truth&sincerity
トゥルース&スィンセラティ
第弐拾伍話 『終曲』
―思えば私は何がしたかったの・・・?
―別にデルタを殺したところで私の玄武様のイメージが悪くなるだけ・・・
―私は何がしたかったの・・・?
―あの人に振り向いて欲しかったのならもっと他の方法があったはず・・・
―私は何がしたかったの・・・?
―私は・・・・・
『セアド・・・』
私達はデルタの自室に来ていた。
デルタのベットにはマリードが眠っている・・・そしてマリードの顔に手を添えながらベットに座っているミュー・・・。
丸いテーブルに皆が座っている。いや、ただ一人だけ立っていた。
シータだ。
テーブルの真ん中には先程のシルバーリング。
そして・・・
「何故・・・」
テーブルの上のシルバーリングの横に・・・一人の女性が座り込んでいた・・・
黒味の多い灰色の紙の毛を腰当たり伸ばした黄の瞳を持つ女性・・・
『セアドッ!!』
玄武がテーブルを乗り出してセアドを抱き留める。
玄武の漆黒の瞳を閉じ、目尻より涙がとめどなく溢れていた。
「・・・・玄武様・・・・?」
「上手くいった見たい・・・」
そう・・・オレ達はセッドの封印を解く為・・・書庫にいったんだ・・・
デルタの案内で書庫にいくと・・・
「そうそう・・あなたのお父様が置いていかれた本が在るのですが・・・私達には読めないのですよ・・・見てみますか?」
「えっ!?父さんが!?」
「みますみますっ!!」
オレとシータは驚いた・・・まさかここにも父さんがものを残していったなんて・・・
デルタ王は上の方の棚の本を取り出すと、オレ達に渡した。
「兄さんっ!読める??」
「ちょっとまてって・・・えっと・・・」
兄さんは本を読み始めました。
前回の例も在るので兄さんに読んでもらっているのです。
ですが・・・
「・・・読めない・・・」
「へ?」
「だから・・・よめねーって」
ゲシッ
「いってぇ!!おい!シリアスな話でギャグだすな!!」
「何分けわからない事いってんのよ!もぅ!使えない兄さんなんて一章無私・・・一生無私・・・もとい一生無視よー!!貸してっ!!」
「がぁん!!」
兄さん・・・いいえもう他人よ(爆)
とにかく兄さんから本を奪った私は読んでみました。
・・・たしかに兄さんが前に読んでいた字とは少し違うような気がします
・・・!?
「まって!読める!!」
「へっ?」
「闇術と・・・光術・・・えっと・・・封印術の解き方ぁっ!?」
「シータッ!それってセアドに使えるんじゃないのか!?」
「棚ぼたラッキーってやつかっ!?」
ゼータ(と兄さん)が嬉しそうな顔でこちらを見てくる・・
そうよ!これでもしかしたらセアドが・・・!!!
「私・・・この術やってみる!!」
「いろいろお世話になったわね。」
「こちらこそ」
私達は次の目的地に行く為に、マゼスをはなれる事になりました・・・
次の目的地は・・・
「あーあ。結局は故郷に帰るのかよ。」
「家帰るんじゃないわよ。ソーディス城に行くの!」
「あ、そういえばシータ達の家、ソーディスだったな。」
そう。次の目的地はソーディス。
オレ達の・・・故郷だ。
まぁそう言っても村でてから半年ぐらいしか経ってねーがな・・・
「えーっと・・・そう言えばマリード達はこれからどうするの?」
「え?私は・・・いつも通りに・・・セアド姉様とも仲良くしていきたいです。」
セアドはマゼスの長女としてむかえることになったようです。
本人もそれを望んでるようなんでよかったわ。
「セアドは?」
「その『セアド』っていうのやめてくれないか?なんか恥ずかしいんだよ・・・まぁ、また掃除屋でもしようかな〜ってな。」
「ははは。”セッド”。あなたは王女になった事を忘れない様。」
「わかってるよ。デルタ『兄さん』」
セアド……いや、セッドは口では言っているものの全然わかっていないような口調でデルタ王にはなった。
デルタ王は「妹が二人になって嬉しいさ」と言っているようだ・・・
「じゃぁ、ミュー・・・あんたは?」
「おい。何か口調が違うぞ。」
「ほっといて。」
私はこいつが気に食わない。
最後の最後までヤな事ばっかり言ってたし・・・
ったく。
「フンッ。しるかっ!」
「あっそ。」
相変わらず・・・ん?
私は気が付いた。セッドがクスクスと笑っている。
そして愛用のあの鎌を持ち上げたかと思うと・・・
スパッ!
はらりとミューのバンダナが斬れる。
「!?」
「みっ・・・三つ目!?」
そう。ミューの額には第三の目が・・・いや、よく見ると違う。
宝石が埋め込まれている。氷のような冷たさを持つ光を放つ宝石だった・・・
だんせつだん けっひょうしょう
「暖雪男………『結氷晶』族……暖かい心を持つ雪男の種族………人種の違い。それがマリードに告白しない理由だったらそんな馬鹿げた理由は捨てる事だな。」
「セッドっ!!」
ミューは憎しみのこもった声でセッドの名を叫ぶ。
それにもセッドはクスクスと笑って・・・
「どちらにせよ・・・もうばれてしまっているのだがな。」
「貴様・・・!!」
「ミュー君やめて!」
セッドとミューの間にマリードが入る。
と、そこにデルタも入ってセッドをなだめるのだけれど・・・逆に鉄拳食らっている見たい
「・・・・。」
「ミュー君・・・雪男だったのね。」
「あぁ。俺の使っている魔法剣・・・あれは氷の剣だ・・・結氷晶のみ使える光術・・・」
「そう・・・そんなことだったのね・・・」
「そんなことって!」
「・・・・・別に私はミュー君が何の種族でも良かったのに!!」
ガバッ!!
「ミュー君の馬鹿っ!馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿!!」
マリードはミューの胸に飛び込んで子供のようにぽかぽかと殴っている。
ミューは・・・一度呆れた様な顔をすると、マリードの頭を撫でていた。
「ふぅ・・・とりあえず一件落着ね。あ、そう言えばセッド。玄武は?」
「あ・・・玄武様は・・・・・・・四神界にお戻りになられた。」
「?四神界?」
「そう。この世界には四神達以外にもいろんな神がいる・・・四神はこの大陸のみの神だから神界には入れないんだ。」
「はぁ・・・」
「だから創造神は四神だけの世界を作った・・・それが四神界だ。」
「よくしってるわね。」
私は正直。そう思った。
「あはははっ!伊達に何千年と生きてないね。それに・・・・」
「?」
「いや。なんでもない。」
「シータっ!そろそろいくぞ!」
「あ、まってよゼータっ!!じゃぁ私達はこれで・・・」
私はいつのまにか森に入っていった二人を追う為に走ろうとした。
と、その時・・・
「あっ!そうそうシータだけに教えてやるよ!!」
「?」
セッドが私の方に向かって叫んできた。
振り返るとそこにはもうセッドしかいなかった。私は走りながら話を聞く事にしました。
「私の正体!私の本当の名前はな!」
―セアディアルド=スカウリング=ラッシュ!!
「なっ!?」
私は・・・聞き返そうと走るのをやめ、振り返った。
しかしそこにはもう・・・セッドの姿はなかった。
スカウリングラッシュ
それは昔話で良くきかされた人物名……人の形をした最後の神
創造神
異国名……黄龍
「・・・・そりゃ・・・何千年も生きてるわけね・・・」
私はそんな独り言を言うと・・・また森の中へ走っていった。
おまけ
「んあ・・・?なんであたい・・・エータ兄ちゃんのかばん中入ってんだ?」
「うわっ!?イオタっ!?なんでお前がオレの荷物の中に!?」
「もしかして・・・買い物終った後からずっと一晩中そこで寝ていたのか・・・・」
玄武の章 第弐拾伍話 END
作者の後書き
しゅーりょーっ!!(>▽<)/
長かったぁ!!いや実に!!
えっと・・・今回の章は「愛」と「自己犠牲」と「隠し隠され(?)」がテーマです。
どうしましょう?もう赤面ものですよ?ってかシータしか出番なかったです。主人公組。
って言うか忘れてた・・・(をい)
今回の章は失敗かも(TT)はぁ・・・ごめんなさい。ろうさん・・・
ちょっと補助説明。
セッドさんについてなんですが……スカウリングラッシュは……まぁ「木賊」って意味です(死)
『黄龍』ってのは五行思想の土の神で中央を司ります。『創造主』ってのは私が勝手につけたんですが…
蒼龍が東の木の神、玄武が北の水の神、朱雀が南の火の神、白虎が西の金の神、黄龍は中心の土の神で五神が完成します。
では早速木賊は次章に向けて頑張ります!多分!
あと・・・イーちゃん(イオタ)ごめんね・・・
水浅葱 木賊
ろう・ふぁみりあの勝手な戯言〜
・・・そーいやすっかり忘れてしたなぁ。イーちゃん。
うーむ。いやなんか本気で忘れていたし・・・・章の途中辺りでは覚えていたような気もするんですけど(苦笑)。
それはともかく。
ついにっ、第三章、全10エピソード終了ですねっ!
いやー、なんかこの話、色々な意味で驚きの連続でしたよう。
ミュー君の正体だとか、セッドさんの正体だとか(笑)、イーちゃんの行方とか(爆)。
とゆーか今回。色々な意味で楽しませて貰いました〜。
マリード姫を始めとする、マゼスの個性溢れる愉快な(?)サブキャラたちっ。
複雑にな人間関係。もぉ、隅から隅まで楽しませて貰いましたよー♪
その分、ちぃとばかしメインの人たちの影が薄かった様な気がしますが(ひとり忘れられているお姫様も居たし)(爆)、でもまあシータ嬢はきちんと「無私・・・もとい無視ですわ」を抑えていたし、エータさんもどことなく主人公ぽかった様な気がするし(おひ)。
さてっ。
次回は新章突入―――ううんと、青龍と玄武がでたってコトは・・・・次は―――!?
(2001/07/01)