truth&sincerity
トゥルース&スィンセラティ
第参拾四話『お別れ』
『死者を操る死霊使い……彼もまた、操られていた被害者だったという訳か…』
「せ、蒼龍!お前…無事なのか!?」
突然隣りに現れた蒼龍に、オレは驚きの声を上げた。
『貴様の妹には感謝をする』
「さすがは四神様よね。軽い回復魔法で直ぐ良くなっちゃったわ」
「まったく、心配させるよなぁ〜」
『ホントホントッ!』
イオタと朱雀が半分怒ったように愚痴った。
そのしぐさがどうもおかしくて、俺は笑ってしまう…
『ちょっとー何がおかしいのよーッ』
「失礼な奴だなッ!」
「はははっ、ごめんごめん…ちょっと気が抜けたら…はははっ!!」
良かった、いつもの兄さんに戻ったみたい…
最初ここに来た時の兄さん
なんだか切羽詰った感じがして何か痛々しかった
でももう大丈夫みたいね
「お、おねーさまっ!!髪の毛の色!!」
「え?」
突然声を上げたユレアの言葉で、ファイはふと足元の水溜りに姿を写した…
そう、彼女の髪は『元』の赤い髪に戻っていたのだ。
『全く、世話かけさせるんだからッ』
「朱雀……」
『アンタも大人になったわね。髪の色の変化はそれを表しているのよ。』
―ちゃんと自分の前にあることを見つめられるようになったら…言ってみなさい
「……あ!!そうよ…これの事だったんだわ!!」
「??」
ファイの言葉にユレアはひたすら頭の上に?を浮かべるばかり
「エーティアル君!ちょっとっ!!」
「え?あ、おいっ!!」
ここに来た時のように、ファイはオレを引っ張って森の奥に連れて行った。
「残された私たちは如何しましょ?」
「…とりあえず家に戻るか…目的の朱雀さんもいることだしね」
私たちはそう言って引き返した……
が、そっとその団体から抜け出したイオタの姿には誰も気がつかなかった
「なんだよ、雨の中こんな森の奥につれてきてッ!!」
「やっとついた……ここ、覚えてない?」
ファイがつれてこさせたのは崖。周りの視界は雨で見えない。
「……さぁ?しらねぇな…」
「そう…じゃぁ、こう言う台詞聞いたことが無い?」
そう言ってファイはオレに背を向けると、がけのほうに向かって歩き出した。
「あ、危ないぞ!」とオレは言うが、それは言うまでも無かったようだ。
勝手に自分で止まる。
「ねぇ。今度会ったら言いたい事があるの。」
「…??」
いきなり言ったその台詞にオレは記憶など無い。
「言いたい事があるなら今言えよ。」
本心からそう答えた。
「今は駄目。言ったって意味がわからないよ?」
「???」
……何かが突っかかる。
聞いたこと無い台詞なのに…次に浮かぶ言葉が思いつく。
この感覚は何だろう?
相変わらず彼女は背を向けたままだ。
「お前にわかってオレにわからないのか?」
「ううん。私もわからないの。夢で見たことだし、お母さんが言った事だもの」
彼女がその台詞を言い終わった途端、雨がゆっくりと止んだ。
そして、日が差し込んできた…雨が止んだので視界も綺麗に見える
差し込んできた日の光は「夕日」、そして視界の先には海…ッ!!
「コレは…この前見た夢のっ!?」
「やっと思い出してくれた!」
その言葉に彼女は振り返った。
その瞬間。オレの脳裏から全ての記憶がよみがえった。
「……ファイ。父さんとソーディスに来た時に出会った赤髪の女の子っ!」
「エーティアル君!!」
ファイは涙を流しながらオレに抱きついた。
オレも彼女を抱き返した。
ファイ=フィア=ソーディス
オレの初恋の相手だった。
「……見ちゃいけなかった…」
夕日を背に向けて泣き崩れる少女
しかしいつまでもないている訳には行かない…
そして…負ける気も無い。
少女はもと来た道を帰った。
その少女が何を考えているのかは知らない
だけど、その少女の背には強い「決意」があった。
「ファイ…」
崖の上で彼女を抱きしめながら耳元で呟く。
「あの時…お前は何が言いたかったんだ?」
「……」
急にファイは黙り込み、そして身体を離す。
真面目な顔をしてオレのほうを見ていた。
「貴方に…お別れを言わなければならないの」
「……え?」
「そ、その…永遠の別れとかそう言うのじゃなくて…『お別れ』」
「どう言う意味だ?」
しばらくの間静寂がこの地を支配する。
そして、決意をしたように彼女は全てを語り始めた。
「この先…あなたにはとても大切で…もしかしたら貴方の心を壊してしまうかもしれない事が起こるの…だから、今の貴方へのお別れ」
「……?サッパリわからんが…」
「…貴方が旅から帰ってきたら…それは私の髪の毛の色が違っていたくらいに貴方は変わっているの…」
「……どう言う意味だ…」
「これから先に起こることに…貴方は動揺しすぎないで。
今のままで変わらないのも駄目だけど…変わりすぎるのも駄目。
旅を続けるならこれだけは覚えておいて…」
意味深過ぎる彼女の台詞。
彼女は昔も自分にはわからない事だから…といっていたが、
今でも十分その言葉の意味がわからない
「何で…そんなことが言えるんだ?」
「そう…私は代々朱雀召喚術の継承、光の高等民族ソズディナ…私が授かっている能力は「予知」…」
「……予知?」
「貴方の未来を予知したの…これから起こるの事への助言よ…忘れないで」
「解った…まだ意味はわからないけど…いつかきっとその解る日が来る時ために…」
「えぇ…忘れないで…」
オレはもう一度彼女を抱きしめると、そっと唇を合わせた。
嬉しいはずなのに…何か悲しい思いが心の中にあった。
第参拾四話 END
作者の後書き
ぐはぁ!!人に書かせるのは好きでも自分で書くのは否だぁらう゛らう゛しーん!!(滅)
さて、次回でとうとう4章も終わりですね。結構かかったなぁ…
でもまぁ36話は出来てるし(待てって)
蒼龍様…あんだけ心配かけておいて軽い回復魔法で復活ってどう言う事でしょうねぇ
ちょっとこの扱いは酷かったかな…??(汗)
とにかくそんなことを考えつつ…4章最終話へれっつごぅ!
ろう・ふぁみりあの勝手な戯言〜
自分で書くのはまあ、なんとゆーかだけど、人が書いたものを見ると敏感に反応してしまう使い魔でおま。
いや、らう゛らう゛しーん(赤面)。
んーんー。んー。(←照れまくってる)
と、とりあえず、「オレの初恋の相手だった。」は、ぐはぁとか叫んでしまったとか、後半部分、うひゃーうひゃーとか騒ぎまくっていたとか。
でも、実はその二人よりも、決意秘めた少女のほうがなんとゆーかなんとゆーかで。
いやー、そーかそーだったんですね。やっぱりそーだったのかぁ。うんうん(なんか納得する自分)。