井上萬二 緑結晶碗皿
人間国宝 有田焼 監修品
見込み(ソーサー、カップの内側)の外がコバルトブルー、内側が水色の品のある作りです。井上氏の出身は柿右衛門釜です。独立され確立された、井上氏独自の白磁は、やや青みを帯びて凛としています。

よく見るとカップ下側から、中央上付近に、段があります。同じ厚さで、この段差を形成するのは至難の業であります。一見見逃してしまう、その技と見込みに施された釉薬の青が、控えめに、しかし確かに主張をしております。
このカップの段差も、氏独自の文様のように思えます。

白磁の歴史は
560年、南北朝(中国)
1000年、景徳鎮(中国)
1470年、道馬里(韓国)
1616年、有田(李三平)1640年より輸出
1670年、有田(柿右衛門)
1701年、金沙里(韓国)
1709年、マイセン(ドイツ)
1748年、ロンドン(bone china)
1752年、分院里(韓国)
紀元560年頃に中国で発明された白磁は、更に3百年程遡るとされ、李朝韓国を経て日本から欧州へと、ざっと千五百年もの歳月を要し、伝承と新技術の発見に至ります。

特に、景徳鎮・李朝韓国の白磁は、魂が吸い込まれる程の素晴らしい作品であり、マニア憧れの一品であります。逆に「錦手」作風は、日本の十八番であり、この作風は欧米に真似をされ、韓国には存在しません。
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