truth&sincerity
トゥルース&スィンセラティ


第弐拾九話『朱<アケ>

 


 

 

「朱雀〜??朱雀ーッ!!」

  そ   こ
「朱雀の塔」には朱雀はいなかった…

塔に着いたオレ達はくまなく探した。

 

が、肝心の朱雀の姿はどこにも見当たらなかった。

 

 

「こりゃ入れ違いね…」

「出て行った後だったか」

「もぅ!!自分で『召喚すんなーっ!』って言っておいて肝心な時にいないですってェ!!
問答無用で召喚するわよーっ!!」

 

彼女は、自分の腰に下げてある二本の剣の内の一本をすらりと抜くと
石製の塔の床を突き刺した。

…が、キンッという石にはじかれる音と共に、ユレアが彼女を止めた。


          . . . .
「おねーさまっ!今度こそホンマに燃えんでっ!!」

「――――ッ」

 

彼女は舌打ちすると剣を鞘に収めた。

 

ユレアは『今度こそ』『燃える』と言った。

何のことだろう…

オレには解らなかった。……。

 

 

 

 

 

 

結局。

オレ達はファイの家へ戻り、待機することになった。

 

「朱雀だって鳥よ。夜は鳥目で動けないから…そのうちに塔に行こうっ!」

 

とのファイの言葉があっての選択。

どうせあそこにいたって暇なだけだ。どうせならちゃんとした部屋で過ごしたい…

その気持ちは皆同じだった。

 

 

 

「エータやっけ?ちょっとOK?」

「なんだ?」

「ここや、言い難い事やから外出ぇへん?」

 

そんな事で…オレはユレアに連れ出された。

何を話すのかは一言も聞いていない……何を話されるか想像もつかない。

不安を抱えたオレはただ赤みがかった空を眺めるだけだった。

 

「あんた、おねーさまのことじっと見てたよなぁ?」

「ッ!?」

 

焦った。かなり焦った。

図星だった…外の響いているのではないかと言うぐらい心臓が鳴っているのが解る。

おねーさま、つまりファイを…始めはオレも無意識で気付かなかったがファイのする事一つが目にとまる。

何がオレをそうさせるのかは知らない…だが、気付いた時にはいつも見ていたシータよりもファイを見ていた…

 

「それが…」

何だというんだ?
ここまで言う前にユレアは次の台詞を口から出していた。こう…

「なら解るよな?おねーさまの異変」

 

ユレアは静かに言い放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何故だろう

 

前までは否でも兄はいつも私のそばにいた。

だが最近、見かけないことのほうが多くなってきた。

過保護すぎる兄。確かに今は私しか家族がいないから心配する気持ちもわかる。

でも、私はそんな兄は嫌いじゃないけど否だった。

だから私は兄から離れようとしたことが何度もあった。

でも…でも今は違う。否なものほど無くなって気がついた。…寂しい。

「巣立て」無かったのは兄ではなくて私だった…

そう思ったときには、私はすでに「巣」に一人残されていた。

 

だから私は「巣立った」。

旅立った家族に会うために。新たな出会いを見つけるために。

 

 

 

 

割り当てられた部屋でゼータと話していた私は…気がつけば私は兄を探していた。

さっきまで客間のソファーの上で寝転んでいた兄の姿が見えなかったからだ。

 

どこ行ったのかしら!

 

案外兄はすぐ見つかった。

玄関から少し離れた森の中。

 

「兄さん」

 

そう呼ぼうとした口を私は慌てて閉じた。

よく見ると兄さんの隣りにはファイの義妹・ユレアが居た。

 

何を話しているのだろう…?

立ち聞きは悪い…解っている。

しかし私の身体は樹の陰から出ようとはしなかった。

 

 

「なら解るよな?おねーさまの異変」

 

ファイの…異変?

聞こえは辛いが確かに聞こえたユレアの声。

 

「おねーさまの髪の毛の色。変やと思えへんかった?」

「あの銀髪か?あぁ…確かに肌や瞳の色とは少し浮いている感じがするが…」

「…昔はな…ユレアと一緒で赤い髪の毛やったんや」

 

「!?」

 

 

「昔、私が来て少したった日…おねーさまのおかーさまやおとーさまが死んでもうた日。

おねーさまは二人を蘇らす為に朱雀を呼んでん…

でもな、朱雀はそれを許せへんかってん。『あなたの両親は【ちゃんとした死】の日に死んだ…だから転生の必要は無い。』っていって…

それでもおねーさまは朱雀に頼んだ、でも何度言っても聞けへんし会おうともせえへんかった。そやからおねーさまは朱雀を【召喚】と言う形で呼んでん。

 

召喚は失敗した。

おねーさまは魔力を奪われ、【ソズディナ(ソーディス王族の種族名)】の象徴である赤い髪の色を失ってしもたんや。

そんとき朱雀はこういってん。」

 

 

『己のためだけに神の力を使うな。その力、自分へ帰ってくるだろう・・・その時は私の力があなたを燃やします。』

 

 

 

ファイは…魔力を奪われた…??

 

 

 

 

 

「ユレア―ッ!!」

 

私はびくりとして振り返った。

そこには息を切らしたファイの姿、そして数人の兵士の姿があった。

でもファイや兵士は私に気付かず、ユレアの方を見ている。

私はばれないうちにこっそりと部屋に戻る事にした…

ここままじゃばれちゃうのも時間の問題だからね。

 

 

 

振り返ればそこにはファイがいた。

ファイはつかつかとこっちに歩いてくるとユレアの腕を掴み真剣な顔をてオレの方に振り返った。

ユレアはびくびくしている。

 

(言ってもうたことバレたんかな)

 

「ユレアは家へ戻って!エーティアル君今すぐ私についてきて!!」

 

ファイはユレアの手を兵士に預けると家の中へ誘導し、今度はそのユレアを掴んだ手でオレの腕を掴んだ。

 

「時間が無いの!朱雀が危ない…」

 

オレはファイに腕を捕まれたまま、彼女と共に走っていった。

 

 

 

 

 

家に入ると私は兵士に呼び止められた。

その兵士の後ろにはイオタやゼータも居る

 

「如何したの?」

「ファイが朱雀の危険を感知したんだ。四神と召喚師の心は同調してる…朱雀はファイに助けを求めてるんだ!だから俺たちもファイを追って助けに行く!」

 

さっきファイが急いでた理由はそれか

と、私は一人心の整理をつけると、皆と共にもう一度家を出た。

そのとき…っ!

 

ゴォォッ!!

 

 

大きな風音とともに何か大きなものが私たちの後ろから通り過ぎる

風がやみ、前を向くと大きな蒼い龍が空を仰いでいた。

 

――…蒼龍!?

 

 

 

 

 

 

蒼龍っ!今すぐエータの兄ちゃんの所まで運んで!!早くっ!!

 

 

 

 

 

 

 

『不覚…まさかこんな所にそんな能力を持った奴が居るとは思わなかった…』

「何かご不満ですか?朱雀様」

『……』

「フフフ…あなたの力は私にはいらないのですよ…」

 

「死こそ……私の全てなのですから」

 

 

 

 第弐拾九話 END


作者の後書き

 

ハイテンションで29話書き上げです!!

久しぶりにノッてきました〜♪しかし…相変わらずと言うかなんというか読みにくいです。

突然シータの思考とか書いちゃうし、謎です

さて、話しの方もノッてきましたし…ここから一気に後の六話書いちゃうのが一番なんですが…どうでしょう?多分木賊は途中で力尽きます。

今度はちゃんとした終わり方がいいなぁ…前回はプツンと糸が切れたような終わりかただし。

いつかリメイクしたいです(無理)


ろう・ふぁみりあの勝手な戯言〜


面白いよなぁ・・・

なんとなくため息。

 

なんつーか、面白いですよね。t&s。とかいきなし、褒めてますが。

今回のを読んで、ふと思ったこと。

今まで読んできたんですが、章ごとに一つ一つの物語があるってゆーか。

んで、その一つ一つの物語が合わさって、一つの大きい物語になってるってゆーか。

 

・・・って、普通のキャンペーン型シナリオだから当然かも。

 

でも、当然。とゆーか形どおりに整ってるから、きちんとした意味で面白いと思いまする。

それに一章ずつ書き終えてから送ってくれるせいか、“辻褄あわせ”みたいなところがないんですよねー。
どこぞの使い魔とは大違い。あは。

むー、頭ぼやけ。なに言ってるのか自分でもよくわかんなくなってきたけど、これがこの話読んでの感想。もとい“印象”でした。まる。

 

追伸

蒼龍さまりたぁんず♪で、ちょっとイオタさんとのやり取りが楽しみな今日この頃。


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