truth&sincerity
トゥルース&スィンセラティ 

 

第弐拾話 『第三幕:DEATH-死神-』


 

マリード姫を自室に連れに帰って再びはなれに来ると、空は既に漆黒の闇で覆われていた。

樹の大陸は年間を通して比較的昼の時間が長い・・・光の力で覆われた大陸だからかもしれない・・・そんなことで、このように真っ暗な夜になる時間は早くても7時30くらいだ。

ちなみに今の時間は9時・・・

もうすぐ・・・オレ達は・・・マゼス一の暗殺者に会う事になるのか?

 

「セッドが来るのは決まって深夜0時過ぎてからだ・・・まだ時間がある。ゆっくり休んでおけ。」

 

と、ミューは言っていたが・・・ゆっくりできるはずが無い。

だって私達は・・・慈悲無き死神に会うんですから・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『まったく・・・皆して私の事を死神呼ばわりするなんて・・・』

 

とある一室・・・真っ暗な部屋の中で・・・「そいつ」は呟いた。

服は真っ黒なのに肌が恐ろしく真っ白なので肌だけが窓から漏れる月の光に反射して妙に浮き上がって見える。

 

『・・・どうして・・・どうして貴方様はあんな奴を選んだのですか・・・?』

 

ふいに「そいつ」は悲しそうな口調で月を見上げた。

そして間もなく「そいつ」の姿がそこから消える・・・

 

消える直前・・・「そいつ」の笑う声が・・・微かに聞こえたように思った・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

深夜10時39分。

私はミューと共にマリードの部屋に向かっていた

今日の事・・・謝らなきゃいけないし、それに少し話がしたかったの

ちなみに兄さんとゼータははなれで見張りをしているわ

 

「ねぇミュー。あなたもうすこし丸くなれないの?」

「どういう意味だ?」

 

私が喋りかけると、ミューは即座にそう答えた。

 

「どこか・・・遠くじゃなくても良い、今日みたいに町でも良いの。少し・・・外に出してあげてよ。」

 

昼の私だったらこんな口調はしない・・・

さっきは、ちょっと私も調子に乗りすぎたわ。

今度は相手の気持ちも考えて話してみた。

 

「たしかにお前の言ってる事もわかってる。わかってるが・・・俺は心配なんだよ。マリードが・・・マリードが居なくなるかと思うと・・・俺は・・・」

 

ぴたりとミューの足が止まる。

 

「・・・・あなた。マリード姫の事好きなんでしょ?」

「!?」

 

図星。

ミューはそんな顔をしている

 

「やっぱりね・・・まさかとは思っていたけど・・・」

「っ!!お前には関係ないだろっ!!」

「そうね・・・私には人の心をどうこう言う権利はないわ。自分の心は自分だけが決める権利がある・・・」

「・・・・・・。」

「マリードも・・・きっとミューが好き何だと思うよ。ほら、いつもミュー君ミュー君っ言ってるでしょ?」

「それがどう・・・」

「だからミューに気を使って自分からは「外に行きたい」って言わないのよ?」

「・・・・・・・」

「彼女を心配する気持ち・・・すっごくよくわかる。でもね、程々にしないと後で後悔するのはあなただという事・・・忘れないで・・・」

「俺は・・・」

 

ガシャーンッ!!

 

どこからか・・・いいえ、はなれの方からその音は聞こえてきました。

 

「何の音だっ!?」

 

しばらくすると兵士達のざわめき声が聞こえてきました

ミューはその声が聞き取れたのでしょう・・・顔色を変えてはなれの方に走っていきました。

 

「・・・マリードっ!?」

 

私は・・・何故かマリードが心配になった・・・今危ないのはデルタ王なのに・・・

でも私はマリードの部屋を知らない・・・その時だった。

 

「シルフィーア様っ!!」

 

一人の兵士が私に向かってきた。

 

「どうしたんですか?」

「ま・・・マリード姫様が居ないんです!!」

「何ですって!!」

 

一体どこへ行ったというの!?

とにかくっ!ミュー君に知らせなきゃ!!

 

私ははなれにむかって駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はなれの天井・・・ガラス張りの向こうに「奴」はいた・・・

月がバックにある為シルエットしか見えないが・・・黒の長いワンピースを着ているようだった。

 

ガシャーンッ!!

 

ガラスが割れる・・・その破片が真下に居るデルタ王へと迫るっ!!

 

「危ないっ!!」

 

ゼータがマントを被りながらデルタ王へと向かい、王を抱き上げその場から動かす。

ガラスの破片は王には当たらなかったが数多くの魔機具とベットに突き刺さる。

 

「ゼータッ大丈夫か!!」

「俺は大丈夫だが・・・くそっ!なんで時間が早いんだよ!!」

 

0時過ぎだと聞いていたが・・・まだ11時ではないか?

 

「何故私の邪魔をするっ!お前らはここの者では無いはずだっ!!」

 

高い・・・ソプラノ調の女性の声がする。

かと思うと、「セッド」は割った天井から下りてき、ベットの上へ着地する。

しゃがんだ状態・・・手と膝で身体を支えているようだ。
顔は俯き、頭は服に付いているフードを被っていた。

さっきのシルエットの時には見えなかった「武器」がハッキリする。

 

それは死神が持つような大きな・・・長い鎌。

 

「デルタ王!!」

 

開いたままになっていた小屋の窓からミューが飛び出してきた。

 

「セッドっ!?」

「ミューか。今宵こそデルタの首を奪う・・・」

 

セッドはすくっと立ち上がると顔を上げた。しかしフードが大きすぎる為顔は見えない・・・。

 

「さて・・・そこの黒髪の男・・・デルタを渡せ。」

「渡せといわれて渡す奴が居るとでも思うか?」

 

ゼータはデルタを抱えながら言った。

 

「ふんっ、命知らずな奴。」

 

ちゃきっと・・・セッドが右手に持った鎌をゼータに向けた。

フードから微かに見えるセッドの口が笑ったように見えた。

 

「わかった。相手してやる。でもな・・・私の目的はデルタだから・・・常に狙っているという事を忘れるな。」

 

 

「いくぞっ!!」

 

 

セッドが大降りに鎌を振った。

 

 

 第弐拾話 END



作者の後書き

 

久しぶりに創作意欲が湧いたぁ〜(^^;)

最近題名考えるのが楽しいです。

さて、話も本編に参りました!セッドご登場!

そして相変わらずな自爆文・・・ははは(T▽T)

というわけでもう20話です。あうちっ・・・もうすぐFINAL抜くし・・・はぁ

っていうかもしや某小説抜いてるっ!?(11月3日現在)

ちまちまと樹の大陸の設定を加えつつ・・・21話へGOです〜(謎)


 

ろう・ふぁみりあの勝手な戯言〜

 

某小説・・・が、なんなのかわかりませんが、少なくとも「SSS」では一番長い作品ですね(2001年1月現在)
てゆか、ウチってt&sで三分の一ほど持ってるよーな(更新とか)。
ああ、とゆーよりも、頂きモノで十割近くッ!? はううっ、いーかげん、本腰入れてオリジナル書かなきゃなぁ・・・(その前にパニック!を完結させたらんかい)

とか、愚痴はおいといてー。

題名。
題名考えるのが苦手な使い魔はうらやましいです。気に入った題名ってあまり無いんだよなぁ・・・
だもんで、いつもマンガや小説からのアレンジっていうかパクリになってしまうんですが。
さてさて、今回は急展開ですね!
暗殺者の登場に、マリード姫の失踪! それらは悲劇の発端に過ぎないのか!?
次回が楽しみーですッ! いや、本当に。


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