以前の「ひとこと」 : 2006年4月後半
4月16日(日) ピタゴラスの数(その4)
ピタゴラスの数についていろいろ書いてきましたが、a,b,cのうちの一番小さい数の順番にいくつか並べてみました。
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これを見ているだけでもいろいろ楽しいですね。奇数の話は書きましたが、偶数の話も面白いです。
<おまけのひとこと>
週末がお休みでも、結局月曜の早朝に更新作業をしています。
4月17日(月) Dots and Box (その1)
"Dots and Box" という、紙と鉛筆でできる二人ゲームがあります。最初は、格子状に点を打っておきます。例えば下の例ならば4×4=16個の点を打ちます。プレーヤーはお互いに、隣り合う点を繋ぐように線を1本ずつ引いていきます。自分が引いた線で正方形ができたら、その正方形を自分のものにして(中に自分のものだとわかる印をつけておきます)、どこかにもう1本線を引かなければいけません。その2本目の線で、さらに正方形が完成した場合は、さらにもう1本線を引かなければいけません。正方形ができる限り、線を引き続けなければなりません。また、「もう1本引けば正方形ができる」という場合は、それ以外の手を選んではいけません。全部の線が引かれたらゲーム終了で、そのときに、自分の正方形が多い人が勝ちです。
AさんとBさんの勝負の例をご覧いただきます。
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すみません、A,Bどちらが引いた線なのかわからないアニメーションでわかりにくいですね。でも、どんなゲームなのか少しわかっていただけますでしょうか?
(つづく) <おまけのひとこと>
この話題も、ずっと以前から書こうと思っていたのですが、結局ちゃんと準備をするまえに始めてしまいました。
4月18日(火) 『ゼロから無限へ』
昔から、講談社のブルーバックスのシリーズのファンなのですが、私が最初に買ってもらったのが、「ゼロから無限へ」(コンスタンス・レイド著、芹沢正三訳)という古い本です。初版が昭和47年、私の手元にある版は昭和50年の第8刷ですから、もう30年も前の本です。今でも手持ちのブルーバックスの本の中でも特別に好きな本です。
この本からは、学校では習わないような数学史や数論のごくごく入門的なことなど、本当にいろいろなことを教えてもらったのですが、特に印象に残っているのが、フェルマーのn角数の定理の話です。
「すべての自然数は、(i) 三角数であるか、あるいは2個もしくは3個の三角数の和である。(ii) 四角数であるかあるいは2個か3個か4個の四角数の和である。 (iii) 五角数であるかあるいは2個か3個か4個か5個の五角数の和である。以下同様に・・・」
この定理の美しさは、すべての自然数は という言葉と 以下同様に という言葉にある。こういう、数や図形の性質のこんなところがこんな風に美しいんだ、面白いんだ、ということを教えてもらった本です。 計算機による素数の探索の話題などはさすがに内容が古いですが、それを考慮しても、現在でも良い本だと思います。
<おまけのひとこと>
今日は大きなイベントがあるので、はやく行きます。うまくいってくれるとよいのですが。出番は11時半くらいから13時くらいまでです。
4月19日(水) ピタゴラスの数のみつけかた
先週まで、何度か「ピタゴラスの数」の話を書いたら、しごと・あそびごと・ひとりごとでおもしろいとコメントいただきました。ありがとうございます。
奇数からはじめる考え方を書いておいて、偶数も面白いですよ、というところでやめる予定だったのですが、偶数の話もひとことだけ書いておこうと思います。
ひとことで言うと、奇数の場合は「二乗して2で割った前後の数」を探せばよかったのですが、偶数の場合は「2で割って二乗した前後の数」になるのです。奇数からはじめた場合にみつかる2つの数の差は1だったのですが、偶数からはじめると差は2になります。
これを示すのも簡単です。
<おまけのひとこと>
昨日はなんとか無事終わりました。来週くらいからはまたこのページの内容ももうすこし充実させたいな、と思ってはおります。
4月20日(木) DOTS and BOXES (その2)
月曜日に、“Dots and Boxes”という2人で紙と鉛筆でできるゲームをご紹介しました。(Box も複数形でした。) このゲームについては実はいろいろ研究されていて、いずれそんな手筋をご紹介してみたいな、と思っていたのです。実はまだちゃんと図の準備とかができていないのですが、少しずつご紹介してゆけたらと思っています。
今回このゲームをご紹介しようと思ったきっかけは、先日、手持ちのブルーバックスをちょっと整理していたときに、「脳を鍛える数理パズル」(デイビッド・ウエルズ著、芦ヶ原伸之 監訳 1996年)という本の中に、このゲームの「次の一手」という問題が出ていたのを見たことです。 余談ですがこの本のタイトルは、いかにもごく最近の「脳ブーム」に乗った本のように見えますが、実は初版は10年も前なのです。(私の手持ちの本は1999年の第7刷のものです。)
問題 次はBさんの番です。どの手が有利でしょうか? という問題です。いかがでしょうか?
ちなみにこのゲーム、単純なルールなのですが、微妙にルールの細部が異なるものがいろいろあって、それによって戦略や勝敗が全く変わってくることがあります。そのあたりの説明はまた後日。
(つづく) <おまけのひとこと>
すみません、メールのお返事が滞っております。
この話の続きもいつきちんとできるかいささか心配です。
4月21日(金) 第20回甲府古楽コンクール
この週末、22日(土)と23日(日)は、山梨県甲府市で、恒例となった20回目の古楽コンクールが開催されます。過去の受賞者の無料のコンサートが開催されたり、楽器やCDや楽譜の展示即売会が開催されたり、毎年楽しみにしています。
いつも web で情報を探すのですが、これが不思議とみつからなくて、会場になる山梨県民文化ホールの今月の催物の小ホールのところに情報があるくらいです。
トラヴェルソ奏者の前田りり子さんのページのコンサート情報のページをみると、記念コンサートの出演者とプログラムが載っています。このメンバーのこのプログラムで無料というのはたいへんありがたいことで、ものすごく楽しみです。
実はこの週末にはとある原稿書きの予定が入っていて忙しいのですが、なんとか時間を作って駆けつけたいと思っています。
<おまけのひとこと>
昨日の問題、消失点よりの STMileさんから正解の解答を送っていただきました。ありがとうございます。このゲーム、見かけよりも奥が深くておもしろいのです。
4月22日(土) スパイダ ソリティア
最近、Windows XP のトランプ一人遊びゲームの「スパイダ ソリティア」をよくやっています。
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本来は2組のカード104枚で遊ぶゲームです。K,Q,J,10,9,8,...,3,2,A の順に8セットを作る遊びなのですが、[初級]ではカードのスーツ(マーク)を無視してセットをつくり、[中級]ではカードの色に注目してセットをつくり、そして[上級]ではスーツをそろえてセットをつくります。これだとわかりにくいので、「スパイダ ソリティア」では、初級ではスペード8セット、中級ではスペードとハートが4セットずつ出てきます。
忙しいといいつつ、ちょっと時間があると遊んでしまうのですが、私は今は中級を主にやっています。
<おまけのひとこと>
昨日(21日の金曜日です)、仕事でミスをしてパーツを1つ壊してしまいました。こんなミスをしてしまうなんてショックです。
ホームセンターに土を買いに行きました。
4月23日(日) 第20回甲府古楽コンクール
午後から甲府の古楽フェスティバルに出かけました。楽譜を購入するのと、記念コンサートを聴くのが目的です。
昨年に続いて、今年も穂高のチェンバロ工房の吉岡さんにお目にかかりました。
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写真は記念コンサートが始まる前の会場の様子です。舞台の端のほうに小さな楽器が1つ、中央に大きな楽器が2つ見えます。手前の楽器はふたが外してあります。これは、2台で演奏する曲のための準備で、演奏者どうしが顔がよく見えるように楽器の向きを逆に置いてあるため、手前の楽器のふたがあると音が客席側に来ないので外してあるのです。グランドピアノ2台のコンサートなどでも、こうして手前の楽器のふたを外すことがあります。
古楽を聴くには少々会場が広すぎるのですが、それでも迫力のあるすばらしい演奏が聴けました。
<おまけのひとこと>
生演奏を聴くと、改めて自分でもやってみたくなります。
4月24日(月) 楽譜
毎年、甲府の古楽フェスティバルに出かけると、たくさん楽譜を買ってきます。web などで注文するよりも、実際に楽譜を手にとって眺めて買うのがすきなのです。
今年買ってきた楽譜たちです。
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またいずれご紹介したいと思います。
今年の5月連休には、遠方から笛を吹くお客様にいらしていただけることになって、とても楽しみにしています。そのほかにも、ここ3ヶ月ほどは忙しくて全くアンサンブルができなかったのですが、昨年一緒にコンサートをやったグループの方と久しぶりに合わせようというお話もいただいていて、こちらもとても楽しみです。
<おまけのひとこと>
この週末にやる予定だった仕事がちょっと遅れていて、大変申し訳なく思っています。
4月25日(火) 4つの平方数の和
先日ちょっと書いた、フェルマーの多角数定理というのがあります(こちら)。この中の1つに、四角数定理=四平方数定理というのがあります。「すべての自然数は、高々4つの平方数の和で表される」というものです。
平方数というのは、1x1=1, 2x2=4, 3x3=9, 4x4=16, 5x5=25, 以下 36,49,64,81,100,121,144,169.... と続いてゆきます。どんどん間は離れてゆくので、直感的には数が大きくなると平方数4個では表せないのではないかという気もします。 (もちろんこれは証明されているので、どんな数を持ってきても必ず4つ以下の平方数の和で表されるのです。)
いくつか実験してみましょう。1から10は簡単なので置いておいて、
11=9+1+1 12=9+1+1+1 13=9+4 14=9+4+1 15=9+4+1+1 16=16 17=16+1 ・ ・ ・ という具合です。さて、23はどうなるでしょう? 23を超えない最大の平方数は16です。23から16を引いて、残りは7ですから、7を超えない最大の平方数は4、あとは3ですから1+1+1になるので、 23=16+4+1+1+1 、あれ、5つ必要になってしまいました。
(つづく) <おまけのひとこと>
すみませんちょっとわざとらしいですね。
4月26日(水) 与えられた整数を4つの平方数の和に分ける
「すべての自然数は、高々4つの平方数の和で表される」という定理の話の続きです。これは証明されていますから、どんな自然数でも4つの平方数の和にできます。それをどうやって探しましょうか、という話をしたいと思います。
昨日、23を平方数の和で表そうとして、「23を超えない最大の平方数は16です。23から16を引いて、残りは7ですから、7を超えない最大の平方数は4、あとは3ですから1+1+1になるので、 23=16+4+1+1+1」という計算方法をご紹介しました。こういう解法を「欲張りの方法」といいます。
普通の8桁の電卓を使ってちょっと実験してみましょう。とりあえず 12345678 という数字を考えます。これを超えない最大の平方数を探すために、√(12345678) を計算してみると、3513.6417...となります。ということは3513が最大の平方数ということになるので、12345678から3153の二乗を引いて、残りは4509。同じくこれのルートを取って、67.149087...。4509から 67の二乗(4489)を引くと、残りは20で、これは16+4ですから、うまいこと
12345678 = 35132+672+42+22 となりました。「欲張りの方法」でうまくいきました。では、これより 1 だけ大きい 12345679 だったらどうでしょう?
12345679 = 35132+672+42+22+12 と、5つの平方数の和になるのは明らかですが、これを4つにしてくださいと言われたら、電卓だけで探すのは大変です。
また、例えば 88888888 から同じように始めると、
88888888=94282+412+42+22+12+12+12 となってしまって、なんと7つも必要になってしまいます。
23 は、実は 9+9+4+1 とすると4つの平方数に分割できます。このくらいならば暗算で探せますが、電卓を使っていいことにしても、12345679 や 88888888 を4つの平方数の和で表すのはちょっと大変だと思います。
では、計算機のプログラムを書いてこういった数字を4つの平方数の和に分割するとしたら、どんなアルゴリズムになるでしょうか。
(つづく) <おまけのひとこと>
おかげさまで、このページのカウンタが28万を越えたようです。これまでこのページをご訪問下さった方々に感謝致します。
この4月から、私が利用しているプロバイダのホームページ領域が従来の10倍の100Mbyteに拡張されました。おかげさまで当分、このペースでいろいろと掲載してゆくことができそうです。今まではできるだけ図のファイルサイズを小さくしようと努めていたのですが、多少大きなファイルを置いてもいいかなと思っています。
4月27日(木) 与えられた整数を4つの平方数の和に分ける (その2)
昨日、12345679とか、88888888とかいう数を4つの平方数に分けるのは電卓を使ってもそんなに楽ではないという話を書きました。これを計算機のプログラムで探索するにはどんなアルゴリズムになるだろうか、ということで、思いつくまま書いてみたのが下の関数です。(C言語です)
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これは画像なので、テキストファイルも一応こちらにおいておきます。ちなみにこのプログラムは、基本的には「欲張りの方法」を適用して、それでダメなら1つずつ数値を減らして試す、という方法をとっています。そのため、例えば 18 を入力すると、3^2+3^2 ではなくて、4^2+1^2+1^2 を返してきます。
これを使ってみると、以下のような結果が得られました。比較のために、「欲張りの方法」で求めた結果も併記しておきます。
88888888=94282+402+102+22 88888888=94282+412+42+22+12+12+12 88888888 の場合、大きいほうから見て2つ目の41を40にすることで、それ以下の平方数を減らしています。
12345679 = 35132+632+212+102 12345679 = 35132+672+42+22+12 12345679 の場合は、「欲張りの方法」で求めた2つ目の67を63まで減らす必要がありました。
12345680 = 35122+1042+242+122 12345680 = 35132+672+42+22+12+12 もう1つ数を大きくしてみて、12345680 としてみると、今後は「欲張りの方法」の最初の3513を減らさないと4つにはなりませんでした。
4つ以下の平方数に分解する方法と、欲張りの方法で求まった数との乖離が大きかったものを計算機に探してもらった結果を見ていたら、2の13乗の 8192 というのがありました。
8192 = 642+642 8192 = 902+92+32+12+12 こちらに結果のテキストファイルを置いておきます。眺めてみるといろいろと面白いです。
<おまけのひとこと>
この話題でもう少し引っ張ろうかと思ったのですが、結果を載せてしまうことにしました。
4月28日(金) バッハの無伴奏ヴァイオリンソナタの楽譜
いつも楽しみに拝見している blog あるが's てくにっきのこちらに、バッハの無伴奏ヴァイオリンソナタのリコーダー版の楽譜が載っていました。私も同じ楽譜を持っていますが、こういう難しい曲は最初から演奏をあきらめていたので、実は音を鳴らしてみたことはありませんでした。
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確かに「あるが」さんのご指摘の通り、この楽譜にはリズムの間違いがありますね。1段目の、2小節目のトリル(tr)がついている音符に付点があるのがポイントですね。
ちなみに、この曲の楽譜はなぜかヴァイオリン版も持っていまして(ヴァイオリンなんてまるで弾けないのに、この楽譜がワゴンセールで安かったのでつい買ってしまいました)、それと比べてみました。これは INERNATIONAL MUSIC COMPNY(NEW YORK)の楽譜です。
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うーん、確かにこっちは正しいです。トリルの後の2つの音符の鋭さがよくわかります。
昨年の6月30日のひとことで、バッハのイタリア協奏曲の編曲版の楽譜に誤りがあったという話を書きましたが、こういうことってわりとあるので気をつけないといけません。
追記:ヴァイオリンの楽譜のほうにも、もっとひどい誤りがありますね、というメールをいただきました。確かに。ありがとうございました。(2006.05.06)
<おまけのひとこと>
ようやく今週も今日で終わりと思うとやれやれという気分です。
いつも面白いコメントを下さる濱中さんから、4つの平方数の和について、ハミルトンの四元数を使った解説をいただきました。ありがとうございます。濱中さんのblogも楽しい話題が多くて、いつも楽しみに拝見しています。