truth&sincerity
トゥルース&スィンセラティ
第弐拾七話『ソーディスの皇』
相変わらず深い森の中、オレ達は突進してきた少女…ユレアについてイオタに聞いていた。
なんでもユレアは普通の人間ではなく、限りなく人間に近い獣人…らしい。
もともと見世物小屋にいたユレアを、ファイ様がお引取りになられたそうだ
とにかく、つったってるのもなんだ…オレはユレアにファイ様がいる場所に連れて行って貰おうとユレアに話し掛けた…と、
「あぁーー!!そうだ!ユレアはファイから逃げてたんやったー!?」
鼓膜を突き破るような甲高い声を側で言われたオレの意識は一瞬飛んだ。
慌ててオレは一・二回首を振り、意識を取り戻すとユレアに何があったのかを聞いてみた。
「ユレアはねっ!おねーさまからのきびしーーーい訓練から抜けてきてん!こうしちゃいられん!!即刻逃走〜〜!!」
「おっおい!それじゃぁオレらはファイ様のところに行けねぇじゃねぇかっ!?」
「人のことなんて考えていられないっツーの!!それじゃねっば〜い!」
ユレアがオレの止める声も聞かずに森の中へ消えていこうとした所だった。
「ユレアちゃん〜。こ〜んなところにいたのね〜♪」
突然聞こえてきたその声は、オレの後ろの方から聞こえた。
その瞬間、ユレアの動きは一瞬にして固まり、くるりと振り返ったその顔はまるで蛇に睨まれた蛙の様だった。
「だっ誰?」
後ろを振り返ったシータが言った。
シータの声につれられて、オレはユレアに向けられていた視線を後ろへうつした。
そこには銀に光る髪をなびかせ、紅の瞳でこちらを見る女性が立っていた。
「あんたたちこそ誰よ。人にモノを尋ねるときは普通自分から名乗るものよ。」
「あ、そっか。私は…」
「別に聞きたく無いけどね。」
私はムッとした。
いや、この状態でむっとしない方がおかしいわ!
そう思って食いかかろうとした私をゼータは止めた。
「ごめんなさいね、ちょっとした冗談よ。
私はファイ、そこの…ユレアの姉なんだけど…その子渡してくれないかしら?」
「はい?」
思わず間抜けな声をしてしまった私。でもしょうがないですよねぇ?
………ユレアの姉で名前がふぁいぃぃ!?!?
「と…ということは…もしや…」
私が恐る恐る聞こうとしている真実にイオタは決定的な台詞を吐いた。
「あー!ファイ姐ちゃん久しぶりだなっ!」
「あらっ!よく見ればイオタちゃんじゃな〜いっ!元気?今日はお姉さんたちはきてないの??」
そう。彼女は現在のソーディスの象徴者、ファイ=フィア=ソーディスだったのです
象徴者とは…つまりのところ代表者ですね。
昔は皇(すめらぎ)とも呼ばれていたようなのですが・・・今では「象徴者」が普通です
「もぅいきなり来るから何かと思ったじゃない!
そうそう、森族が襲ってきたんだって?大変だったわねェ…。
そういえばマゼスもデルタを狙っていた暗殺者がいたらしいけど…
どうもおさまったらしいわねェ、知ってた?
そうそう!最近………」
「あ、あの…お姐ちゃん?急いでるからその話はあとで……(あ、相変わらずすごい喋り様…)」
黙っていたら永遠と喋っていそうなファイをイオタが静止すると、兄さんがずいと前に一歩出た。
「ファイ様。突然ですが………あ。」
「なんでしょう?私の顔に何かついてますか?」
兄さんは言いかけたことぴたりと止めるとファイの顔をじっと見つめた。
「い、いえ!何も……あの、実は…」
「立ち話もなんだ。家に来ない?」
「は、いいのでしょうか?」
「別にいいわよ。それにっ!もう堅苦しい言葉も無しなしっ!」
そういってファイはウィンクをして見せた。
ぱっ、と兄さんの顔が赤くなった気がしました。
「な〜にでれでれしてんだよッ!」
私と同じ事を思ったと思われるイオタは、思いっきり兄さんに肘鉄を食らわしていましたが
「すみません。お邪魔しちゃって…」
「いいのいいのっ。ちょうど暇だったし、どうせもうユレアをしかる気力もうせたし」
その瞬間。オレの隣りにいたユレアがホッ、と息を漏らした。
「で、用件は何かしら?イオタがここまできてるんだし…それなりの理由はあるでしょう?」
「あぁ…実はオレとシータは突然いなくなった父さん…ガンマという男を捜しているんだ。」
「ふぅん。で、私のところに尋ねた根拠は?」
「今まで行ったアティックとマゼスに父さんが残した書物があったんだ。だからここにも…と」
オレがそう言うと、ファイは「なるほど」と相槌を返した。
すると急にたちだし、部屋を出て行こうと…
「おっおい!?」
「あんた達もついといで。おそらくここソーディスは一番アンタの親に詳しいわよ?」
――― どういうことだ??
書庫にはオレとシータとゼータで行った。
ユレアは「本を調べんのなんておもんなさそう」といって辞退。イオタは「あたいは久しぶりに師匠と会話したいから」といって同じく辞退した。
「書庫よ。あなたの御義父様はね、ソーディスでは有名な剣士だったのよ。
自衛隊の隊長に来てくれって首相から頼まれた事だってあったんですって。だけどちっとも見向きもしないで傭兵生活を続けていたわ。」
その話は始めて聞いた。
確かに父さんは腕が立って強いとは知っていたが…それが国家レベルだなんて…はっきり言って実感が湧かない。
そうか……国家もんの腕だったら…そりゃオレ達が何の不自由も無く暮らしていけるはずだ
道理でおかしいと思った。
「で、これがあなた達のお父様の肖像画よ。」
そう言ってファイは一枚の絵画を見せた。
そこにはオレやシータの紺色の髪に対して、快晴の空のような青の髪をした男性が描かれていた。
昔に描かれたものなのだろうか?20代前半ぐらいの容姿だった。
「これが…父さん…」
「う〜ん。エーティアル君にそっくりねぇ。」
「!?」
まただわ、兄さんが止まった…
止まったまま、兄さんはじっとファイを見つめていた。
「兄さん?……兄さん!!」
「え?あ、シータ…なんだ?」
「なんだ?はこっちの台詞よ!さっきから様子が変よ?…ま、変なのはいつもと一緒だけど」
「なにぉぅ!?」
私の余計な一言に兄さんは突っかかってきた。
大丈夫。いつもの兄さんだわ…
さっきのは気のせいだったのかしら?
…………そうよ…ね?
「ファイさん。あの…」
「何かしら?ゼータ君。」
「エターナの事の書かれた本とか…食炎伝説の話でも良いんです!何かそんなもの無いでしょうか?」
「家には無かったはずだけど……ゴメンナサイね」
「いえ…無ければ良いんです。ありがとうございました」
ゼータががっかりした様子で一歩後ろに下がった
そうか…ここにもエターナについては無かったのね
あ、そうだ!私も聞き忘れが…
「あの…」
「あ、あなたも聞きたいことがあるの?なに?」
「その…私の母…つまりガンマの妻の話は何か聞いていないでしょうか??」
私は恐る恐る聞いてみた
「あなたのお母さん?……さぁ、私は…両親からはガンマさんの詳しい話ししか聞かなかったから…」
「そ…そうですか…」
私ががっかりしてゼータと同じ行動を取ろうとした時だった
「名前はなんていうの?」
「は?」
「だから…あなたのお母さんの名前。名前聞いたら解るかもしれないし…」
「シグマです………シグマ=タグフォード。」
第弐拾七話 END
作者の後書き
はい。お姉様のファイさんがようやく(?)登場!性格がいまいちつかめない?
どちらかというと本当にその辺にいそうなお姉さんをイメージしてるんですが・・・うまく言ってませんね?
そろそろいろんな事ばらしていってもいいんじゃないかと…思い始めた次期です。
だってもう次の次で終わりだしね; 折角故郷なんですからガンマの存在を知っていてもおかしくないかと…(^^;)
とうとう重要人物(?)その二、シグマさんの名前が出ました!!
ここで出していいのだろうか?いいでしょう!しかたない!(ヲイヲイ)
ただいまの状況はあっさりしてますが……事態はどうなっていくんでしょうね?
とにかく頑張るっ!イケるイケる!(やめなさい)
ろう・ふぁみりあの勝手な戯言〜
Σ。
しぐま・・・・・うぐっ、ネタが無理やりだったか。それはともかく、ろう・ふぁみりあです。
うう、無視・・・もとい虫です。このところ、蚊に刺されまくりんぐ。
ところで、今回の話。お姫様の登場ですが。
このヒトを見て、ふと気がついたこと。
t&sって、同じ人間って出てきませんねーっていや当たり前なんですけど。
なんつーか、けっこー登場人物が多いのに「似てる人間」が出てこないってことで。人それぞれにハッキリと特徴づけされていて、しかもそれが上手く現れてるってゆーか。
個性豊かってこゆことを言うんだろうなと、ふと思ったり。
さて、なんだかこの章では故郷だし、双子関連の秘密がいろいろありそうな予感。
ついでに、エータさんのラヴ(はぁと)の予感もとかにやらいず♪