truth&sincerity
トゥルース&スィンセラティ 

 

第四話 『助者』


 

 

「シータ・・・」

「おいおい。エータ、そんなに脱力すんなって。いつも戦ってる相手なんだろぅ?」

「だが人質は一回も取られた事無い・・・」

「まぁ・・・何回も取られてたらそれはそれで嫌だわな・・・」

 

ふとゼータの顔を見ると心底そう思っている顔をしていた。

 

「とにかく早く助けにいこうぜ?妹が心配なんだろぅ?」

「だが・・・湖がどこにあるかはしらんぞ?」

 

オレ等は地図は持ってない。

持てるはずが無い。無いからだ。無い物をどうして持てる?

この大陸は風の魔法が発達しているとはいえ、まだ浮遊魔法は完成していない。

それに入り組んだ道。作れるはずが無い。

 

だから旅をする者は死を覚悟しなければならない・・・迷えばまず終わりに近いからだ・・・

 

 

「なんだ・・・そんなことなのか?」

「そんなことって・・・なんだよ。」

「よし・・・道なら任せろ!!!」

「な。何の話だよ!?」

 

「恩返し恩返し・・・・まぁ、見てなって」

 

ゼータが近くにある手頃な木に手を当て、身を委ねる。

気により添って・・・・なにしてんだ?

 

と、その時

ゼータのからだが淡い緑色に光った。

一体何が起こっているんだ!?

よく見るとゼータは口を仕切りにぱくぱくしている・・・金魚かお前は・・・

まぁそんな冗談を言っている内にゼータから放たれていた光は消え、ゼータも木からはなれる。

 

「なにをしたんだ・・・?」

「木に話し掛けてたんだ。道はこっち・・・いそごう。」

「あ・・・・ああ」

 

 

 

聞いた事があった・・・・・・

不思議な事をする民族・・・・・・・

民族名は――――――フッ・・・

そんな事はもうどうでもいい・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

木々の無い場所・・・つまりは何らかの理由で木々が生えぬ場所・・・

理由は簡単。ここには湖がある。

水のある場所でも生える樹はあるけど、ここにはそれはない見たい・・・

私はその湖に面してある木々の一本にぶら下げられていた。

腰の辺りで胴体と腕をロープで縛られ、あまりの部分で気に括り付けられている。
口も呪文封じの為でしょう・・・塞がれています。

 

「んんーんんーっ!!んんんーー!!(卑怯者ーっ!!下ろせ―ー!!)」

「五月蝿いガキねぇ。」

「しかたないですぜ。姉御。」

「人質は黙っていろぉー!!」

 

敵の三人は高笑いをしています・・・・

結構むかつきますから無私・・・もとい無視です。

とにかく!兄さん達に迷惑かけない様に早く脱出しないと・・・

口を塞がれているだけなんで呪文魔法じゃなければ使えるのですが。

え?私はどれだけ魔法が使えるかですか?

とりあえず一通りの魔法は使えます。中級までは・・・・

暇ですし・・・皆さんに魔法の勉強でも教えてあげましょうか。

 

この大陸には六方魔法という物が栄えています・・・

六つの世界を成り立たせている元素を使った魔法なの。

 

聖の風  ウィントゥ

暗の土  アーリィ

命の水  ニンフ

死の火  ファイド

成長の木 ドリュアス

退化の金 クリスティア

 

それが私達の使う魔法の源・・・・。

それらの魔法を使うものは精霊使いと呼ばれているのです。

あと、私が中級までしか使えないといいましたが……

上の6種類中3種類までは上級魔法使えたりします。

私が使えるのは水と風と木ですね。

魔法を発動させるには呪文と印のどちらかをしなければいけません。

ちなみに私が今までしてきたのは呪文なんです。

印は面倒で少しでもずれると成立しないので使いません。はい。

印だけ、呪文だけでも魔法は発動しますがその二つをつかった混合魔法なんか・・・・・

 

 

「シータっ!!」

「おや?エータ。やっと来たのかい?遅いから見捨てちゃったかと思ったわ。」

「シータを見捨てるわけねーだろっ!!」

 

人がせっかく楽しく魔法講座を開いていたのに・・・・

兄さんたらホントタイミング悪いわ。

でもやっぱり無事を知らせないとね・・・

 

「んーんっ!!(兄さん!!)」

「!?シータっ!!無事か!?」

「んん・・・んんんんんんんんーん?(えぇ・・・横にいるのはゼータ?)」

「なにいってんのかわかんねーよっ!!(怒)とにかく助けるぞっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

しかしあの民族はとうの昔に亡んだはず・・・何故?

 

「エータ!なにボーッとしてるんだ?」

「・・・・ん?」

 

そうだ・・・ここは集中しなければ・・・・・

そんな民族よりシータの方が大切だっ!!(ヲイ)

 

「それじゃぁ開始しましょうか・・・・・キー!ロー!!」

「「合点!!」」

「来るぞっ!!」

「みりゃわかる・・・」

 

ゼータのいった通りキーとローは同時にオレ等に向かってきた。

キーは長剣、ローはナイフを持っている。そう、これがこいつらの主な武器だ。

俺の方にはローが来た。

オレは剣を鞘から抜き、構える!相手の向かってきた方向に一度剣を振ると、相手は一瞬身を引いた・・・・

間合いを空ける・・・・・

 

一方ゼータはどうだろうか?

 

「!?」

 

 

自分の目を疑った・・・・・

剣は鞘に刺さったまま・・・・・

表情はいたって笑顔・・・・それが逆に怖い・・・

・・・・その動きには恐ろしいものがあった

 

そのゼータの様子は私も見ていた

・・・・・私は戦士と言えば兄さんしか知らない環境で育ってきたから

いつも兄さんが一番強いと思っていた

 

右より刃がくれば一歩左に歩く

攻撃を失敗し、無防備になった相手の背中に軽い一撃を食らわす

左より刃が来れば一歩右に歩く

今度はがら空きな腹部分に膝蹴りをいれる

最小限な回避・・・もちろんオレは出来ない。

まるで相手を嘲笑うかのよう・・・

相手は私達が今まで何度も撃退したと言っても

いつもギリギリな勝ちでした

なのに彼は違った・・・・・・

・・・・あの身のこなし

旅人じゃない・・・・

・・・だからと言ってどこかの国の戦士でもない

傭兵?

・・・組織の者?・・・・いいえ違う

ただ者じゃない・・・・・・・・・・・・・じゃぁ・・・・・・

 

 

・・・・何者?・・・・

 

 

「遅いなぁ!!」

「ぬぁ!?」

 

ガッ!!    カラン・・・

 

ゼータが足払いをし、キーをこかした。

その拍子にキーの長剣が落る。

それをゼータは何事も無かったかのように拾い、キーに向ける

 

キランッ

 

朝日の光が剣で反射する。

キーの額には汗がにじんでいる。それに比べてゼータは汗の一滴も無く、涼しげな顔をしていた。

 

「こっちにも一人人質が出来たぜ〜。」

「なっ!?キー!!なにやってんのよ!!」

 

ガーッッ!!とでも恐竜のように鳴き出しそうな迫力でクシーはキーに叫んだ。

 

「あ・・・・姉御。こいつマジ強いですぜ〜〜!!」

「言い訳はよしなっ!!こんなボウヤが強いはず無い!!お前が弱すぎるんだよ!!」

「俺が弱いなんて聞き捨てなんね〜。」

 

ゼータは口ではそういうものの全然気にしていないようだ。

相変わらず見る目が無いな・・・クシー。

 

「まっ・・・まだよっ!!!まだローが残ってるわ!!」

「人質だってんだろ〜」

「ヒィ!!俺はどうでもいいんすか〜〜!!」

 

ゼータは切れない程度にキーの剣でキーの喉元を刺した。

あ〜ああいうのってちくちく痛いんだよな・・・

 

「おい!何処見てやがる!!俺はこっちだぞ!!」

 

おや?まだいたの?

 

「間の抜けた顔をするなするなっ!!覚悟しろ!!!」

 

やば・・・・

オレはシータの方に走った。もとい逃げてる。

 

「エータ。こんな奴相手になに逃げてんだよ。」

ペチペチ・・・・・

「ヒィィ!!」

 

ゼータは今度は刃の腹を頬っぺたにペチペチやって遊んでる。

・・・・・・余裕ぶっこいてら・・・・・

う〜んなんというか・・・別に逃げなくてもいいんですけどな・・・

一応・・・・

 

「んんんんっ!?(兄さんっ!?)」

「いつまで逃げてるぅぅぅ!!!」

ブンッ!!

「作戦なんでな!!!」

 

ローがオレに剣を振り下ろす。

しかし俺は横にそれ、それをかわす。

すると丁度オレの後ろにいたシータの縄が切れた。

 

「正確だろう?」

「んんんんーーーー!?んんんっんんんんっんんんんんんんんんーーーっ!!!(ぎゃぁぁーーーー!?もうちょっととおかったらどうしてたのよーーーっ!!!)」

「んなーーーーーっっ!?」

「シータ、口、もう外せ。」

 

「こ・・・こいつぅ!?」

 

ローがシータに向かって剣を振り上げる。

シータはそれは転がって右に避け、口を縛っているものをとく。

すると両手を手を胸の前で組み、素早い動作で指や手のひらでいろいろな形を見せてみせる。

・・・・・□・◇・▽・△・+・・・・・

その手の動きが右・左手の人差し指を交差させた十字の形を示した後止まり、シータは何かを呟く・・・

 

“死界を司る火・・・ファイドよ!今こそ真の力を見せ!その力、我放ちたり!!”

 

 

「バーンストームッ!!」

 

ゴアァァァァッ!!

 

地面が盛り上がり、その土に炎が宿る。

炎を纏った土はやがて四散し、敵に襲い掛かるっ!!

 

「うわぁぁ!!」

 

炎の塊がローの顔面に直撃!!

それによりローは視力を失った・・・オレ達の勝ちは決定か・・・

 

「ぬおぉぉ!?前が見えん!?」

「きゃぁ!!ローっ!ナイフを振り回すんじゃないよ!!危ないじゃない!!」

「目がっ・・・目がぁぁぁぁ!?!?」

 

ってこれって某映画の名台詞・・・・・?

 

「うわぁぁぁぁ!!!」

 

ローが暴れる。

おそらくあつさと前が見えぬ事により乱心しているのだろう・・・・・って

 

やべぇ!?

あの先はシータっっ!?

「シータっ!!避けろ!!」

 

シータは少し高度な呪文を使った為力を大幅に消費していた。

そのためローに気が付かない!!気が付けない!!

 

ローがナイフを空高く振り上げていた。

駄目だ!間に合わない!!

 

オレは目をぎゅっと閉じた。 

 

「シータ!!しゃがめっ!!」

 

 

“風闇系魔剣術 突竜陣!!”

 

一瞬だけ・・・・目を開いた・・・・

 

ゼータの剣を抜く姿が見えた。

その剣はあの食炎伝説の闇の民の剣のように・・・

闇色に怪しく輝いていた。

 

ゴァァァァァァァァァッッッ!!!

 

 

「たっ竜巻ですぜぇぇぇ!?!?」

「うっ・・・嘘ぉ!?ぎゃぁぁぁぁぁぁーー!?!?」

「のわぁぁぁぁーーーっ!!!」

 

 

その竜巻は、敵だけを呑み込み、遥か彼方へと飛んでいった。

さらばだ・・・・クシー達よ・・・・

 

 

 

第四話 END



作者の後書き

 

ここで書きたかったのはゼータ君の活躍です。

う〜ん・・・普通の攻防なんですけど・・・この大陸はあまり戦争が起こらないという事で・・・

うっ!?言い訳・・・?

あとはゼータの能力。木とお話場面です。

口ぱくぱくさせるのは金魚独特・・・じゃぁないかもしれませんけど・・・

まだあります!シータの魔法講座。

魔法はとりあえず四元素と五行思想混ぜてみました。

「ク○ウ・○ード」なんて言わないで下さいね♪

印と呪文の組み合わせで二つの属性を混ぜる事も可能です。

ここでは土と火の「バーンストーム」が例です。

まだあったり・・・ゼータの必殺技っ!!

名前かなり悩みました・・・とりあえず竜巻起こす剣技。

名前カッコイイかなぁ〜?

あと・・・ってもう行数無いって!?あ〜れ〜!!


INDEX

→NEXT STORY
第二章 「蒼龍の章」 第六話 『少女』