以前の「ひとこと」 : 2010年9月前半
9月1日(水) 正四面体の1/4切頂(その2)
正四面体の各稜を4等分して4つの頂点を切り落とすと単独で空間を充填する多面体になるという話の続きです。この形を、頂点を切り落として作るのではなく、逆に小さな正四面体(T)と正八面体(O)を組み合わせて構成することを考えてみます。TとOはいくつずつ必要でしょうか?
最終的に出来上がる形を考えると、TとOを4段に積んでやる必要があります(図1)。
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図 1 それぞれの段ごとに、使われているTとOの数を数えてみましょう。
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図 2 上向きのTの数は、1,3,6,10…と増えていきます。Oの数は(上向きのTの隙間に入りますから)2段目から 1,3,6,10…と増えてゆきます。さらに、下向きのTの数は(Oの隙間に入りますから)3段目から1,3,6,10…と増えてゆきます。 というわけで、4段目まで積むとTの数は24、Oの数は10になります。
ところで、先日書きましたが、TとOによる空間充填では、TとOの数の比率は2対1になります。図1のように4段積んだ正四面体は、TとOの比率が24対10で、Tが4個多すぎます。そこで、Tを4個、取り去ってみましょう(図3)。
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図 3 こうすることによって、T対Oが2対1になるのです。
(つづく) <おまけのひとこと>
左手猫の部屋というblogで、「数学文化」の紙の結び目の話についてコメントをいただいていることがわかりました。ありがとうございます。
9月2日(木) 正四面体2個と正八面体1個の空間充填(その1)
正四面体と正八面体は2対1の数で空間充填ができるという話をご紹介してきました。それでは、正八面体に正四面体を2つ、面を共有するように張り合わせた立体は何種類あるでしょうか?
まず、正八面体に対して1つの面(手前の面)に正四面体を貼り付けたとして、残りの1つを貼り付ける場所は、何通りあるでしょうか?
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図 1 正八面体は8面ありますから、残りの面は7面あります。しかし、対称性を考えると、1.第1の正四面体と第2の正四面体が稜を共有する場合、2.2つの正四面体が頂点のみ共有する場合、3.2つの正四面体が離れている場合 の3通りになることがわかります。
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図 2 さて、これらの2つの立体は空間を充填するでしょうか? 3番の図2の一番右の赤いかたちは菱形六面体なので、これが空間を充填するのは明らかですが、あとの2つはどうでしょうか?
(つづく) <おまけのひとこと>
2日まとめての更新になってしまいました。失礼しました。
9月3日(金) 四角反柱をつなげる
反角柱(anti-prism)という一連の立体があります。普通の角柱は上下の面が同じ多角形で、側面が長方形になっているものですが、側面を互い違いの三角形で構成されるものです。
この中で、底面が正方形、側面が8枚の正三角形の正四角反柱を考えます。これを側面をつないで、大きな輪のような形を作ってみようとしたとき、ちゃんとうまくつながるでしょうか? また、いくつ必要でしょうか?
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図 1
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図 2 とりあえず3つまでつないだところで時間切れです。
(つづく) <おまけのひとこと>
昨日の問題はほったらかしにして、別の話題です。
9月4日(土) 中田喜直
図書館で、実用和声学─旋律に美しい和音をつけるために:中田喜直を借りてきました(link は Amazonです)。リンク先の書評でも評価が割れていますが、ちょっと読んでみて、中田喜直らしいなあと思える箇所がいくつもあって楽しかったです。最近、バロックの数字付き和声を勉強していて、実際に弾かなくても和音を「読む」能力が、ほんの少し上がった気がして(気のせいかもしれませんが)嬉しいです。
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図 1 久しぶりにこどものピアノ曲(中田喜直:音楽之友社)の楽譜を取り出して弾いてみました。手元にあるのは昭和46年の第16刷のもので、300円という値段がついています。
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図 2 子供の頃、軽快な「時計のはぐるま」とか「スピード自動車」とかが面白いなと思っていました。今は一番好きなのは「わらべうた」です。
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図 3 こどものための曲集ということで、指遣いが細かく書かれています。演奏の指示も日本語で丁寧に書かれています。この曲の和声がとにかくすばらしく美しいのです。
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図 4 図4は楽譜の3段目なのですが、「優美に」と指示が書かれた3段目3小節目からの和音が本当にすばらしいです。
今見ると、ちゃんとそれぞれの曲に英語のタイトルがついています。この曲集は17曲あって、それぞれによい曲です。動画検索などをしてみるといくつかの曲の演奏が聴けますが、1曲だけ紹介しておきます。中田喜直:小さなお花のバレエ
<おまけのひとこと>
暑いですね。
9月5日(日) PC-XT
この週末は、思い立って古いコンピュータとか古い扇風機とか、いろいろ捨てました。もうだいぶ以前から動かない、もらいもののIBMの初代PC-XT(ATではありません)も処分しました。ものすごく重たくておおきくて、グリーンのキャラクタ文字しか表示できないPCでした。ハードディスクは確か5Mbyteだったと思います。5inchのフロッピーディスクのドライブが1つついていて、そこからデータをインストールするのですが、フロッピーも128kbyte片面のものです。基本はDOS標準のラインエディタとアセンブラで開発するのですが、ありがたいことにturbo-Cがインストールされていました。でも、それも動かなくなって久しいです。
今の家に引っ越してきた13年前から、ずっと地下収納(地下室よりもさらにアクセスが面倒な床下です)に入れっぱなしでした。これだけの間まったくさわらないで困らなかったので、この機会に処分してしまおうということで、大汗をかいて取り出しました。
かれこれ20年前くらいに、知り合いから譲ってもらったものです。なつかしいですが、実用的な価値は全くないので、この機会に処分してしまいました。
○ 私が小学校2年生のときに亡くなった祖母が、「服は3着あればいいんだよ。今着ているものと、たんすにしまってあるものと、今お洗濯をしているものと。」とよく言っていました。家内にこの話をしたところ、いたく感心をしてくれました。これはまあ毎日お洗濯ができるという前提の話なので、現代にはそぐわないのかもしれませんけれども、だんだん持ち物は少なくしていきたいなと思っています。(もともと我が家は服はかなり少ないほうなのではないかと思うのですけれども。)
<おまけのひとこと>
写真を撮ると名残惜しくなりそうで、写真も撮りませんでした。
朝は市の総合防災訓練があって、サイレンを合図にヘルメットをかぶって公民館に集まりました。
9月6日(月) 四角反柱をつなげる(その2)
金曜日にご紹介した、四角反柱をつなげる模型をJOVOブロックで作ってみました。
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図 1
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図 2 ご覧の通り、13個で輪になりました。現実のブロックで組んでみる限り、違和感なくちょうど組み立てられる感じなのですが、これって正確なのでしょうか?
(つづく) <おまけのひとこと>
今朝あわてて撮った写真なのであまりうまく撮れていません。
9月7日(火) 切稜立方体パズル
いつもお世話になっている積み木インテリアギャラリーいたち丸さんから、切稜立方体パズル(初級)(リンクはtoritoのページです)を送っていただきました。本当にありがとうございます。
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図 1 パッケージをあけたところです。木のよい香りがします。きつすぎず、ゆるすぎず、精度のよい加工で遊びやすいです。
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図 2 単位となる切稜立方体です。立方体の12本の稜を面取りした形をしています。12+6で18面体です。正方形の面が6つ、細長い六角形の面が12あります。
このパズルは、トリトのページでも書かれていますが、1単位のピースが1個、3単位のピースが3個、4単位のピースが1個、計14単位で一組です。3単位のピースは全て形が違います。
写真からわかるように、初級は木のマスに入っているのですが、1段目が2×3=6単位、2段目が2単位、3段目が1段目と同じく6単位になっています。2段目が2単位しかない、というところがポイントです。
このほかにも問題が付属しています。シンプルですがよくできたパズルだと感心します。私たちには馴染み深い立方体の単位格子の構造のはずなのに、けっこう戸惑います。これがまた楽しいです。
お勧めです。
<おまけのひとこと>
毎日本当に暑くて大変です。
9月8日(水) 四角反柱をつなげる(その3)
一昨日、正四角反柱を13個つなげると輪になりそうだという模型をご紹介しました。これは厳密に正確に輪になるのでしょうか、という話をご紹介したところ、計算をして下さった方からご連絡をいただきました。
先日もご紹介したPolyhedronの日記では、13個の正四角反柱では359.7402°になると計算していただいて、誤差は千分の一以下であるという記事を書いていただきました。また、一般化の検討もしていただいて非常に面白い記事になっています。(正四面体が正二角反柱である、というのが私としては新鮮でした。正八面体が正三角反柱である、というのは以前から意識していたのですが。)
濱中さんからもメールをいただいて、
「2つの「側面」のなす角θは tan(θ/2)= (sqrt(2)-1)/ sqrt(sqrt(8)) = 0.2462928577523... 一方、平角の13分の1については、 tan(pi/13)=0.246477863... すごく近い値で、驚きました。という評価をしていただきました。(すみません、若干メールは編集させていただいています。)
私はというと、ちょうど一回り(360°)になるためには、正四角反柱がいくつ分必要なのか、という計算をしてみて、13.00939個、という値を得て、これは極めて13に近いな、と感心したのです。(ちなみに残念ながらこれを発見したのは私ではありません。Maurice Starck という、ニューカレドニアの方のページを見ていて記載されているのを見かけて、面白いなと思ったのでした。最初にこれをみつけたのがどなたなのかはわかりません。)
これが極めて誤差が小さいということを数値で検証する際、原理はもちろん一緒でも、実際の評価の際の数値の求め方が違っているのがとても面白いなと思いました。
<おまけのひとこと>
濱中さんのblogの9月3日の記事で、ずいぶん昔に差し上げた画像を再度取り上げていただきました。ありがとうございます。懐かしく見せていただきました。
久しぶりに雨が降りました。
9月9日(木) 紙の帯を編む
よく行く近所の(といっても自宅から10km以上離れていますが)図書館の入り口に、「○○地区の九十四歳の方が作りました。ご自由にいくつでもお持ちください」と説明書きの添えられた平たいお菓子の箱のようなものが置かれていて、その中に図1の写真のような、折込チラシを編んで作った「しおり」がたくさんありました。ありがたく1ついただいてきました。
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その後、1週間ほどしてもう一度図書館に行く機会があったのですが、あいかわらず同じ箱が置かれていて、中身はあまり減っている様子もありません。新たに補充されているのか、持って行く人が少ないのか、わかりませんけれども、せっかくなのでもう1ついただいてきました。
これは、細長い紙の帯2本を、それぞれのだいたい中央から折り曲げて編み始める4本編みのような方法ではないかなと思っています。私が知っている2本を編む方法とちょっと違います。以前、図を作ったような気がするのですが、見つかったのは1本編みのほうでした。(2002年3月24日のひとこと)
2本編みの図も作っておきたいなと思いました。
<おまけのひとこと>
このところ忙しくて大変です。
9月10日(金) 正四面体2個と正八面体1個の空間充填(その2)
先週、正四面体と正八面体は2対1の数の比で空間充填ができるという話から、正八面体に正四面体を2つ、面を共有するように張り合わせた立体が3種類あるという話をご紹介して、これらのうち実際に空間充填ができるのはどれでしょう? というところまで書いたかと思います。
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再掲図 1
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再掲図 2 答を言ってしまうと、これら全てが単独で空間充填しますし、これら3種類が任意の比率で与えられたとしても(例えば 10,000 対 3 対 0 とか)、その組成比で空間充填を実現できます。
まず、再掲図2のまんなかの白い形を見てみましょう。
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図 1 図1のように、このかたちを2つあわせると、平行六面体になっているのがわかります。再掲図2の赤い菱形六面体を2つ並べたかたちになっています。平行六面体は空間を充填するので、あとは空間充填できることが簡単にわかります。
次に、再掲図2の左の、凸多面体ではないかたちはどうでしょうか? これは、図2、図3のようにつないでゆくと、四角柱(菱形柱)ができることがわかります。
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図 2 図 3 四角柱になってしまえば、これを集めれば空間充填することは自明です。
同じ菱形柱が、再掲図2の3つのかたちから作ることができます。それぞれを色で表すと、緑の四角柱、白い四角柱、赤い四角柱になります。この3種類の四角柱は合同ですから、これら3種類を任意の比率で集めても、当然空間を充填します。
(つづく) <おまけのひとこと>
図を描くよりJOVOブロックで作ってある模型の写真を撮るほうが簡単でした。
9月11日(土) 「科学者とあたま」
寺田寅彦の「科学者とあたま」という随筆を読みました。(リンク先は青空文庫です。)上記サイトに全文があります。たいした分量ではないのですぐに読めますから内容についてはここでは書かないことにしますが、この考え方、昔、多分母から「偉い先生が言っていたんだけれど…」という伝聞形できいたことがあって「なるほど」と思ったのですが、オリジナルが寺田寅彦だったとは知りませんでした。
同じことは「科学者」だけでなく、多くの仕事に当てはまるのではないかなと思います。
<おまけのひとこと>
今週は9月6日(月)が停電でお休みで、代わりに9月11日(土)が出勤日だったのですが、お休みをとる人がけっこういて、私も休ませていただきました。
9月12日(日) 縄文の里マラソン大会
今年で第4回になる、「縄文の里マラソン大会」というのに息子が参加したので送迎&応援に行ってきました。
一般の部はハーフマラソンなのですが、息子が出たのは3kmのコースでした。スタート直後はしばらく下りで、折り返して最後はずっと上りになるというコースです。
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図 1
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図 2 図2はスタート直後の写真です。人が多くて、何が何やら…という感じです。
目標としていたタイムより30秒ほど遅かったそうですが、この暑い中、それだけの距離を走って結構平然としている様子を見ると、自分では絶対できないなあと感心します。
<おまけのひとこと>
尖石考古館前がスタートだったのですが、考古館は無料開放の日になっていて、涼しい館内で休ませていただくことができました。
9月13日(月) 十九面体?
多面体を作れるようなブロックで遊んでいると、いろいろなアイディアが浮かびます。最近、正方形と正三角形だけから成るジョンソンの立体(正多角形のみで構成される凸多面体。ただし角柱、反角柱の系列や正多面体、準正多面体等は除く)が面白いなあと思って、いろいろ作ってみています。
そんな中でこんなかたちができました。正方形が3枚、正三角形が16枚です。
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図 1
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図 2 こういうのは写真で見てもわからないので、展開図を載せます。
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図 3 これ、どんな形だかわかりますか? 正方形3枚は、ちょうど立方体の1つの頂点のまわりの3面のように集まっています。それ以外の面は正三角形が繋がっています。なので、片側から見ると立方体のように、反対側から見ると正二十面体のように見えないこともありません。
そもそもこれ、ジョンソンの立体にあったでしょうか? (つづく)
○ 手作りぽち袋 紙絵庵というサイトからリンクをしていただきました。ありがとうございます。私も「紙で包む」というのは好きなモチーフなので、興味深く拝見致しました。作品集のページが素敵です。ご覧下さい。
<おまけのひとこと>
今日は車の免許証を受け取りに警察署に行って、その後歯医者さんに行ってから会社です。
今回は免許証は地元の警察署で更新手続きをしたのですが、平日の8:30から16:30の間に本人が取りに行かないといけないのです。(土曜日もダメだそうです。)
9月14日(火) 十九面体?(その2)
昨日、JOVOブロックで「正方形が3枚と正三角形が16枚」を組み立ててみたものをご紹介しましたが、おそらく形がわかりにくいので骨格をCGにしてみました。最初にお断りしますけれども、これは正確な図ではありません。
特に図2のほう、ファイルサイズが大きくて申し訳ないのですが、静止画で見ていてもかたちのイメージが湧きにくいかなと思って、gifアニメの図を載せることにしました。
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図 1 図 2 この形は、正方形が集まる頂点(図の左下)と、そこから一番遠い三角形の面の中心を結ぶ軸の周りに3回回転対称になっています。図2はその軸を中心に回転させているところです。
さてこのかたち、ジョンソンの立体と思いきや、そうではありません。図1、図2のCGは、正方形こそ正確に描いてありますが、三角形のほうは適当に長さを調節してそれっぽく見せているだけです。昨日のJOVOブロックの場合、実際のブロックがちょっとゆがんだりして誤差を吸収してくれているのでそれらしく組めているだけです。
(つづく) <おまけのひとこと>
これがなぜ閉じた立体にならないのか、考えてみると面白いです。
ようやく、だいぶ涼しくなってきました。
9月15日(水) 正方形6枚+正三角形6枚
最近、しまい込んであったJOVOブロックを出してきてPCのそばに置いています。お酒を飲んだりとかしながら思いついたものをなんとなく作ってみるということをしています。こんな展開図のものを考えてみました。
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図 1 これはもう、正方形パーツがものすごく反ってしまいます。かなり無理がかかります。
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図 2 途中まで組み立てたところです。ここまでは、昨日の「十九面体?」の正方形三枚の側と同じです。
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図 3 図 4 むりやりはめてみました。写真からも正方形パーツが変形してしまっているのがわかると思います。
さてこのかたち、ちゃんとした多面体にするにはどうしたらいいでしょうか?
<おまけのひとこと>
朝夕は一気に肌寒い感じです。