差出人: Naoki Kamiya
送信日時: 1999年9月19日日曜日 22:25
件名: 北海道日記

今日はバイクを洗車した。
とっても奇麗になった。所々の傷が光ってた。
まぁ勲章かな。

長くなるけどちょっと暇な時読んでみて。

9月11日(土)
その前の週で印刷立ち合いだの、クレームだので、3泊くらいしてとっても辛かっ
た。金曜の夜中に芹澤が来る。この日は昼くらいに家を出て、所沢インターへ。一
路新潟を目指し、北上。越後川口でバイクを倒す。新潟のすし屋でいい夫婦と出会
う。スペシャル寿司をご馳走になり、いろんな話をしてくれた。息子がちょうど、
俺らくらいの歳だそうで、他人事とは思えないらしい。いい出会いをした。
フェリーが23:50新潟港を出発苫小牧へ。やたらと寝る。

9月12日(日)
夕方までやる事もなく、寝る。夕方苫小牧へ降り立つ。地図と全然違う所に降りた
ため、いきなり道に迷う。まだ、夜の7時だってのに、開いている店がない。と言
うか、店がない。一面に広がる原野。街灯もない。寂しい。とりあえず、高速の案
内を見つけ、そのまま高速に乗り、一路札幌へ高速で移動。輪厚(ワッツ)サービ
スエリアで一休み。
そこで、地元ハーレーのお兄さんに会う。札幌のいい宿がないか、聞いたところ、
健康ランドまで案内してくれるとの事。ありがたい。
そのお兄さんの案内で、「清田健康ランド」へ結構いい宿だった。お兄さんは怪し
いサングラスをかけた、とっても渋い人だった。カッコ良く去って行った。ありが
とう。
バスの運転手にめし屋を聞いて、いきなり「うに丼」「いくら丼」を頼んでしまう
2人でした。うまかった・・・。その後、夜の札幌をバイクで流す。大都会札幌。
眠らない町。ここだけが北海道の中でも別格の扱いを受けている感じがした。
帰って風呂に入るも、ここで大事件発生。風呂の薬湯風呂で大事な所がヒリヒリし
だした。注意書きを見ると、「大事な所がひりひりすることがあります。その場合
、金冷シャワーでお冷やし下さい。」とある。金冷シャワー?あった。ご丁寧に金
隠しまであった。しかし、冷やしても冷やしてもひりひりする。2人でおおわらわ
だった。大笑いしながらも慌ててた。楽しい夜だった。

9月13日(月)
8:00に出発。札幌の朝のラッシュを抜けると、石狩はとっても走りやすい道。
その先はもう日本とは思えないほどのまっすぐな道と、何もない原野が左右に広が
る。
留萌に着くと、観光案内でラーメン屋を紹介してもらう。そこのラーメンがまたお
ったまげた。芹澤が頼んだ「かにラーメン」は丸ごと毛がにがラーメンの上に乗っ
ていた。俺が頼んだ「黄金ラーメン」もかにと、ほたてとあさりと貝といろんなも
のが入っていた。とにかくすごくうまかった。かにと恐ろしく長時間格闘を強いら
れたが。
店を出ると、232号線をひたすら北上。サロベツ原野を見ながら、稚内へ。本当
にまっすぐな道が続く。最初の30分くらいは感動したが、めちゃめちゃ強い横風
と、潮風にやられて、結構うんざりしてきた。それでも道はまだまだまっすぐ続い
ている・・・。メットも服も潮風でべたべた。時折、波までかぶる風の強さだった

ノシャップ岬をまわり、ライダーハウス「みどり湯」へ。銭湯と併設と書いてあっ
たのに、あいにくこの日はお休み。旭湯という離れたところにある銭湯へ向かう。
すんごうレトロな町並みをぬけ、ついた銭湯もこれまた見た事もない、ボロさ。そ
して、湯船は熱すぎでとても入れそうもない。思いっきり水をたしてやった。ただ
くりぬいただけの湯船みたいな本当にここは日本か?と疑った。
線路が一応あったけど、2人で踏み切りを渡る時、最北端に来る電車の車両数を当
てることにした。俺「10両くらいかな」芹澤「ばか、2両くらいだぜきっと」は
たして電車が来た・・・1両。「ワンマン電車だよ・・・」2人とも絶句してしま
った。しかも単線。駅には誰もいない・・・ここは最北端。
ライダーハウスのおばさんはとってもいい人だった。ここでは何人かのライダーさ
んにも会った。

9月14日(火)
朝いきなりセリに蹴りで起された。「いつまで寝てるんだ」もう他のライダーはと
っくに出たところだった。急いで用意をして10:00に出発。約30分で宗谷岬
に到着。最北端。風邪が冷たくて、ものすごい青空と、ぎらぎらの太陽、はるかな
る海・・・。来たぜ最北端。展望台に登ると、地球が丸いってことが感じる事がで
きた。体いっぱいに空気を吸って、その場に寝転んだ。最高だった。お土産屋には
最北端グッズの山。最北端到達記念を発行してもらって、宗谷岬を後にする。
サロマ湖へ向けて一気に南下。また一直線の道が続く。途中、トラックをぬく時に
、対向車線にもトラックがいて、俺がセリについて行こうとして、無理に抜いたた
め、ちょっと危ない場面があった。その後、ガソリンスタンドに止まっていたら、
その時のトラックが追っかけてきて、怒鳴り込んできた。「今、抜いてったのはて
めぇか!」方言で半分くらいしかわからなかったけど、かなりお怒りで、殴られる
かと思った。なんとか謝って許してもらったけど、恐かった。トラックも大変だ。
でも、昔よりも怒られ慣れているのか、落ち着いて相手の言い分が聞けた。こんな
事で成長しているのだろうか・・・。
道の駅でえび天丼を食う。道の駅だってのになんだこのうまさは!セリもマグロ丼
みたいなのを食っていたが、かなりうまかった。さすが北海道。オホーツク海を見
ながらの昼食良かった。
サロマ湖へ到着。もう夕暮れで、少し暗かった。サロマ湖の道の駅の近くのホテル
で道を聞く。展望台があるとのこと。「バイクでも登れますよ」と言われたので、
行ってみたら、最悪だった。3キロくらいの上りすべてジャリのダート。道幅は狭
く、何回も転びそうになった。やっとの思いで頂上に辿り着くと、そこはさすがの
眺め。ただ、雲が多くて、夕日が少ししか見れなかったのが残念。後でそこで撮っ
た写真を見てもちょっと暗すぎて、うまく写ってなかった。でも、スケールがでか
かった。誰もいないかと思って、ガッツポーズのまま叫んでしまったが、一人男の
人が写真をとっていた。ちょっと恥ずかしかった。
下りも相当の時間がかかってしまい、道の駅に戻った時には真っ暗。めしを食おう
と道の駅に来たのに、道の駅はすでに閉まっていた。どうしようもなくなって、先
ほどのホテルに駆け込み。何とか泊めてもらう事に。最高だった。めしもうまいし
、風呂は奇麗だし、洗濯もしほうだい、テレビまで完備。まさに天国のような寝床
だった。
夜、調子が悪いというセリを寝かし、ちょっと散歩に出た。サロマ湖の湖面は静か
で、まわりは何もない。森の中にぽつんとホテル。芝生をぶらぶら歩く。こんな世
界がまだ日本にはある。空には星が見た事もないような明るさで光っていた・・・


9月15日(水)
いよいよ旅も折り返し地点。今日行けるところが鍵になるぜ。とのことで先を急ぐ

でもせっかくだから、ちょっと寄り道。網走監獄博物館へ寄る。ここで高木のお土
産があるのでお楽しみに。

知床岬を目指し、爆走。峠を登るがシャレにならんほどの寒さ。頂上に着く頃には
2人とも凍っていた。
知床岬頂上では、羅臼岳がそびえたち、はるかかなたには北方領土の島が見えた。
本当に遠くまで来たもんだ。北方領土をこの目で見るなんて、考えてもいなかった
。露店のトウモロコシで軽い昼食を済ますと、一路根室へ。今日は忙しい。
遠かった。根室に着いた頃にはもう夕方。市街から、ノサップ岬(最東端)までが
また遠かった。しかし、その道のり、看板だらけ、「返せ北方領土」「島は奪われ
た」セリとも話したが、他の地域に比べてなんか暗いイメージを持った。宗教の匂
いもする、北方領土一色の町だった。
最東端のオブジェをバックに写真を撮り、海の向こうの国後島を望む。漁業の町だ
から、島のある、なしはでかいんだろうな。そこを後にする時には既に真っ暗。お
土産屋も早々に店じまいしてしまっていた。
もう一度市街へ戻る。ライダーハウス「インディアン・サマー・カンパニー」にお
世話になることに。かにを買えば、ただで泊まらせてくれる。夜は一緒に泊まった
ライダーたちと飲み会。いろんな話が聞けた。後々お世話になる、仙台のいいお兄
さんもここで知り合った。後の道のりでも何回か会ったし、帰りのフェリーでも一
緒になった。不思議な縁だった。皆共通しているのは北海道が好きなんだ。一人旅
の人が多かった。一人で来て、こういうところで仲間を探すのもいいかも知れない
な。

9月16日(木)
ライダーハウスの仲間との別れを惜しみながら、霧多布湿原へ向かう。ビワセ展望
台からの眺めは格別だった。
厚岸駅(あっけし)で名物「カキ弁当」を食べる。味が染みていて、とってもジュ
ーシーでおいしかった。これはお勧め。ここでも昨日会った仲間の何人かと会う。
釧路へ向かう途中、パーキングでセリが熟睡した。コンクリートへ寝転んだまま動
かなくなった。引っ張ってくれて、きっと疲れたんだろう。前に行く方が気を使う
しね。しばらくボーっとする。今まで感じた事をノートに記す。これも後々書くね
。まわりをぶらぶらしているうちに草むらに入る。4つ葉のクローバーを見つける
。こんな懐かしい作業は何年ぶりだろう。本当に幼い頃の記憶しかないけど、見つ
けるのに夢中になっていた頃を思い出す。たそがれる・・・。
帯広までの道すがら、豊頃と言うところで「はるにれの木」を見に行く。この木な
んの木〜♪の初代の木らしい。夕日に照らされた3本の木が印象的だった。綺麗だ
った。この旅のベスト3に入るくらいのいい景色だった。広い草原の中に3本の木
。まわりには何もない。原っぱを全力疾走してしまった。童心に帰ってひたすら走
った。疲れて吐きそうになったけど、こんなにすがすがしい事はなかった。原っぱ
にぶっ倒れてしばらく息を整えた。草の匂いが体に染みた。
帯広へ。駅前にある豚丼の店「ぱんちょう」へ。あぶらギタギタの分厚い豚肉がの
ったどんぶりだったけど、口でとけて絶品だった。そこでもバイカーに会った。愛
知の人で、2ヶ月くらいいるらしい。仕事を辞めているらしい。こういう人も多か
った。
ちょっと離れた所でライダーハウスを見つける。「ライダーハウスおとふけ」でも
、ここはちょっとハズレだった。ライダーハウスというか、テントだった。この寒
い中、寝られないよこれは・・・。2人で目を合わせてしまった。やられた・・・
。でも無料それだけが救い。ありったけの服を着込み、ビールで乾杯。早々に寝た
。何とか寝る事ができた。一時は死ぬかもしれないと思った夜をなんとか乗り越え
た。
ここには女の子も泊まっていたのだけど、2人の別々に男とどっかへ消えて行った
。旅をしていると愛に飢えるのだろうか?こんなところでも出会いがあるのだなぁ
。でもここの人達は結構ドライだった。僕らが離れにいたこともあるけど、黙々と
出発して行った。最後に僕らも出発。いよいよこの旅も終わる。

9月17日(金)
爽やかな朝を迎える。空気が鋭い。冷たくて、澄んでいる。空は相変わらず青い。
この旅でラッキーだったのはずっと晴れだった事。
苫小牧ヘ向けてゴー!十勝平野を通り抜け、一気に苫小牧へ。フェリーの乗船手続
きを終えて、ぶらぶらする。北海道ももうお別れかと思うとちょっと寂しくなた。
今度来る時はもっとゆっくりまわるのもいいかもしれないな。

後書き
フェリーの中でライダーハウスで知り合った人と会った。帰りの仙台は大雨でまい
った。インターチェンジまでその人に案内してもらった。雨の中、きっと2人で探
してたら、かなりの時間がかかってしまったに違いない。本当に助かった。有り難
うございました。こんな所でも人との出会いがありがたかった。雨で汚かったバイ
クがちょっと奇麗になったかな。バイクでの旅もなかなかいいもんだった。また行
きたいな。

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