truth&sincerity
トゥルース&スィンセラティ 

 

第弐拾壱話 『第四幕:二つの心』


 

「はぁ・・・はぁ・・・」

 

私は城の横の森を走っていた。

目的は・・・はなれにいるミューの所までマリードの事を知らせる事

 

・・・後もう少し・・・もう少しではなれにつく!

 

私は走っている間に妙な胸騒ぎを覚えていた

それが何なのかはわからないけど・・・

きっとマリードの事を心配している気持ちなんだな、と自分で納得する

いまはそんな事・・・無私・・・もとい無視よ!!

そんな事を考えてる内に、私は放れにたどり着いた。

ドアは開いていた。いや、閉まらなくなっていたと言った方が良いわ

そのドアの向こうに、私は、

 

「ミューっ!!大変っマリードが!!」

 

と、叫んだ・・・

私はまだ・・・そこで起こっている事に気が付かない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁっ!!」

「どこ狙ってるんだよ!」

 

セッドは鎌を振り下ろした。しかしその刃はゼータには当たっていない。無論、デルタ王にもだ。

大きな武器ほど空振りした時の隙が大きい。

その事を知ってか・・・ゼータが一気にセッドに近づいた。

 

「エータっ!頼む!!」

「えっ!?ぶわっ!」

 

どさっと、オレのもとに何かが落ちてくる・・・デルタ王だ。

 

「王をなげんな!!」

「わるいエータっ!!」

 

口ではそういうゼータだが既にその手には刀が持たれ、攻撃態勢に入っていた。

 

「食らえっ!!火闇系魔剣術っ!!火炎舞!!

「っ!?」

 

剣先より生み出された炎がセッドに向かい、包み込む!

しかしオレは目を細め、技を見極める・・・そうこの技も幻なのだ。

以前聞いたんだ・・・ゼータの使う技は敵を惑わせる『幻術』が主なのを・・・

 

「どうだっ!?」

「くっ!!」

 

ゼータがセッドの様子を見ている。セッドは幻術にはまり、かなり苦しそうなのが動作と聞こえてくる声でわかる・・・

しかし・・・

 

「・・・なるほど・・・」

 

ゴウッ!!

 

「なっ!?」

 

幻の炎が消された。

 

「闇術とはこの程度のものだったか・・・こんな物では私を倒せぬぞ?ゼータ=リトゥール」

「!?何故俺の名を!!」

 

ゼータの顔が一瞬にして強張った。

それでいて目は殺意に満ちている・・・いつものゼータからは考えられない事だった。

しかしその目を見た事無いわけではない。そう、あの魔術師関係の事になるといつもこうだ。

 

「ゼータ=リトゥール・・・生き残りの『エターナ』と言われているらしいな。その道では有名だぞ。」

「その道って・・・どういう事だよ!!まさかお前も「あいつら」の仲間か!!」

 

ゼータは剣を構える。

 

「クックックッ・・・エターナなど興味無い。ただこの前消した魔道師の森賊がほざいたのを聞いただけだ。」

 

それを聞いたゼータは一旦ほっとした顔をした。

それを見てクスッと一回笑ったセッドは再び鎌を持ち直す。

 

「さて・・・お前の能力も見極めた所だ・・・そろそろ本気でデルタを殺しにかかる。」

「その台詞は俺達を倒してからにしな・・・セッド!!」

「ミューっ!?」

 

ゼータの後ろから今までその戦いを見ていたミューが加戦してきた。

 

「二人で私の相手かい?ちょっとハンデを出し過ぎではないか?」

「お前ならこのくらいで丁度なんじゃねーか?まだ本気じゃねーだろ?」

「クックックッ・・・さすがだミュー。」

 

セッドは片手を口元に寄せて笑っている。

するとミューは自分の右手をじっと見つめた。

 

うわ……安直アイスブランド
「魔法剣・・・雪氷剣!」

 

ミューの手にあの光り輝く剣がうまれた。

それをそいつは構える。

 

「その剣は?」

 

聞いたのはゼータだった。

 

「魔法力で生み出した氷の剣だ。」

「へぇ凄いな・・・それで魔法剣士なんだな・・・」

「まぁな」

 

魔法で剣を生み出す・・・なんて凄すぎる事を「へぇ」で済ませられるゼータが凄い・・・

えーっと・・・

 

「オレはどうすれば・・・?」

「デルタ様を頼んだ!!」

 

やっぱりか・・・・

 

 

 

ピクッ・・・

 

「え?デルタ王が今うご・・・」

 

ドカァァァァッッ!!

 

突然風圧がオレを襲う。

風圧の来た方向にはセッドが居た。

セッドは鎌を振りまわしている。そこから出た風圧が当たりかけたわけか・・・

それにしても・・・

 

「はやいっ!!」

「あははははっ!!このぐらいでねを上げてたらあとが持たないぞ!」

 

セッドの鎌を振り下ろすスピードは普通じゃなかった。

太刀筋が見えない・・・こんなことあの大きな鎌で出来るとは思えない!

 

金闇系魔剣術っ金剛剣!!

 

ゼータが必殺技を放つ!

カタナより生み出された無数の「金の剣」が物凄いスピードでセッドに迫る!

決まったかっ!?

 

「クスッ・・・甘いんだよ!!」

 

ガッシャァァァン!!

 

大きな音と共に金の剣は尽く壊された。

やがて金の剣は跡形もなく消える。

ゼータ後からが通用しない?

 

「まさかっ!!」

「フフフ・・・どうやらレベルが違いすぎる様だな?」

「よそ見をするなっ!!」

 

ふと、セッドの後ろにミューが現れ、剣を振り下ろす!

 

ギィィィィィィンッッ!!

 

「言っただろ?レベルが違いすぎると・・・」

 

セッドは涼しい顔で剣を鎌の柄で防いだ。

そのまま・・・

 

ガッシャァァァンッ!!

 

弾き飛ばした。

 

オレは戦闘に参加しなくて良かったのかもしれない・・・

セッドの言う通りレベルが違いすぎる。

オレより遥かに強いゼータやミューでも敵わないんだ。

オレなんて言うまでもない。

 

セッドはミューの方に向けていた体をオレの方に向けた。

・・・向かってくる!

 

「せて・・・デルタを渡してもらおうか?」

「くっ!」

 

チャキッ・・

 

オレはとっさに剣を構えた。

それを見てセッドはクスクスと笑った。

 

「私に敵うとでも思ってるのか?」

 

そう言ってセッドは一歩一歩ゆっくりと歩いてくる。

 

「お前の相手は俺だっ!!」

「うるさいっ!!」

 

ガッ!!ドカァァァァ!!

 

セッドに向かったゼータがミューのように弾き飛ばされる。

ゼータを片付けたセッドはまたこちらに歩み寄ってきた。

 

そして・・・目の前で止まる。

おもむろに鎌を振り上げた。

 

「デルタ・・・今日こそはその命・・・称号・・・力っ!頂く!!」

 

勢い良く鎌を振り下ろそうとしたその時っ!

 

 

「ミューっ!!大変っマリードが!!」

 

「シータッ!!」

「お前はっ!!」

 

シータが入ってきた瞬間、セッドに大きな隙が出来た!!

行ける!!

 

「うおぉぉっ!!」

 

 

 

ズバッ!!

 

 

はらり・・・

 

 

オレの振った剣はセッドの頬をかすめ、フードを斬った。

 

「あ・・・」

 

フードの中より現れたのは、その瞳と同じ色、淡い碧色のロングヘヤーをしていて、その髪は腰の辺りまでまっすぐに伸ばした女性。

その髪のあいだに見える耳にはピアス。
銀色の小さな長い鎖の先にダイヤモンド。そのダイヤモンドにヘビが巻き付く様に付いているデザインのピアスだった。

肌は怖いほど白く、顔は・・・

 

 

「マリードッ!」

 

 

静まり返った部屋の中。

ただミューの声だけが響いていた。

 

 

 

 第弐拾話 END



作者の後書き

 

意外に早くしあがった話です。

おぉ!必殺技が2つも出てるぞ!!(だからなに?)

今回の話はやけに効果音が多いかもしれません・・・どうにかしなければ・・・

と言うわけでセッドの正体明らかに!マリードさんだったんです。

おや?「フォント"-1"」病がないですね〜。さて?どんな物でしょう?(にやそ)

う〜ん・・・そろそろあの事実を突っ込まれそうな気分。

大丈夫かな?


 

ろう・ふぁみりあの勝手な戯言〜


大丈夫です(何がだよ)。
いやえと、まあ“あの事実”とやらには全然気づいてませんから。超鈍感人間です、自分。

さてそれはさておき。

・・・なんつーか、意外すぎるぞこの展開ッ!
まさかマリードさんが襲撃者の正体だったなんてっ!
うーん、素顔を現した時のマリードさんってどんな顔をしているんだろうか。冷酷非情な暗殺者の冷たい瞳?
今回、描写がないのが悔やまれますぞ!(←お前が悔やんでどうする)。

必殺技〜・・とゆか“オレより遥かに強いゼータやミューでも敵わないんだ。”ってぇ、そんなにレベル差があったのですねー。印象的にはエータさんの実力って、ゼータさんい少し劣るくらいだと思ったんですけど。試合をやれば三本に一本を取れるくらい。

まあ、力関係よりも今はこの意外すぎる展開!
次回・・・どうなるんだろう・・・(ドキドキ)。


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