truth&sincerity
トゥルース&スィンセラティ 

 

第弐拾参話 『第六幕:破壊神と守護神』


 

 

ふと後ろを見るとゼータがオレ達と同じように上を見上げていた。

居るのはゼータだけで、一緒に吹き飛ばされたミューは

まだ後ろの壁にもたれかかっていた。

「あの時」・・・?

 

 

「ゼータ!?知ってるのか?」

「知ってるも何も・・以前シータを助ける為に出て行った時、薬草を貰った本人の声だ!」

「なっ!?」

 

あの時。オレはゼータから聞いていた。

白ヘビを操り、薬草をくれた恩人の男性・・・。

 

しかし名前はオレもゼータも知らなかった。

 

 

 

バッ!!

 

その人はあの割れた天井の窓から降りてきた。

女とも男とも付かぬ顔だが・・・おそらく男だろう。

ローブのような感じの・・・真っ白な見た事もない服を着ていた。

髪の毛は・・・水浅葱色で毛先ほどこく、上に上がるほど薄いというグラデーションがかかっている。長さは短いのだが、耳元の毛が腰よりも長い位置にあるという変わった髪形だった。

よく見ると・・・耳がない。ないというか・・・人魚の耳のひれのような者が耳の本来ある所に付いていた。

 

つまり・・・人間じゃない・・・

 

 

「あなたは・・・人間じゃなかったんですね・・・」

『おや?あなたは前にも見たね?どうだい、大事な人は・・・』

 

男の人はにっこりと笑ってゼータに話し掛けた。

それは人の安らぐとても綺麗な笑みだったが・・・状況が状況なだけに安らげない。

男の台詞を聞いてオレは思い出した。

 

「シータッ!!」

 

オレはいまだ気絶しているシータに駆け寄った。

その身体を優しく抱き上げると、再びオレはセッドと男、ゼータ達の方を向く。

 

そう言えば先程からセッドの様子がおかしい。

いくらなんでも驚き過ぎだった。

いまだに口をぱくぱくさせながら驚いている。

 

「げ・・・・げ・・・」

『・・・。セッド。またあなたなのですか・・・』

 

 

「玄武様っ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「えっ!?」」

 

オレとゼータの声がハモる。

目の前に居る男が・・・玄武だというのか?

玄武はクスクスと・・・まるで女のように笑っている。

もともと女にも見える顔なので余計にそう思える。

 

 

 

『セッド以外は初めてですね・・・僕は・・・四神『玄武』・・・北の守護神です』

「・・・・?あなたはセッドを知っているのですか・・・?」

『えぇ・・・何年も前から・・・』

 

 

 

 

「何故あなたはこの場におられるのですか・・・」

 

セッドが困った顔・・・先程の彼女からは考えられない顔で尋ねた。

 

『セッド。僕がここに来た理由。知らないわけはないね?』

 

「・・・・・・。」

 

 

さきほどから・・・セッドの様子がおかしい。

すっかり冷静さを取り戻している。玄武が来てからだ。

 

 

『セッド・・・そろそろ消えたらどうだい?』

「っ!?」

 

セッドの表情が困ったものから・・・悲しみの混じる驚きの顔に変わった。

それは誰から見てもわかる表情だった。

 

「ん・・・?兄さん?」

「あ、シータ。気が付いたのか?」

「・・・セッドは?マリードはどうしたの??」

「それは・・・」

 

オレは起きたシータを下ろし、セッド達の方向を指差した。

 

『あなたは一体何百・・・何千年「生きれば」気が済むのです!?』

「わかっています!こうやって・・・人の体を転々としながら生きる事は万物の法に反する事は!!しかし私は!!」

『・・・・・・・なんだというんだ?何百年も僕の周りの者達の身体を転々とまわって行き・・・挙げ句の果てには私の『カゲン』まで殺そうという行為がなんだというんです!?』

「私はただっあなたに・・・!!」

『僕にとって自分の選んだ『カゲン』は自分が最も信頼する者です・・・あなたは僕の信頼する人まで奪おうというのですか!?』

 

口喧嘩が続く。

どうやらセッドという人格は何百年も前から存在する者らしい・・・

オレ達は口を出す事も出来ず、ただ呆然と二人の話を聞いていた。

その内、ミューも起き上がってきた。

ミューはデルタ王の元(そう言えばオレシータ持ってたから寝かせたままだったな(をい))へ行き、デルタ王を持ち上げる。

 

 

 

「・・・・一つ聞かせて下さい」

『なんだ?』

「・・・・あなたは、私が邪魔ですか。」

 

「!?」

 

その言葉を聞いて反応したのはシータだった。

 

 

 

 

 

 

『えぇ。邪魔ですね。』

 

 

 

玄武は当然の事のように・・・あっさりとその台詞を捨てる。

 

 

『そう。あなたはいつも私と『カゲン』の仲を裂いていた。』

 

『あなたは何がしたかったんです?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その言葉を聞き、セッドは一歩下がって顔を俯かせる。

 

「わかりました・・・」

 

ソレハトテモヒドイコトバ

キヅイテモラエナイホドカナシイコトハオンナニハナイ・・・スクナクトモ

カノジョハダレカニニテイル

シカシスコシチガウ・・・・・・・

 

 

「私は・・・「私」と言う人格は・・・マリードの中より消滅します。

二度と蘇らぬよう封印の地に身を委ね・・・

 

後者の言葉は何かの呪文のようにも聞こえなくもなかった。 

 

オレにはセッドの言っている意味が分らなかった。

一体何が言いたかったのだ・・・と・・・

 

私にはわかった。言っている意味と、想っている事が・・・

 

「まってよ!!」

 

私は二人の会話に始めて口を出した。

 

「あなた・・・マリード・・・いえ、セッドの言っている意味分ってそんな事を言っているの!?」

『どういう事です・・・』

「マゼスの人って・・・なんでみんなして鈍感なのよ!」

 

もう私は完璧に頭に来ていた。

何故かは解からない。だけど・・・こんなのはいや・・・そう思っていた。

 

「セッドは好きなのよ!!」

 

 

 

 

 

 

「あなた・・・玄武が!!」

 

さっきの玄武の台詞に腹を立てていた私は単刀直入で言ってしまった。

でも私は・・・このままこの事を終らせるのには納得いかなかった。

 

この台詞にはさすがの玄武も相当驚いているようだ・・・

 

だから私は消え行く彼女の代わりに言ってやった。

この際ときと場所を考えるなど無私、もとい無視!

 

 

「どうして気付けないのよ!彼女は・・・セッドは自分を見て欲しかったのよ!だからあなたの周りの人に入り、自分が居る事を知ってもらいたかったのよ!!」

 

『じゃぁ・・・君は今回の事件をどう考えるんだ!?』

 

 

「全て簡単な事よ・・・デルタ王さえ居なくなれば妹のマリードに力が受け継げられる・・・」

 

「玄武の力を多く受け継ぐ光の民『カゲン』一族で玄武召喚術の使えるカゲンをマリードにするにはデルタが邪魔だったという事か・・・」

「ゼータ!?」

 

 

ゼータがいつのまにか私の横に来て話を進めた。

どうやらゼータも分っている様・・・

 

「セッド・・・君は消えては駄目だ。消えてはならない!そこで消滅すれば・・・なにもかも意味のないものになってしまう!!」

「ホントウの気持ち・・・直接あなたから言わないで・・・どうするのよ!!
人一人を殺せてしまうぐらい・・・大事な事なんでしょう!?」

 

私とゼータは必死になって叫んだ。

なんて事を叫んでるんだろう・・・そうとも思った

このまま終らせていはいけない!彼女が後悔するだけ!!

 

「私は・・・」

 

・・・・恥ずかしがらないで下さい・・・

 

(お前は・・・マリード?)

 

 

 

セッドの動きが一瞬と待ったと思うと・・・

次の事を話し出した・・・

 

 

 

 

 第弐拾参話 END



作者の後書き

 

脱走したい気分です。

展開変わりすぎ。と言うか曲の影響受けまくり!

展開が変わった部分からBGMを戦闘っぽい曲から(ネットサーフィン(爆)で探したHPからDLしてきたブツ)
悲しめの曲(聖剣伝説LOMの煌きの都市の曲)に変えました。

というかイメージ曲ぴったり(爆)一気に書き上げました。

セッドさん。殺意失ってますのであしからず・・・

 

やっぱり変・・・(TT;)



ろう・ふぁみりあの勝手な戯言〜

おぉう、セッド氏の正体が半分ほど明かされましたねー。
カァァァァァァァァァァァァラァァァァァァァァァァァァァァッッッッッ!!!!!(byパ○ン)

・・・いや、まあ。置いといて。

久しぶりのt&sです〜
いやつーか、感動ッッ。なんか感動ォッッ。
てゆか、この頃、泣きそうな感動してばっかだぞオイラ。いやだからマジでこーゆーの弱いんですって。
「死ぬ」とか「消滅」とかねぇ・・・

うー、セッドさんどうなるんでしょうか。ものすごく気になるトコですッ。

・・・大切なヒトに、受け入れてもらえずに消えるなんて哀しすぎますよね・・・


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