truth&sincerity
トゥルース&スィンセラティ 

 

第七話 『三姉弟』


 

「まだ捕まらないの?」

「はい。・・・もう仕分けありません・・・」

 

広い・・・豪華な一室に、兵士らしき男と部屋と同じく豪華なドレスを着た女性・・・いや15歳位の少女が話していた。

金髪の長い髪を中途半端なわけの分らない位置で緩く縛っている。

顔は・・・美人で、いかにも「高貴な御方」だ。(でもいけずそうではない。やさしそう)

 

「う〜ん・・・他に隠れそうな所ってどこだと思う?」

「はぁ・・・私どもに言われましても・・・」

「よねー。」

「・・・・・。」

 

少女は能天気に言う。

別に彼女に悪意はない。そういう性格なのだ。

言わば・・・・天然。

 

「なー姉!!」

「ん?モクト・・・どーしたの?」

 

ばたんという音が鳴り、部屋の扉が勢い良く開いた。

扉を開けたのはどうも「モクト」という者らしい。・・・というかそいつだ。

「モクト」と呼ばれたのは12歳ぐらいの少年。

こちらも金髪で・・・ショートカットだ。

高貴そうなのには変わり無い。

 

「わぁ〜そのクッキーおいしそう。」

「食べる?」

「うん。・・・ってそうじゃないーー!!」

 

モクトはクッキーを口にくわえたままおもいっきりテーブルを叩いた。

 

「・・・クッキーの話を持ち掛けたのはあんたでしょうが・・・」

「・・・ぐっ・・・・・」

「捕まえた?って聞きたいの?」

「そだよ。」

「んーん。まだよ」

「なーんだ・・・」

 

能天気な会話が続くと、モクトはもう一つ、クッキーを食べ始めた。

ちなみにこれも悪意はない。・・・・・天然だ。

 

「ひ・・・姫・王子・・・ナヴェーナ姫・モティクト王子・・・」

「あ、そうそう・・・忘れかけてた。で、何?」

「イオタ姫・・・どうするのでしょうか?」

「まぁ地道に探して。あの子の事だからだいじょーぶでしょ。」

「・・・・・・。」

「まぁ・・・頑張って!私もがんばるし。」

「僕も頑張る!」

 

相変わらず能天気な二人に溜息を漏らさずにはいられない兵士だった。

 

「あぁーー!!なー姉が最後の一個食べたぁ〜〜!!」

 

 

この子達が・・・アティックの・・・・王女と王子だなんて・・・・・

 

 

 

「ふあぁ〜〜疲れたぁ〜〜」

「シータの奴・・・宿見っかったとたん「買い物いこうよ!!」だもんなぁ〜」

 

オレ達は宿のベットの上で、手に荷物をぶら提げたまま寝転んだ。

いつもならば冗談で「じゃぁオレはこっち」とかいってシータの部屋に入ったりもするのだが・・・今日はその元気はない。

布団が気持ち良い・・・

 

「う〜ん・・・女の買い物ってなんでこんなに長いんだ・・・」

「ゼータがパーティに入って荷物持ちが増えたからな〜いつもの倍は買ってる・・・」

「どこにそんな金があるんだ??」

 

「「はぁ〜〜〜」」

 

トントンッ

不意に戸を叩く音が聞こえた・・・

 

「誰だ?」

「私。シータよ!御夕食出来たんだって!食べにいこ〜!!」

 

「「・・・・・・・・・・・元気だな・・・・・・・・・・・・」」

 

オレとゼータはほぼ同時に呟いた。

 

「なんでもいいから早く行こう!!」

「はいさっっと。」

 

ゼータはケジメをつけて起き上がると、部屋を出て行った。

オレはと言うと・・・まだ疲れておきあがれない。

しかもシータ達は先に行ったようだ・・・薄情もんが・・・・

というかオレも早く行かんと・・・ゼータに妹横取りされるかも・・・(考えすぎ)

オレは立ち上が・・・・

 

ガタッ!!

 

「誰だっ!?」

 

今度は窓の方から音が聞こえた・・・・・・

誰かが忍び込んでくる・・・いや、「忍び」じゃないか・・・オレもう分ってるし・・・

 

「いたたぁ・・・ったく・・・・げっ!?誰か泊まってる!?」

「「げっ!?」じゃねぇ!!人の部屋に勝手に上がり込んで・・・・ってお前はぁーー!?」

 

部屋に勝手に上がり込んできたのは昼間の少女。

 

「ちっ・・・いっつもここに隠れてたのに・・・・ついてねぇ〜」

「お前はどこまで悪ガキなんだ!!」

「いっ!?いたたたた!!!!何すんだよ!!」

「お・し・お・き・だよ!!」

 

オレはそのガキの耳を思いっきり引っ張ってやった。

 

「ったく・・・城の兵士に突き出してやるよ!!」

「いてててて!!はなせぇぇ!!」

 

オレは耳を引っ張ったまま外に出た。

 

 

 

兄さんがそんな事をしているなんて知らないそんな私達はというと・・・

 

「兄さん遅いわね〜」

「先に風呂に入ったとか?」

「あ、兄さんならありえるわ!けっこうあの人見掛けによらず綺麗好きなのよね〜」

「へぇ〜。あ、これ美味い。」

「どれどれ・・・あらホント!」

 

 

優雅にディナーを楽しんでました・・・兄さんの事なんて無私・・・もとい無視です★

あぁ・・でもこれ本当に美味しいかも・・・・

 

「あ、そう言えばシータは知ってるか?ここの王族達。」

「王族?いいえ・・・」

 

いきなり言い出したゼータの話に、私は耳を傾けた。

 

「一度噂で聞いた事があったんだけど・・・ここの第一王女と王子はすごく能天気で天然な性格らしいぞ。」

「能天気で・・・天然???」

「あぁ・・・名前はナヴェーナ=ツール=アティックとモティクト=キール=アティックだそうだ。」

 

一国を治める王子と王女がそんなので良いのかしら?

と、私は思いながら料理を口に運ぶ・・・

同じくゼータも料理を口に運びながら、

 

「でも問題なのは末っ子の第二王女だ。」

「・・・・?何が問題なの?」

「どうも・・・男勝りでいたずら好きらしい。」

「普通の子供なら普通かもしれないけど・・・ってそれって本当に王女???」

 

私は本当にそう思った。

王女とか聞くと、美人でやさしくて・・・おとなしそうなイメージかある。

でもゼータの言っている『王女』はどう聞いても一般平民

 

「でも、王家に伝わる木・風の精霊高等魔法だけは一番強いらしい・・・」

「木・風の精霊高等魔法・・・蒼龍術・・・でしょ?」

 

高等魔法とは血筋じゃないと発動しない魔法の事

蒼龍とはこの大陸の守り神一人。風と木の精霊達の象徴なの

まぁ精霊の長みたいなものね。

そのため通常の精霊魔法より遥かに威力が大きい。

しかしその他の魔法は一切使えないのである。

アティックの王族は代々その魔法を駆使してきたのです・・・

 

「とすると蒼龍召喚は・・・末っ子が受け継ぐなんて・・・珍しいパターンね。」

「蒼龍召喚って・・・蒼龍術の最大の魔法だったよな・・・」

「一代に必ず一人いるの・・・」

 

魔法力は大抵先に生まれた子に多く受け継がれる事が多い。

 

「俺も一度見てみたいな・・・高等魔法・・・」

「ゼータは剣技が高等術のようなものじゃない」

「それもそうだな!」

 

「「あははははははは!!」」

 

 

「なー姉。そんな格好して・・・何処行くの?」

「ほら!あんたもぼさっと突っ立ってないで!これ着て。」

 

ナヴェーナはモクトに紺色のマントを渡す。

 

「だーかーらっ!何処行くの!?」

「私達自らが妹、イオタを探しに行くのよ!!」

「僕らで出来る?」

「・・・・多分。ぐちぐちいってないで!早く行くよ!!」

「まってよ。なー姉!!」

 

「よぉーし!しゅっぱ・・・・・のわああぁぁ!!!」

 

ずでーーーん!!

 

「なー姉・・・大丈夫?」

「・・・・マントの裾踏んだあぁぁ・・・・」

 

 

 

 

 

オレは城の前に来ていた。丁度交代の時間なのだろうか?門番がいない・・・

はっきり言ってかなり手薄・・・ん?

 

前方に黒い影が見えた・・・良く見ると・・・・子供が二人・・・・一人はこけてるみたいだ

オレはその二つの影に向かって

 

「なにやってるんだ??お前達は?」

 

と、いった。

 

「いてぇ!!さっさとはなせぇ!!はなさないと痛い目にあうぞっ!!」

「五月蝿い!大体お前に何が出来るんだ?」

 

相変わらず五月蝿いな・・・・

オレが倒れているガキ達と話をしていると横から言ってきた。

今は悔しそうに歯ぎしりをしながらこちらを睨んでいる。・・・・・お?

 

「・・・・・っ!!」

 

何かと思うとさっきのガキは俯き、なにかぶつぶつと呟き始めた・・・

 

「“風と木の支配者・・・蒼龍よ!今一度我に力を貸したまえ!!”」

 

 

 

ゴォォォォッ!!

 

「うっ!?」

 

いきなりガキの周りに突風が吹き始めた。

オレはガキから手を放し(と言うか半分吹き飛ばされた形)、様子をうかがった。

 

ガキの周りを

強い風が渦巻いている・・・

この感覚・・・・・シータと一緒・・・いやそれ以上だ!!

 

「精霊魔法!?」

「なー姉!!これ、蒼龍術だよっ!!」

「えっ・・・?」

 

ん?倒れていない方のガキ・・・少年はこいつのことをじっと見てるが・・・・?

 

「なー姉・・・・上見て!!」

「う・・・上??」

 

魔法を放ったのガキ・・・少女もこちらを向いた。おなじくこいつをじっと見てる・・・

良く見るとこいつも二人のガキを見てる・・・

 

「ナヴェ姉・・・モク兄・・・・!!」

「「イオタッ!!!」」

「な・・・なんだ・・・お前等姉弟かよ・・・て」

 

ちょっとまて?姉弟という事は・・・この乞食みたいなガキは実は貴族だったって事か!?

いやそれより・・・「イオタ」って・・・・・・・

 

「「兵よ!!イオタを・・・イオタ=スィール=アティックを見つけたよ!!」」

 

 

「このガキ・・・・この国の第二王女だったのかよっ!?!?!?」

 

 

第七話 END



作者の後書き

 

いろいろごちゃごちゃになってきましたね〜

それにいつもと書き方のパターン違います。場所移動がありますね。

 

イオタ・・・名前つきで登場です。

それでもってナヴェーナとモクトはオリジナルぅ〜な名前です。ギリシア文字じゃないんですよね。

これにはれっきとした理由があるんですよ〜実はこのキャラ。私の友人がモデルで名前もそれからとってるんです。

ばれたらどうしよう?(爆)まあいいか。

そのうち私がモデルなキャラが出たりして(爆)あはは。

それにしても・・・私って正式名称を縮めるの好きだなぁ〜〜(笑)



ろう・ふぁみりあの勝手な戯言


・・・オイラの場合、短い名前しか考えられないっす(苦笑)

さて、第二章の章名の由来が出てきましたね〜蒼龍術。

あとは生意気な三人の子供達。

・・・自分でも最近まで気付かなかったけど、生意気な子供って好きかもしんない。

考えてみればそーゆー子供ばっかり書いてるような自分。気のせいか?

まあオイラの好みはさて置いて、イオタさんとシータさんが会った時が無性に楽しみな〜

次回が楽しみですぜぃ!


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