第23回:ハノイの塔 ナバホの伝承作品の組合せと応用 

(2026年2月号:通巻772号)

 2000年発行の国際あやとり協会会報 BISFA vol.7 に掲載された、Frank J. Oteri氏の論文のご紹介です。原題創作あやとり作品の大傑作だと思います。


ナバホの伝承作品「嵐の雲」

 Oteri氏は、ナバホの素晴らしい伝承作品である「嵐の雲」と「肋骨と胸骨」に注目します。「嵐の雲」は、下左図のようなかたちがユニット(単位)になっていて、「嵐の雲を増やす操作」を1回行うごとに「嵐の雲」のパターンが1つずつ増えてゆきます。

「嵐の雲」1つ目 「嵐の雲」5つ目

 操作1回ごとに全体の上下がひっくり返ります。人差し指にどんどん輪が巻き付いてゆきます。長い糸を使わないと数を増やせません。


ナバホの伝承作品「肋骨と胸骨」

 「嵐の雲」は「マレーの構え」という、両手の人差し指だけを使う独特な開始状態(オープニング)から始めるのですが、開始状態の人差し指に巻き付ける糸の数を増やす工夫をしたのが「肋骨と胸骨」というナバホの伝承作品です。

「肋骨と胸骨」(6段)

 上の図は6段の「肋骨と胸骨」ですが、下図のように

「肋骨と胸骨」のためのオープニング


「ハノイの塔」

 「ハノイの塔」は、「肋骨と胸骨」から、「嵐の雲を増やす操作」を行うことで塔の数を増やしてゆくことができるのです。

「ハノイの塔」8段×2つ

「ハノイの塔」6段×3つ

「ハノイの塔」4段×4つ

 十分に長い糸を使えば、塔の段数も数も増やすことができますが、長すぎると1つ目の塔を取るところがとても大変になりますし、人差し指に巻き付く糸が膨大になります。

 独特な作品ですが、操作はシステマティックで比較的覚えやすい作品のように思います。

2026.03.14


参考文献

“The Towers of Hanoi ― Combining Ribs with Storm Clouds”:Frank J. Oteri (BISFA Vol.7) 2000, pp.287-295

2026.03.14


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2026.03.14 公開
2026.03.14 更新
長谷川 浩(あそびをせんとや)


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