にあの思いが湧き上がった。
『守ラナキャ』
・・・ あの時。母さんがいて。父さんは奥の間にいて・・・。
―― いいのよ、ロイ。あなたはあなたの大事な人を『守ラナキャ』――
母さん。顔はわからない。栗色の長い髪。軽いウェーブのかかった髪。
―― 母さんは!!母さんだってボクの大事な人だよッ!!―――
俺はまだ、小さくて・・・。
―― 大丈夫。お母さんにはね、お父さんがいるから。―――
母さんの顔、涙で見えなかった・・・。
――― でも、でも父さんは!! ――
―― 大丈夫よ。父さんは。さあ、行きなさい。―――
―― 母さん・・・!!―――
そう、あの時だ。あの時、あの人が・・・。
「あれは、あれは・・・自爆」
ロイの囁きにラレアは焦った。
「え!!?なんですって?!!」
「遺跡すら、破壊した、あの、自爆だ・・・」
ロイは呆けたようにつぶやいていた。
挨拶
わ〜い♪自爆です〜♪
やはし、最後はドロドロにしなくっちゃ♪
・・・っは。しまった。そうじゃないのよ〜。
歌よ歌。みんなで仲良く大合唱。
はああ。ほんまの戦争も、仲良く大合唱でおさまっちゃえばいいのにねぇ。
そういうこと言えるのは平和だからなんだろうな〜。
・・・と。それは置いておいて。
レッジの声は、オペラ歌手なみということで。特技ですな、と・く・ぎ♪
ロイはロイで、盾と剣持ち出すし。
なんだか、ちょっと、不思議なお子様じみてまいりました☆
普通が一番なんですけどね〜。悲しいかな。
で。次回は自爆です。・・・そのまんまですが。えへ(爆)
ろう・ふぁみりあの勝手な戯言〜(後編)
四面楚歌。
なんつーぴったりな四字熟語だろうか(あは)。
そんなことよりも今回っ。
駄目ですってこーゆーのぉっ。オイラはマジで弱いですってばぁぁぁぁっ!(涙)
ううっ、やばいホント泣きそう。かなり感動中です。
もー、頭の中にセルフアニメーションが展開。しかも声優とBGM付と来たもんだ(何をいってる)。
なんていうか。
大合唱。だけでも涙モノなのに、さらにロイ君の昔のキオクですかぁ? だぶるぱぁんちって感じですわいやー。
んーと。
なんつーか。
読み終わって色々と言いたいことはあるんですけど、言葉になんかなるかぁぁぁいっ(逆ギレ?)。
もぉ、感動のサイクロンッ!
次回も楽しみにしてますんでと言いながらあでゅーっ!(興奮状態で脱兎っ)