古川利男 青瓷

京焼

亀裂釉薬に線が入るだけの貫入と違い、氏の作品は「結晶貫入」であって他の追随を許しません。通常へそ部分の結晶は、大きいか、均一なのですが、この作品は花の蕾のように、中央に小さな5〜6重の結晶が現れています。

外側は大小結晶。高低差のある菓子鉢の側面は、小さな結晶で光を隠し、中央は拡散させています。貫入の大筋と、白い筋、真ん中の蕾は、まるで薔薇の花びらのようですね。

器全体も花の形をしています。
古川氏は「青瓷」としか木箱に記入しておらず、さしずめ「薔薇氷裂」とでも銘々したくなるほどの「名物」です。