truth&sincerity
トゥルース&スィンセラティ 

 

第九話 『光の民』


 

「たしかこの辺に・・・あれ?ん〜と・・・」

 

オレ達は大きな本棚の上の方でごそごそと本を漁っているイオタをじっと見守っていた。

そう。ここは城の一室にある書庫だ。

ナヴェーナに聞くところによるとある程度有名な本やこの国では貴重な本はすべてこの書庫に収められているようだ。

 

「あぁ!あったあった!!」

 

イオタはどうやら目当の本を見つけたらしく高い所に上る為に使っていたはしごを下り始めた。

その手には薄い本を・・・もしかしたらただの一枚の紙の様にページ数の少なそうな本を持っている。あれが・・・光の民の本??

 

「よっこらせっと。ほら、これだよ。兄ちゃんの親父が見に来たものってのは」

「ナンダ・・・?この本は・・・・」

 

そう言葉を漏らしたのはオレではなくゼータだった。

物珍しそうにじろじろと本を見ている。

その拍子には古代文字で『四神族と………』(擦れて読めない)と書かれている。

 

「四神族??」

「四神族の事なら私が知ってます。四神族とは私達のような四神の力を使う光の民の民族名です。まぁ・・・私達は四神族『セアリュー』ですが・・・」

 

淡々とナヴェーナが説明する。

じゃぁ・・・

 

「この後ろ・・・なんて書いてあるんだろ?」

「さあ?見えないからほっといて良いんじゃないですかぁ。と言うか・・・こんな本が書庫にある事すら知らなかったですしー。なはははは〜」

「・・・・・。(汗)とりあえず中を見てみよう。」

 

ぱらぱらぱら・・・・

 

「んーなになに?『この樹の大陸には四人の神がい、名前をそれぞれ「蒼龍」「びゃ・・・」

「あ〜モクト。その辺飛ばして、しってるし〜。」

「・・・・・・・・・・・。じゃー『光で創られたこの大陸は四神により恵みをもたらされている。・・・』」

 

その四神に最も近き存在の種族がいる。

彼らは四神の絶大な力を持ち、四神の清き心を持った。

でも彼らは・・・恐れるものがあった。自分達には無い力。

 

『闇』・・・そう、『エターナ』だ

 

 

「エターナッ!?」

 

ゼータはガタンと椅子を鳴らせて立ち上がった。

かなり動揺しているようだ。

 

「ゼータ。まだ話は終っていない。」

「座って・・・ゼータ。」

 

オレとシータの言葉を聞いて、ゼータはもう仕分けなさそうに腰を下ろした。

まぁ・・・仕方ないな。

 

「モクト。話を続けてくれ。」

「わかったー」

 

闇の者は完璧に『光』を拒否し、また光の者も『闇』を拒み続けた。

そうしている内に、四神族は『エターナ』に害はないと感じ始めた。

『闇』・・・聞いたままでとらえればほとんどの人は『=』に『悪』をつけるだろう。

四神族も初めはそうだった。『光』こそが表であり、『善』の力なのだと・・・

しかしそれは大きな間違いだった。四神族を始め『光の民』は勝手な勘違いをし続けていた。

光や闇など・・・ただの力の『属性』過ぎないのだ。

だが実際はどうだろう?勢力争いや種族争いなど『負』の感情を出しているのは『光の民』なのではないかと。

 

「そうだ・・・俺も・・・俺もアイツに・・・」

 

おそらくゼータは捕まっていたときの事を思い出したのだろう・・・

今のオレには何も言えない・・・そっとしといてやろう

 

 

 

―そう思ううちに、四神族は闇を『恐怖』と感じなくなった。

むしろ・・・己と同じ異なる力を持つもの同士として、なにか親近感を感じ始めていた。

 

「ま・・・待てよ。『闇の民』と『光の民』は最後まで仲が悪かったんじゃないのかよ!!」

 

その証拠が『食炎伝説』だ。もともとあの伝説は光と闇の戦争で起こったようなものなのだから。

 

「兄さんまで!話は最後まで聞かないと駄目でしょ!!」

「ほらほら!兄ちゃんっ座った座った!!」

「・・・・。」

「・・・モクト。続けて」

「はぁーい!」

 

四神族は闇の民に交友を求めた。

しかし闇の民はまだ拒んだ。『自分達とあなた達は相容れないのだ』と言って・・・

そんななか、闇の民は一つの異なる光の種族に手を貸した。

 

「『それが・・・』・・・・ん?やっ破けてるーー!!!!」

「なっなんだとっ!?」

「というか・・・この本実はもっと厚い本だったみたいだよー・・・破れてると言うか、ちぎれてると言うか・・・」

「モク兄!!かしなっ!」

 

勢い良くイオタがモクトの持っていた本をぶん取ると裏表紙(最後のページ)を読み始めた。

するとイオタはガッカリした顔をして。

 

「マジかよ〜〜こんな良い所で破けてるなんて・・・」

「結局・・・エターナと光の民の謎は謎のままか・・・」

「父さんは・・・・何が調べたかったのだろう・・・」

 

父さんは母さんを探しに行ったはず・・・なのに・・・

何故?母さんと食炎伝説は関係ないだろう?

何故、何故、何故・・・・・・・??

 

「兄さん。大丈夫?」

「ん?あ、あぁ。大丈夫さ。」

「顔色悪いよ。そろそろ休もうか?」

 

良く見ると窓の外はもう日が沈んでいた。

アティックに来た頃が真昼ぐらいだったから・・・時間的におかしくない。

 

「そうだな。宿に戻ろうか。」

「うちの国は他の国と比べると治安は安定してますが・・・くれぐれも道中気をつけて下さい。」

「なー姉!」

 

ナヴェーナに挨拶をいわれ帰ろうとしたオレ達を、モクトが引き止めるようにナヴェーナに向かって叫んだ。

 

「お土産わたしわすれてるよっ!!」

 

オレは(シータ、ゼータも)一瞬こけそうになった。

しかも・・・

 

「あぁ!そうだったわね。それは大変失礼な事を・・・・」

 

オレ達はまたこけそうになったのを必死でふんばった。

 

「これ、クッキーなんですけど・・・良ければどうぞ。美味しいですよ♪」

「は・・・はぁ。有り難う・・・」

 

ナヴェーナはどこから取り出したのだろう?

一つの大きな丸い缶をオレ達に渡した。

 

「ではまたあしたね〜〜!!」

 

明日も来るのか・・・・?

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・。」

「?」

 

兄さんは気がつかなかったみたいだけど・・・

私はたしかに見た。

彼女が・・・イオタが私達の事をじっと見ている姿を――――

 

 

 

 

翌日

 

「ん〜〜・・・」

 

目をつぶっていても解る・・・・微かに瞼の裏に明かりが点る。

光が射し込んで来たのだ。

 

朝か・・・・

しかしオレは昨日の事もあってだろうか?

かなり眠い。と言うかもう少し寝る。

そう思ってオレは寝返りをうとうとした。だが・・

 

「ん?」

 

何かがオレにぶつかる。

いや。オレがぶつかったのか?

何かと思ってオレは眠さを振り払って目を開けた。

するとそこには・・・・

 

 

「うあぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「・・・・・・うっるせーなー・・・眠いんだから静かにしろっての・・・」

 

ガタガタガタッッ!!!

 

オレはベッドから一気に跳ね起きた。

なななななななんでっ・・・・・・

 

「イオタがそこで寝てるんだぁーー!!」

「だからここはあたいの寝床だって言っただろう?」

「だからってなぁ!ったく・・・普通男のベッドに潜り込むか!?」

「だってモク兄とは一緒によくねるし。」

「〜〜〜っ!!!」

 

オレが言う言葉に困っているとトタトタと廊下から走る音が聞こえてきた。

もしやこの音は・・・・

 

「兄さん!何事!?」

「おっ!シーガバッ!

「シータ!どうかしたか?」

 

オレはとっさにイオタに布団をかぶせた。

 

「あれ?さっきなんか聞いた事のある声が・・・」

「気のせい気のせい!!」

「んーまぁいいか。で、なんかどたどた言ってたみたいだけどどうかしたの?」

「い、いや。なな、なんか起きたら急に目の前に虫が・・・」

「あ、そうなの?・・・でも兄さん無私・・・じゃなくて虫平気じゃなかったっけ?」

「シータだっていきなり目の前に人の顔が合ったらびっくりするだろ?」

「なるほど・・・でも騒ぎすぎない様にね。」

「あ、ああ。」

 

ガチャン・・・

 

ふぅ・・・

 

「ぷはぁ!!いきなりなにすんだよっ!!」

「それはこっちの台詞だっ!人の部屋に勝手に入って来て!」

「だからここはあたいの寝床だって・・・っ!」

「もういい・・・とりあえず帰れ。」

 

「嫌だね。」

 

は?

今何と?

 

「嫌なんだって。」

「何故?」

「あたいも一緒に行く。」

「どこに?」

「エータ兄ちゃんの旅。」

「何しに?」

「遊びに。」

 

あのなぁ〜

イオタは何かを企んでいるような笑みをこちらに向ける。

 

「オレらは遊びに旅してるわけじゃねえんだよ!」

「兄ちゃん達が何をしようとあたいは「遊びに」旅すんだよ。」

「魔物だっているんだぜ!?」

「蒼龍術で一撃だ。」

 

強いだけに何も言えんかも・・・・

一方イオタは「フフ・・・決まったな」って顔をしている。

だがこいつを連れて行くわけには行かない。

一国の王女を危ない目に合わせたらオレどころかシータやゼータまで牢屋行だ。

ナヴェーナやモクトなら解ってくれるかもしれないがきっとその時には彼女らの両親がいるだろうし…

とにかく

 

「駄目なん・・・」

 

バンッ!!

 

「エーティアル様!!・・・あ、イオタ王女まで!?」

 

いきなり兵士(服装から見てアティック兵)が部屋に入ってきた。

事もあろうかイオタの姿まで確認させられてしまったが・・・兵士はそれどころではないらしい

 

「どうしたんだ?兵士Α。」

「へ・・・兵士Aって・・・名前は?」

「何を言ってる、エータの兄ちゃん。A(エー)ではなくΑ(アルファ)だ!それがこの兵士の名前。」

「はい!近衛兵やってますアルファです!」

 

紛らわしい・・・

しかも兵士Αは律義に令までしてるし・・・

なんかイオタムカツクかも・・・

 

「で、アルファ。何のようだ?」

「そっそうでした!・・・」

 

「マゼス方面の森賊が我が国に攻撃を仕掛けてきたのです!!」

 

「なに!?」

「森賊!?どんな森賊だ!?」

「え・・・っとたしかマゼス方面に良く見られる精霊使いの森賊ですが・・・」

 

と言う事は・・・クシー達じゃないって事だな・・・第一あいつらはソーディス方面で知り合ったやつだし・・・・(知り合いたくないけど)

って優雅に考え込んでる場合じゃない!!

 

 

 

「イオタ王女とエーティアル様は急いで避難して下さい!!」

 

 

第九話 END



作者の後書き

 

この話も一つの大詰めきましたね〜

二次創作と違って話に最後があるのは書きやすいです・・・

どういう意味かと言うと・・・私の書いているもう一つの小説は終わりの話がまだ出来ていないんです・・・はははは(T▽T)

さて、本題に戻りましょう!

話がややこすぃです(爆)本がどこまでの話を出していいかが凄く悩みました。

おそるべしニ○ー様・・・(謎)

初期の話とは随分変わってます。始めは擦れて読めないと言っている部分もありましたし、四神族の各名称もあったりもします。でもまぁそれはだしすぎかなと言う事で削られました(爆)

何というか・・・やはり木賊のオススメキャラはナヴェーナさんとモクト君です・・・(笑)

あとは・・・兵士Α(アルファ)も個人的に気に入っていたり・・・主人公はどうした!?


 

ろう・ふぁみりあの勝手な戯言ッ!

 

ふっ・・・フェイントですか。無私(笑)

それはともかく

親父さんの旅の目的が謎深まって来ましたねー(ヲイ)
光の民とエターナを巡る謎。これが双子にどう関って来るのでしょうか?(語り口調)
まあ、現時点では過去の種族の事よりも、目の前の森賊でしょうが(苦笑)

次回は森賊と双子&ゼータ&イオタのバトルか!?
しかも「精霊使い」って事は、シータ&イオタが活躍するのかも・・・(ぢつはイオタが好きさ)


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