第31回:斜め格子のあやとり(その1) 平面的な作品の3次元対称性 

(2026年10月号:通巻780号)

 今回と次回は平面的な作品の3次元対称性を考察して、その観点での対称性が高いあやとり作品の取り方を考えてみました。題材として、考察しやすく美しい斜め格子の伝承作品である「7つのダイヤモンド」と「ダンスの舞台」を用いました。完成形は交差の上下を区別しなければ伝承作品と同じになりますが、上下を区別した際の対称性が高くなるような手順をご紹介しています。また、分離型ならではの立体的な変形についてもご紹介しています。


らせんの構え

 通常の「人差し指の構え」はOpening A とも呼ばれます。下図左のような対称性を持ちます。重要なのはこれはyz面での鏡像対称ではない、つまり左右対称ではなくて、前後に対称なのです。

OA:人差し指の構え OH:らせんの構え

 これは都合が悪いので、今回と次回は基本的に上図右の「らせんの構え」を用います。本連載では以前は「引っかかる人差し指の構え」と呼んでいましたが、この構えをN本指に拡張するとこの長ったらしい名前は不適切です。なので改めて「らせんの構え」という呼び名で呼びたいと思います。らせんの構えもN本指に自然に拡張できます。


「人差し指の構え」から左右対称なあやとり作品は作れないのか

 有名な「さかずき」という伝承作品があります。世界各地で知られているそうです。この作品は中央に糸の交差があるため三次元的には左右対称ではないのです。

「さかずき」は3次元的には左右対称ではない

 それでは「人差し指の構え」から始めるあやとり作品には左右対称のものは存在しないのか、というとそんなことはありません。例えば本連載でも紹介した「二本の木」という伝承作品があります。これは3次元的にも完全に左右対称です。

「二本の木」は3次元的にも完全に左右対称

 左右対称ではない「人差し指の構え」から始めているのになぜ最終形が完全に左右対称になるのか、というと、実は「二本の木」は「人差し指の構え」を作らなくても取れるのです。親指と小指だけに輪がかかっている「はじめの構え」で、親指の向こうの糸(下図☆)と小指の手前の糸(下図◇)がわかりやすいように人差し指の構えを作っているだけで、別に掌の糸を反対の手の人差し指に掛けなくても、下図のように単に掌の糸をたるませるだけでも取ます。

「二本の木」は人差し指の構えを作らなくても取れる

 いずれにせよ「二本の木」では最後に人差し指は役割を終えて外してしまうのです。なので完全な左右対称になるのです。


分離型と網目型

 斜め格子のあやとり作品の交差の上下の規則性が高いパターンとして、「分離型」と「網目型」というものを考えました。

斜め格子の対称性が高い交差のパターン

 実際に取ったものが下の写真です。

7つのダイヤ:分離型 7つのダイヤ:網目型
ダンスの舞台:分離型 ダンスの舞台:網目型

 上の視点からの写真だと、分離型と網目型が見分けにくいかもしれません。視点を変えた画像も載せておきます。

ダンスの舞台:分離型(別視点)

ダンスの舞台:網目型(中央部) ダンスの舞台:網目型(横から)


分離型7つのダイヤモンドをひねってみる

 分離型は斜め格子の右上がりと右下がりがあやとり図形平面(外周が作る面)の手前(上)側なのか奥(下)側なのかがわかれています。なのでひねってみるときれいに分離するのです。

7つのダイヤ(分離型)をひねってみる 7つのダイヤ(分離型)をひねってみる

 上の左の視点からみると四面体のようなかたちになっていますが、両手もあやとりも全く動かさずに視点を変えると(上の右図)「7つのダイヤモンド」由来のかたちであることがわかります。たいへん面白いのです。

 これが立体的にどんなかたちなのかを説明するためのCGを作りました。ここ(サポートページ)ではアニメーションも使えるので、gifアニメーションにしてみました。

7つのダイヤ(分離型)の左右の手の向きを90°変えたかたち

 実際に作ってみて、自分の両手の中でこの3次元のかたちを鑑賞してみると楽しいです。

2026.08.12


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2026.08.12 公開
2026.08.12 更新
長谷川 浩(あそびをせんとや)


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