RainbowBird
優
第5章 海原
レッジ、ロイ、ラレアを乗せた船はばっちり、沖へと流されていた。
すっかり疲れきったレッジは、ぐっすり眠っていた。夜の海は過ぎて行く。
辺りは明るくなり、いつしか日は空高く昇っていた。
太陽の眩しい光りが船室の丸い窓からさしている。
光りはレッジの顔に届き、優しく照らした。
「…ん、んー」
目を覚ましたレッジは呆然と辺りを見まわしていた。
見慣れない狭い船室の二段ベッド。嗅ぎなれない、潮の香り。
レッジは起き上がった。
向かい合わせに置かれたベッドにロイが眠っている。穏やかな寝息が聞こえる。
ロイが寝ているそばの窓からも光りがさしている。
船室は平和そのもの。
ほのかな黄色い光りに包まれてレッジはもう一度眠りにつこうとした。心地よい空間である。
……約一名の存在を、忘れているが。
「…あ、あ!!?」
突然レッジは飛び起きた。
「ラ、ラレア?ラレアは!?」
レッジの声にロイは目を覚ました。
「…ん?お?ああ、レッジ、おはよう」
「うん、おはよ。ってそれどころじゃないよ。ラレアはどこ?」
船室にあるベッドは合計4つ。備え付けの2階建てベッドである。
四畳ほどの船室は船乗りたちが眠るためだけに作られているようだ。部屋にはベッドと、窓しかない。
レッジははしごをよじ登り、上のベッドを確認した。もちろん、ラレアの姿はない。
「ロイ、ラレアがいないよ!!」
「ああ〜?甲板にいるんでねーか?」
ロイは眠そうに答えた。レッジははしごから飛び降り、船室を飛び出した。
お寝ぼけロイはほっておいて。
―――
「う、うわー!!」
甲板に出たレッジは歓声を上げた。
どこまでも、どこまでも広がる青の世界。
真っ青な海原と同じくらい青い空。
真っ白な入道雲はちょっとした変化。
水平線の向こうにはほのかにグレーがかったブルーが続いていた。
陸の『り』の字も見えてこない。
「あらレッジ、おはよ」
レッジの心配をよそに、ラレアは朝食の支度をしていた。
目が心なしかはれているが、それ以外はいつもの舞っているようなラレアだ。
どこから見つけてきたのか、様々なものが甲板に並んでいる。主にかんずめ類らしきものが多いが、きっちりお皿に盛ってある。
テーブル代わりの木箱には青のギンガムチェックのテーブルクロスがかけられている。それは明らかに、ラレアのマイテーブルクロスだろう。
「ラ、ラレア、これって?」
「なんだべ?おお、すげー!!」
ロイも船室から出てきて、ばっちり用意された朝食に驚きの声をあげた。
「もちろん、朝ご飯よ♪さ、みんなで食べましょ」
テーブルの真ん中には、どうやって焼いたのか、ふっくらと焼きたてのまあるいパン。
それにシーチキンやレタス、トマトの盛り付けられたお皿が置いてある。
コンソメスープも三人分、それぞれマグカップに入れられて、美味しそうな湯気を立てている。
食後には桃のかんずめ。ラレアはなんと船に積まれていたオレンジでオレンジジュースまでこしらえていた。
「かあああ〜〜〜うんまぃ!!!」
…これはもちろん?レッジの感想。
――――食後。
「ねえ、この船、どこに向かってるのかな」
ラレアは船の帆を見ながら言った。
「わかんねな」
「え、もしかして誰もこの船動かせないのかな」
レッジとロイは顔を見合わせて、それからうなずいた。
「うっそー!!」
ラレアは少なくともことの重大さに気が付いていた。
レッジとロイはまったく気がついていなかったが。
しばらくすると、レッジもロイもことの重大さにいやがおうでも気がつかされた。
空が徐々に曇り始めている。波も荒れはじめている。
「なんだか嫌な感じの空だね」
「んだなあ、雨降りそうだべ」
「雨ですめばいいけど……」
三人の乗る船は、いかにも頼りなげに浮かんでいた。海は少しずつ少しずつ激しい動きを見せ始めた。風はじょじょに強まり、雨は少しずつ、激しくなりつつあった。
「本当にやばいかも」
さすがのレッジも焦り始めた。
「こういう時ってどうすればいいのかしら」
波は高鳴り、船の揺れは激しくなるばかりだ。
やがて、大方の予想通り、レッジたちを乗せた船は嵐の真っ只中に飲み込まれてしまっていた。
「ロイ!!ロイ!!!」
「レッジ、無事だべか!!」
「大丈夫…じゃないよー!!う、うわぁー」
船の揺れはますます激しくなった。レッジは近くにあったマスとにつかまった。水浸しのレッジ。もう、他の二人の行方はわからない。
「う、うそ〜!!」
船は今や海に棒立ちになろうとしていた。
風はすさまじく吹き荒れて、右も左もわからない。
レッジのつかまっているマストは海原に直角から平行状態になろうとしていた。
足元には何もなく、灰色の海が下に見えた。
――――― 駄目だ、落ちる!!
レッジは深い深い灰色の世界に呑み込まれていった。
ご挨拶
平和なときは、どこへやら〜♪
どうも、優です。
今回はお約束(?)の嵐に巻き込まれるヒトビトの話です。
でも、お腹すいてたので、お腹ぺこぺこばなしになってます。しっかし、船ってよくわからないです〜。どんな風に動くんでしょ〜?なぞだわ。
次から、『戦場をかけるヒト』って感じになります。ああ〜どないしよ(謎)?
ろう・ふぁみりあの勝手な戯言〜
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・うっ。
はうー、なんか戯言も書くのも久しぶりの様な気がするのは何故!?(感涙)
この頃、全く更新してなかったからなぁ・・・(2001/2/21現在)
とゆーわけで、あらゆる意味でお久しぶりな「RainbowBard」ですっ。
うーみーは広いなーって、実は使い魔はお船が好きだったり。
とはいえ、実際に乗ったことは数えるほどしかないんですが・・・
とゆーか、自分の意志で動かない―――自分で動かす必要がナイ乗り物が好きなんかな。本が読めるし(結局それかい)(でも車運転しながらでもよく本を読むよな自分)(・・・危険ですのでやめましょう)
さて、それはさて置きとか久しぶりなので前置き長いし。
海に出た三人様。いきなし遭難してるんですね。「そうなんです」・・・いやごめん、すいません。
とゆーか、今回は短めのような気分。さてはて次回はどうなるのか楽しみです―――って、もうすでに受け取っているんですけどね(にやらいず)。
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第六章
荒廃の村