ばさばさっ

カーテンが揺れている。
ホテルのスゥィートルーム。個室。
先ほど、翡翠が入ったところ。
裕二がたっていた。

「・・・どこだ。どこにいった?」

彼の声は虚空へと。
純白のドレスが床に落ちていた。翡翠は着替えてそして−−−窓から出ていった? 馬鹿な。
ここは12階だ。
さらわれた。しかも能力者だ。








MISSION FOR IRREGULARS

8「消えるべき者だ」







狼牙がそこにいれば、当然『鼬』もいるわけで。
ここが集合場所なのだから、『一角獣』『兎』『蝿』もいた。

「ここから見える『魂入霊歌』。そこに捕らえられた覚醒者を取り戻すのが、私たちの任務だ」

『鼬』が、隣の高層ビルを指さす。
ここは同じ会社の建設予定地で、都会には珍しく、広い空き地になっている。もっとも、立ち入りは禁止されているのだが。

「『一角獣』と『蝿』は裏口から・・・いや、三階からだ。私と『狼』と『兎』が正面から奇襲をかける。その間にこちらに向かっている『イクリプス』、『アグレシヴウォーカー』と協力するんだ」

『蝿』と『一角獣』は、しっかりと頷く。

「敵にも侮れない能力者がいる。心してかかれ」





「まずは・・・濁」


男はそう呟くと、ドアをガンとけり開けた。
途端−−−


ゴゥッ!


彼のいた場所を、一閃の光が貫いた!
濁と対象の間にあったドアはかき消え−−−もちろん、対象もかき消えたはずだ。
濁は皓也達が迎撃に向かったあと、一人でこの部屋にいた。無論、迎撃の為に。
額の汗を拭う。殺気は感じなかったが、それ以上の。ただの感情を超越した何かが、先ほどの男から放たれていたからだ。

「・・・」
「それか? お前の能力は」
「っ!?」

咄嗟のために書いてあったページを破り取った。

「そうだな・・・さしずめ、存在属性変化能力、と言ったところか? 『天照大神』だな」

ク、と男−−−秀吾は笑う。
その秀吾の体を、いくつもの銃弾が貫いた。
濁の周りに、いくつもの拳銃が浮いていた。つまりこうだ。

『拳銃を浮かせ、対象を攻撃』

濁の能力は物理法則を無視することはできない。それは、媒体が『再生紙』であるためだ。
つまりただの紙。それを今度は『上質紙』にしていた。
この能力は、媒体に対する濁の思いによって比例する。濁が大事にしていれば大事にしているほど、それは万能な能力を発揮する。
ただし、一度。使ったら、媒体は消滅する。
一度、自分が小さい頃から持っていた野球選手のサインボールを媒体にしたことがある。
そのときは一日中空を飛べたが・・・そのあとは空虚が広がっただけだ。
話をもどそう。
秀吾の体が体制を崩して仰け反った。
濁はノートを閉じ、構えを解く。

「・・・?」

血がおちない。拳銃に付き物の、鮮血。
まさか−−−

「なるほど・・・ただし、完全じゃあない」

秀吾が上体を起こした。そうだ、彼は『倒れてはいなかった』。仰け反っただけだ。
避けた。弾を、全て。それも僅かな動作で。

「な・・・なんなんだお前・・・?」

濁のこめかみを汗が流れた。先ほどのとは違い−−−冷や汗だ。

「判定者、とでも考えりゃいい。お前に道を示しに来た」
「・・・道?」
「あーなんだ。つまりだな、この世界は歪んでいる」
「は?」
「つまりは−−−こんなコトだ」

秀吾は指を立てた。すると
そこだけが、なんだかしらないが。
歪んだ。
歪んで歪んで、そして−−−


辺りが闇に覆われた。そこでも、自分の体と、秀吾の存在は確認できたが。

「なんだ?」
「こりゃ、俺の能力じゃない。気づけば誰にでもできる」
「気づく?」
「そう、気づけばたとえ赤ん坊でも扱えるほどに、この世界は歪んでいる」
「・・・で?」

理解できたかはわからない。ただ、理解した気になる。なっておく。

「ここからが本題だ。希にな、この歪みから他の世界の人間が紛れ込むことがある」
「他の世界?」
「ああ、なんてーのかな。つまりは・・・現実の世界だ」
「・・・はぁ?」

なに? つまりここは現実じゃない? 俺らは青い薬を飲まされてるってか?
アホか。

「ここが現実だろう?」
「違うんだ、それが」

勝ち誇ったように、秀吾。濁は無性に、理由はわからないが、悔しくなった。

「・・・じゃあ、仮想現実っていうのか? 映画じゃないか」
「そーだな・・・仮想現実って言い方もあるか」

秀吾は一呼吸置いた。

「ここは、物語の中だ」





「・・・は?」
「つまりだ。現実世界には『寛』って奴がいる。HNは・・・えぇと・・・そうそう、ずべてけ、だったな。ふざけてやがる」
「寛?」
「そいつが『〜SSS〜』ってHPに投稿してる奴だな。これは」
「・・・わけわかんねぇ」
「簡単に言うぞ。寛って奴は、俺らの世界を全て見ている。見た上で、それを文章に書き起こして、投稿してるんだ」
「・・・で?」
「わかんねぇ奴だな。この世界と寛が書いている『物語』の世界はリンクしてるんだ。そしてそれが歪みの原因になってる」
「へぇ、寛って奴はここでは神になれると・・・?」
「そうだ。なんかがきっかけで、寛はこの世界に干渉できるようになった。多分歪みを『創って』そこから来たんだろうな」
「ふざけてるな」
「言うと思ったぜ。続けるぞ。寛はイレギュラー・・・後で言うが、それを引き合わせている。今のところ出現しているイレギュラーは13人。そいつら全部が、この街にいる」
「ん」

一度否定してしまえば簡単だ。馬鹿の戯言と思って聞き流せる。

「覚醒者から『エネルギー』を抽出して、寛は『有のイレギュラー』と『無のイレギュラー』を作り出そうとしている」
「覚醒者・・・? 待て、覚醒者は俺が捕まえてきたぞ」
「命令したやつがいるだろ?」
「・・・・なに・・?」
「そーだよ。魂入霊歌のボスが寛だ」
「待て待て待て! お前の言い方だとその歪みから出現した『イレギュラー』は、もしかして俺なのか!?」
「その通りだ」
「ちがうぞ! 歪みがいつできたかなんて知らない! だけどな、俺はちゃんと15年生きてんだ。記憶がある!」
「さて。すまんな。そこは他の奴に教えるところだ」
「なんだと!?」
「同じ説明すんのは面倒くせぇんだよ」
「な・・・!」
「まずお前は道を選ぶ。や、今じゃなくて良い。世界を救って死ぬか、一緒に死ぬかだ」

そして−−−秀吾は片腕をあげた。

「・・・お前・・・何者だ?」
「静間 秀吾。しってんだろ? エージェントの秀吾だよ」
「あ・・・なっ!?」
「また会おう−−−お前に会う気があるならな」





ぽつん、と一人残された濁は、深く深くため息をついた。
自分がこの世界の住人ではない?
馬鹿にするにもほどがある。しかも他の奴、ということは自分以外にも今の事を放す人間がいると言うことだ。
誰だ?
濁は辺りを見回すと、突然走りだした。
覚醒者−−−木賊の所へ。





「そして−−−翡翠」

秀吾はALCの屋上にいた。
しばしの沈黙。それを破るように、人の降り立つ、コンクリート特有の音が聞こえた。
振り返る。

ボサボサ頭の背の高い男がいた。こんな所で、こんな時に学生服を着ているのはどうだろう?
秀吾は苦笑すると、右手を挙げた。

「よぉ、成功したか?」
「もちろんだ。我の前に敵などいない」

さて、この男は何故、自分のことを我というのか。
ただそんなことはどうでもよかった。秀吾は彼が抱えている少女を立たせると、自分より低い位置にある翡翠色の紙をクシャとなでた。

「あんた、妹ににてるな」
「・・・え?」
「あ、いやなんでもない。さて、君は自分の事をどれだけ知ってる?」
「・・・?」

あまりの展開の速さについていけないようで、いつもはすぐ首を突っ込みたがる彼女でさえも、動揺を隠せない。
というか、ついていけという方が無理な話ではある。

「そうだな・・・例えば、君には八歳前からの記憶がない」
「・・・どうしてそれを?」
「気にしないでくれ。その原因となってるのが −−−それだな」

と言って、秀吾は翡翠の髪と、そして瞳を指した。

「さて、翡翠。君は今から、一つの不思議で−−−残酷な体験をすることになる」
「・・・」
「それを通して、選んでくれ。『行くか』『戻るか』を。今は意味は分からなくて良い」

秀吾が男に合図すると、男−−−章裕は、踵をかえして。
屋上から飛び降りた。
翡翠の目が大きく開いたが、秀吾は肩をすくめて。

「未だ子供の殻を破れない貴女へ−−−」
「え?」
「許されるなら、僕がいつまでもそばにいてあげる−−−『EXCOMMUNICATE』の歌だ」

「あぁ、『大人になる時』ですね?」
「しってるか」

秀吾は薄く笑い、そして右手を挙げた。

「歌詞の通りだ−−−俺は、イレギュラー達のそばにいる。イレギュラーが『殻』を破るまでな」

フッ−−−と音がしたような感じの時には。
彼女の前に、秀吾はいなかった。





グ、

木箱が盛り上がった。

「ん?」

泰志は音を鳴らすのをやめると、トラックから降りて身構える。

(・・・気づいたか)

あまり長い間は無理だろうと思っていたが。まだ二人が乗り込んでから三十分も経っていない。
何度か木箱が盛り上がり−−−まぁ、人がきっちり入る程度の大きさだ−−−破裂する。
散らばった木片の中心には、楸がいた。

「ようやくお目覚め?」
「先に気づくべきだった−−−空気属性振動系・タイプ「セイレーン」。知ってたぞ」
「そっちは」

外の気配を感じ取ってか、残りの二つも動き出した。
さて、はっきり言って3人を相手に戦う勇気と実力は、自分は持っていない。

「−−−逃げるが吉、ってか」

泰志はバックステップし、そして反動をつけて体を反転させた。楸に背を向けALCのビル内に飛び込む。





「さらに・・・瞬」

そこに、秀吾が立っていた。

「・・・あん?」

気がつくと。
周りが闇に覆われていた。楸達も見えなくなり、ついさっきまで彼が入っていた箱も、そしてトラックも。
あまつさえ、ALCまでも。

「泰志を追ってるあんただが・・・今は、それよりも。つか最優先で考えなければならないモノってのがある」
「・・・あんた誰だ?」
「自己紹介は飽きた。道しるべとでも思ってくれ」

で、と秀吾は言葉をつないだ。

「倬弥、法子。そして? あぁ、伊御」

ぐ、と瞬が動いた。秀吾は無言でバク宙し、彼の一撃をかわした。
皮肉げな笑みを作り、こちらを睨む瞬に言う。

「あせるな」
「・・・なにしやがった!」
「まだなにもしてない。つーか俺は何もしない」

指をピンと立て、それを瞬に向ける。その先に歪みのようなモノが見えたが・・・瞬は能力だと判断した。他に判断できるモノがなかったので。

「お前次第だ。お前がどう行動するかで。その親友の生死が決まる」
「なにいってんだ・・・テメェ、なにを」
「親友達を守る力の在る者として!」

突然の秀吾の大声。
瞬は体を硬直させた。体を冷たい汗が覆う。

「お前は何を考える!? お前の所為で、闇葛に親友達が狙われることを考えなかったのか!? そりゃ今は下っ端だ。入り立てだ。だけどな、相手側組織に顔が割れて見ろ! 三十分も経たない内にみんないなくなるんだぞ!」

まくし立てる。瞬はただ立ちすくみ、その勢いに押されるがままになっていた。

「今はこの言葉を理解する必要はない。いずれわかる。そのとき考え始めたって遅いんだ」

それだけ言うと、秀吾は背を向けた。

「自分が死ぬか、仲間が死ぬか。どちらが嫌か?」

それだけ言って−−−消えた。





緑色の液体が詰まっている。それは何かというと、イメージ的には何かの話で、ホムンクルスが入っているようなモノだった。
SFではよく見るような筒だ。
その中に木賊はいた。そしてそれを見張るように−−−どこか、着替えの時に男子が覗くのを見張るように−−−一芹菜は立っていた。
ついさきほど皓也が「敵さんのお出ましだって〜」と言い、九牙が外に出ていった。
はぅ、とため息をつく。待機は決して楽しいモノではないが−−−イクリプスやらと戦う気はない。力量差が違いすぎる。
皓也と九牙は大丈夫かというと、それは彼女は考えないようにしていた。彼らは戦うのをどちらかと言えば楽しんでおり、まぁ単純なスピードや力ならイクリプスよりは強いはずである。
自分の能力は、大まかに分類すれば防御型であり、そもそも硬化するということには限界があるため、決して使いやすい能力とは言えない。魂入霊歌にもそういう能力は何人もいるらしいし。
そこで彼女は、巨大な人数を誇る魂入霊歌の団員が、ここ本部にしては少なすぎるのでは、と考えた。
科学者という立場の人間なら先ほど木賊を入れるときや、そのときには護衛の団員もいたし、そもそも前に一度訪れたときはこんなにも静かではなかった。それはさながら軍事宿舎みたいであり、歩けば何十人の男女とすれ違ったりした者である。

それ以上の思考に詰まったとき−−−不意に、人の気配がした。
うつむいていた顔を上げると、木賊の入っている筒の前に、一人の少年が立っていた。

「ちょ、ちょっとあんた−−−」

ここは男子禁制だ。とくに−−−木賊と同じぐらいの少年は。
しかし少年は、ぼんやりとした表情で木賊を見つめてはいたが、その顔は彼女の裸体に見とれている物ではなかったし、逆に哀れみの視線を送っていたとしても不思議の無いほどに−−−無表情だった。

「・・・ごめんなさい」
「え?」

その問いに答え−−−もとい、問い返したのは芹菜であったが、少年は。

「貴女がそうであるように、僕も世界と世界との狭間にいる人間です。しかし、貴女に危害を加えるつもりはなかった」

芹菜を無視し、なおも木賊に向かって独白を続ける。

「僕の−−−僕の中の『もう一人の僕』が! こんな目に・・・」

芹菜が固まったまま見続けていると−−−いつのまにか少年の手に、銀色の鋭利な物体が出現していた。

「え!?」
「この体を! 許されなければそれでも構わない、自己満足と言われようとも! 僕は『アフルエント』を止めなければならない! 貴女に聞いて欲しかった。謝っておきたかった−−−ごめんなさい」

少年はナイフを逆手に持ち、腕を伸ばした。そして−−−自らの喉へ−−−
それが、急に止まった。
後少し止まるのが遅かったならば、それは確実に致命傷を負わせていた。その距離。
少年の顔がみるみる怒りに染まり、そして勢いよくナイフを投げ捨てた。

「くそ! どこまで私を邪魔すれば気が済む!」
「・・・」

芹菜は、その変貌をも見つめるしかなく。
少年は頭を振り、そして木賊を見上げた。
コントロールパネルに近づいていく。

「な、なにするつもり!?」
「うるさい!」

止めようと走り出した芹菜を、少年は平手ではり倒した。

「貴様みたいな人間がいるからあの男はおかしいままだ! いいか、私はアレを救うために、他の人間を『掃除』しなくてはならない!」

芹菜にひとしきり吐き捨ててから、彼は振り向きざまにパネルの、いわゆる『START』のキーを乱暴に叩いた。

「来い! 『有のイレギュラー』! 私の下に現れ、そして全てを破壊し尽くせ!」







DATE

楸 −shu-

18歳

白髪。どちらかというとやつれていているイメージ。(もしかしたら年齢の割にはふけているかもしれない・・・)
黒の服装を好んで着込み、目的達成の為ならいかなる犠牲、手段をも選ばない。それは仲間も対象である。
さういう性格故に冷酷なイメージを周囲に与えること多々(本人の設定文より)。
黒のオーバーコートを着ることが多い。イレギュラーの中での実力は5番ぐらい(低)
格闘術に長けており、またマシンガンも使用。ハンドガンを使用することは希。

能力

闇属性操作エレメント・タイプ「レイス」

暗闇を操ることが可能。具体的には相手の視界を封じたり、夜には暗闇を周囲に増幅させ、完全に姿を消すことが可能。
ただし何もないところから闇を作り出すことはできない。つまり光の中に突如闇を生み出すことはできず、自分の光源に対して反対側から『影』という闇を『掴み』動かし、そして増幅、密度を高める、等の動作ができる。
基本的には補助エレメント。ただし覚醒すると、闇の『移動』の衝撃によるダメージを与えることも可能となる。




あとがき
くはっ、宿題おわらんうえに来週テストではないかっ!
とか嘆いてみる今日この頃。
展開が早いすね。また二人でてきたし。新しいの。
イレギュラー同士の激突? いや、めんどくさい(滅)いや、次回予定してます。
えー、賢明なる読者の皆様は気づいてると思いますがFFイレギュラーと似たような展開になってます。展開の仕方は違いますが。
これは作者が意図的にしてますので、そこの所誤解されぬよう。
んでもってなんだかやっちゃいけないことをやってしまったような感じ。
これは、まぁ作者の遊び心で。アフルエントは、まぁ・・・今までの奴とは一回り違います。ついでに寛ってのは作者です。だって人に送ってもらったキャラをやられ役にするのはヤバイかなとか思うし、だからって創ったキャラはストックないし(滅)
最後は、なんというか『蒼天航路』をイメージしてみました。3%ほども出てないと思いますが。
それでは、長々と失礼〜。



ろう・ふぁみりあの勝手な戯言〜

ふっふ。
FFイレギュラーと似てる? 甘いですな、実は似てなくなりました。だからステキにOKです。
・・・いや、設定変更しただけなんですが・・・つーか、現時点(01/05/17)じゃワカランか(苦笑)。
とりあえず原作者様的にはオッケーなんで、大丈夫です(←自分で様をつけるか)。

まあ、別サイトでの小説の話はさて置き。

いやー、最新話。なんか驚きの連続ですねー。
とりあえず、「イレギュラー」の存在理由だとか、秀吾君の目的だとか色々わかってきましたが。
なによりも黒幕(?)―――作者さま本人っすか。
いやー、「そーだよ。魂入霊歌のボスが寛だ」とか聞いたときには「おおおおっ!?」とか思わず叫んだりッ。

むぅ、そろそろクライマックスですねー!
結末がどうなるのか、楽しみですっ。

しっかし、秀吾君カッコ良さすぎっ!
そいや「MISSION」での彼しか見てないんだなあ・・・とか思ふ。

(01/05/17)


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