truth&sincerity
トゥルース&スィンセラティ 

 

第参話 『知る者知らざる者』


「ゼータ・・・ゼータ=リトゥール」 

 

目の前の長黒髪の男は静かにそう言った。

 

「身体の方はもう大丈夫なんですか?」

「はい。あなた達のおかげで・・・えっと」

「俺はエーティアル=タグフォード・・・エータで良い。」

「私はシルフィーア=タグフォード・・・私もシータで良いわ。」

 

「あ、ありがとう。」

「御礼なんて良いわよ。ね?兄さん」

「あぁ。それにしてもシータの効かない精霊魔法で良くこれだけ回復したものだ」

「ほほほっ・・・兄さんったら効かないだなんて・・・・」

 

むっ・・・

シータの方からとてつもないオーラが漂ってきた・・・・(汗)

 

ダンッ!!

 

「・・・・・っっっ!!???!!??」

「ほほほっ・・・なにやっているの?兄さん?(にっこり)」

「ど・・・動物かなんかに・・・・足噛まれたかなぁ〜〜(泣)」

「はは・・・・ははははは」

 

し・・・シータの奴・・・

思いっきり足踏みやがったぁぁぁああぁ〜〜〜

うっ・・・・しかもゼータに笑われてるし・・・

 

 

「ふぅ・・・・で・・・あなたは一体どこから来たの・・・?」

「・・・・・・・・・・・・。」

 

ゼータ君は私がそう質問すると今まで笑っていた顔が無表情になり

私の質問を一向に答えてくれない・・・

何か深い訳でもあるのかしら・・・?

顔色が少し悪い・・・

 

「まぁ・・・そんなこといいじゃあねぇか。それよりお前は怪我人なんだ・・・テントに戻って寝てろ。」

「兄さん・・・・」

「ごめん・・・・ありがとう・・・」

「別にいいって。人の過去を無理に探るのはよくねぇし・・・第一オレ達今会ったばっかりだろ?」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

 

ゼータは嬉しそうな顔をして深く頭を下げるとテントへ戻っていった。

 

「兄さん。・・・兄さんはいいの?あの剣の事知りたがってたけど・・・」

「あいつは他人さ。無理に探るこたぁねえだろ?」

「・・・・・・・そうね。じゃぁ私達も寝ましょう。」

 

――― 私は少し気になるかも・・・・・

 

 

 

 

「オレのテントであいつが寝てるからオレはシータのテントでね・・・がふっ!!」

「冗談はいい加減にしてね★」

 

 

 

 

朝・・・

 

いい天気・・・気分がいいわ。

テントの出入り口から射し込む光が私を起こしたの・・・

誰もこない森の中だという事もあって静かだし・・・空気も綺麗。

人に恐れられている森の方が綺麗って事の方が多いしね。

まぁこんな森だから『アイツラ』もついてこないだろうし・・・

まぁ来た所で無私・・・もとい無視です。

さて・・朝御飯の支度でもしましょうか・・・

 

私はテントの外に出て・・・・・・異変に気が付きました。

 

兄さん達が起きてます。

いつもは私の方が早いのに・・・珍しいわね。

 

 

・・・・・・・・・・・ってそんな事はどうでもいいんです!!

 

「シータっ!!」

「兄さん!?またなのっ!?」

 

そう・・・またなんだ・・・

『アイツラ』が来たっ!!

 

 

 

 

 

 

「おーっほっほっほっほ!!皆さんおそろいで!」 

 

『アイツラ』はオレ達のテントの前にいた。

これで何度目だろうか?こいつらと会うの・・・

こいつらは好き勝手いろんな事言ってやがる。いつもだ!

一人はセミロングの赤髪で露出度の高い服を着た女性・・・

残りの二人は身軽そうな服を着、それぞれ逆方向に眼帯をつけた男。
たぶん女より年下だろう・・・

 

「シータ、エータ。私から逃げられると思って?」

「クシーッ!!お前しつけぇんだよっ!!」

 

オレは『アイツラ』=赤髪の女性・・・クシーに対していった。

すると横から奴の子分が、

 

「姉御!今日はゲストまでいますぜ!!」

「なんか変った剣を持ってますぜ!!」

 

勿論ゼータだ。

 

「私の今の剣への興味はエータのだけよ。
 ・・・・・・・まぁ黒髪のボウヤ・・・結構私の好みよ・・・」

「間に合ってます。」

 

ゼータは以外にキッパリ言った。

 

「あ〜ら残念。さて・・・・・・今日こそはその剣頂くよっ!!」

 

クシーはオレの剣を指差して言った。

たしかに・・・オレの剣はそこいらでは見つからない代物・・・『奴等』が欲しがるには十分・・・

でもだれがやるかっ!!これはオレが両親を捜す為の唯一の手がかりなんだ!!

 

「エータ・・・こいつらは誰なんだ?」

「こいつらぁ?・・・オレ達ばっかりを付け狙ってる森賊だよっ!!」

 

森賊・・・森を通る者の金や金目の物を取って行く本達・・・ようは山賊や海賊の森版だな。

初めて会ったのはいつだろうか・・・ってか思い出したくも無い・・・

とにかくその日からオレ等はこいつらに追いかけられまわされているんだ。

 

「まぁどうせお前達の事だから普通の手ではその剣をくれないね・・・という事で少し卑怯な手に出る事をしたよ。」

「どういうことだっ!?」

「キー、ロー!!」

「「合点」」

 

キーとローと呼ばれるクシーの子分二人は同時に動き出した。

一体何がしたいのだろう?オレも動きたいのだが怪我人のゼータを守らんといかんし・・・
それにクシーは俺達に決して隙を見せない。

クシーはあぁ見えても一流(?)の森賊。

元剣士・・・あまり相手にしたくないのである。

 

「きゃぁぁぁ!?なにすんのよっ!!」

 

「「シータっ!?」」

 

くそっ!!

 

「おおっと・・・そうはさせないよ!」

 

ギラリ

クシーのロングソードが動こうとしたオレとゼータの喉元に来る。

普通「族」と言えばナイフだろ!!と言うツッコミはクシーには通用しない。

・・・・・・・・・・・・・動けないっ!?

 

 

私はキーとローに捕まってします。

しかーし!これまでなんかいもこいつらを撃退してきた私はこんな事ではくたばりません!!

 

“死界を司る火・・・ファイドよ!今こそ真の力を見せ!その力、我放ちたり!!”

 

ボォォォ!!

 

シータの手に赤い光がともったと思うと、その火はあっという間に炎に姿をかえ、シータを包んだ。

 

『ファイアウォールッ!!』

 

ゴゥッ!!!

 

「あっつ!?」

 

シータを包んだ炎はシータを捕まえている

キーとローを遠ざけた。

 

「姉御〜。やっぱだめっすよ。」

「精霊魔法使いには敵いませんって。」

「ごちゃごちゃいってんじゃないよっ!!口を塞いじまえばいいんだよ!!」

「でも炎が・・・」

「そのくらい根性で頑張りなっ!!」

「「そんなぁ〜〜」」

 

「あんた達・・・命が惜しくないの・・・・??」

 

そのクシーの笑顔はオレ達には考えられないほど美しい・・・(という表現はあんまりしたくないが)

しかしローとキーはその笑顔の意味を知っているのだろう・・・

顔色が悪い。

 

「「うおーーーっっ!!(TT)」」

「って炎の中に突っ込んでっ!?きゃぁぁぁーー!!」

「シータっ!!」「シーターっ!!」

 

キーとローがシータの作り出した火の中に飛び込みシータの口を塞ぐ。

あれだけの炎なんだ・・・多分普通の火傷ではすまないだろう・・・

シータは魔法専門なので物理攻撃はほとんど全てと言っていいほどしらない。

口を塞がれた事によりシータはなす術も無い。

 

「ふぅ・・・なんとか予定通りね。シータが返して欲しかったら・・・」

「妹を返せぇ!!!卑怯者!!」

「おだまりっ!卑怯で結構!だって森賊ですもの!」

 

ちぃ!やっぱり口じゃかなわねぇか!?!?

 

「んなことだからいつも独身なんだぜぇ!!お・ば・さん!!」

「んんっ!?(byシータ)」

 

ぜっ・・・・・・・ゼータぁ???

ゼータがオレの一歩前に出る。その表情は余裕たっぷりだ。

 

「誰がおばさんよっ!?私はまだ25よっ!!」

「そのとしもどこまで本当かな〜〜」

「黒髪のボウヤ・・・凄い事言ってくれるんじゃない」

「本当の事なんだろ〜あ!だからあせってんのか!!な〜るっ!!」

「違うといっているでしょう!!もう頭に来たわっ!!」

「怒るとしわ増えるよ〜??」

 

「うるさいっ!!とにかくこの娘が返して欲しくばこの先の湖に来る事ねっ!!」

「年増のする事はこれだから困るなぁ・・・」

「うっうるさい!!とにかく来るのよっ!!ではっ!!」

 

クシーの姿は森の中へと消えた。

・・・・クシーが・・・・クシーが口で負けた・・・・・

 

「お前って話術攻撃凄いな・・・」

「まぁ・・・そういう所に住んでたから・・・・」

 

どういう所だよ・・・・

 

「とにかくっ!!シータを連れ戻しにいかねぇと!!」

 

 

第参話 END



作者の後書き

 

早い事にもう参話です。

ゼータは始め記憶喪失になるという設定だったのですが・・・あまりにも普通すぎたので止めておきました。 

で、今回の初登場人物は森賊のクシー・キー・ローです。

ってかお約束な女盗賊です。

シータがあっけない事になってますが気にしない用に・・・

う〜ん・・・ゼータが設定よりも物静かな性格になって・・・・無いですね。

と言うか・・ゼータ強引すぎかも・・・うぅ文才が欲しい・・・

 

今回はあまりここがどう!って所はなかったですね。


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