<メイ>

 

 

 


truth&sincerity
トゥルース&スィンセラティ

 

第弐拾八話『南の命<メイ>の神』

 


 

 

 

「シグマ…ねぇ?初めて聞く名前だわ…」

「そ、そうですか…」

 

一度は期待したが…もうしない。

 

「でも…」

「?…でも?」

「朱雀に聞けば解るかもしれないわね?」

「でもっ、蒼龍の時は何も教えてくれなかったぞ!?」

 

に、兄さんの水を差す言葉を私は無私……もとい無視した。

もうしないとかさっき思ったけど…やっぱり期待はしてしまう………

 

 

「まぁ、カミサマってのはそう言うものよ。全てを知っていてもそれを決して話さない………。ホラ、アレよアレ。人間することがすぐにわかっちゃうのは面白くないんだと思うんわさぁ?」

 

そう言ってファイは兄の言ったことに同意した。

どことなしか…ファイの口調が変なようですが……地の様ですね。

 

「それに……」

「それに?」

「…………ううん、なんでもないわ。」

 

 

 

「そうと決まれば行きましょう!」

 

 

 

 

 

ファイから聞くところによると四神朱雀は何かに縛られるのを嫌う性格らしく、召喚者より召喚される事をとても嫌っているらしい。

そのため「自分は『柱』にいるから用があったらそこに来い」と、朱雀から言われたと言う…

『柱』とは今は文化記念物となっているソーディス城の離塔の事で、今では『朱雀の柱』と呼ばれている。

 

ファイはそこに行くんだといった。

 

 

 

 

 

 

オレ達は当分ソーディスにとどまる事になった。

朱雀にあってしまえばここにいる理由も無いのだが…なにしろ今まで目的地のそれぞれの王都に着いてもろくに休めなかったのだ。

折角平和な町で1段落ついたのだ。休むに越した事は無い。

それに…ファイが当分家に居てくれないかと言ったのだ。

断る理由など無い。

 

「兄さん。本当にいいの?確かに体を休めるのには丁度いいかもしれないけど……一番父さんに会いたがってるのは他でもない兄さんなんじゃ…」

「シータ。」

「っ?…な、何??」

「…お前、ファイとは初対面だよな?」

「え?いきなり何を…」

「いいから答えろ」

 

オレはきつい言葉をシータに放った。

 

言葉自体はきつい言葉かもしれないけど…

やっぱりどこか優しさを感じる言葉だった。

 

「は、初めてに決まってるじゃない!」

「そうだよな。……なら良いんだ!」

 

私はいつもと違う兄さんに戸惑った。

いきなり変なことを聞いてきたと思えば悩みだしたりする。

ここまで”不安定”な兄さんは……生まれて始めてみるかもしれない。

一体何があったんだろう?

 

「兄さ……」

「おぅい!支度は出来たかい?出発するわよぉ〜!」

「にゃにゃー!!」

 

突然大きな声が部屋に響いた。

どうやら出発の時間らしいです

 

「あれ?シータ、エータ。何をしているんだい?」

 

部屋の入り口の方からひょっこりとゼータが顔を出した

 

「あ、ゼータっ!ゴメンナサイ、すぐ行くわ。」

「そうか、じゃぁ馬車で待ってるぞ?」

「うん!ありがと。ほら!兄さんも行くわよ!!」

 

兄さんが無言で頷くと、私たちはその部屋から出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

「そうそう。さっきアティックとマゼスから連絡が届いたんだけど…あんた達がアティック森族事件とマゼス国王暗殺事件を解決したんだってね?こりゃまたすごい人が来たコト。流石はタグフォード家って所かしら??」

 

ファイの用意した馬車の中で、彼女はそういった。

横では窓の外を見ているユレアとイオタがいる…が、あまり気にしないで置こう。

なんかイオタは「いちゃわるいか!」って顔してるけど・・・;

と言うかこいつらなんで来たんだろ……

 

「そうね…朱雀と会わせる代わりに…ちょっと頼みごとしちゃおうかな?」

 

ファイの一言に馬車の中は静まり返った。

オレやゼータ、シータが今までの笑みを捨て、真剣な顔になった

 

「ど、どういうことだ…」

 

 

 

 

 

 

「簡単簡単♪

 

実は最近ね…『朱雀狩り』を行う裏組織が増えてきてるのよ…あぁ、まだ話は聞いてね。

朱雀の羽根ってのはね朱雀の力を受け継いだ『転生』の効果があるのよ…

そのため裏ルートでは何百万D、何千万D以上と言う高額が付けられるのよね。

 

昔は朱雀が散歩に行った時にたまたま拾った羽根のみが取引されてて、私も何も言わなかったんだけど…

最近では欲に目がくらんだやからが多くなってきたようで…朱雀が散歩に出かけたときに酷い目にあってるようなのよ…

私が思うにカミサマを狩るようなやからたちにはきっと強力な親玉がいると思うのよ〜

 

 

…………それでさぁ…その親玉見つけてボコボコにしてくんない?」

 

 

それがファイの頼みだった。

 

「……四神って…そんなに弱いんですか…??」

「んな分けないでしょ!でも…朱雀はあまり攻撃系に優れてないからねぇ…」

「四神にも強さ関係ってあるのか!?」

 

兄さんがファイさんに聞いた

そんな力入れて聞くことでもないと思うけどなぁ…

そもそも…

 

「そうね…順番的に言えば蒼龍、白虎、朱雀、玄武の順で強いかな?蒼龍ってのはもともと民や神たちの争いを防ぐために創られた存在って聞くから…」

「…?待てよ…イオタ。蒼龍がそんな役目を持ってたって知ってたか?」

「知る訳ねぇじゃん」

 

そもそも…イオタに聞けば…って知らないのかいっ

イオタは何故か得意げに言っていますが…そこは落ち込むべき場所だと教えてあげた方がいいのでしょうか?

 

「蒼龍安定を目指し、白虎主に尽くす、朱雀奇跡を起こし、玄武生への恵みをもたらさん…」

 

ファイがポツリと呟いた…

 

「それはっ!」

「やっぱりイオタちゃんも知ってる?

 これはね…4大王家に伝わる四神伝説の一説…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―東と北の香りがする

 

―西の地が緩んでいくばかり

 

―早くしないと西が"消える"

 

―蒼龍は何をしている……ッ!

 

 

 

独り言を呟いていた者は大きな羽根を羽ばたかせ、西の空へと飛んでいった。

そして…

それを遠くから見ていた者の――

唇の形が弧をえがく時………

 

 

この町での歯車は音を立ててまわり始めた……

 

 

 

 第弐拾八話 END


作者の後書き

 

いまさら四神伝説の解説〜(><;)

といっても言うほどの事語らないですけどね…書くとしたら番外で(書くのか?)

とりあえず今回は題名どおり朱雀についてです。

最後の方にいろいろごちゃごちゃ書いてますが・…いつもの如くこの先をお楽しみにと言う事で…

で、ファイさんの頼みごと…なんですが、四神って弱いんですかね?いや、いくらなんでも神が人間なんぞに負ける訳ないでしょ;

自分で書いててこのへん訳わかんないです;;;

何とかなる…かな?(滝汗)


ろう・ふぁみりあの勝手な戯言〜


どっきどきなのです!

楽しそうな予感がっ。とゆか、今回って色んなとこで良かったなぁと思いまするっ。

 

その1

*****

(エータ)
オレはきつい言葉をシータに放った。

 

(シータ)
言葉自体はきつい言葉かもしれないけど…

やっぱりどこか優しさを感じる言葉だった。

*****

このやりとりがかなり良かったです〜。
つか、ホント「上手いぞぉぉぉぉっ(BY味皇)(誰だよ)」とか思ったしっ。

少しキツい言い方か? と思うエータさんに対して、逆にその中の優しさに気づくシータさん。
二人の見解の違いが面白かったし。やー、良い姉妹です〜♪

 

その2

「蒼龍安定を目指し、白虎主に尽くす、朱雀奇跡を起こし、玄武生への恵みをもたらさん…」

こーゆー意味ありげな文って好きです。
いや深読みできるほど頭よくないですけど、やっぱカッコいいですしねっ。

未だ出ていない、白虎さまに関連する一文もあったりして・・・・うーむ気になりまするっ。

 

その3

後半の後半部。

蒼龍さまリターンズ!? とゆーかまさかアティックがどーにかなってるとか?
それに、朱雀さま(だと思う多分)を見送るモノの存在にも気になりますねー。

さてさて次回はどーなるかなっと。


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