病院を出て、雪絵の家まで送り届ける―――その頃にはすでに辺りは薄暗くなっていた。

「じゃあ、また明日学校でね」

 雪絵の家の前で、あかねは片手を上げて言うと、雪絵は心配そうにあかねを見て、

「・・・一人で大丈夫? もう暗いし、ウチに泊って行けば―――」
「大丈夫だよ。それに、邪魔しちゃ悪いから」
「邪魔って・・・?」
「今日くらいは、雪子さんに甘えたって言いと思うよ」

 雪絵は驚いたようにあかねを見たが、すぐに照れくさそうに素直に頷いた。

「じゃあね」
「あかね!」

 雪絵は帰ろうとするあかねを、最後にもう一度だけ呼びとめると、真面目な表情で―――近くの街灯に照らされたその表情は、はっきりと解かるほど赤らんでいた―――あかねを見て、

「わ、私、あかねのこと大好きだからね!」
「ん。私も雪絵ちゃんのこと大好きだよ」
「だ、だから・・・もう・・・死のうなんて考えないでね・・・お姉ちゃん」

 それだけを言うと、雪絵はあかねの反応を待たずに家の中に駆けこんだ。
 それを見送って苦笑。

(お姉ちゃん・・・か―――絶対に私のことをお姉ちゃんなんて呼ばないんじゃなかったっけ)

 思いながらも、お姉ちゃん、というフレーズに心が浮き立つのを抑えられない自分がいたり。

 

 


あるひあるときあるばしょで

シャレにならない彼女の事情

第十話「エピローグ。ひとまずの終わり―――或いは小松あかねのシャレにならない家庭の事情」


 

 

(・・・服、着替えないとまずいかなあ・・・)

 そんなことを思ったのは、いつもの公園に差し掛かったとき。
 あと少しでアパートだ。だが、抱えているバッグと来ている私服はどう説明しようかと悩む―――正確な時間はわからないが、もう大分夜も遅い。きっと明子も帰っているだろう。

(公園のトイレの中で着替えちゃおう・・・)

 トイレの中で制服に着替えて、バッグは適当に隠してあとで持って帰ればいい。
 そんなことを考えながら、あかねは夜の公園に足を踏み入れる―――と。

 がさっ。

(え―――っ!?)

 公園の茂みから音がしたと思った瞬間、誰かがあかねの身体に抱きついて来た。

「な、なに―――」
「はぁはぁ、き、きす・・・」

 抱きついて来たのは男らしかったが、暗くて顔がよく見えない。
 と、男の手があかねの手首を直に掴む。直接、他人の体温を感じて、激しい嫌悪感が全身を駆け巡る。
 そんなあかねに、男は口元をあかねの頬に寄せてきた。荒く生暖かい息があかねの顔にかかり、さらに嫌悪感が激しくなる。

「や・・・やだっ」
「はぁはぁ。き、きすだ。キスさせろ・・・」
「やだっ。やめてっ! 離して! いやあっ、幸治くん―――」
「そうか嫌か」

 不意に男があかねから離れる。

「え―――?」
「せっかく約束通りにしてやろうと思ったのに、嫌なら仕方ないな。うむ」
「こーじ・・・くん?」

 暗闇の中、じっと目を凝らして男の方を見る。
 やはり暗闇の中、男の顔を見る事はできなかったが、しかしあかねの言葉に「うむ」と大仰に頷くのはわかった。

「こーじ君だが。それがどうかしたか?」
「な―――なにするの! いきなり。酷いよッ」
「む? あかねが結局帰ってきたから、約束通りに残念賞のキスをしてやろうと思ったんだが・・・何故か拒まれたな」
「当たり前でしょッ! それに、雪絵ちゃんにバラしたの幸治君でしょ―――今のと合わせてダブルで酷いよッ!」

 あかねは激昂。
 なにをそんなに怒っているのか、と心底解らんと言う風に、幸治は首を傾げた。
 そして、ふむ、と頷いて、

「まあ、とりあえずお互いの顔が見える場所に行こうじゃないか」

 

 

 

 で、いつものベンチ。腰掛けることもなく、立ったままあかねは幸治を睨みつける。
 ベンチの脇の電灯に照らされて、幸治の顔がはっきりと見える―――自分の顔も同様だろう。その無表情に、何故か安堵感のようなものを感じたが、それを怒りで誤魔化した。

 ―――そう、自分は怒っているのだと自分自身に言い聞かせて。

「もう一つ思い出したけど、雪絵ちゃんに嘘教えたでしょ! 私が死ぬって―――ダブルじゃなくてトリプル酷いよッ!」
「うむ。トリプルまで行くと、とてつもなく酷く感じるな。で、なにが酷いんだ?」
「私に忘れたフリは通用しないからね」
「綾よりも厄介な奴だなぁ・・・」

 吐息。

「だがな、別に俺はお前に口止めされてたわけじゃないよな?」
「う」

 幸治の言葉を、あかねは認めて、気まずそうに顔を強張らせる。
 そう言えば特に言うなと口にした記憶はない。

「だ、だけど、雪絵ちゃんに嘘を教えたのは―――」
「二度と会えなくなるなら、死んだのと同じことだろ―――お前がこの街を出るというのは、雪絵や他の、この街に残る人間にとって、お前は死んだということだ」

 幸治の言葉に、あかねは何も言い返せなかった。
 自覚がある。
 つまり、この街を独りで出ていくことが、自分にとっての唯一の死に方だったと。

「うう・・・で、でも・・・酷いよ!」
「トリプルからシングルに少なくなったな」
「は、はうううう・・・だ、だけどいきなり暗がりから抱きついてきて、私、怖かったんだよ―――それだけでもトリプル以上の酷さだよ!」

 ちょっとだけ涙目。
 そんなあかねを見やって、幸治は、ふむ、と首肯。

「それに関しては素直に謝ろう―――だけどな」
「な、なに。怖い顔して」
「俺に後のフォローを全部押し付けて逃げるのも十分に酷いと思うんだが」
「ギク」
「ギクじゃなくて」

 冷静に突っ込む幸治に、あかねは「あは」と愛想笑い。

「き、気付いた?」
「気付いた、でもなくて」
「そ、そういうことも含めて解ってくれると思ったんだよ」
「そういうことも含めて解ったから、俺は雪絵に伝えたんだよな」

 あかねはしばらく愛想笑いのまま固まっていたが―――
 やがて、すぐにしゅん、とうなだれて。

「ごめんなさい」
「よし」

 ぽん、と幸治はあかねの頭に手を置くと、軽く撫でる。

「なんか、ヘンな感じ」

 苦笑のような、照れくさそうな微笑を浮べて、あかねは幸治の手の感触と、髪を伝わってくる体温を受け入れる。
 いつからだろうか―――と、あかねは思い返す。他人の体温を苦手な自分が、幸治の体温を受け入れることができるようになったのは。

(上手く、思い出せないなあ)

 何時の間にか―――だったような気もするし、なにかきっかけがあったような気もする。そんなはずはないけど、一番最初から受け入れられていたような・・・そんな気さえする。
 幸治の手が離れる―――そのことを名残惜しく感じていると、目の前に封書が差し出された。

「これ・・・」
「破り捨てようかと思ってたけど、一応返しておく」

 差し出された封書には見覚えがあった。
 今朝、幸治に雪絵に借りた服や小説のノートと一緒に渡した封書。
 中には、昨晩、あかねが書いた母親への手紙が入っている。

 あかねは封書を見て、それから上目遣いに幸治を見る。

「中、見た?」
「いいや、でもなんとなく見当はつくけど」

 そう言って、幸治はあかねに封書を押し付けた。
 強引にあかねはそれを受け取らされる。

「もしかしたら、また渡す時が来るかもしれないし、とっておけ」
「え・・・でも。私はもう―――」
「死ぬことはなくても、街を出るかもしれないだろ。子供って言うのは、その内、親の元を巣立っていくもんだ。その時の別れの言葉の参考にしても良いし、そのまま渡したって良いんじゃないか」
「・・・・・・うん」

 ぎゅ、とあかねは封書を胸に抱きしめた。
 この中には、自分が昨晩書いた、母親への手紙が入っている。
 それは主に今までのこと。明子の娘として産まれて、父親が居なくて色々辛いこともあったけど、明子が居てくれたから不幸ではなく、むしろ幸せであったこと。
 なんだか馬鹿見たいに「ありがとう」という言葉を繰り返して書いた気がする。そして、最後には一つだけ「ごめんなさい」。

 封書を胸に抱くあかねを、幸治は暫くそっとして―――
 やがて、彼女の肩を軽く叩いた。

「じゃ、帰ろう」
「うん」

 と、幸治の言葉にあかねは頷いた。
 思わず幸治の方が驚いてあかねを見る。

「なんか・・・ヤケに素直だな。雪絵となにかあったのか?」
「別に。ただ、まあ、ほら」

 ちょっとだけ顔を赤らめて、あかねは照れくさそうに言う。

「お姉ちゃんなんだから、もうちょっとはしっかりしないとね」

 

 

 ―――ちなみに。
 あかねが着替えることをすっかり忘れていたのに気付いたのは、アパートに辿りついた時だった。

 

 

 

 

 

「遅いわねえ・・・」

 アパートの、あかねと明子が借りて住んでいる部屋。
 そのダイニングで、明子は落ち着きなくうろうろと狭い場所を歩き回っていた。

「そう、焦るなよ。さっき馬鹿息子が迎えに行った―――もうすぐ帰ってくるって」

 何故か幸治の父、虎雄がテーブルについて酒を飲んでいる。

「それよりもなにかツマミはねーか?」
「もう! こんな時にお酒なんか飲んで―――」
「馬鹿だな。こんなときだからこそ、酒を飲むんじゃねーか」

 八つ辺り気味に怒る明子に、しかし虎雄はやんわりと受け流し、グラスに注がれた酒を一気に飲み干すと、足元の一升瓶をグラスに傾けてもう一杯注ぐ。

「ほらよ」

 虎雄は注いだばかりの酒を、明子に向かって差し出す。

「一応、めでたい話ではあるんだ。焦れてないで、酒でも飲んでパーっと景気づけしてようぜ」
「・・・・もうっ」

 明子は怒ったまた虎雄を見ていたが、不意に相好を崩すと笑って。

「・・・そうね。あなたの言うとおりかもね」

 言うなりグラスを受け取ると、一気に飲み干した。

「ふう・・・」
「良い飲みっぷりだ! 流石、俺の惚れた女!」
「それって、幸治君のお母さん―――春夏さんにも言ったの?」
「勿論だ」

 あっさりと頷いて、苦笑。

「もっとも、アイツは下戸でな。俺が褒めた途端、ばったり倒れちまった―――その点、お前は安心だな」

 にやり、と虎雄は笑う。

「俺とマトモに呑み合えるヤツなんて、男でもザラだってのに」
「まさか、酒が呑めるというだけで、私のことを好きにったんじゃないでしょうね」
「馬鹿抜かせ。―――いや、お前の呑みっぷりが気に入ったのは確かだが、それだけで所帯を持とうなんて思うかよ」

 そんなことしたら、アイツにあの世で怒鳴られる。
 言いながら空のグラスに酒を注ぐ虎雄に、明子はくすりと笑って。

「そうね―――でも、あの子たちは受け入れてくれるかしら。いきなり片親と兄妹ができることを」
「大丈夫だろ―――嫌だっつうなら、外に叩き出すだけだ」
「そんな乱暴な・・・」
「いーんだよ。ガキなんてのは突き放したら突き放したで、必死に食らいついて来るか、したたかに生きていくモンだ―――少なくとも俺はそうだったぜ?」

 それはあなただから―――と言いかけて、口を閉じる。
 部屋の外に足音。
 どうやら、帰って来たらしい。自慢の娘と―――新しくできる息子が。
 さあ、果たしてどうだろうか。
 娘たちにして見れば突然の話を聞いて、さあ、どんな顔をするだろうか。
 驚くに違いない。そして、受け入れるだろうか。それとも拒絶するのだろうか。
 不安を胸に抱き、しかし楽しみに思いながら、明子は部屋の入り口の戸が開くのをじっと待つ。

 がちゃ、

 と、当然、鍵のかかっていない扉は簡単に開いて――――――

「―――ただいま」
「おかえり、あかね」

 ―――明子はこれまでそうしてきたように、娘の帰りを迎え入れた―――――

 

シャレにならない彼女の事情 第一部・完


第二部予告編

 

「―――俺には、母親も妹も・・・いないっ」

 

 あかねの話を聞いて、綾はふうん、と気のない返事をする。

「幸治が家出? 迷子じゃなくて?」
「そうですよっ。もうずっと心配で―――」
「心配するだけ無駄なんじゃない?」
「なんでですかっ」
「だって・・・ほら」

 綾が指差した方向を反射的に振りかえる。
 と、件の西山幸治が、ぼーっとしたいつもの顔で教室に入って来る所だった。

「お兄ちゃん!?」
「・・・む。誰だ、お前」
「朝っぱらからアンタはぁっ!」

 幸治の寝惚けた顔面に、綾の膝蹴りが直撃した―――――

 

 

「全てを知る者は、全てを知ることしかできない無力者だ」

 

「じゃあ、なにを教えてくれるのかな?」

 リョーコは彼女と言ったが、顔付きや身体付きは男に見える。
 もっとも、今あかね達が居るこの場所は、コンピューターの中の世界らしいから形が男でも女でも、関係ないのかも知れないが。

 とりあえず、彼女、とあかねは定義付けた。
 彼女―――全てを知る者とやらは、無邪気な微笑を浮べている。
 リョーコは一つ頷いてから、視線で綾を指し示す、

「九条 綾―――こいつの力を」
「残念だけど。彼女の概念式は知っているよ」
「天空八命星だというのなら、それは間違いだ」

 全てを知る者の表情がピクリと動いた。
 コンピュータの中だと言うのに、とても感情が豊かに表現されるものだなあ、とあかねは思いつつ、隣の綾に目を向ける。綾は自分を指名されて、少なからず驚いている様だった。

「概念式ってなんですか?」
「え・・・? なんだろう。天空八命星と関係があるのかしら」

 天空八命星。
 綾は、通信教育で習った伝説の暗殺拳だとか言っていたが。
 ・・・伝説の暗殺拳って、通信教育で習えるものなんだろうかと、至極疑問。

「わかった。それで、どうする?」
「ライフスティールと殺し合いをさせればいい」

 

 

「天空八命星じゃ・・・・・ないっ!?」

 

 刹那の抜き手が綾の耳元を掠める。
 一瞬、なにかが抜き取られるような感触に、ぞわっと総毛が逆立った。嫌悪にもにたその感触を振りきって、綾は後ろに飛んで間合いを取り、刹那の右手を見る、が変化はない。どうやら “命” は取られなかったようだが。
 刹那は不敵に笑う。その笑みが宙に飛んだ。

「―――ッ」

 声にならない悲鳴を上げて、綾は瞬発力を総動員し、後ろ足を蹴って目の前に飛ぶ。
 真上からの刹那の一撃―――前を向いているせいで、拳か蹴りかは解らない―――をくぐり抜ける。空間を薙いだ一撃に風が生み出され、駆け出したために生まれた向かい風とは、また別の微風が綾の髪を揺らした。

「逃げてるだけじゃ話にならんぜ」
「うる、さいッ!」

 がっ。
 前に出た足で、身体の慣性を完全に殺す。後ろの足を軸に一転し、背後の刹那へと身体を向ける。同時に。

「天空八命星―――」

 瞬間、綾の存在が現時間から掻き消える。
 実際には在るのに無い―――そんな有り得ない現象を前に、刹那は戸惑うことなく右手を―――命を盗み出す、必殺の右手を握り、軽く開いた。

「―――虚空掌!」

 突然、目の前に “気付く” 綾の存在。
 その掌打をなんなく左手でいなし、右手を掌を綾に見せるように完全に開く。

「その一撃が―――」
「なっ!?」
「 “命取り” だぜッ!」

 刹那の掌が綾の腹部に触れて、その命を盗み出した―――

 

 

 

「お兄ちゃんが忘れても、私が覚えてるから!」

 

 明子は墓の前で手を合わせ、一心に祈っていた。
 なにを祈っているのかは解らない。けれど、幸治に関することなんだろうな、とあかねは想う。
 それは幸治も解っているのだろう。だからこそ境内の影に二人して隠れ、明子の祈りをじっと見守っている。

 そっと、首を動かして、幸治の顔を見上げる。
 義理の兄は、真剣な眼差しで明子の様子を伺っていた。果たして、その瞳の奥にはどんな思いがあるのだろう。
 自分の本当の母親と、弟の墓。その前で祈り続ける義理の母。それを義理の妹と一緒に、物陰からこっそりと見つめている。
 あかねは再び明子に視線を戻す。

(考えて見れば、奇妙な話だよね)

 自分が順応しすぎているのかもしれない。
 いや、幸治と義理でも家族になれるからこそ、これほどすんなりと受け入れているのかも知れない。
 もしも、母の相手が別の人間で、全く見知らぬ他人と家族になるとしたら、幸治と同じように家出の一つくらいするかもしれない。
 うん、と一つ頷いて、あかねはこっそりと呟いた。
 幸治に向けて、だけど聞こえるか聞こえないか―――それくらい小さな囁きを舌に乗せる。

「私は、幸治君だから家族になれて、お兄ちゃんができて嬉しいんだよ」

 しばらく幸治は答えなかった。
 しかし、聞こえたのだろう。かすかに、吐息の音が聞こえてあかねの髪の毛の先をわずかに揺らす。

「俺は、そんなお前や明子だから、家族になりたくない――――」

 

 

 本当の家族と義理の家族。
 二つの家族の間で揺れ動く、西山幸治の心の中。
 そして、 “概念式” と呼ばれる力の意味。
 綾に秘められた秘密の一端が、今、ここに明かされるッ。

 シャレにならない彼女の事情・第二部!
 まだなんにも書いてないけど、とりあえず待てッ!(おい)

 


あとがき(むしろ中書き?)

 

 ろう・ふぁみりあです。
 「シャレにならない彼女の事情」第一部終了しましたーわーいぱちぱち〜。

 えー、第一部です。第一部完。
 もちろん第二部あります。ついでに第三部もある予定。多分、全三部。

 この話は使い魔にしては珍しく、一通り書き上げてからHP上に載せました(第一部だけですが)。
 そのため、いつになく完成度が微妙に高かったりします。・・・高くなる予定だったんですが。
 なんつーか、やたらと誤字脱字を含む間違いが多かったり。それも、いつも以上に。
 致命的なのがタイトル。第二話から第五話まで、タイトルに曜日が含まれていますが、それらが全部大間違い(ぐはあ)。

 んー、ボケボケだなあ自分。いつものことですが。

 

 当初の予定もブッちぎりで無意味になりました。いつもどおり(自爆)。
 本当は前作(あるひあるときいんびじぶる)と同じくらいの分量になる予定が、笑っちゃうくらいに予定を遥かに超えてたり、出るハズのないキャラクター(全てを知る者とか九条母とか)が出ていたり。
 あと、結末もかなり違います。「いんびじぶる」と同じように、最終的にはあかねが「思い出の場所」から投身自殺しようとするところを、雪絵が止めて云々とゆー結末だったんですが、流石に二番煎じだなあと。

 そんな風に予定外ばっかですが、中でも一番の予定外が雪子ママ。
 最初は、もう本当にダメな母親で、夫となりゆきで結婚してなりゆきで雪絵を産んで、だから家庭を全く愛してなくて、毎日外に遊び歩いて不倫したりして、夫が交通事故にあったら、不倫相手と蒸発して消える予定だったんですが。
 ・・・なんか。すんげえ人になっちゃったなあ(爆笑)。
 この人、この話の中で一番書いてて楽しかったり。

 

 虎雄(幸治父)と明子(あかね母)の結婚は、最初から決まっていた数少ない予定通りの結末。
 ちなみに、この二人の出会いは・・・あまりよく考えてないんですが、仕事の関係で。
 虎雄がトラック便の運ちゃんで、あかねが勤めている会社に荷物を届けていて、ある時同じアパートの住人だと発覚して、親しくなって云々。
 二人とも酒好きでしかも底無しだから、妙に酒の席で意気投合しちゃったとかなんとか。

 

 

 さて。
 予告編にも書きましたが、第二部は家出少年Kを追いかける話です。
 今回、世界観がワリと普通(全てをなんちゃらとか、天空八命星とか、精霊さんとか出てきましたがさておいといて)でしたが、次回はちょっち不思議っぽい力、 “概念式” とゆーのが出てきます。
 第一部と同じノリで読んでると、痛い目に会いますので注意(なんだか)。

 それでは、また。
 第二部のあとがきでお会いできたらいいですね(とか希望)(おいっ)。

04/01/26


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