RainbowBird

第一章 故郷の村


 

 最初から話そうか。

 あたしの知っている最初から。

 世界が一人の女の子に支えられていたあの頃のこと。とても不安定なとき。

 もう戻らないあの…
 
 故郷の村で。

 黒髪の少女が幸せそうに眠っている。長い三つ編みが月明かりを受けて輝いている。少女のかすかな寝息が辺りに聞こえている。
 
 その時、彼女は現れた。
 
 窓からの風でカーテンは緩やかに揺れていた。と、突然激しい風にあおられて、カーテンは開いた。そこに彼女はいた。彼女はまるで天使かなにかのようだった。白い衣に身を包み、ゆらゆらと揺れていた。後光のような月明かりを受けて。
 しかしその身体は傷だらけだった。
 「………んー」
 少女は寝返りを打ち、ゆっくりと目をさました。寝ぼけ眼で彼女をみつめる。
 「ん……だあれ?」
 「これを…この羽根を。彼に」
 「彼?」
 少女はまだ寝ぼけている。
 「…ラーネッド」
 「…ラーネッド?お兄ちゃんのお知り合いなのね」
 「彼は……女神の…塔に…」
 彼女の姿が薄れてきていた。風が少しずつ弱くなっている。
 「女神……を…」
 彼女は消えた。後には七色に輝く不思議な羽が残されていた。夜の闇の中で羽根はかすかに輝いていた。彼女が消えた時、レッジはすでに再び夢の中を漂っていた。

 
 朝だ。レッジは目を覚ました。昨夜、彼女が入ってきた窓から、今日は暖かい日の光が降り注いでいる。
 あれ、窓あいているや。昨日、開けて寝ちゃったっけ。
 ベッドの上で伸びをしたあと、レッジは跳ね起きた。
 「んー、いい朝」
 今度は窓に向かって大きく伸びをする。
 「ん?」
 ようやく床の上できらめいている七色の羽根に気が付いた。羽根を見たとたん,昨晩の白い衣の女のことを夢のように思い出した。
 「あ、あれ、夢じゃなかったんだ。これ、届けなきゃいけないんだよね。お兄ちゃんに」
 羽根を手に、レッジはつぶやいた。羽根は今日も光り輝いていた。

 レッジは羽根をとりあえず、父と母に見せた。そして昨夜の話しをした。
 「夢かもしれないんだけど。でも羽根はちゃあんとあったし…」
 「そう。ラーネッドに。じゃあ、あんたとどけて」
 レッジの母は村でも有名なアッサリ母さんだ。単純明快という言葉がこれほどに合う人は少ないだろう。
 「え!そんな簡単にかわいい娘を旅にださないでよ」
 「かわいい子には旅させろって言うでしょ
ね、お父さん」
 「そうだな、ラーネッドも心配だしな」
 
 父のほうは落ち着いた優しいおじ様といった感じで、職業は植物学者、兼、学校の先生である。眼鏡姿は兄、ラーネッドとそっくりで、背高のっぽの細がたという、いかにも学者という姿だった。性格もふたりはそっくりだったという。
 ラーネッドとレッジは年が12も離れている。レッジは14歳、ラーネッドは26歳。
ラーネッドは現在、遠い地で学者をやっているらしい。3年前に元気でやっているという手紙が一通来たっきり,音沙汰がないのである。
 
 「お兄ちゃんに届けるって言ったって、学院でてから、すぐどっかいっちゃったじゃない」
 「どこかの研究所にいるんだろう。ところでその羽根、見せてくれないか」
 「はい、それ、何の羽根なの?」
 レッジは羽根を手渡した。父は羽根を、それこそ目で破らんとせんとばかりに、じっくり見つめた。羽根は輝いている。七色に。大きさは手のひらに乗るぐらい。
 
 「これはきっと伝説の、虹の鳥の羽根だろうな」
 「あなた、伝説なのはその羽根?それとも鳥のほう?」
 「どちらも、だ。これは本当に届けた方がよさそうだ。ラーネッドが学院にいた頃の専攻を考えると…」
 「なんなの?その羽根は」
 レッジの質問に、父は考えごとを中断させた。
 「虹の鳥とは、とてつもない神秘の『力』とやらを持っていたらしい。その鳥の羽根だと思うが。確かこの一枚にさえなんらかの『力』があるらしい。昔なにかの本で読んだぞ」
 「『力』ねぇ。そういえば女神がどうとかってことも言ってた」
 昨夜のことをレッジははっきり憶えているわけではなかった。
 「女神?ラーネッド、とうとう宗教に走ったのかしら」
 母はのんきに言っていた。
 「いや、女神か。なんだかきいたことがある気もするが。なんせ専門外だしな」
 「お父さん専門外に弱いもんね」
 「とにかく、はやく届けた方がいい。レッジ気をつけていくんだぞ」
 と、虹の鳥の羽をレッジに返しながら、父は言った。
 「気をつけてって、やっぱり、あたしに行かせるの?」
 「頼まれたのはおまえなんだからレッジ。ちょうどいいじゃない。人は一度は旅に出なくちゃ」
 「と、言うわけだ。気をつけて届けるんだぞ」
 「ってどこに?」
 「………」
 答えられない父だった。
 
 この世界はちょうど、横を向いた鳥のような形で大陸が散らばっている。レッジの住む国は世界の、どの大陸からも均等な距離にある島の国だ。
 ここから西の大陸は、鳥の頭とくちばしに似た形。北の大陸は翼のようであり、南東に位置する大陸は鳥の体である。そして南西に位置する縦長の諸島は鳥の尾のようであった。

 そう、この世界は虹の鳥…レインボーバードとよく似た形の世界なのである。

 レッジはとりあえず兄の通っていた国立学院のある、国の首都に行くために隣り町の駅へ向かうことにした。国立学院のシルバー教授のもとで、ラーネッドは研究を行っていたらしい。
 布製の黒い袋型かばんは、兄のお古だ。まるでボクサーのようなかばん。その中には、旅に必要なものと大事な羽根がはいっている。
 まるで探険隊のようなカーキ色のシャツに身を包み,それより濃いカーキ色のバミューダをはいている。茶色のブーツは母のお下がり。探険隊風の帽子は父のを借りた。いつものとおり、黒い,長い三つ編みをぎゅっと縛り、旅の準備は万端だ。
 
 「じゃ,いってきまぁす」
 「いってっしゃい」
 「気をつけるんだぞ」
 去ってゆくレッジを父と母はいつまでもいつまでも見送っていた。その背中はまだまだ幼く、弱々しく見えた。父も母もレッジのあとを追いかけたくて仕方がなかった。
 しかし、なぜだか追いかけてはいけない気がしていた。追いかけることができない…という気が。

 「レッジ!」
 「…ん?ああ,ロイじゃない。ちょうど良かった。ね、乗せてよ」
 しばらくテクテク歩いていると、ロイが干草を積んだ馬車を御しているのに出会った。ロイはレッジの幼馴染。村のはずれの小さな山、村人は裏山とよぶ、そのふもとに祖父と暮らしていた。ロイの家のそばに隣り町行きのバス停がある。
 ロイは祖父を手伝って農夫をしている。年はレッジより一つ上の15歳である。学校での成績は常にトップで、レッジの父から学院に行くことをいつも進められていた。
 体格はひょろっとしており,色白で大きな茶色の目ばかりが目立っている。さらさらでやわらかな栗色の髪を持ち,外見は詩人といったところ。村ではスマートな奴で通っている。黄土色の農作業服が、全く似合っていない。ただ古ぼけた麦藁帽子だけが妙に似合っていた。
 
 「で?どうしたんだ、んな、妙な格好しよって。家出か?」
 なぜだかロイは誰よりも訛っていた。
 馬車はのんびりと、村の大通りを進んでいる。
 「違うって。実はね…」
 
 レッジは昨夜の話しをした。
 
 「…というわけで、旅に出るの」
 「お前、一人でかぁ。あいかわらずレッジんちは無茶なことすんなあ」
 ロイは正直な感想を漏らした。
 「いいじゃない。あたしだって、もう14歳だよ。旅にくらい、出られるよ」
 「んーま、気をつけて行くこっちゃ」
 ロイは優しい口調で言った。
 
 やがて馬車は山近くに差しかかった。もうすぐロイの家だ。
 「ロイッ!ストップ!!」
 「な、なんだぁ〜!?」
 レッジの声に驚き、ロイは慌てて手綱を引いた。馬は足を止め車輪も回るのをやめた。
そこは荒地だった。草が生い茂っている。そしてそこには、土地の者だけが知る、底無し沼があった。
 「何があるっつーんだ。こんなあぶねぇ、草っぱらで」
 「ほら、あそこ。なんか白いのが見える」
 レッジの視力は特筆すべきもの。ロイは慌ててレッジの言った「白いもの」を探した。その間にレッジは駆け出してしまった。
 「どこにあるんだ?ああッ!おい、レッジ行くんでね−!!」

 レッジは沼のぎりぎりまできた。まわりの土もぬかるんでいる。母のお古のブーツが灰色の泥にまみれた。
 白いものはレッジくらいの大きさである。もしかするともっと大きいのかもしれない。
 純白の羽毛に覆われたそれはうずくまるような、まあるい格好をして、沼に沈みつつあった。
 「たいへん!今、助けたげるね!!」
 レッジはその白いものに声をかけた。すると白いものは動き出し、顔を見せた。それは巨大なふくろうだった。
 「う〜。た、助けてくれ〜」
 「動いちゃ駄目だよ。待ってね!!」
 レッジはかばんの中からロープを取り出した。備えあれば憂いなしである。

 「レッジ、どうしただ。ん?ありゃなんだべ」
 ロイが叢をかきわけて、ようやく現れた。レッジのあとを苦労しいしい追いかけて。
 「わ、グッド タイミングね」
 「なんだ?」
 「はい、これ」
 レッジにロープを渡されてロイはきょとんとした。
 「ロイ、投げ縄得意でしょ。頼むね」
 「頼むって言われても。あ、あの白いでかいのか?」
 「ほら、さっさとやる!!」
 「は、はぁ」
 ロイはしぶしぶロープの輪をつくり、振りまわした。
 「もうすぐだからね〜」
 白ふくろうは沼の真ん中にいる。首にロープかかったらしまっちまうんでねぇか。一抹の不安を抱えつつ、ロイはロープを投げた。
ロープは見事ふくろうの首にひっかかった。
 「ひっぱるよ!!」

 レッジとロイはそれこそ汗だくになって白ふくろうを引き上げた。
 沼につかっていた部分も入れると、白ふくろうはかなり大きい。畳3畳分といったところである。
 ふくろうはしばらく、身動き一つしなかった。
 「し、死んじまっただか?」
 「わしゃ、死んどらんわい!!」
 突然しろふくろうは起きあがり、羽根を広げて泥を払った。
 「全く。今日はついとらんわい。羽根休めにとまった枝は折れるわ、青二才ながきに首締められるわ」
 ふくろうはぶつぶつ言っている。
 「首締めるつもりはなかったんだ。すまんの」
 「すまんのって、お主に謝られてはこちらの愚痴も、悪者の言葉になるではないか。全く」
 「あ、あの、もう大丈夫…ですよね?あたしたち急ぐんで、もう行きますね」
 レッジとロイはもう後ずさりをはじめている。
 「ふん。こちらに名乗らせもせず、行く気か」
 「あ、あのお名前は?」
 「お主から名乗れ」
 「あ、レッジです」
 「ロイっていいます」
 慌てて二人は名乗った。
 「そうか、わしゃ…」ふくろうはにやりと笑った。
 「ホワイトローレンスピータルチオサンデイロックウェルオンリイザフクロウレル。ふん、お主らには世話になったな。これやる」
 これ、とはぼろぼろの小さな麻袋だった。
首から下げられるサイズだ。
 「何これ…と思っておるじゃろう。これはな、われら妖精に伝わる底無しに物が入りよる袋じゃ。すごかろう。じゃ、さらばじゃ」
 フクロウレルは行ってしまった。
 
 「これ、そんなにすげーもんなんけ?」
ロイは麻袋を手に下げて見つめた。
 「大切なもん、これなら絶対盗まれんじゃあないんかい。…ン?あのじいさんふくろう羽根、落としてったぞ」
 空からゆっくりと白い羽根が落ちてきた。
  
 「よっと」
 
 ロイは手を伸ばして羽根をつかまえた。
 「わぁ、結構綺麗じゃん。虹の鳥の羽根のが綺麗だけどね。あ!!」
 ロイが拾った羽根を麦藁帽子につけるのを見ながら、レッジは突然、大声をあげた。
 「なんだってんだい、突然」
 「ね、ホワイトローレンスピータルチオサンデイロックウェルオンリイザ、フクロウレルさん、この羽根のこと、知ってたんじゃないかな〜」
 「お、おぼえたんか、あの名前…。」
 「うん!人と仲良くなるには、やっぱ、まずは名前を覚えなきゃ、ってお母さんが言ってた」
  レッジはにっこり微笑んだ。
 「なるほど。ま、それはそれ。虹の鳥の羽根のこと、レッジはなんも知らんのけ?」
 「うん。そうなんだ。あたし、これをお兄ちゃんのところに届けてって言われただけだもん」
 「そっか。ホンと、なんなんだべなこの羽根って。レッジの兄ちゃんは何につかうんかなあ。しっかし綺麗な羽根だンな。さすが虹の鳥の羽根だ」
 「まーね。んー、これをきっと麻袋に入れるべきなんだろうけど、ちょっと心配だし、やめとこっと」
 レッジは羽根を黒いかばんにしまった。
 「さ、ロイんちのそばまで乗せてってね」
 
 ロイの家につく頃にはもう夕方になっていた。
 「じいちゃん、ただいま」
 「おかえり、ロイ。おんや、レッジでねーか」
 「こんにちは。や、こんばんは」
 ロイの祖父、ジジは若い頃からずっとジジだ。とてもやさしいおじいさんである。
 「旅だべか…。もう遅いし明日にすりゃええ。泊まってけ、泊まってけ」
 ジジはレッジを見たとたん、そう言った。なぜか何も聞かない。
 「じゃあ、お邪魔しま〜す」
 ロイの家は男二人のわりに綺麗に片づいていた。どこもシンプルな、でも温かい感じの部屋ばかりだった。その晩、客間に案内されたレッジは早々にベッドにはいった。ここにはしょっちゅう泊まりにきている。もう慣れたものだ。
 そして…
 「ロイ、お前、レッジについてったれ」
 「え、じ、じいちゃん!?」
 ジジはゆっくりパイプをふかした。白い煙が辺りの空気と溶け合わさって消えていく。
 「…虹の鳥の羽根を届けるのじゃろ。虹の鳥の羽根はおまえたちが思っているよりもずっと恐ろしいもんじゃ」
 「え…?」
 ロイは思わず聞き返した。
 「きっと、危ない目にあうじゃろて。心配なんじゃ。レッジのことが…それに、あの子のことも」
 「あの子?」
 「や、なんでもないんじゃ」
 ジジは目をそらしていった。そしてパイプの灰をコンコンと出した。揺り椅子がギシギシと音を立てていた。
 「行ってくれるかの?」
 「で、でも、俺なんざがいっても、どうにもならんべ。俺にゃ別に取り柄もないし」
 「大丈夫じゃ。お前は父さんに似て賢い子じゃからな。それにわしの孫じゃぞお前は。きっとレッジを守れるはずじゃて」
 「レッジを『守る』か…。うん。わかった行くざ、俺」
 俺がレッジを『守ラナキャ』大事な何かを『守ラナキャ』いけないんだ。
 「うんうん、お前はいい子じゃ」
 ジジはロイの頭を幼い子にするようになぜた。いつもは嫌がってみせるロイだが、今日は素直になぜられていた。
 「いいか、お前の思った通りにするんじゃぞ。思った通りに『守る』んじゃ。後悔せぬように、な」
 祖父と孫の団欒のときはくれていった。
 
 次の朝になった。
 ジジは腕によりをかけておいしそうな朝食を用意した。とれたての卵でつくったベーコンエッグ、ジジ特製の手作り食パン、かぼちゃやキャベツの温野菜サラダ、もちろん、トマトやレタスなど生野菜サラダ。デザートにはロイの大好きなアップルパイそれにレッジの大好きなグレープフルーツゼリーもジジはつくっていた。
 「レッジ、俺もついてく。いや、俺もつれてってくれろ」
 おいしい朝ごはんを食べ終わり、ロイは元気にいった。紺のジーパンと青いタートルネックのシャツ、黒のベストを着ている。そんなロイは、いつもと違って見えた。
 「え!う〜ん、なんかいつもと違う〜」
 「これで…、」
 ロイは黄土色の麦藁帽子を自分の頭にのせた。
 「一緒になるべ?」
 にんまり笑うロイ。帽子には昨日拾った、フクロウレルの羽根が白く輝いている。
 「あ、ホンとだ。でもなんだか格好とあってない気が…ま、いっか。ようし、一緒にいこ〜!」
 元気が取り柄のレッジであった。
 「そうじゃロイ、ほれ、これをやるべ」
 ジジは赤く光る宝石のペンダントをロイに手渡した。レッジは横からそれを見た。
 「わ〜きれい」
 「じいちゃん、なんだよ、こんなかわいらしいの。俺がせにゃいかんだべか?」
 ロイはいやがっている。
 「それはなぁ、ブラッドルビーといって、とっても貴重なもんなんじゃで」
 「ブ、ブラッドォ?血なんて、呪われてそ〜じゃないかい、じいちゃん」
 「いんや、これはお守りじゃ。きっと不思議な力でお前たちを守ってくれるはずじゃで」
 ジジは確信を持ってうなずいた。
 「だったら、レッジがしたほうがいいべ。
俺、こんなかわいらしいの、しとないべ」
 「え、いいの?わ〜い」
 ロイが持っていないと意味がないんじゃがなぁ。ジジは喜ぶレッジを見ていて、とめるにとめられなくなってしまった。まぁいいわい。
 レッジはペンダントを首から下げた。 ブラッドルビーはまるで鮮血のような色で輝いていた。
 「あ!!そうだ、二つも首飾りするのイヤだし、ロイ、これしてよ」
 レッジは麻袋をロイに渡した。
 「えぇ、結局、俺もせにゃならんの?」
 「いいでしょ、それなら」
 ロイはしぶしぶそれを首から下げた。
 「こ、これは…まさかこの中に虹の鳥の羽根が入っているのか!?」
 ジジは驚いて声を上げた。
 「ううん。これには着替えとか、アウトドアグッズとかが入ってるの。あと、缶詰とかバナナみたいな重たい食料とかね」
 「ううむ」
 ジジはうなっていた。
 最近の若いもんは合理的じゃな。
 しかし、貴重な妖精の麻袋をそのように使うとはな。ブラッドルビーのことも知らんし。
 でも、それでいいのかもしれぬ。何も知らないままで。知らぬが仏。なんといっても『力』は絶対ではない。それに頼るようになってはたいへんじゃ。
 レッジとロイ、それに見送りのジジはバス停に向かった。ロイの家から歩いて3分とかからないところにバス停はある。ほとんど家から見えているぐらいだ。
 隣町へつづくバスが、バス停に留まっている。
 「それじゃあ…」
 「うむ」
 旅立つ二人はバスに乗りこんだ。レッジもロイも大急ぎで窓を開け、顔を出した。
 「じいちゃん、じいちゃんっ!!いってくる」
 ロイの目は少し潤んでいた。
 「ロイ、しっかりな!!」
 「うん!!」
 「…ありがとう、ジジ!!!」
 レッジも大声で言った。
 バスは薄い灰色の煙とレッジの声の響きを残して村を出ていった。ジジは遠ざかるバスの煙をいつまでも見ていた。
 「レッジ、なぜ、あの子なのじゃろうか」
 ジジはひとり、つぶやいていた。

(つづく)


 ごあいさつ
 ええっと、優です。はじめまして。
 とあるチャットで、ろう・ふぁみりあさんと知り合いまして、中学時代の創作物をこのたび、HPに載せていただくこととなりました。ありがたいことです。長い間忘れていた、創作することの楽しさを思い出せる気がします。…と、いうことで、がんばります!!!!
 がんばって、我が駄作ちゃんを、なんとか、最後まで書き終えることが出きれば、と、思います。
ああ、ともかく、がんばるのよ、私。
 みなさま、そして、ろう・ふぁみりあさま、どうか、こんな私をあたたかい目で見守ってやってください。よろしくお願いします。
ちなみに登場人物!!

レッジ(14)
 黒い、長い髪がチャームポイント(?)の女の子。
 視力がいい。背は153cm。目の色は…なんだっけ?
 楽観的な性格らしい。田舎者な少女。
 兄、ラーネッドに、虹の鳥の羽を届けるため、旅に出る!!!と思う。

父(いくつだったかなあ←忘れている。)と母(20!←…)。
 レッジのパパとママ。パパは学者肌。ママは肝っ玉母さん?

ロイ(15)
 麦藁帽子の男の子。(ワンピー○の主人公さんのマネじゃあねぇ〜〜。本当はこっちのが先だべッ!!…とのことです。)レッジの幼馴染。
 結構な苦労人らしい。祖父のジジと暮らしている。農業をこよなく愛する?

ホワイトローレンスピータルチオサンデイロックウェルオンリイザフクロウレル
 だれですの、あなた!!!
 ってな名前のフクロウおじじ。超、純血の妖精らしい。
 かなり、いい加減なおじいさん?

ジジ
 謎多き、ロイの祖父。でも、そーーーんなにたいした謎じゃあ、ありません。(爆)
 料理上手なおじいさま。訛が激しい。しかも、何弁!?(…ごちゃ混ぜ弁)


         恐怖の一言:これから、ザクザク現れると思います。登場人物。


 

ろう・ふぁみりあの勝手な戯言〜

 

はい。とあるチャットで優さんを脅迫(!?)して小説を頂いた使い魔です。

うー、いーですね〜・・・

なんとなく、童話の雰囲気のある物語ですね。
はじまりに、天使(?)の少女が現れて羽を預けて消えるシーンとか。
沼にはまっていた(前略)フクロウレルさんを助けて、お礼に(・・・か?)に”麻袋”を貰ったシーンとか。
・・・いや、この物語を読ませていただく寸前に読ませていただいた童話の印象が残っているのかもしれませんが。

さぁ〜て、レッジとロイ、二人の旅路はどうなるのか・・・

(登場人物の欄を見て)・・・ん?
レッジ母の年齢が20?
それって、息子よりも若いよーな・・・継母なのかな?


INDEX

→NEXT STORY
第二章 隣町