truth&sincerity
トゥルース&スィンセラティ 

 

第八話 『足跡』


 

「に・い・さ・ん???これはどういうことっ!?」

 

私の声が広い部屋中に響く

 

「いや・・・どういう事だと聞かれてもなぁ〜」

「いきなり兵士に捕まるわ、城に連行されるわ・・・ったく、大変だったんだぞっ!」

「まぁまぁ〜別にこの人が悪い事したわけじゃないんだし、いいじゃん」

「なー姉の言うとうりっ!てか逆にイオタを捕まえてもらって感謝したいくらいだよ」

「「はあ・・・・」」

 

そう、私達はあのあと食事中に兵士がやって来て

「エーティアル様の妹様ですね?」

とか言われてここ・・・アティック城まで連れてこられたの

その時の私達はまさか行方不明(?)中のイオタ王女を

兄さんが見つけたなんて思ってなかったから

理解するまでにかなり時間がいったわ

 

「ったく!この兄ちゃんのせいでかくれんぼがだいなしさっ!」

「イオタ。あれはもはやかくれんぼなんて規模じゃないわよぉ〜。」

「というか、三日間も部屋空けるのは異常だよぉ〜。」

「けっ」

 

こっちはこっちで話をしている見たい・・・

というかまさか町に来た時にぶつかった女の子が王女だったなんて

小説みたいね〜(いや、小説なのよね)

えっと・・・この台詞。無私・・・もとい無視してくれて結構です。(爆)

イオタ王女は椅子をガタガタいわせて・・・不機嫌そうな顔つきでいる。

一方ナヴェーナ王女とモクト王子は・・・・これが普通なのかな?

にこにことお茶をすすりながら雑談していた。噂通りの能天気ぶり・・・ね

 

「それにしてもお父様とお母様がいないときでよかったわぁ〜」

「あの二人がいたら僕らまで起こられてたからねぇ〜」

「あ、そういえば今。王と王妃はいないのですか?」

 

ゼータが思い出したように言う

 

「ん。お父様とお母様はマゼスまで御仕事にいったんだ。」

「・・・マゼス?あ、ああ。四大都市ですね。」

 

マゼスは北に位置する魔法軍事国家。

最近、魔法の資質がない者でも
魔法が使えるようにする研究が行われていると噂されている。

四つの国の中で一番治安が乱れているという国でもあるの

でも何故ゼータがそんな事知りたがるのでしょう?

 

「ゼータ?」

「?なんだシータ。」

「い・・・いえ。別に・・・」

「あ!エータさん。僕らまだ正式な自己紹介してませんでしたね・・・」

「は・・・?」

 

な・・・何を今更・・・

 

「僕の名前は・・・もう知ってると思いますがモティクト=キール=アティックです。あ、呼ぶ時はモクトで良いですよぉ〜。」

「私はナヴェーナ=ツール=アティック。お父様とお母様がいない時は私が政治を取ってます・・・はい。次イオタね〜」

「・・・・・・・・・・。あたいはイオタ=スィール=アティック。好きな事は蒼龍術と遊ぶ事。」

 

・・・・どうやら能天気で天然な姉兄という噂は本当だったらしいな・・・

イオタ以外はにこやかな顔で自分の紹介をしている。

やはりここはオレ達も・・・

 

「俺はゼータ。ゼータ=リトゥール。一応バーリィ出身です。今は旅人やってますが・・・」

「私はシルフィーア=タグフォード。兄はエーティアル=タグフォードといいます。」

 

シータはオレの分まで紹介してくれた・・・

自分の紹介ぐらい自分でしたかったんだが・・・・ん?

 

「・・・・・・・・・・・・・た・・・タグフォード!?」

 

オレの名字を聞いたナヴェーナの顔が先ほどと一転し、驚きの顔をしている。

 

「もしかして・・・ガンマおじさんの息子さん!?」

 

ガンマ=タグフォード・・・・・オレの・・・・

 

「父さんを知ってるのか!?」

 

ガタンッ!!

オレは勢い良く椅子から立ち上がった。

その拍子にテーブルの上にあった紅茶が零れる。

 

「し・・知ってるって言っても・・・お父様の昔の御友人ですが・・・」

「昔って・・・いつごろの!?」

「モクトが生まれて間も無い頃でしょうか?ここにいらっしゃったらしいですが」

 

モクトは今12歳!ということは12年前!?

オレが・・・親父に剣を貰って・・・いなくなった時期と一致している!!

 

「父さんは・・・父さんはここに何をしにきたんだっ!!」

「は・・・話が解りません〜。なにをそんなにムキに・・・」

「に、兄さん。ナヴェーナ姫は父さんがいなくなったってこと知らないのよ?」

 

・・・・。オレとした事が・・・少し取り乱してしまった・・・・

シータは横でナヴェーナとモクト、イオタに詳しくせつめいしているようだ。

ナヴェーナとモクトは無表情のまま肯き・・・やがて驚きの表情をする。

・・・・でも・・・でも、これで父さんの足跡が見つかったんだ!!

 

「エータさん。・・・すいません。私は力になれません・・・しかしお父様が帰ってくれば何か解るかも・・・」

「・・・・・・・・。」

「兄さん!!」

「気を使わなくても良いですよぉ。エータさんはお父様の事が解かって嬉しいんですし・・・。あ、それから私達の事は呼び捨てでも良いです・・・普通の友人として扱って下さると嬉しいです〜。」

 

ナヴェーナはそう言ってにっこりと笑った。

横で「僕もーっ!!」という声が聞こえてくる・・・

 

「じゃぁ私達も・・・」

「とりあえず父上が帰ってこないとエータって兄ちゃんの出来る事はねぇはずだよな。」

「お前に言われたく無いな!イオタ」

「おっ?そんな口効いて良いのか?」

「?」

 

イオタは・・・さっきと違って服装は姫が着るようなものになっている。

先ほどのイメージがらりと変わっていて、妙な感覚だ。赤茶色の髪の毛は先ほどの薄汚れたイメージはなく・・・風呂にでも入ったのだろうか?すこし金髪に近い色になった。

そのイオタが・・・にやりと無気味に笑う。

なにがいいたい?

 

「あたい・・・しってんだよ・・・」

「何をだよっ!!」

「おいおいエータ。子供相手にそう怒鳴るなよ。」

 

オレはゼータを無私・・・もとい無視して・・・ってシータの口癖移ってるし。

とにかくっ!オレはイオタに向き直った。

するとイオタはもう一度にやりと笑った。そして・・・こう呟いた・・・

 

 

「お前の親父が捜していた・・・『光の民』の本を・・・・」

 

 

第八話 END



作者の後書き

 

お・・・親父さんが出てきましあ!!濃い名前ですが一応ギリシア文字。

と言うか・・・なんとか話を繋げる事が出来たぁ〜〜いきなり詰まったかと思いましたよ。

はっきり言ってこの話。終わり以外はどうでも良い事書いてます。

・・・場繋ぎな話ですね。今まで書いた小説で始めて場繋ぎ話が成立しました。(>▽<)

なんかそれだけで十分感激かも・・・

さて。今回の謎は最後の【光の民の本】ですね。フフフ・・・

まぁばらしたら次の話は面白くないんで伏せておきますね。フフフ・・・(危)

では次回をお楽しみにっ!!(てか木賊楽しみすぎ)


 

ろう・ふぁみりあの勝手な戯言ッ!

 

・・・この小説、何が楽しみかと言うと、毎回必ずシータが言う「無私・・・もとい無視です」が楽しみだったり(笑)

自然な感じでスッと言ってくれる所が好きです。ハイ。

さて親父様の名前が出てきましたね。・・・そーいやこの二人、親父様を探してたんでしたっけ(忘れるなよ)

い、いやいや、前章でゼータ君の活躍と秘密の印象が強すぎて、双子なんてどーでもいい・・・ごほっ、ごほごほ!

―――じゃなくて。

親父様の足跡! そして『光の民の本』! むむむぅ、次回がものすご気になります!

前章でほとんど見せ場をゼーちゃんに奪われた双子は主役の意地を見せられるのか!?(ヲイ)

 

・・・しかし、そのゼーちゃんって戦闘以外は大人しいにゃあ。

まあ戦闘以外で目立つと、本気で双子の出番がなくなりそうだけど(笑)


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