RainbowBird

第6章 荒廃の村





波の音が聞こえる。

 ―…海?―

砂の温かさを感じる。

 ―ここは―

海の潮の香りが漂っている。

 ―海?―

優しい光りを感じる。
 
 ―…そうか―

静かな風がレッジの頬を撫ぜている。
 
 ―あたし…―

レッジは静かに目を開いた。
 
「…生きてる」

 まぶしい光とともに青い青い空が目の中に入ってくる。

レッジは波うちぎわに大の字になって寝転んでいた。

いや、大の字になって倒れていた。

ただただ呆然としていた。

海の匂いをそれこそ、「いやってほど」知ってしまった。それでもさらに、潮の香りを感じていた。

 「これから、どうしよう」
レッジは、ようやく現実に帰ってきた。

とりあえず辺りをみまわしてみる。ここはどうやら砂浜のようだ。

黄色の砂が広がっている。

乗っていた船はその残骸すらどこにも見当たらない。

もちろんロイやラレアも、兄のお古の黒い鞄も、その中にあるはずの、虹の鳥の羽根もない。

 「ロイ、ラレア」
 レッジは胸に光るブラッドルビーをにぎりしめた。会いたいよ。レッジは瞳を閉じた。

 ブラッドルビーが中心から赤く輝きはじめる。小さな光りはやがて、レッジの手のひらの中で輝きを増していく。そして、砂浜を一瞬、赤い光りで染めた。

 「レッジ!?レッジ!!無事だったか!良かった…」

 「ロイ!?ロイ!!!」
 光りが消えたとき、そこにロイが立っていた。ロイはなんだか少し痩せていた。大きい目がますます大きく見える。さらにその目は涙ぐんでいた。

 「本当に良かった。…けど、どうなってんだべ?」

 「わからないよ。ロイとラレアに会いたいって、ブラッドルビーに願っただけ」

 「俺は…いや、なんでもねぇ。よかった。レッジが無事で」

 「ラレアは?」

 「ん、ラレアも一応無事だ。ただ…」
 ロイはうつむいた。
 「ただ?」

 「…ここじゃ危険だ、ひとまず行くべ」

 「ちょ、ちょっと、ラレアがどうしたの。それに危険ってどういうことよ!?」
 ロイの後ろを慌てて追う,レッジだった。

 ここは鳥の頭の部分に当る大陸だ。

レッジが流れついた場所にちょうど、5日前、ロイも流れついたという。近くの村の人に発見されたおかげで、なんとか助かったらしい。

 浜辺を離れてすぐ、民家のあるところについた。

どの家も木造の納屋がある。納屋の軒先には漁に使う、網や竿などが干してある。中には、ひっくり返した船を、庭に置いてあるところまである。

ここは漁村だった。

 「なんだか、静かだね」

 村らしい建物はならんでいても、人ひとり見かけない。

人どころか、犬も猫もいない。動いているのはロイとレッジぐらいだ。

 「ああ、この国は今たいへんなんだ。急ぐべ,『避難所』は近いから」

 「避難所?」

 誰もいない村を二人は急ぎ足で進んでいった。

 やがて、ロイは一つの建物の前で足を止めた。そこは村の公民館だ。灰色の四角い建物は村のどの建物より、冷たい感じがした。

 「この建物だべ。ここから、自衛団の『避難所』に通じてるんだべ」

 「じ、自衛団?」

 「んだ。この国の政府軍対反乱軍のとりとめのない争いから、自分たちを守ってる人達だ」

 「な、なんなのー!!この国は!!!」
 思わずレッジは叫んでいた。


――――
 公民館の中は、淡いクリーム色の絨毯が敷きつめられている。

清潔にはしてある。が、なんだかやはり、親しみが薄い。
公民館は村の冠婚葬祭をすべてここで行うためにつくられている。
レッジたちの村にもこのような、公民館に似たものがある。ただ、もっと親しみやすい建物だったが。

 「あれ、ロイ,それってなんて曲?」

 レッジはロイの鼻歌に気がついて聞いた。

いつも畑仕事をしながら歌う、陽気な歌とは全く違う,優しい、あやすようなメロディーだ。

 「静かすぎると怖ええべ?この曲か、聞いて覚えたんだべ。『避難所』におる人から。子守唄らしいわ。この辺に伝わっとるな」

 「ふーん」
 レッジはロイの鼻歌を楽しんで聞いていた。

 広間に大きな静物画がある。

描かれているものは、テーブルの上に置いてあるヴァイオリンと酒瓶、そして花束だ。その絵の目の前でロイは立ち止まった。

 「確か、これだったべな」

 「どうしたの?」

 「ん、『避難所』の入口だ」

 「え?」
 ロイは、静物画のヴァイオリンの弦を弾いた。すると、ボロロン、と物悲しい音が響いた。

描かれたヴァイオリンだが、弦だけは本物だったのだ。音と同時に静物画は真っ黒になった。

 「ちょ、ちょっと、なにこれ!!」

 「『力』だべ。レッジ、行くざ」
 ロイはレッジの手を握り、真っ黒な絵に向かって、体当たりした。ぶつかる、と、レッジは目を閉じた。



挨拶


 優です〜♪こんにちは。

 レッジたち、大変なことになりつつあるのかしら♪

なにやら、物騒な大陸に流れ着きました。『戦場を駆ける人』です〜♪

さらにブラッドルビーが、元気に動きはじめました〜♪やっと、魔法っぽい感じになってまいりました♪

は〜〜。こっからが、また…………頑張れ、主人公!!!

…どうでもいいけど、「荒廃の村」ってタイトル、漢字変換すると、「後輩野村」になる…なんかステキ♪


          
               次は『避難所』生活かもしれないです。ほんまにね〜〜


ろう・ふぁみりあの勝手な戯言〜


なんとなく、FF4のリヴァイアさん(笑)に襲われた後のこと連想。
わーいっ、魔法だ魔法だふぁんたじぃだぁぁぁっ!
ブラッドルビーよりも、避難所の入り口の方が気を引きましたね。オイラ的には。
絵の中のヴァイオリンの弦を弾いて開く扉―――うーむ、いいなぁ(今度どっかで使わせてもらお。こっそりと)。

しかし、政府軍対反乱軍ー――いったいどうなってるんだろか。
もしや、このまま戦争に突入!? むぅ・・・(戦争モノは一生書けそうに無い自分)

後輩野村―――ステキ。ステキだろーか。某野○監督(いちお伏字)が後輩にいるようで・・・ステキかも(爆)。

さて、次回。
なんか頑張れ主人公とか言ってるトコからしてレッジに出番なさそうですが。
主人公居なくても物語は進むので(オイオイ)どんどんレッツラゴーですよー。


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