「・・・あんたのせい?」
「なんで」
「ゴメンねぇ、あたしのせいじゃないってことは、あんたのせい」
「すげぇ理屈だな」

二人がいるところは、倉庫。
といっても七回だ。そんなに大きいワケでもなく、一部屋。そう、学校の教室ぐらいの広さである。
かなり頑丈なロープで巻かれているらしく、そしてナイフも取り上げられているため、二人にはこのロープをほどくのは無理だった。

「・・・でもなぁ、なぁんかおかしくねーか?」
「なにが」
「あの、誰だっけ? 楸。そうだ、あいつなんでまだこねぇんだ?」
「さぁ・・・そーいえばそーね」
「つーことはだ。間違いなく闇葛の団員がいるな。しかも結構強いヤツだ」
「私たちを捕まえたヤツも?」
「そーだな。しかも、待ち伏せだ」








MISSION FOR IRREGULARS

6「重要? なんで」







闇腐こと河口 だ〜くが魂入霊歌に入ったきっかけといえば・・・
近所のお姉さんこと友紀が入ったから、というのが近い。
友紀は入ってから裕二、秀吾とあったわけだが、かわりに濁は芹菜と出会った。
はっきり言って十六歳と、芹菜の方が年上なのだが、彼の性格が災い(?)してか、主導権はいつも彼が持つ。

彼はイレギュラーである。

こんな、という定義はないが、彼はまさしくイレギュラーである。

そして、芹菜はいわゆるレギュラーである。

二人に確たる違いがあるわけでもない。そして、そのたった一つの違いに、二人は気づいていない。
そう、二人が気づくのはもっと遅い・・・五時間後ぐらいである。





「気が付いたか?」

楸が目を開けると・・・泰志が、そして智也が彼の顔をのぞき込んでいた。
反射的に腕を動かしたが、どうやら縛られているらしい。変にグニグニした動きになっただけだった。

「お、面白いなその動き」

放せ、といって放すヤツはいないだろう。

「いや、そんな顔すんなよぉ。お前強いぜ? 俺一人じゃはっきり言って、負けてたな」

そういいながら−−−楸がどんな顔をしていたのかはわからないが−−−泰志はギターを弾くまねをした。
そのとき、何故か−−−なにも持っていないハズなのに−−−ギターの音が、この部屋に響いた。
一瞬、ぴくりと顔を固める。が、楸はすぐに思い当たった。
何度か泰志はその能力を使い、そして楸を、智也と二人で倒した。
なるほど、この二人の能力、そして相性は抜群だ。

「・・・・」
「ただし、あんたはイレギュラーだ」

泰志の言葉に、楸は今度こそ顔を固めた。
聞き慣れぬ単語。しかも、自分はそれに該当しているらしい。

「本部に来てもらうぜ。上の二人も一緒だ」
「・・・」

このとき、楸、瞬、奇伊奈の仕事は・・・失敗に終わった。





「誰?」
「あれ」
「だ・か・ら!」
「と、待てっ! 出るぞ。話しはそれからだ」

・・・はぐらかされたか? いや、出たらなんとしてでも吐かせる。
会計を済ませる亨と、歩いてくる少年とを交互に見ながら、友紀は深くため息をついた。
ほとんどの場合、事態は友紀の知らないまま進行していく。彼らのリーダーである秀吾がいた「MUEDER」最後の仕事の時も、勝手に秀吾が資料を作成して。そして、消えた。

「・・おい?」
「え!?」
「なにやってんだよ。行くぞ」
「うっ、うん」

眉をひそめながら喫茶店を出る亨を前に、友紀はまた、深く、深くため息をついた。
ところで亨という男は、つきあう、ということがどういうことかわかっているのか?
つきあうということは手をつないで歩いたりするわけだし、遊園地で絶叫マシーンで友紀が抱きつくわけだし、さらにもーちょっと進めばあんなことやこんなこともするわけである。
その常識妄想を亨は、完璧にぶち破った。
上記はもちろん、周りから見れば『仲のいい友達』にしか見えない関係らしい。
確かに。というか、彼の立ち振る舞いを見てそう思わない方がおかしい。
そんなくらいに、亨は友紀に、というか恋愛に関して無関心だった。
学校では読書家として有名らしいが、多分一冊も読んでいないであろう恋愛本にも目を通してほしいものだ。
と、友紀が妙な考えを巡らせていると・・・またもや、亨から声がかかった。

「速く来いよ」
「・・・ぶー」
「な、なんだよ」

彼は表情が少ない。
それでも、今の彼の心情がはっきりわかるくらいに、彼の顔からは冷や汗が流れていた。





「よーし。パトカーが来る前にさっさと帰るぞ」

気絶した木賊を背負って、濁はのたまった。
彼は緊張しない。
なぜかはわからないが、芹菜の見たなかでは一度も。

「ほれ、手ぇ掴め」
「はいはい・・・」
「嫌ならいーぞ」

スラスラと本に文字を書きながら、そして薄笑いを浮かべながら濁は言った。

「ちょ、ちょっと待ってよ」

そんな、芹菜の反応を楽しんでいるかのように。

『俺他二人、闇葛本部まで一瞬で移動』

とは書けない。書いても効果がない。
彼の能力は万能ではなく、例えば人をなにもしないで殺すことはできない。生き返らせることもできない。
同じく、物理法則を無視することもできない。瞬間移動もできない。
彼が先ほど槍を消したのは、それが血だったからである。
彼は『消える』と書いた。血の槍は蒸発して消えたわけである。

濁はこう書いた。

『本部から俊足能力の団員が迎えに来る。二名』

ビリ、と破り捨て、そしてその紙は虚空に粒となり、消えた。
その瞬間。
・・・・・タタタタタタタタタタ
ギャギュ、と音を立て、廃墟と化したコンビニの前に、二人の男女が現れた。

「・・・んー。年下にいいように使われるぅてのはな〜」
「・・・」

一人は、額を出した、つまり短い髪を立てた少年。智也と似ているのだが、濁はしらない。というか智也を知らない。
ただし智也は少し顔つきが幼いが、彼−−−藤城 皓也こうやは大人っぽい、といった具合である。智也の方が年上ではあるのだが。

『金がでる』

濁がバリッと破ると、札束が一つ、出てきた。

「おお〜。これこれ〜さすが闇腐クンはわかってる〜」
「そのしゃべり方やめろ」
「んー。パトカーが来るねぇ。速く乗って乗って」

うまくはぐらかした皓也は木賊を、そしてもう一人のメガネをかけた少女−−−九牙は芹菜を、そして濁は

『俊足オレ』

とは書かない。肉体的限界を超えることもできない。よって。

『肉体的限界を皓也まであげる』

・・・いいのか?

「問題なーし。文句があるヤツはぶっ殺すぞ☆」
「いやぁ、そんなさわやかな笑顔で言われてもねぇ」
「しかも誰に言ってるのかわからないし」

と、皓也と芹菜。九牙はどういうワケか濁の前では一言も喋らない。
しかし、濁は気づいた。彼女が、どこか、明後日の方を向いていることに。
その方向へ目を向けると−−−

「おいそこっ! 待ちなさいっ!」
「だ、誰ですかアレ!?」

男女が−−−性格には真と梓が−−−走ってくる。どうやら・・・木賊を追ってきたようである。

「逃げるぞ」
「戦わんでいーの?」
「お前やれ、俺が彼女担いで逃げる」
「さて、速く逃げましょーかねぃ」

と−−−。

タンッ

その一蹴りで、皓也の体が五メートルほど跳んだ。

「んー。風が気持ちいーねー」
「なんだそりゃ」
「・・・」

いつの間にか追いついて来た濁と九牙が、いや、濁がつっこむ。
かくて、彼らは追ってを振り切って−−−というか絶対に追いつけないが−−−闇葛へとホイホイ戻っていったのだった。





「い、今の・・・」
「能力者、ね」

梓が首を振った。

「やばいわ。木賊がさらわれた」
「なにか・・・あ」

真が思い出したか。ふと口に出す。

「覚醒者?」
「ご名答」

梓は歩きながら説明を始めた。

「木賊は一年前に私が導いたイレギュラーよ。私は正確に言えば、まぁレギュラーってところね」
「レギュラー?」
「こういうのもなんだけど、木賊と、そしてあなたは−−−いえ、今はやめとくわ」
「え?」
「時期が来たら、ね。それまで我慢してて」





「悠助だ」

亨が短く、彼を説明した。

「で、友紀」

亨がやはり短く、彼女を説明した。

「・・・は、初めまして」
「初めまして」

先ほどまでの友紀の言動を見ていた悠助としては今の変わり様は・・・なんというか、これが女というモノか、と驚愕するモノであった。
先ほどまでの益荒男みたいな表情はひとかけらもなく、今は美人に仕上がっている。
亨は友紀を指さして、

「そーゆー女だ」
「・・・なるほど」
「なるほど・・とは?」

ピキ、と音がした。確かに。
すると亨は「そーゆー男だ」と、今度は悠助を指さしていった。

「はい、じゃ行くぞ」
「説明しなさい」

すぐさま出発しようとする亨の方をむんずと掴み、友紀は言った。

「なにをしに行くの?」

すると亨は少し考え、

「Wデートだ」





あとがかざるものいくべからず(どこに?)
そろそろわかると思いますが、題名は会話になってます。誰の?
・・・んー。簡単に言えば創造主とラークですねぃ。なにかってーと、まぁ、内容は最後までよくわからないと思いますが。
で、とりあえずレギュラーとイレギュラーの名簿(謎)


イレギュラー



奇伊奈
翡翠
木賊

濁(闇腐)
九牙
皓也

・・・基本的に(というか全員)、応募してくださった人たちです。誰が誰かは、予想してください(爆)。


レギュラー


裕二
友紀
泰志
智也

悠助
佐熊

秀吾

こんな感じですねぃ。
まぁなんとゆーか。全員で・・・えと・・・十九人!?
やばい、やばいぞこれはっ!
・・・て、最後の方はイレギュラーばかりになりそうだったり(爆)
それではこの辺りで〜。


 

ろう・ふぁみりあの勝手な同情・・・


同情です(ヲイ)。
ふっ、ついに19人ですか。しかもまだまだ増えるご様子。
だんだんとキツくなってくるんだコレが。まるで真綿で自分の首を締めるかのように(苦笑)。

でも、それらのキャラを上手くジグソーパズルのようにシナリオに当てはめていくのが楽しかったり。とこの頃気づいた使い魔ですー。

まあ、さておき。今回のかんそー。

ちぃ、予想を外したか。てかタイトル。
ああ・・・そうか、会話になってたんだ(気づけよ)。カギカッコ付いてたしねぇ。

というわけで気がつかなかったオイラの負けです。
くそう、いつか「貴様にこの意味がわかるか! わかるか! わかるか―!?」・・・とか仕返ししてやるー。嘘ですごめんなさい、そんな気は自称博愛主義者のオイラには(自称かよ)。

・・・感想になってませんね。スイマセンとぺこりんぐ。

えーと、闇腐さん。
万能じゃなくても万能に近いよーな(苦笑)。
あとは最後のWデート。まるでデートを二回してしまうようなマテリアですね(この頃FF7やってる使い魔)

・・・これじゃ、感想じゃなくて言いがかりだし(爆)。

さて次回はWデートっすね。・・・デート?
ふふふ、なんかにやりんぐな予感。というか、秀吾さんはいつ出るのか―!(そこに期待している自分)。
でわでわ、次回も待ったりと待ってますんでよろしくー。


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7「イレギュラーとはすなわち、在らざる者」