truth&sincerity
トゥルース&スィンセラティ 

 

第弐拾弐話 『第五幕:発端』


 

「マリードッ!!何故こんな事を!!」

「え?マリード??じゃぁセッドは?え?」

 

私は目の前の光景とミューの発言で混乱していた。

ゼータとミューが壁にもたれている。

兄さんはデルタさんを膝に乗せてマリードの前で座っています・・・何故か剣を構えて・・・

 

先程までオレ達と戦っていたセッドは・・・マリード姫だった。

でも・・・顔はマリードでも性格や体質が全然違う・・・

 

「ふんっ!!正体がばれたからってなにさ!?お前らが不利には変わりないだよっ!!」

 

マリード姫・・・いや、『セッド』が武器を構え直す。

しかしその姿には先程の余裕はなかった。

 

「・・・デルタさえ・・・デルタさえ殺してしまえば・・・全ては終るっ!!」

 

セッドはオレ・・・いや、デルタに向かって思いっきり鎌を振り上げ下ろす!!

オレはとっさに剣で防御をしようと思ったが・・

 

ガキィィィン!!

 

オレの剣とセッドの鎌の間に二本の剣が入る。

 

「「俺達を忘れるな!」」

「ゼータッ!ミュー!!」

 

一方は黒く輝くカタナ。一方は青白く輝く魔力で出来た剣。

そう。ゼータとミューの剣だ。

 

「デルタ王をエータ一人に任せるかっての!」

「・・・その割にはさっき任せるとか言ってたな・・・」

「無駄話をしている場合じゃない!!」

 

「どいつもこいつも私の邪魔をしおって!!」

 

セッドはそう叫ぶともう一度大きく鎌を振り上げ、

 

「調子に乗るな!!」

 

ゴウッッ!!

ドカァァァ!!

 

「ぐあっ!!」

「くっ!!」

 

セッドが鎌を横振りにすると、突然爆風とも呼べる風が吹き、ゼータとミューを吹き飛ばす。

再びオレとセッドが向かい合う。

 

「今度こそ終わりだ!」

 

“自然を司る木・・・ドリュアスよ・・・汝偽りを捨て・・・我に力を与えよ!!”

 

「ウッディアロープッ!!」

 

シュルルルルッ!!

 

私が魔法で生み出した何本ものツルがセッドと呼ばれていたマリードに絡み付く。

 

「くっ!?」

「あなたの動きは封じたわ!!」

 

シータの言った通り、ツルはしっかりとセッドに巻き付いており、動きを封じていた。

そのはずだった・・・

 

「どいつもこいつも・・・・私と・・・・・・・・邪魔・・・」

 

ツルに巻き付けられたまま、セッドは俯き、ぶつぶつと何かを呟き・・・

 

スッ・・・

 

音もなくツルは斬り消された。

そして・・・

 

ドカァッ!!

 

 

「ぐっぁ・・・」

 

シータが吹き飛び、潰れるような声を出して壁にぶつかった。

オレはシータに駆け寄ろうとしたが・・・何故か動けない!?

 

「なっ!?」

 

シータのはなったツルがオレに巻き付いている!?

 

「そんな驚いた顔をするな。その娘の魔法を造り替えただけだ・・・」

「ばかなっ!?そんな事が出来るというのか?!」

「フンッ。出来ないのなら私もしていないわ・・・」

 

当たり前の事のようにセッドが云う。

 

「大丈夫・・・何もしなければこちらも何もしない。ただデルタだけを殺せれば良いんだよ・・・」

「や・・・やめろ・・・」

 

セッドの表情は・・・つかれきったようで・・・それでいてどこか寂しげな雰囲気を帯びていた。

その顔で鎌を振り上げようとしているので余計に恐怖感が在った。

そして何故か罪悪感があった・・・

 

「さよなら・・・デルタ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

チクッ!

 

 

「痛っ!?」

 

カランッ・・・

 

何があったのか?

セッドは小さな悲鳴を上げると持っていた鎌を落してしまった。

ふとセッドを見ると右手首に左手を添えている。

何かが当たったようだった。

 

あれ?身体の自由が効くぞ?

身体を見回すと先程のツルは既に無くなっていた。

術者が集中をとぎらせたため、効果が消えてしまたのだ。

 

「くそっ!何が起こった!?」

 

セッドが手首を押さえながら辺りを見回した。が、何も見つからない。

セッドの手首を良く見ると、押さえている指の間から

小さな穴のような傷が出来ていて、その傷口から数量の血が出ていた。

しかしその程度の傷がセッドに出来ても・・・おそらく勝敗には関係しないだろう

セッドは・・・あのミューやゼータより強いのだから。

 

セッドはまだ自分に傷を付けた相手を探している。

武器は落して地面に在る・・・

今なら攻撃が入るかもしれない!

 

オレはデルタを自分の直ぐ横の床に寝かせた。

ちなみに今までは頭を膝の上に乗せて・・・膝枕をしているような感じだった。

なんかオレがそういう趣味みたいな奴のように聞こえるが・・・

オレはシータしか興味無いので変な間違いはするな。

・・・・・・こんなこと考えてる暇はねぇ!

 

オレはゆっくりと・・・気付かれぬよう剣をさや事腰から抜いた。

オレの親父から貰った剣は片手剣だからゼータみたいに鞘から出した状態で

みねうちは出来ない。

オレはセッドが完璧に向こうに向くのを待つと、目を瞑り、一気に剣を振り下ろした!

 

 

ガスッ!!

 

鈍い音。

この一撃でこの戦いは終ったのか・・・

そんな事を考えながらオレはゆっくりと目を開けた。

 

「あ。」

 

たしかに当たった感覚だった。

しかし当のセッドは何故か驚いた顔をしてこちらを見ていた。

当たっていない・・・セッドには当たってない・・・

当たったのは・・・

 

「へっ・・・ヘビ!?」

 

オレの剣はこの白ヘビに当たっていたようだった。

ヘビはのびている。

 

「しっ!?白ヘビ!?・・・まさか!!」

 

セッドは驚いた顔のまま真上を見た。

オレもセッドにつられて上を見上げた。

 

 

 

「スイ・・・帰っておいで・・・・」

 

 

 

 

「あのときの!?」

 

 

 

後ろから・・・そう吹き飛ばされた方向からゼータの声が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 第弐拾弐話 END



作者の後書き

 

たまには終わり方を変えてみようかと思いましたが・・・無理でした。

いつもワンパターン。まぁいいや。木賊お約束小説しか書けないし(開き直り)

とりあえずエータ以外を戦闘不能にしてみました(謎)

そして新キャラ(?)あの人です。

名前は次回出すとして・・・うーん・・・もうわかってるだろうな。

ちなみにこの話。今までで一番容量少なかったり・・・(爆)

そろそろラストスパート!

終わり方は木賊にもわからない!

とりあえず頑張ります・・・(ーー;)



ろう・ふぁみりあの勝手な戯言〜


まさに意外な展開! の前話の次の話である今回!(ん? なんか馬鹿なこと言ってるような)
「おおーっ?」とか「おおーっ!?」とか「おおーっ!?」とか叫びっぱなしでした(全部同じやん)。
セッドさんの謎とか、シータさんの魔法。それを作り変えるセッドさんとか・・・
でもって、外伝の壱拾五話に出てきた謎の人の再登場!
くくぅっ、ニクイ、ニクイぜ旦那! 座布団いちまいっ!

・・・いや、取り乱しました。

さてラストスパート―――第壱拾六話のサブタイトル『それは悲劇の始まり』の通りに悲劇となってしまうのか!?

結末は、一体どうなるのか・・・・・・・!?

 

・・・ところで。
『オレはシータしか興味無いので変な間違いはするな。』
って、エータさんってばそのセリフは・・・(あはは)。


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