truth&sincerity
トゥルース&スィンセラティ

 

第四拾四話『心から信頼する人』

 


  

 

 

 

 

『…ッ!?』

『どーしたの?玄武……あ』

「??二人してどうしたの?」

 

いきなり硬直しだした玄武と朱雀。

玄武の表情は嬉しそうに、朱雀の表情は………ん?

なんか「まずいな…ヤバイな…なんだよこのやろー」って顔をしてるが…

 

「すっざくーーー!!!!」

『でたぁぁ!?』

 

前方に見えたのは……ユレア!!

 

「背中のっせて〜〜〜!!」

『誰が乗せるかぁ!!』

 

猛ダッシュでやってきたユレアから逃げる為に空高く舞い上がる朱雀

間一髪のところで逃げた朱雀の額に少し冷や汗が見えるのは気のせいだろうか?

 

「ユレアのバカ!あなたねぇ!戦地に向かって言う言葉じゃないでしょう!!」

「隙あらば攻める。あたりまえや〜ん」

「『攻める』の意味が違う!!」

「え、えーっと…」

 

プシーさんは困っていた。

なぜならいきなりユレアと…それを後から追いかけてきたファイがいきなり漫才を始めてしまったからだ。

初対面でこう言う事をされると…かなりハードだとオレは思うが…

 

「エータさん久し振りです〜!のわはは〜〜」

「ひさしぶりぃー!」

「久し振りじゃないけどなんか気に食わないからてぇいー!!」

「うごっ!?」

 

不意打ち。

その一言だ。オレがユレアとファイに気をとられていると鳩尾に思いっきり”人”がぶつかってきたからだ。しかも3人。

この口調は誰だか顔を見なくともわかる・・・

 

「ナヴェーナ、モティクト………」

「お、おい!あたいの名前は!!」

「…呼んでほしいのか?」

 

アティック三姉弟である。

 

「ファイたちといいお前らといい…なんでここバーリィに?」

「二国だけじゃないですよ?」

「へ?」

 

肩に手が置かれる。俺は反射的に振り返ると…そこには一番マトモそうな人。マゼス国王デルタ=ジル=ディ=マゼスがいた。

なんか…いまさっきアティック姉弟にやられていたむ鳩尾を回復してもらおうかなぁとも思ってしまう…

本気で痛かったんだぞ?特に末っ子。

オレはわざとらしくその"末っ子"を睨んでみると…気持ち悪くなるほど憎たらしい笑みを返してきた。

 

にらみ合いはオレの負けだった

 

「仲良くみつめ合っているところ悪いんですけど〜」

「お、御姉様…多分それ違うと思います…」

「お、やっぱりお姫様方も着てたのか?」

「ついでに言うならミューやベータもいるぞ」

「野郎にゃ興味ねーしな」

「はははははははははっ」

「笑うな!!」

 

オレの言葉に爆笑するセアド…いや、セッド。そしてそれを怒るミュー。あたふたするマリード。どうやら皆仲良くなったみたいだな……ミューのことだからまだセッドを忌み嫌ってるのかと思ってたが…その心配もなさそうだ

 

「玄武様ぁ〜」

『セッドさんっ!』

 

…相変わらずのラヴラヴっぷりで… 

 

「そう言えば…なんで王様ご一行がここに?」

 

それを聞いた瞬間。周りが静まった。

 

 

 

「あのね…パイ=ラ=エデンのことなんだけど…」

「あぁ…そいつなら…えーっと…」

「叩きのめしましたよ」

「え?」

 

不意に後ろから声がかかり…オレははっとして後ろを振り返った

そこにはいつもの優しい笑みを持ったゼータ。

そう。ここに来るまでだしていた苛立ちはそこにはもう無かった。

 

「シータの魔法で心臓一突き」

「えぇ!?」

「ジョーダンだよ。命に別状は無いようだけど…アイツ、どうします?」

「…どーするって…お前はいいのかよ?」

「何を言っているんだエータ。俺の気はもうすっかりはれたよ」

 

もう一度。にっこりと笑ってみせる。

あぁ…もうコイツの役目は終わったんだな…

ようやく好きな事ができるようになって…なんだか羨ましいな

オレは…………ん?

 

「そういえばパイがどうしたんだ?ファイ…?」

「あ…あぁ…」

「??」

 

ファイの体が震えているぞ?なんだか呻き声も上げて…

ん?よく見ると他の王族の方々まで…

オレなんかマズイ事言ったか……???

 

「あ、あ、あ…あんたって人はっ!!」

「は、はい??」

「よくやったっ!」

 

「はい?」

 

ファイはビッと親指を突き出して「く〜っ!!」と歓喜の声(?)を上げた

無論、他の皆も……

えーっと…微妙に状況つかめるようなつかめないような?

 

「パイはねっ、バーリィだけじゃなくって樹の大陸全部の悪質な連中をまとめる奴だったのよ!あんたたちが心配で3国共同で追いかけてきたんだけど…するまでも無かったわね〜」

「つ・ま・り、そいつを倒したってこったー兄ちゃんたちはこの大陸の"英雄"だってことだ!」

 

ファイに続いてイオタが同じポーズをしながら言う。

 

「ちょ、ちょっとまてよ!いくらなんでも話がぶっ飛びすぎてるぞ!」

「やっぱりエータさんは凄い〜」

「凄いー」

 

ナヴェーナとモクトが二人して拍手をしていた…

この二人がすると…なんか気が抜けるのは気のせいだろうか…?

 

「オレは何もしてねぇって!!」

「んー流石はタグフォード家長男・エーティアル君ね〜っ!!」

「あ」

 

……………。

 

「ちょ、エータ…」

「父さん…」

「?どうしたの?エーティアル君…??」

 

タグフォード家ってなんだよ。

オレは何者なんだ?

オレはオレだ。

だけど…まだやりきれないっ!

 

「父さんは…何者なんだ?インスって何だ?王族の口から聞きたい」

「………」

「何で黙るんだ?…もしかして、オレに隠してたのか!?」

「隠してたわけじゃないわ!……そんなの…いわなくたって関係ないもの」

「関係ない?」

「貴方の御義父様…ガンマ=タグフォード…いや、ガンマ=インセクト=タグフォードは…民族というのが嫌いだったんだよ…」

「デルタ?」

 

「民族があるから差別があって、争いがおこる……争う事を嫌うガンマさんはそれが嫌だったんでしょう…」

『ガンマの奴を責めないで欲しい…』

『私からもお願い』

『彼はきっと貴方の事を思ってのことだったんですよ…』

『奴は……我らにも優しかった…』

「ガンマさんは貴方達に悲しい思いをさせるような人じゃない…何か理由があったのよ…やさしすぎて…私たちには眩し過ぎる存在だったわ…」

 

こんなに皆から想われて…

…はは…オレは何をしていたんだろう…父さんが何者なんてどうだっていい…

この質問は…『父さんの信頼性』を確かめる為のものだったのか?

答えを聞いて初めて解る…

 

シータ。

お前が最初から信じつづけたオレ達の父さんはとてもいい人だったってさ

オーサマやカミサマのお墨付きで…な

なぁシータ。お前は今どんな夢を見ているんだ?

 

オレはな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夢を見たわ

遠い遠い過去の夢

私が生まれるずっと前

私が生まれたずっと前

 

私は貴方を殺そうとしているのよ?

何故背を向ける!!

 

女の人の声

そして姿

女性の前には男性が立っている

女性は剣を男性につきつけていた

 

言うまでも無いだろう?

 

今度は男性の声

男性は余裕の表情を

女性に背を向けたまま

淡々とした口調で

 

死ぬのが怖くないのか?

 

また女性の声

何を話しているんだろう?

死ぬ?怖い?

この人は男性を殺そうとしているの?

なのに…何故貴方は泣いているの?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お前に…オレは殺せない

 

 

 

 

 

 

 

第四拾四話 END


作者の後書き

 

前回よりもヤバげな雰囲気かもし出しています(土下座)

色んな話が交差しすぎてわからない…;;それ以前に文法がなってないよ;;

どーしよ受験生っ!!(2001/11/2現在)

はい、前章の王様方のりたーんずですっ!

前からちらほらと顔出してたんですが…皆して良くぞろぞろと…

最後集まるってのは3章書いているあたりで決めてたんですが、出てくるタイミングずれちゃいました;;

いっそうの事いないほうが良かったか?書き分けめんどうだし(汗)

さて、はやい事に次章で5章終わりですねぇ。気合入れて頑張ります!


ろう・ふぁみりあの勝手な落胆・・・


あれ・・・・?
いやちょっと待ってくださいよ。
なんかこー、ゼーちゃんのトドメの一撃は? あれ?
「―高等魔剣術っ!!――――ッ!!」とか言っておいて “最後の闇” は? あれ? あれ?
・・・えーと、キメのシーンをスッ飛ばし? いや待て。待って。

どーゆーことじゃあああああッ!?
なんかこー、ゼータ=リトゥール推進委員会幹部としては作者殿に早急な書き直しを要求す――――
がすっ!



ろう・ふぁみりあの勝手な戯言〜


どもー、ろう・ふぁみりあですっ。
いやー、ちょっと伏線っぽかった王様たちがついに集合ですねー。
使い魔的には、またアティック三姉弟がそろったのが嬉しいですー。

・・・ん? さっき、なんかメチャクチャ言ってなかったかって?
はて・・・・あ、ああ―――上のですか? アレはなんでもないです。夢想です。幻です。蜃気楼です。催眠術です。ほーらほら、あなたはだんだん眠くな〜る〜・・・・・駄目?(駄目過ぎ)

さて夢とか幻は置いといて―――いや夢ですね(笑)。
タグフェード兄妹と、親父殿との確執も解消されたと思ったら、なんかシータさんが意味深な夢を見てますし。
ヤバイなぁ・・・めっさ使い魔的に気になる展開ー。・・・いや死ぬとか殺すとか、でも生きるとか。そういうの結構好きです。いやかなり好きッ。
くくっ、ラストも近づいたというのに、まだまだ盛り上げてくれますッ。さて次回―――というか、結末までの道のりと、その結末。すっごく楽しみに待ってますよっ。

 

(・・・ところで、推進委員会ってなにを推進するんだろうかって、自分でも疑問)


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