昔よく母親に語って貰った物語がある。
ある時森の奥深くで旅人は迷ってしまったそうだ。彼は衰弱しきっていて、もう歩くことさえまま�ならなかった。彼は�大きな木を見つけるとそこの根本に座り込んだ。
死ぬときはせめて安らかに死にたいものだと、そんな気持ちでその木の下に導かれるように�来たそうだ。
座り込んだ途端急に力が抜け、意識がかすれていくのがはっきりわかった。
ああ、これが死というものなのだな、と彼は感じたらしい。実際三途の川が見えたとか見えな�いとか・・・・。
かすんでいく目を閉じようとしたとき、彼の目の前にふと小さな妖精の姿が見えたそうだ。後�に彼はどうしてその時�妖精の姿が見えたのかわからないと言っていたが、その妖精は彼に声�をかけるとその手を彼の頬に当てた。する�と途端に意識が戻ってきて、しかも体の奥底から�力がみなぎってくるように感じたそうだ。
だがその時にはもう妖精の姿はなかった。
そして彼はその後無事に森を抜け、さらに戦争で数々の名声を上げ、最終的には一国の王�となった、という話だ。
これが私たちの国の建国までの物語なのよ、と母親は言っていた。
あれから俺は大人になり、各地を宝を探しながら旅している。
この大陸シルヴァンスでは傭兵になり名声を得ていくことが最高の名誉とされている。
実際戦争が絶えず各国は傭兵にその戦力を頼っているようだ。そしてその中で抜きんでた者�が英雄として人々に�崇められる。
今までそうやって数々の王国が成立してきた。今現在でもそれは変わらないようだ。
今のところ大きく分けて三つの王国がこの大陸を支配しているがその他にも小さな王国や属�国が乱立している。そ�んなものまで数えだしたらその数は星の数ほどだ。八等星まで入れなく�ては数え切れないのではないだろうか?
そしてそんな世の中だから現在でも傭兵になることに異様な執念を燃やす者が数多くいる。�だが俺はそんな奴らを�見ているとバカらしくて仕方がない。
何故かというとそんなやつらの大半は周りの人間に洗脳されてきた者が多い。まあ例外もい�るが・・・・・。
ともかく俺はそんな人生を送りたくはない。自分のやりたいようにやる。そうすることによって�いろいろなことが見え�てくると信じている。
もともと歴史の好きだった俺は各地の遺跡を調べながら宝をあさっている。
これがまたおもしろくてたまらない。人の歴史をいろいろと推測するのは楽しいし、お宝が出�てきたときはもう大は�しゃぎだ。この前は町のど真ん中でワルツを踊っていたくらいだ。もちろ�ん相手は見知らぬそこら辺の女性。あの�時は戸惑ってたな・・・・・・。周りの軽蔑の目など気�にしている場合じゃなかった。
まあそんな俺が今度目を付けたのがこの物語。人々はそんなもの伝説に決まっていると言い�張っているが俺はそ�うは思わない。
だってそうじゃなきゃ夢がないじゃないか!
そんな単純な発想で俺は今回の旅に出ることにした。それが思いもよらぬことになろうと�は・・・・・・。
まあそれが良かったのかもしれないが・・・・・・・。
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第一回・俺は只のしがないハンター